登録日:2023/11/21 Tue 19:15:29
更新日:2025/04/23 Wed 07:08:06
所要時間:約 ? 分で読めます
フラウ・ボゥは
宇宙世紀ガンダムシリーズの登場人物の一人。
宇宙世紀0064年生れ。
初代『
機動戦士ガンダム』では、物語の
前半位までのメインヒロインとして活躍していたので存在感も知名度もあるのだが、実はちゃんと本編を見ている層からは意外にも……というか、割と
不遇な立ち位置に追いやられたキャラクターとしても知られている。
CVは鵜飼るみ子(『THE ORIGIN』では
福圓美里。『ガンダムさん』では山口立花子。)
また、某
壺の人のように
文字数が足りない訳でもないのに劇中ではフルネームで呼ばれることが多く、EDテロップでもフルネーム表記されている。
⚫︎目次
主な登場作品となる『機動戦士ガンダム』では、主人公
アムロ・レイの幼馴染みでお隣さん……というロボアニメのテンプレ的なヒロイン設定では
なく、
転校してきて間もないアムロをやや一方的ながらも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていたガールフレンドとして登場。
一応は父
テム・レイと共に越してきたアムロだが、第1話の通りでV作戦(RX開発計画)に関わるテムは
サイド7内の基地どころか、ホワイトベースと共にコロニー外にまで出て行き全く帰ってこれずに事実上の放置状態だった。
……キャラ付けが上述の通りなので勘違いされやすいのだが、実際にはアムロのお隣さんですらなく、
わざわざと
けっこうな感じで家が離れているのに世話を焼きに来てくれていたのが窺える。
尚、アムロのお隣さんと呼べるのは、実は
ハヤトの方なのだが、細かいことを言い出せばハヤトも正確には“お向かいさん”である。
何気に、劇中にて初めに登場したメインキャラクターであり、物語開始と共にサイド7に侵入してきた
デニム率いる偵察隊が発見したのが、アムロ宅へと駆け込むフラウ・ボゥであった。
登場直後のコミュ障なのかと疑いたくなるレベルで社交性ゼロの姿を見せていたアムロが
警報が鳴り響いていたにもかかわらず警戒心ゼロで下着姿でコンピューター作りに没頭していたのを見て呆れながらも避難準備をさせる等、
とても同年代とは思えない位にオカン属性に満ちた姿を見せている。
また、この時のやり取りにて前日にも来て用意していったのであろう食事にアムロが手を付けていないことに呆れていることから、
それこそ毎日のように食事や簡単な家事をしに来てくれていたのだろう……もはや、立派な通い妻である。
因みに、フラウと共にマスコットとして後のシリーズでもお馴染みとなっていく
ハロも初登場しているのだが、
それもそのはずで、実は『機動戦士ガンダム』に於けるハロは、元々は
アムロからフラウへのプレゼントである。
……前述のフラウを“アムロのお隣さん”と勘違いされやすい件と共に、この
“ハロの正当な所有者はフラウ・ボゥ”というのは、トリビアに使える位の勘違いされやすい話題である。
因みに、アムロの初台詞が「ハロ、今日も元気だね」という、何とも恍けた調子の物なのも意外な所。フラウに話しかけられても無言状態からのこれである。
(この恍けた調子の演技は中の人(古谷徹)曰く「脚本もらってから
数週間ほど、練りに練った演技だった」とのこと。)
この後、何とかアムロに準備をさせて(実際には着ていく服を選ばせた位で殆どの準備はフラウが勝手にやっていた。マジオカン。)外に出たところで同じく母親と避難しようとしていたハヤトと遭遇。
アムロが警報も気にせずに呑気していたことについて「(アムロは)一人きりなんだから」と文句を言うやり取りがあることから、
明言こそされていないもののアムロ、ハヤトとは同級生なのだろう……と解釈されている。
また、この場面にてアムロ親子が地球からサイド7へと越してきてから余り間を置いてないこと=元々は戦争に関係ないというスタンスだったサイド7に
V作戦に基づく新型MS開発計画が持ち込まれたことで否応なしに区画整理による立ち退きが行われたことに対する軍属のアムロ親子に対する不満があることが隙なく差し込まれている。
また、ここからフラウ(ボゥ一家)とハヤト(コバヤシ一家)は元々のサイド7の住民=親や祖父母の世代には既に移住させられていた生まれながらの宇宙移民だとも予測できる。
