エス/仮面ライダーエデン

登録日:2021/05/02 Sun 19:39:03
更新日:2024/04/26 Fri 21:55:32
所要時間:約 6020 分で読めます






「神が、6日で世界を創造したのなら……私は60分でそれを破壊し、楽園を創造する」

「神が作りし空も大地も海も星も、そして命ある全ての者はこの世界と共に消える」
「さあ、世界を賭けた戦いを始めよう」


エスとは、『仮面ライダーゼロワン』の劇場映画作品『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』の登場人物である。
また、本項目では彼が変身する仮面ライダーエデンについても記載する。

演:伊藤英明




概要

『楽園ガーディアの創造主』を名乗る『シンクネット』と呼ばれる闇サイトの教祖で、アズによって見出されたアークの後継者。
TV本編最終回でもゲストで登場し、何かが記載されたリストをタブレットで読んでいた所にアズが接触*1
彼女からもたらされたプログライズキーと飛電ゼロワンドライバーを用いてエデンに変身し、何らかの破壊活動を目論んでいた。


「大いなる悪意が生まれた時、アーク様は再び蘇る」

「“アーク”?」

「あなたの結論は何?」

「この世界を破壊し……『楽園』を創造する」

そして全ての準備を整えると、飛電或人の最終決戦から3ヶ月後、『楽園ガーディア』創造のためと称し、シンクネットを率いて全世界でテロ騒動を引き起こした。
また、或人に対しては劇中冒頭の犯行予告を送り付け、拠点である儀式の間に来るように誘い出した*2

そして仮面ライダーゼロツーに変身した或人と対峙し、謎めいた特殊能力でゼロツーを翻弄。
放った必殺技でゼロツーが怯んだ所に詰め寄ると飛電ゼロツードライバーを剥ぎ取り、或人を変身解除に追い込むとゼロツープログライズキーを奪い取った。
それでもなおゼロワンに変身して食い下がろうとした或人を衝撃波で吹き飛ばして儀式の間から放逐、
サウザンドジャッカーに奪ったゼロツープログライズキーを装填し、ゼアをハッキングしてデータを得た上で差し替えたブランクキーに転送、世界を破壊する「ヘルライズプログライズキー」を作り出した。

このように目的を達成するためなら手段を選ばない冷酷無慈悲な性格だが、体が欠損しても瞬時に再生するなど、明らかに人間とは言い難い身体構造をしている。
そんな彼の正体と目的は……?


仮面ライダーエデン



「エス、お前が創ろうとしてる『楽園』ってのは何なんだ?」

「……今見せてやる……」


エデン!


理 人 さ ん…


「……変身」


プログライズ!アーク!


Imagine, Ideal, Illusion… EDEN the KAMEN RIDER.

The creator who charges forward believing in paradise.

身長:191.2cm
体重:84kg
パンチ力:41.4t
キック力:91.8t
ジャンプ力:51.5m(ひと跳び)
走力:1.4秒(100m)

スーツアクター:中田裕士


エスがエデンドライバーエデンゼツメライズキーを用いて変身する仮面ライダーで、TV本編最終回にも少しだけ登場。

変身音声を意訳すれば「理想と幻想を思い描け」「ワタシがエデンで仮面ライダー」「私は自分の信じる楽園のために突き進む」となり、
通常の音声だと形態名をコールする部分が「EDEN the KAMEN RIDER.」という、仮面ライダーハート仮面ライダーブレンのようなパターンになっているのも特徴*3


◇容姿

変身プロセスはゼツメライズキーを起動すると女性型のロストモデルが出現し*4、キーを装填すると共にドライバーから全身に血管の如き伝達回路が伸びて浸透、ロストモデルがエスを背後から抱きしめ、一体化するような形で展開・変形してアーマーとスーツを形成する。

黒と紺色を基調としたボディに赤い複眼とラインが走っており、頭部にはアンテナや飾りの類が全く存在しない代わりに口元から延びる装飾がそのままアンテナを形成しており、全体的な造形はどことなくデンジャラスなクロコダイルライダーにも似ている。
ただし、ローグが「ひび割れ」で「生物の力を使いながら科学的なデザイン」なのに対し、こちらは人間そのものをモチーフとし、かつ「血管」をイメージした配置で、「科学一辺倒のライダーでありながら有機的」な印象を受ける。
或いはアバドン……ひいてはラスボスのルシファーと比較すれば「まだ血が通っている」とも解釈出来る。

