THE 功夫
【ざ くんふー】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | 2MbitHuカード | 
| 発売元 | ハドソン | 
| 発売日 | 1987年11月21日 | 
| 定価 | 4,900円 | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2007年6月5日/600Wiiポイント(税5%込)
 【3DS】2013年12月25日/617円(税8%込)
 【WiiU】2014年4月30日/617円(税8%込)
 PCエンジンアーカイブス:2010年1月20日/600円(税5%込)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | (当時としては)衝撃の巨大キャラを動かせるインパクト しかし、全体的な完成度はお粗末
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概要
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PCエンジン(以下、「PCE」と表記)初期本体発売から約1ヶ月後にハドソンからリリースされた横スクロールアクションゲーム。
 当初は本体同時リリースの予定だったが、諸般の事情(後述)で発売日が延期された。
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PCEの性能の凄さを見せつけるために作られたような作品であり、当時の家庭用ゲーム機において不動の人気を誇っていたファミコンの性能ではまず不可能と思われる巨大なキャラクターを動かせる事を売りにしていた。
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1人プレイ専用、全4ステージ構成×全3周制。
ゲームルール
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カンフーの使い手である主人公・王(ワン)を操作し、迫り来る敵や障害物を攻撃して倒したり、ジャンプなどでかわしたりして先に進み、暗黒大帝を倒すのが目的である。
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原則的に、スクロールは右のみ、自動スクロールで進行するタイプのアクションゲームである。
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ステージは全4ステージで、各ステージに中ボス2人とステージボス1人が配されている。このボスのもとへ到達すると決着まで画面が固定される。
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説明書ではボスまでの移動部分を「ノーマル面」、固定画面でのボスとの戦闘を「対決面」と呼んでいるので以下はそれにならう。
ちなみに第4ステージのみノーマル面の中に特殊な画面固定パートがある。
 
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全ステージをクリアすると1周クリアとなり、エンディング後にスタートボタンを押すと次の周回が始まる。
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最後の3周目をクリアするとスタートボタンを押しても「GIVE UP !」と表示されるだけとなる。
 
 
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方向キーで主人公の移動やジャンプ等の操作を行い、2個のボタンはそれぞれパンチとキックに使用する。なお、ゲームの仕様上、主人公は右側向き固定(左に向く事は一切できない)である。
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方向キー左右で主人公の前進後退。左で後退、右で前進。ニュートラルはノーマル面では低速の前進、対決面では静止。画面左端でさらに後退し続けるとノーマル面でもその場にとどまれる。
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方向キー上でジャンプ。左右要素の反映のされかたは歩いている時とほぼ同じで、真上はノーマル面では微前進、対決面では垂直。なおジャンプ中は一切のジャンプ力調整や移動制御は不可能。
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方向キー下でしゃがむ。しゃがんでいる間は移動せず、ノーマル面でもその場にとどまれる。
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攻撃はIボタンでパンチ、IIボタンでキック。パンチは立ち状態で「正面づき」、しゃがみ状態で「下段づき」が出る。ジャンプパンチは存在しない。キックは立ち状態で「正面げり」、ジャンプ中にはジャンプの軌道により「飛びげり」「ななめ飛びげり」どちらかが出る。しゃがみキックは存在しない。
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低い位置への攻撃手段が存在しないため、足元に迫ってくる障害物はジャンプでかわす事になる。
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パンチ・キックの各攻撃にはそれぞれ当たり判定に相違があるので、状況によってそれらを使い分ける必要がある。
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地上での攻撃動作中は移動が止まり、連打しているとノーマル面でもその場にとどまれる。
 
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対決面限定で、ボスがパンチを出した瞬間にパンチボタンを押すか、相手のキックの瞬間にキックボタンを押せば防御(ノーダメージ)が可能。
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さらに、ボスの攻撃を2回食らってからパンチを出すと「デカパンチ」、3回以上食らってからだと「あたたパンチ」と呼ばれる技が発動して相手に大ダメージを与えられる。
 