これを受けて(そして、後の関係を踏まえて)ハヤトとは“幼馴染み”だったと解釈されることもあるのだが、
この時のやり取りの通りで“幼馴染み”というのは考察の余地があるにしても少なくともアムロ以前からの知り合いであるハヤトの立場での発言を全くしていないあたりに
リアルでシビアな女子の恋愛感が出てるなんて意見も。
……その後はアムロが出してくれたエレカーで自宅に送り届けてもらった後に、退避カプセルにて家族と共にアムロと合流。
この時の(フラウの)母親と祖父の反応から、アムロもフラウの家族とはすっかりと顔見知りとなっていることから、フラウによって着々と外堀を埋められていたのが窺える。
……しかし、ここで大きな悲劇が起こる。
噂の連邦製MSが完成していることを確認したことで功を焦った老け顔の新米ジオン兵ジーンの暴走により、命令されていた偵察の域を越えてザクIIに乗り込んだジーンは連邦施設……というかコロニー内に攻撃を加え始める。
そして、連邦施設に向かい攻撃……ということで退避カプセルからも程近い場所への着弾による衝撃が避難民にも届くことに。
この異常事態に普段の陰キャは何処へやらで軍属の子供らしいミリタリー志向も爆発したのか、危険を察知したアムロはフラゥ達が止めるのも聞かずに外に飛び出すと、
父テム・レイに避難民を逃がしてくれるように直接的に頼みに行こうという、アクティブ極まりない行動を見せる。
結局、外に飛び出してから間もなくの所でアムロもアクシデントでエレカー(電気自動車)が破壊されてしまい足止めされてしまうことに。
しかし、それから間もなくでアムロが進言するまでもなく避難民に連邦軍の戦艦へと移動するようにとの指示が出されたらしく、外に出たフラウはアムロを見つけて駆け寄ってくる。
ここで、やっと父の姿を見つけたアムロは駆け寄りつつもテムの発した「(リフトの使用では)避難民よりもMSを優先」という言葉に噛みついているのだが、
実はここでテムは事も無げにアムロに「ホワイトベースに行くんだ」と言っているので、ちゃんと避難民がホワイトベースに誘導されていることは承知していた模様。
しかし、ここで肝心の新型MS=
RX-78-2ガンダムを輸送するトレーラーが動かなくなってしまい、
アムロがガンダムに見入っていた所でジーンの攻撃が近くに着弾してアムロは吹き飛ばされてしまう。
それを見たフラウは慌ててアムロに駆け寄ってくるのだが、その直後にフラウが走り出した後方=
避難民の列に次の攻撃が直撃し、
フラウは一瞬にして
母親と祖父を失ってしまうのだった。
……この瞬間に、もしかしたならばフラウが思い描いていたかもしれないアムロを伴侶として囁かな幸せを望む夢は永遠に失われることになった。
余りのショックに泣き崩れパニックに陥るフラウに対し、アムロは頬を打って「しっかりしろ! 君は強い女の子じゃないか」と無理に正気を取り戻させて送り出すのであった。
……説明が長くなったが、この第1話の半分以上を使って描かれた、リアリティーのある戦争の悲劇と負の側面こそが、
「かつてないロボットアニメ」に挑んだ富野監督以下のスタッフが目指した『機動戦士ガンダム』の方向性そのものであり、
その悲劇の主役となったのが、見た目も性格もテンプレ的なロボアニメのヒロインを思わせるキャラ付けがされている=視聴者を安心させていたであろうフラウ・ボゥだったのである。
『機動戦士ガンダム』は一見すると
従来のロボットアニメの文法に従っているとスポンサーに思わせつつ、
実際には
ティーンエイジャー以上の視聴者を想定した濃密なドラマを描くことを目的としていた……というのは、
現在では知られている当時の制作状況とスタッフの理想の実現までの裏話な訳だが、この第1話の展開は
正にそれをメタ的にも含んだエピソードと言っても過言ではなく、
確かに“ガンダム”という後々まで続くコンテンツとしては
サブタイトルの『ガンダム大地に立つ』の通りで、
終盤の
RX-78-2ガンダムの勇姿こそが特筆すべき事柄なのだろうが、番組としての『機動戦士ガンダム』としては、
寧ろ第1話にして描かれたヒロイン(フラウ・ボゥ)の悲劇こそが、富野監督以下のスタッフが示した本作の方向性その物であった。
……事実、フラウ・ボゥというキャラの活躍は、突き詰めてみると
この第1話以降はそれ程には重要では無くなっていく。
勿論、前述のように『機動戦士ガンダム』という作品に於ける“前半までの
メインヒロインはフラウ・ボゥである”という意見に対する異論や反論はかなり難しいだろう。