なお、アンダースーツや各部の装甲がTV本編では紫に見えるが、あれはあくまでブラックライトが当たっていたためにそう見えるだけで、実際のカラーリングは上記に記載した通りである*5


◇性能


「無駄だ…!私に“死”という概念はない」

カタログスペックは意外にもこのシステム系統の祖である仮面ライダーアークゼロにすら劣り、アーク型ライダーシステムの中では最も低い。
しかし、変身者であるエスに由来する常識外れの自己再生能力により、ゼロツーとすら互角以上に渡り合えるだけの戦闘力を持つ*6
詳しくは後述するが、これはエスの体を構成するナノマシンに依拠するもので、肉体の欠損すら一瞬で再生する事が出来る上に、世界を破壊する程のパワーを直に受けても完全再生が可能。
その都合上、クラスターセルの力でナノマシン自体への攻撃が可能なメタルクラスタホッパーやクラスターセル自体を使用可能な相手が天敵だが、
この再生能力には別の場所でナノマシンを制御している装置をどうにかしない限り、火力を上げて倒そうとしても、ナノマシン自体を攻撃して再生を防ぐだけでも完全に倒せない非常に厄介なカラクリが仕掛けられている。

もう一つの能力として、攻撃動作の軌道や、それに伴い発生する衝撃波を物質化するという奇想天外な機能を持つ。
パンチの軌道を実体化させる事で刀剣にしたり、キックの衝撃波を実体化させてにしたりと、かなりの範囲で応用が利く。
これらについては恐らくアークライダー共通の物質精製能力をナノマシンで強化したものと思われる。

劇中では或人と激戦を繰り広げたが、これは初見殺し的な特性の能力に加え、エスが事前に或人を迎え撃つための周到な用意を済ませるなど、その強みは変身者であるエスに依存した部分も大きい。
実際、エデンというライダーシステム自体にはアークライダー共通の能力以外にはこれといった特徴が無く、単独では「ただの仮面ライダー」でしかないのが実情。

尤も、ゼロツーに通常攻撃でダメージを通しているだけあってスペック自体は本物であり、小細工抜きのステゴロに関しては割りと真っ向から対応できていた

『ファイナルステージ』に登場した仮面ライダーアークゼロワン同様、本編においてアークが培った「アークのライダーシステム」のノウハウは全くと言っていいほど継承されておらず、アークゼロ、及び仮面ライダーアークワンと共通の機能も物質精製以外には見受けられないが、
これはアークの蓄積したラーニングデータがアークドライバー ワンごと滅に破壊され、消滅したのが原因と思われる(恐らく絶滅ドライバーにも同様のデータがあったと思われるが、こちらも或人に破壊されている)。

一方、事象予測に関してはとりあえず可能と思われ、ゼロツー戦では予測能力で回避→不意打ちのライダーキックを狙ったゼロツーにカウンターを決めて間合いを取るシーンも見られた。


◇装備

  • エデンドライバー
TV本編最終回で、アズから渡された飛電ゼロワンドライバーがエス自身のナノマシンにより再構成され、変化したもの。
主だった機能はゼロワンドライバーと同様だが、保安機構「ライズリベレーター」は黒ずんだ赤と青のカバーに変化し、
中央部には血走ったような模様が描かれており、全体的に不気味な雰囲気を醸し出している。
エデンへの変身はドライバーの右側に備え付けられたレバーを下げてドライバーをオーソライズさせてから、エデンゼツメライズキーを装填する事で行う。
プレミアムバンダイで受注販売が行われたDX玩具版はDX絶滅ドライバーユニット同様に外装のみの交換であるため、ドライバー本体の音声などに変化はない。

  • エデンゼツメライズキー
エデンドライバー同様に、アズから渡された量産型アークワンプログライズキー(仮称)が変化したゼツメライズキー。
形状は仮面ライダーサウザーが使用するアメイジングコーカサスプログライズキーに酷似している他、
アークスコーピオンプログライズキー同様にキーの名称やアビリティが記載されていない。

