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THE 功夫 - (2011/07/10 (日) 14:19:13) の編集履歴(バックアップ)


THE 功夫

【ざ くんふー】

ジャンル アクション
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売元 ハドソン
発売日 1987年11月21日
定価 4,900円
ポイント (当時としては)衝撃の巨大キャラを動かせるインパクト
しかし、ゲームとしての出来はアレ
備考 バーチャルコンソール:2007年6月5日より配信/600Wiiポイント
PCエンジンアーカイブス:2010年1月20日より配信/600円

概要

  • PCエンジン初期本体発売から約1ヶ月後にてハドソンからリリースされた横アクションゲーム。本来は本体同時リリースの予定だったが、諸般の事情で発売日が延期された経緯のあるソフトだった。
  • PCEの性能の凄さを見せ付ける為に作られたような存在で、当時の家庭用ゲームにおいて不動の存在だったファミコンの性能ではまずできないであろう巨大キャラを動かせる事を売りにしていた。
  • 一人プレイ専用、全4ステージ構成×3周ループ。

主なルール

  • 原則として常に右方向の強制スクロールで進行するタイプのアクションで、カンフーの使い手である主人公を操作し、迫りくる敵や障害物を攻撃して倒したり、ジャンプなどでかわしたりして先に進み、各ステージにて待ち構えている3体(全部で12体)いる中ボスとボス全員を倒すのが目的となる。
  • 十字キーで主人公の移動やジャンプなどを操作し、ボタンは各自、パンチボタンとキックボタンに使用する。なお、ゲームの仕様上、主人公は右側向き固定(左に向く事は一切できない)となっている。
    • 十字キー左右で主人公の左移動(後ろ移動)か右移動(前移動)の調整。
    • 十字キー上もしくは斜め上にてジャンプ(斜めジャンプ)を行う。ジャンプ中は一切のジャンプ力調整や移動制御は不可である。
    • 十字キー下でしゃがみ操作を行う。
    • パンチボタンを押せばパンチ攻撃で、立ち状態(十字キーニュートラル時)で上段パンチ、しゃがみ状態で中段パンチを出す。ジャンプ中ではこの攻撃は一切できない。
    • キックボタンを押せばキック攻撃で、立ち状態にて中段キック、ジャンプ中だとジャンプキックを出す。しゃがみ状態ではこの攻撃は一切できない。
    • パンチ、キックの各攻撃にはそれぞれ当たり判定に相違があるので、場所によってそれを使い分ける必要がある。
    • 以下の操作を行うとスクロールが一時的に停止する。
      • しゃがみ状態のままでいる。
      • 十字キーを左のままに入れっぱなしにしている。
      • その場にてパンチ攻撃かキック攻撃を連打する(ジャンプキックは不可)。
      • すべての中ボス、及びボス戦では停止スクロールでのバトルとなる。
    • 中ボス、ボス戦限定行動として、相手がパンチを出した瞬間にパンチボタンを押すか、相手キックの瞬間にキックボタンを押せば防御(ノーダメージ)が可能。
    • これも中ボス、ボス戦限定で、相手のパンチダメージを2~3回食らった後にこちらのパンチ攻撃を当てると、専属の必殺技が発動して相手に大ダメージをあたえられる。
  • ボス前にて特定の敵を倒すか、空中に浮いている「烏龍茶」を攻撃(触れるだけでは効果無し)すると、ライフが一定値まで回復する。
  • 中ボス、ボス戦は各自、ボスライフが表示され、それを0にすれば勝利となる。中ボスを倒せばステージの続きとなり、ボスを倒せばそのステージはクリアとなる。
  • ステージ4を除く各ステージをクリアすればボーナス画面となる。ゲージが上下にて激しく動いているので、これをボタンにて目押しし、ゲージが上に止まっている程高ボーナスが得られる。もちろんボーナスなので、結果がどうであろうとスコアに変動がある以外では次ステージそのものに影響はしない。
  • ライフ+残機制の戻り復活ですべてなくなるとゲームオーバー。ミス後の復活はやられた場所の中ボスかボスのいる最初の地点の戻りとなる。
    • 初期、及びミス後の復活時のライフは10ゲージで、上記のライフ回復を得ると最大30ゲージまでライフを溜められる。敵ダメージによるゲージ消費は状況によって異なるが、大体は1~3ゲージ位を消費する。
    • このゲームでは一撃死になるような要因は存在しない。また、ステージクリアしてもライフ回復のボーナスも存在しない。
    • コンティニューは表面上では不可だが、とある裏技コマンドにて再開は可能である。
  • 他詳しいルールはバーチャルコンソールオフィシャルサイトにて確認されたし。