……「にもかかわらず、そのメインヒロインの活躍が“それ程に重要ではなくなっていく”というのは何なのだ、矛盾しているじゃあないか」と思われるかもしれないが、
フラウの悲劇の後の『機動戦士ガンダム』が、アムロという少年が多くの悩みや葛藤を抱えつつも
“一人前の男”として成長していく物語となっていくからである。
勿論、第1話以降もフラウの活躍や言葉が視聴者の心に響かなかった……なんてことは無いのだが、
この第1話の時点で急速に戦場という非日常に順応していくアムロと日常に取り残されたフラウという構図は描かれており、それがエピソードが進むにつれ加速していくからである。
フラウ個人の活躍としては、ホワイトベースに乗ってからは家族を失った悲しみを振り払うかの如く、これまでと同様にアムロの世話を焼く…
…ということには集中出来なくなっていったが、自分と同じく戦災孤児となった
カツ、レツ、
キッカの世話役を自然と買って出つつ、
他にも自分に出来ることを探して艦の運航に協力していくことになる。
実際、アムロが言っていた通りで不幸な身の上となっても前を向いて進んでいける強さを持っている少女であり、
タイプは違えど正義感が強く献身的な
セイラ・マスにも直ぐに目を付けられて声をかけられている他、
単に人手が足りないからだっというのには収まらずに、何だかんだで有能なので
ブライト達からも頼りにされており、
ジャブロー到着後にも当然のように階級を与えられていた。
他のクルーならいざ知らず、戦闘要員でも食事や医療等の専門スタッフでもないフラウを連れて行く必要は本来ならば“無い”筈である。
なお小説版
言ってしまえばフラウの活躍はやはり番組前半に集中しており、立場的にも危うい中で取り憑かれたように戦争(ガンダム)にのめり込んでいくアムロを折々に気づかう姿が描かれていた。
何より、戦闘経験を積む中で才能を開花させたのはいいが今度は増長し始めてしまったり、精神的・肉体的な疲労もあったのだろうが
仲間のリスクを考えない効率重視の戦闘マシーンのような思考に陥ったアムロのストッパーになろうとしたり、
増長によって孤立したりストレスを溜めすぎて戦闘を拒否する構えを見せたアムロの立場を尊重しつつもギリギリで支えたり背中を押していたのは間違いなくフラウ。
その最たるものが
ガンダムを持ち出しての脱走の件から始まり、ホワイトベース隊の全員の目を覚まさせるきっかけとなった
ランバ・ラルとの戦いで、
この時には甲斐甲斐しくも危険を冒してアムロを探しに行く等、確りとヒロインしていた。
……が、それでもアムロばかりでなく他のホワイトベースの急造クルー達が何だかんだで自分なりの居場所や仕事を見つけていく中で“普通の女の子”であるフラウが
メインヒロインで居続けられるのは『機動戦士ガンダム』が示そうとしている新しいロボアニメの描き方では難しかったのだろう。
アムロが“男”として憧れる理想の男女であるラル&ハモンを乗り越え、自分の過ちを受け入れた上で戦場にて仲間を気づかえる“一端の兵士”に成長した後には、
アムロと他のホワイトベースクルーとの仲が縮まる一方で、どんどんフラウから見たアムロの存在は遠いものになっていく。
……そして、中盤ともなると
アムロに先駆けてニュータイプとしての資質を見せ始めるミライや、
何よりも
戦場でのパートナーとして歩を合わせる機会が増えたセイラの存在が増し始め、
挙げ句には
自分には恋愛的な意味で無関心とも取れたアムロが思春期を爆発させた
マチルダ・アジャンといった、今のフラウにとっては逆立ちしても勝てない
大人の女までもが出現。
勿論、マチルダがアムロ…etc.を異性として特別に想う筈がないなんてことはフラウにも解ってはいただろうが、
どんなに尽くしても
女として負けたという意識は、間違いなくフラウの中に少なくない傷を残した筈である。
こうして、マチルダの死をも乗り越えたアムロの成長と共にフラウも役目を終えたとばかりに、
中盤以降は事実上の
メインヒロインからの降格といった立場となる。特に、ここからはシナリオ上でもセイラが目立っていくことに。
まあそのセイラさんも恋人的な意味で「ヒロイン」かというと怪しいが。カイやハヤトやスレッガーと同じ「同僚」以上には踏み込んでいないようだし、なんならセイラのアイデンティティである「シャアの妹」を明かされたのはアムロではなくブライトである……