アークの力を持つキーの中で唯一のゼツメライズキーであり、絶滅種ではなく現生種である人間のロストモデルが保存されている。
一応、人類の中にもホモ・サピエンス・イダルトゥのような絶滅種は存在するが、エスの真の目的と、描かれているモデルが機械に繋がれた人間である事や、
エスの変身ポーズがまるで祈りを捧げるかのように目を閉じながらキーを静かに額に押し当てた後、そこにいない「誰か」と手を繋ぐようにキーを起動する事、
何よりゼツメライズキーである=この世に存在しない生物のデータを持っている事を考えると、保存されているのはある特定の個人のロストモデルだとも考えられる*7

なお、プレミアムバンダイ限定のDX玩具版ではアメイジングコーカサスプログライズキーの金型を流用している関係で、
別売のDXザイアサウザンドライバーに装填すると「パーフェクトライズ!」の音声が流れる。

  • サウザンドジャッカー
エデンドライバーの力で生み出した複製品で、メイン武器として扱う*8
主だった機能はサウザーのものと同様だが、唯一の相違点としてタイマー機能が追加されており、セットされたプログライズキーのデータを時間差で発動させる事が可能。
恐らくは仮面ライダーアバドン用の変身システム一式*9同様、野立万亀男がZAIAエンタープライズジャパンから横流ししたデータが元となっていると思われる他、劇場版ライダーでは珍しく、サブライダーの武器をメインとして使っている。
エデンもアークライダーの一人なのでやろうと思えば物質精製能力で他の武器も複製出来るが、
エスが敢えてこの武器を単独で選択したのは、「ゼロツープログライズキーからデータを抜き出して保存する」「ブランクのキーに抜き出したデータを転送する」というヘルライズプログライズキー生成に必要な手順をクリア出来るからだと思われる。

  • ヘルライズプログライズキー
エスがゼロツープログライズキーからハッキングしたライダモデルのデータを、ブランクのキーに入れ込んで作り出したプログライズキー。
サウザンドジャッカーとの連動で人間社会を壊滅させる=世界を破壊するためのキーであり、変身用としての用途は全く考えられていない。
ただし、元のキーにあった「オーソライズによるロック解除・プレート展開」の機構は生きているため、ドライバーで認証すれば変身に使用する事自体は可能。


◇必殺技

  • エデンインパクト

「……死ね」

変身後にエデンゼツメライズキーを押し込む事で発動。
指先から血液状の流体を地面に垂らし、無数の棘の柱に変化させて周辺一帯を隙間無く覆い尽くした後、対象をドーム状の流体金属に閉じ込めて爆破する。
ゼロツーの持つ事象予測及び可能性実現による絶対回避能力に対し、「回避出来る可能性が無くなるまで物量で追い詰める」という形で対処した。
堅牢極まるゼロツーを多少怯ませていたため、威力は相当なレベルと思われるが、変身解除にまでは至らなかった。
なお、効果音をよく聞くと爆発音の直前に赤ん坊の泣き声らしきSEが混ざり込んでいる。
これによって発生した流体は必殺技が終わっても残留・制御が可能で、ライジングホッパーに変身して戦闘を続行しようとした或人を吹き飛ばして強引に戦闘を終了させている。

  • サウザンドブレイク


「世界を滅ぼすキーを渡せ!」

「……違う!!」

ヘルズホッパーズアビリティ!

「『楽園』を……創造するキーだ!!」

サウザンドライズ!



「やめろ!!!」

サウザンドジャッカーにヘルライズプログライズキーをセットし、ジャックリングを引く事で発動。
ヘルライズプログライズキーのエネルギーを纏ったサウザンドジャッカーを地面に突き立てて衝撃波を引き起こす。
サウザーが用いるものとは異なり、キー側のエネルギーが常軌を逸しているためか、穂先を覆う形で赤黒く巨大なエネルギーの刃が生成されている。
威力もさることながら攻撃範囲が凄まじく広く、町の一角が跡形もなく消し飛ぶという、もはや戦略兵器並みの代物。
ゼロワン メタルクラスタホッパーを倒すため、儀式の間を建物やその場にいたシンクネットの信者諸共吹き飛ばした。
なお、エデンの両腕もこの時の衝撃で吹き飛んでいるが、自身の能力ですぐに再生させている。



以下、映画本編のネタバレ注意!