評価点

  • ハード性能をアピールしているだけあって、当時としてはFCでは考えられない位に巨大キャラを動かせるインパクトは相当なものだった。これだけキャラを大きく表示しているのにチラツキや処理落ちはほとんどなく、PCEというハードの凄さを見せ付けていた。
    • また、グラフィックも当時としては美麗でカンフーの雰囲気を十分に描けており、まさにカンフー映画そのものをゲーム化したような衝動だった。その位にPCEというハードの性能は家庭用ゲーム機の常識を覆す程の存在であったのだ。
  • BGMも雰囲気とぴったりマッチした良曲揃いで、当時のプレイヤーからして見れば(最初のうちは)ノリノリでプレイできる事請け合いだった。残念ながらサウンドテストは未搭載だが…。タイトル画面で特定のコマンド入力するとデバックになる。 いきなり2周目に行けたり無敵にすることが出来る

問題点、賛否が分かれそうな点

  • 外観は確かに破格の存在だったが、その代償はあまりにも大きく、純粋にゲームとして見た場合の本作の出来ははっきりいって悪い部類に入ってしまう。
  • まず、ゲームバランスが悪く、首を傾げたくなるようなダメージに遭遇してしまいがちなのが問題であろう。
    • キャラが大きい故に前の視界が大幅に限られてしまう影響で、敵が現れた瞬間に何もできずにダメージという、駄目なゲームのお約束が完備されてしまっている。そういう状況なので、主人公を前移動させるのは自殺行為であり、後ろに居座りながらの消極的待ちプレイ状況になるのは必至である。その位に本作の視野の悪さは深刻であるのだ。
      • もちろん、パターンを覚えれば先読み攻略プレイはある程度可能だが、はっきりいってまともにクリアするにはほぼすべての敵配置を覚えなければならず、アドリブで攻略できるような難易度では無い。
    • 中ボス、ボス戦における相手の動きが半端なくいやらしいので、攻略が凄まじく不安定である。こちらがちゃんと間合いを考慮して攻撃しようが、相手はそんなの関係ねぇとばかりに反撃してくる為に、溜め込んだライフゲージがいつの間にやら無くなっていたなんて事態も普通にあり得る。
  • 巨大キャラ表示に容量を使い果たしたのか、敵の使い回しが目に見えて酷い。
    • ステージを進めようが同じような顔ぶればかりで、先に進んでいる感じがあまりにも薄く、その結果早い段階からマンネリ化という駄目なゲームのお約束をこれまた満たしてしまっている。
    • 主な人型の雑魚は微妙に色と性能が違うだけ差でしかない装束を纏った敵1種類のみ。他の雑魚は、石や扇子、蛾や蛇といった道具や小動物しかおらず、これらも種類が乏しく別のステージでダブり登場しまくりである。
    • 中ボス、ボスに関しても、敵数が計5種類がおらず、凄まじくバリエーションに乏しい惨状。しかも、そのうちの1体は主人公のグラフィックの流用で、専用グラフィックの敵は4種類しかいない。
      • エンディングでは流用しまくりの倒したボス12体の絵が表示される演出があるが、その全員が別名で完全に別人として設定されている。そんなところよりこだわる部分はあるのではないか?
  • いくらPCE初期のゲームとはいえ曲数が少なすぎる。主な曲は「タイトルBGM、道中BGM(全ステージ共通)、ボスBGM(同)、ボーナス画面BGM、エンディングBGM」の5種類のみ。曲自体は良曲なのが救いだが、いくら何でもこのケチっぷりは…。
  • 正直1周目だけでも問題の多い内容なのに、これを3周繰り返せというのが酷である。最も、エンディング自体はどの周回でクリアしても同じなので、1周クリアすればリセットしても問題はないのだが…。
  • もちろん、ハード初期のソフトなのでまだまだスタッフが製作し慣れていなかったという事情もあるだろうし、当時のゲームではある程度の使い回しはさほど珍しくないという擁護意見もある。実際同時期のPCEソフトは熟練期のそれよりかは荒削りな作品が多かったのも事実である事も忘れてはいけない。
    • PCEはFCのノウハウがほぼそのまま流用できる設計なため、開発が難しかったとかそういう事情ではないだろうと思われる。デカキャラを動かすことが目的化してしまい、ゲーム内容は二の次になってしまったのであろう。

総評

  • このように外観のインパクトは凄いが、実際プレイしてみるとその中身は「大味、バランス不安定、使い回し多し」という問題の多いゲームであり、当時のプレイヤーからも批判も多く、PCEというハードに貢献したとはとてもいえない存在であるのは否めないところ。
  • 散々批判はしたものの、遊べない程ゲーム性が崩壊しているものではなく、粗の数々に目を瞑ればプレイする価値はあるかもしれない。
  • すでに本作はバーチャルコンソール、PCエンジンアーカイブス、PC Engine GameBoxにて配信されている他、かつてはドリームライブラリー(ドリームキャスト)などの配信もされていた時期があった。ゲームとしては褒められるものではないが、ハドソンにとっては特別な思い入れがある存在なのかもしれない。