アムロの存在を気にかけ続けてはいたが、今や他の仲間達と確固たる信頼関係を築き、認めてくれる相手が増えたアムロは同情を強要するような不遜でやさぐれた態度を見せることもなくなり、
他者の為に愚痴も言わずに痩せ我慢も出来る男となり、そんなアムロにとっても、いつしかフラウの癒やしは必要なくなっていたのだ。
……ここまで来ると、今更ながらも反対にアムロの方で疲れているであろう自分に食事を届けてくれたフラウの存在を懐かしむという描写も見られるようになるが、
裏を返せば物理的に近くに居るフラウを既に過去の思い出として見ているということである。
(もし、本当にアムロもフラウを想っているのならば今度は自分からアプローチをかけたりも出来ただろうが、全くそんな素振りを見せていない。)
こうして、疎遠となっていったアムロの代わりにフラウが急接近することになったのが、
アムロと同じく初期から戦争に積極的に関わっていたにもかかわらず、反対に己の力不足に悩むようになっていたハヤトだった。
因みに、ハヤトの方はフラウに以前から好意を抱いていたと解釈されており、実際にファーストTV版の時点で第1話で話しかけられて心なしか嬉しそうにしていたり、
第7話では避難民の老人達がキッカ達を人質に自分達の意見を通そうとした際にフラウも進んで人質になったという話をブリッジにしに来た時には、
アムロが自分の立案した作戦の実行を控えていたとはいえ、全くフラウを心配しようとする様子がないことを指摘して怒っている。
割と選んだ乗機のせいな気もするが、この頃になると
カイばかりか、セイラにも遅れを取っていると悩むようになっていたハヤトが
ソロモン攻略戦にて負傷して悔しさを吐露した第35話にて、治療に当たったフラウが呼応するように口にした
「あの人(アムロ)は私たちとは違う」という発言だが、
何気に
登場から一貫してアムロを自分の側に立つ存在と考えて発言していたフラウが、おそろしく遠い存在かのようにアムロを評しているという意味でも哀しい台詞である。
この後、ホワイトベース隊もジオンとの最終決戦に向かうことになるのだが、その中で更にハヤトとの関係を深めていっていることをキッカ達が報告しており、
アムロも少し寂しそうにしながらも優しく見守っていた。
最終話でのア・バオア・クーからの脱出の際にはアムロから「僕の好きなフラウ」と呼びかけられていることについて、色々と考察されることもあるものの、
少なくともアムロの側からはこれまでの感謝と博愛的な意味での親愛が込められた言葉だったのだろうと思われる。
(寧ろ、恋愛的な意味で期待されていたのはセイラだったのかもしれないが、当のセイラもギリギリまで自分の境遇に悩んでおり有耶無耶になっている)
そうして、戦後はホワイトベース隊の中では安牌な方なので当然のように軟禁は免れ、正式にキッカ達を引き取りつつハヤトと結婚しフラウ・コバヤシとなった。
ただし先述したようにフルネームで一纏まりのイメージが強いためか、以降の作品中でも「フラウ・ボゥ」と旧姓で呼ばれる事もあった。
非戦闘員ということもあってか、
劇場版でも大きくは役目は変わらず。
御大によるアニメと大きく設定の違うことで知られる小説版では、サイド7からの避難民というのは同じだが、
アニメ的な都合なんか関係ないので職業軍人であるアムロ達とは違ってルナツーに到着した時点でさっさと降ろされており、
その後はカツ、レツ、キッカ達の世話を焼きつつアムロの無事を祈る。
物語の後半、熱に浮かされるフラウの下にも戦死したアムロの意識が届き、想いが届いたことに歓喜するも、同時にアムロの死を知り涙する。
ちなみに本作ではセイラさんが明確にアムロの恋人となる。アニメ版ではほぼスルーだった「シャアの妹」という真実にも彼が自らたどり着き、しっかりとヒロインをやっているのだった。
安彦良和による『THE ORIGIN』では、後述の通り“フラウの扱いについて思うところがあった”作者の思惑もあってか、
基本的な設定と立ち位置こそTV版を踏襲しつつも、明確にアムロへの未練が断ち切れないという業の深い姿を晒されることに。
ただ24巻収録の後日談では、結婚間近のハヤトの案内でキッカ達やアムロと島根地域を旅した際、
エンディングで他の面子が寝入った後(その少し前にハヤトから結婚への想いを訴えられていた)アムロから「これから」の希望を聞いていた。
『機動戦士Zガンダム』第13話に登場。