一色理人

そんな彼の本名は一色(いっしき)理人(りひと)
ヒューマギア実験都市計画に参加していた医療機器メーカー「nanoMIRAI」の医療用ナノマシンの開発チームのリーダーだった男性である。
このナノマシンにはAIが搭載されており、患者の体内を巡回し、患部に薬を運んで治療を行うという役割があった。
また、理人には遠野朱音という婚約者がいた。
チームの同僚でもあった彼女は生前に何らかの病気を患っており、理人はそれを治してあげたい一心で彼女を医療用ナノマシンの被験者に選んだ。

公私共に順風満帆に思えた矢先、実験当日(本編の12年前)にデイブレイクが発生してナノマシンが暴走。
自ら作ったナノマシンがアークにハッキングされ、ナノマシンの被験者である朱音は容体が急変した後に死亡した。
幸いにもナノマシンが研究段階だった事もあってヒューマギアのように大規模な騒動には至らず、事件も公にされなかったものの、
デイブレイクの60分で婚約者・研究実績*10、全てを失った理人は自らの成した事とその結果を前に深い悔悟に苛まれる。

それでも、と朱音の遺体から脳を取り出し、頭の上半分を切り取られたヒューマギア素体の上半身のような物に脳を接続し電脳空間に命を繋いだ*11
だが、その世界には朱音しか存在せず、孤独に生き続けるという非情な現実が待っていた。
一方で理人は朱音を死に追いやったアーク、敷いてはそんなアークを生み出す要因の一つとなった醜い『悪意』を垂れ流す人間に復讐心を抱いていた。

朱音のための『楽園』の創造と、醜い『悪意』を垂れ流す人間の排除。
そんな2つの目標を掲げた理人は手始めとして自らの脳を電子化して人間としての肉体を捨て、全身を人工知能搭載型のナノマシンに入れ替えて自らの意識を移した
このナノマシンはかつて自身の研究した医療用ナノマシンが元となっており、エデンの化物じみた再生能力はこれによるものである。
なお、人間としての理人の肉体は本作の1年前に腐乱死体として発見され、表向きには死亡した事になっている。

次にZAIAエンタープライズジャパン・常務取締役の野立と接触し、
彼から横流しされたZAIAの技術を用いて、シンクネットに接続するために違法改造したZAIAスペックと、アバドン用の変身システム一式の開発に着手した。
更に破滅願望を抱いた醜い悪意を持つ人間を『信者』として迎え入れると理人は自らを教祖『エス』と呼称し、インターネットを通じてカルト教団『シンクネット』を結成。
最後にアズからライダーシステムを提供され、自身も仮面ライダーとなったエスは全ての準備を終えた後、今回の大規模なテロ行為に及んだ。

エスの計画したテロ行為とは 朱音を1人にさせないために信者達をアドバンに変身させてナノマシンを混入した手榴弾をばら撒かせ、被害者を昏睡させた上でその生体データを電脳空間に転移させ『楽園』の住人となり
それが完了次第、テロの実行者である信者達はエスの手でまとめて排除されるというもの。
つまり、シンクネットの信者達が昏睡させた善良な市民こそがエスの言う『選ばれし者』である一方、悪意を持った信者達の方がエスにより滅ぼされ、『楽園ガーディア』が完成する。
別作品を例に挙げて分かりやすく言えば「そう!悪意を持った信者なんて、私が朱音を救うための捨て駒ぁ~!」という事である
これが今回のテロ事件の真相であり、電脳世界で生きる朱音のため、そして悪意を持つ人間を滅ぼす目的で今回の事件を引き起こした。
そのやり方は決して許されたものではないとはいえ、行動理念は間違いなく「『愛』という名の善意」に基づいていたのだが、悪意を持った人間を集めたばかりに……


劇中での活躍

ゼロツーから奪ったゼロツープログライズキーを用いてヘルライズプログライズキーを作成するエス。
その頃、或人は電脳空間にて朱音と出会い、エス=理人の正体、今回のテロの真相を知る*12
現実世界に戻った或人はゼアの指示で待機していたトラック野郎雷こと宇宙野郎雷電からライズホッパーを受け取り、エスの待つ儀式の間へと戻っていった。

この時エスはヘルライズプログライズキーを作り上げ、信者達に演説していたが、そこに或人が乱入。
テロの目的と「楽園」について尋ねる或人に対し、エスは返答の代わりに再度エデンに変身。或人もメタルクラスタホッパーに変身してエデンに応戦する。
ゼロツー時と同じくエデンの再生能力に苦戦するゼロワンだが、朱音との問答でエス(エデン)の体がナノマシンで構成されていることを看破、必殺技を放ってクラスターセルをエデンの体内に侵入させて内部から攻撃する戦法を採った。

再生能力の無効化はならなかったものの、能力を抑制されたエデンはゼロワンの猛攻に押され始める。
そこでエデンは予定の60分よりも早い段階で「サウザンドブレイク」を発動し、ゼロワンを儀式の間を建物やその場にいたシンクネットの信者諸共吹き飛ばした。
或人は大ダメージを負いながら変身を解除され、エデンは両腕の再生が終わった後、サウザンドジャッカーを手に取ってどこかへと向かっていった。


エスの後を追いかけた或人が向かった先は、電脳空間にて朱音と共に入ったのと同じ教会であった。
計画が最終段階に入ったことを悟ったエスはサウザンドジャッカーにヘルライズプログライズキーを装填しようとするが、キーの破壊を試みた或人はエスからキーを強奪してゼロワンドライバーで認証、無理やりヘルライジングホッパーに変身。
血相を変えたエスは慌ててエデンに変身してキーを奪回しようとするが、暴走したゼロワンにあしらわれた挙句、破壊エネルギーの暴発の余波で吹き飛び、ついに変身を解除される。
直後、ゼロワンは暴走したままエスに攻撃を仕掛けるも、乱入してきたイズが変身したゼロツーによって制止・変身解除される。
落ちたキーを回収したエスはなおも計画を続行しようとするが、朱音と接触し彼女の思いを知った或人に説得された事で、
自身の行為が彼女を救済しているのではなく、むしろ苦しめていることに気づき、戦意を喪失した。

その直後、一部始終を目撃していたベルが信者から借りたショットアバドライザーでエスを銃撃。
先の「サウザンドブレイク」の件により、予定のタイムリミットよりも早い段階で行動を取った事でベルに真意を悟られ、彼に率いられる形で信者達の離反を招く事に繋がってしまったのだ。


「約束の時間より早くキーを使って信者達を滅ぼした理由が、まさか女のためだったとはな……」

「お前らのような醜い『悪意』を垂れ流すヤツらが、アークを生み出し、朱音の命を奪った……。
お前らを、朱音の世界に行かせるわけにはいかない……!」

「いいや、この世界を滅ぼして……我々(・・)の楽園に変えてやる!」

「……ここからは、私が楽園の創造主となる……!」

エスに罵られながらも彼が落としたエデンドライバーとエデンゼツメライズキーを回収したベルは「自らが楽園の創造主となる」と宣言し、それらを使用して仮面ライダールシファーに変身。
窮地に陥るエスだったが、或人とイズにルシファー軍団の対処を任せて教会を後にした。

途中アバドン達の襲撃を受けるも、事情を知ったライダー達の援護により『楽園ガーディア』のサーバーが置かれている場所へと辿り着き、自らのナノマシンを粒子化させてサーバー=朱音の生体脳と一体化して電脳世界へと向かった。
その教会で台座に置かれた指輪を手に取り、自身の行為を悔やむエス……もとい、理人。


「朱音、済まなかった……」

「朱音を救えなかった……」

「あなたのせいじゃない」

そんな理人の背後に現れたのは、純白のウェディングドレスを身につけた朱音だった。彼女は理人のことを恨んでいなかったのだ。
愛する朱音との再会を喜ぶ理人もまた、純白のタキシードに身を包み、彼女にの指に指輪をはめて抱擁する。現実世界では叶わなかった結婚式を挙げた1組のカップルは、幸せに包まれながら消滅し、連動するようにしてサーバーも自爆した。
この『楽園ガーディア』のサーバーはシンクネットの信者の操る「アバター」を構成するナノマシンの制御装置も兼ねており、サーバーが自爆すると同時にナノマシン由来の復活・再生能力も全て機能停止した。
その後、ベルを始めとした4人の実行部隊の隊長の本体や野立らが逮捕された事でシンクネットは崩壊し、事件も終息へと向かっていったのだった。

エス自身の動機は確かに「愛という善意」が根幹にあったが、一方で恋人の命を奪ったアークとそれを生み出した者達への憎悪……つまりは「悪意に対する悪意」を持っていた事もまた事実である。
そういう意味では彼は確かに、アズ曰く「悪意の連鎖」の体現者であり、かつての或人や滅と同じく「アークに取りつかれた仮面ライダー」であったと言える。