一年戦争終結直後は軟禁を逃れていたものの、夫ハヤトが反地球連邦組織カラバに属してエージェントとなった為に
超強硬派独立部隊
ティターンズに支配された連邦から狙われるようになっており、助けを求めて成長したカツ、レツ、キッカを伴いアムロの下を訪問。
ハヤトとの実子も身籠っていた。
軟禁状態の中でやさぐれてしまったアムロを見て少し落胆しつつもセイラの件でからかう等、過去には傍目から解らない程度には折り合いを付けられているのが窺える。
そして、何だかんだでアムロが再び立つきっかけを与えてカツを託す……も、カツを
グリプス戦役にて亡くすことになる。
続く『機動戦士ガンダムZZ』では本人は登場しないものの、この
第一次ネオ・ジオン抗争により夫ハヤトを失い未亡人となる。
尚、比較的に監視の緩い日本への入国を目指しているというのはTV版から存在していた設定であったのだが、
後の
劇場版設定で描かれた漫画作品『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、
静岡に移住後に無事にハヤトの遺児を出産したことが描かれている。
【余談】
- ホワイトベースに乗ってからは他の臨時クルー達と同様に連邦軍の制服を着ることになるのだが、フラウのみミニスカートだったりスカーフを巻いていたりと大きくデザインが違う。
これは、富野御大によれば、実はスカーフはともかく(自分なりのアレンジ)、生足の方はスタッフの色塗りのミスだったとのこと。……そういう話ばっかりやな。
流石に、デザインが違いすぎるのは(後代になる程にリアリティー志向が高まる『ガンダム』だけに)おかしいと判断されたのか、当の安彦良和が描く『THE ORIGIN』では練習生用の服とされている。
またのちの連邦系ヒロインもフラウのようにアレンジした制服を着ることがあったりする。そういう意味では多少のオシャレは認められていたのだろう。
- 名前の“フラウ”はドイツ語で英語の“Mrs”に相当する“Frau”とのこと。(放映当時の富野監督自身による『アニメージュ』誌でのインタビューより。)
この為に、デザイナーの安彦良和は「若いのに気の毒だね」等と言われているものの、実際にはドイツ語での“Frau”の場合は“Miss”と“Mrs”程には用法の区別が無いとのこと。(英語での“Mis.”に相当。)
英語の“Miss”に相当するのは“Fräulein”で、此方は確かに名前の響きとしては不自然である。
- スタッフから明かされている“フラウ”の由来の他に名前の元ネタなのでは?…として他に出されているのは、往年の米国女優“クララ・ボウ”から思いついたんじゃないか設。
ひどい所では“ボウフラ”から思いついたんじゃないか説……なんかがある。
- 色々と不遇な立場へと追いやられていった彼女だが、何だかんだで富野御大や安彦良和からは「大事にしたい」「泥臭いけど一番好き」等と愛されていることが窺える。
ナレーション他、多数の兼ね役を演じて番組に貢献した声優の永井一郎も「自分の恥部にかかわるので理由は言えないが、ガンダムガールズで一番のお気に入りは彼女だ」とまで番組後に発言している。
『ガンダム』という作品自体が新しい風を吹き込むという作風のためにフラウは散々な目にあったのだが、制作者側の都合でそうなった彼女に思うところはあったのだろう。
- 上述のフラウの境遇を踏まえたからこそ以降の『ガンダム』における幼馴染み・ガールフレンドポジのヒロイン(ファ・ユイリィ以降…)が“主人公の傍で戦うようになった”なんて分析も。
因みに、それでも主人公と結ばれる確率が絶対となった訳ではなかったり。(だいたい、フラウの時と同様に他にも魅力的なヒロインポジが出てくるしね。)
完全なヒロインポジで非戦闘員のままで済んだのは『機動戦士Vガンダム』のシャクティ・カリン位なものか。関わって死んだ人間は多いとか言うな。
また『∀ガンダム』のソシエ・ハイムは色々と末路が衝撃的過ぎて“平成のフラウ”と呼ばれたとか何とか。
- 『機動戦士ガンダム』では時代柄とはいえお風呂シーンにてメインの女性キャラの裸体も描かれているのだが、劇場版にて盗撮班が出現したセイラさん以上に露出の機会が多かったのはフラウ。
だが、ミニスカートながらパンチラする機会は殆ど無しとの調査結果が……。
- 『SDガンダム外伝』ではフラウ姫として登場。ちなみに父親はレビル一世。声はルー・ルカ。