余談

演者の伊藤英明氏は映画『悪の教典』において主人公のサイコキラー・蓮実聖司を演じているが、今作では同じくヴィランながら全く正反対のキャラクターを演じる形となった。
加えて偶然だろうが、どちらも「多くを犠牲にして独りよがりに自分の理想の世界を作ろうとした」「ある種の教祖的立ち位置だった」という共通点がある(中身は全くの逆だが)。誰が言ったか「アークの教典」
他にも、朱音役の山崎紘菜氏とは、同作にて教師と生徒(塚原悠希)役を演じて以来、二度目となる共演を果たしている。

また、伊藤氏はインタビューなどで「自身のヒーローはスカイライダー」だと語り、プレミアムバンダイ会員になる程の熱烈な仮面ライダーファン。
今回の映画出演は氏の熱烈な逆オファーによるものであり、「主人公の敵になるだろうから最後は死にますよ!?」とスタッフが確認するも「それでもかまわないですよ」という事で出演が決定。
なお、主題歌アーティストの西川貴教氏は「自分が変身すると思っていた」と後に伊藤氏の前で冗談めかして語っている
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて発令された緊急事態宣言により撮影時期がずれた結果、スケジュールにもずれが生じて一時は出演が危ぶまれる事態に。
それでも他の仕事と調整した事で撮影が冬に変更となったものの、そのまま出演する運びとなった。

その後、2021年にNHKで放送された『全仮面ライダー大投票』の結果発表特番に「仮面ライダー出演者」ではなく「ファンゲスト」の枠で出演したのだが、
  • 胸ポケットにヘルライジングホッパーのフィギュアーツ
  • 或人役の高橋文哉氏が使っていた『REAL×TIME』の台本(しかも高橋氏の直筆サイン入り)
    「撮影後にお願いしたらサインと合わせて快くくれました」いや伊藤さんのお願いじゃ誰も断れないでしょ
  • DX飛電ゼロワンドライバー 中国限定カラー LIMITED REDを使ったオリジナルのエデンドライバー
    「秋葉原で見つけてきました。エデンにはこの色の方が合うと思って」
……と、私物という私物を持ち込んだ上で笑顔で番組内で紹介するというガチっぷりを見せて視聴者と出演者を驚かせた。
しかもこれはほんの一部であり、番組内で紹介しきれなかった私物もあったという。



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最終更新:2024年04月26日 21:55

*1 時系列的には『ファイナルステージ』の後だと思われる。

*2 この時、或人はエデンドライバーと化したゼロワンドライバーから、今回の事件もアーク絡みではないかと見当をつけていた。

*3 ちなみにこの2人とは「主人公のライダーシステムの亜種で変身する敵側出身のキャラクター」という共通点がある。

*4 この時、「ロストモデルが何かを囁いているように見える」という声もあるが、実はエフェクトを外すと「理人さん」と呼び掛けている。

*5 ただし、実際には全身に走るラインの部分をブラックライトに反応するテープに張り替えていたとの事。

*6 ゼロツーには事象予測と可能性実現による絶対回避&対応能力があるが、常時使用しているわけではない。

*7 アズからライダーシステム一式を受け取った時点で既にエスの体はナノマシンの集合体と化していたため、そちらからブランクキーにデータが送信された可能性も考えられる。

*8 ただし、実際には下記の「サウザンドブレイク」発動時に用いた程度である。

*9 ショット/スラッシュアバドライザー、クラウディングホッパープログライズキー。

*10 推測が混じるものの、今回のテロが起こるまでナノマシンの存在が認知されなかった事を踏まえると、デイブレイクの後ナノマシンの研究の凍結及びチームが解散させられた可能性が高い。

*11 このサーバーが登場するシーンをよく見ると「HIDEN」のロゴが確認出来るため、第一世代型ヒューマギアのものである事がうかがえる。また、わざわざヒューマギアの素体を受け皿に用いたのではなく、朱音をヒューマギアとして蘇生させるのが当初の試みだった可能性も考えられる。

*12 ちなみに何故或人が電脳空間でも昏睡せずに意識を保てたのかというと、ゼロワンに変身しかけていたため、ゼアを通じて或人と電脳空間が繋がったからである。