出番は少ないもののモンスターに襲われているところを騎士ガンダムに救われる他、最終決戦の場に騎士たちを導く、心優しき者にしか弾けない「導きのハーブ」に選ばれるなど、要所要所ではヒロインらしさを見せていた。
反面。FCの『ナイトガンダム物語』ではモンスターに変化させられておりフラグを建てないとそのまま攻撃して重傷を負わせてしまうというトラウマイベントがある。
ちなみに外伝においては以降も元ネタのヒロインが「姫」になる事が多く、都度活躍している。中には明らかに元ネタよりも浄化された存在も登場した。
- ギレンの野望シリーズでは非戦闘員にも関わらず、何故かパイロットとして登場。ホワイトベース隊を解散すると、連邦軍で使用可能になる。連邦軍二部で退役するので、使用期間は短め。一般人故に能力は低いが、タフな女性故か耐久値のみ高い。魅力は普通ぐらい。キャスバル率いるネオジオンでは、イベントでWB隊を連邦軍から引き抜くイベントがあるのだが、フラウとジョブ・ジョンの二人は連邦に置いていかれてしまう。運が悪いとアムロ達と交戦する場合も…。また、撃墜時のセリフがやたら甲高い悲鳴で、プレイヤーを驚かせる。ネタに事欠かない。
追記・修正してくれないアムロなんて嫌いよ!
- 家族を無くし世話焼いてた男の子がどんどん遠い存在になってしまうわ結婚して幸せ掴んだと思ったら養子の一人は戦死するわ夫も死ぬわとかなり可哀想な目に合ってるよね… -- 名無しさん (2023-11-21 23:26:40)
- 永井一郎氏の恥部っていったい何なんだ…… -- 名無しさん (2023-11-22 02:51:33)
- ガンダムの手をこじ開ける怪力の持ち主 っていじりは今さら野暮か? -- 名無しさん (2023-11-22 03:09:22)
- ↑2 そりゃ女の子の何が好きかなんて語るのは普通は恥部にあたるわな -- 名無しさん (2023-11-22 08:48:07)
- ↑2 それ確かにマジで気になる -- 名無しさん (2023-11-22 10:11:59)
- ↑3ガンダムのおっちゃんが女の子には優しくした説とかあったな -- 名無しさん (2023-11-22 10:26:49)
- 確かパンチラは3回くらいだったか。 -- 名無しさん (2023-11-22 10:45:52)
- アムロがビンタして正気に戻すシーンは何気に好きな場面のひとつ。オリジンだと避難するフラウを涙浮かべて見送ったあとザクを睨みつける形になってるから、アムロが戦いに身を投じた理由を強調してたし -- 名無しさん (2023-11-22 13:04:04)
- 何だかんだ後半でもアムロからは平和な日常のイメージで見られてたとは思う。ただ、アムロはそこに帰れなくなってしまった……けど「僕には帰れる場所があるんだ」というラスト。恋仲でなくても、お互い大事な相手なのは変わらない。 -- 名無しさん (2023-11-22 13:59:04)
- まだセイラさんのこと好きなんでしょう?と言えるようになったのは強いよなぁ -- 名無しさん (2023-11-23 10:35:08)
- じっくり読んだけどハヤトがマンモス西に重なってきた -- 名無しさん (2023-11-23 13:07:58)
- >割と選んだ乗機のせいな気もするが ハイブリット4コマの、ハヤト「アムロに勝ちたいと思ってこのザマだ」、フラウ「…ていうか、ガンタンクじゃまずムリ」のやり取りを思い出したw -- 名無しさん (2023-11-23 15:53:57)
- 名前の由来は「フラウ某」(某女性)という都市伝説 -- 名無しさん (2023-11-23 22:36:57)
- 年表見るに0087年5月にフラウとアムロの再会時にはもう安定期で、ハヤトの戦死が0088年10月30日だから、ハヤトは多忙&情勢で出産立ち会いは無理にしてもビデオ通話なんかで我が子を見る事くらいはできただろうか -- 名無しさん (2023-11-24 02:54:07)
- ↑3 監督T「ガンタンク出せ言うスポンサー共に従って悪かった。劇場版ではガンキャノンに乗せてやる(なお活躍・・・)」 -- 名無しさん (2023-12-11 22:21:15)
- ピューリッツァーでは実家に帰ってきた直後にアムロに対する想いを語る、最初のインタビュー相手である -- 名無しさん (2025-03-29 22:02:04)
最終更新:2025年04月23日 07:08