 
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ノーマル面で特定の敵を倒すか、空中に浮いている「烏龍茶」を攻撃(触れるだけでは効果無し)すると、ライフが一定値回復する。
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対決面では相手のライフゲージが表示され、それを0にすれば勝利となる。中ボスを倒せばそのステージを継続してプレイ、ステージボスを倒せばそのステージはクリアとなる。
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ステージ4を除く各ステージをクリアすると、金が詰め込まれた壺をヌンチャクで破壊するボーナス面になる。
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上下に激しく動くゲージをボタンで目押しし、高い位置で止めると高得点が得られる。
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ゲージを一番上のMAXの位置で止めると壺を大きく破壊できるが、逆に一番下のMINの位置で止めると破壊できないどころか、ヌンチャクを自分の体に当ててしまうという醜態を晒すことに。
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スコアエクステンド制のゲームなのでここで高得点を狙えるようになるといくらか有利になる。しかもMAXならばライフまで回復する。もちろんボーナスゲームなので、どの結果になろうと次のステージには進める。
 
 
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ライフ制+残機制の戻り復活システムであり、残機が全て無くなるとゲームオーバー。ミスした後の復活地点は、やられた場所の中ボスかステージボスのいる最初の地点からとなる。
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初期状態及びミスした後の復活時のライフは10ゲージだが、前述のライフ回復を行うと最大30ゲージまでライフを溜めることが出来る。敵から受けたダメージによるゲージ消費は状況によって異なるが、大体は1~3ゲージほどである。
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本作では、一撃死になるような要因は無いが、ステージクリアによるライフ回復も無い。
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裏技でコンティニューが可能。
 
評価点
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ハード性能をアピールしているだけあって、当時としては考えられないほど巨大なキャラクターを動かせるインパクトは相当なものだった。キャラクターをこれほど大きく表示しているにもかかわらず、チラツキや処理落ちがほとんど無く、PCEというハード性能の高さを見せつけていた。
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また、グラフィックも当時としては美麗でカンフーの雰囲気を十分に描けており、まさにカンフー映画そのものをゲーム化したような出来映えであった。それほどまでにPCEの性能は、家庭用ゲーム機の常識を覆す程の存在といえた。
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主人公や一部ボスキャラは香港映画で見たような既視感溢れる風貌をしているが、それもまたカンフー映画的な世界観を一層際立たせている。
 
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BGMも雰囲気とぴったりマッチした良曲揃いで、当時のプレイヤーにとっては(最初のうちは)ノリノリでプレイできる事請け合いだった。ただ、サウンドテストが非搭載であった事は残念であるが。
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初期出荷版に限られるが、タイトル画面で特定のコマンドを入力するとデバッグモードになる。
問題点
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ゲームバランスが悪く、不可解な被ダメージに遭遇してしまいがち。
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キャラクターが大きい故に前方の視界が大幅に限定されてしまうため、敵が現れた瞬間に対処が遅れてダメージを受けてしまうことが多い。そういった状況から、主人公をあまり前方移動させることは自殺行為であり、後方に居座りながらの消極的待ちプレイ状況になる事は必至。それほどまでに本作の視野の狭さは深刻である。
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もちろん、パターンを覚えれば先読み攻略プレイはある程度可能だが、まともにクリアするにはほぼ全ての敵配置を覚えなければならず、アドリブで攻略できるような難易度ではない。
 
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ボス戦における相手の動きがかなりいやらしいので、攻略が非常に不安定である。こちらがちゃんと間合いを考慮して攻撃しようが、相手はそれをものともせずに反撃してくるため、例えば「全快のライフゲージがいつの間にやら無くなっていた」といった事態も大いにあり得る。
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必殺技も使い勝手が今ひとつ。発動条件が「一定量のダメージを受けること」である以上空振りは許されないにもかかわらず、パンチ系しかないためどうしてもリーチに欠ける。道中回復によりボス戦時に相手の体力を上回っていることも多いが、上述のようにやたらとダメージを喰らいやすい本作のバランスでは、とても安易に繰り出せない。
 
 
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巨大キャラクター表示に容量を使い過ぎたためか、敵グラフィックの使い回しが目に見えて顕著。
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どんなにステージを進めようが、出会う敵は同じような顔ぶればかりで、敵地を次々突破しているという実感があまりにも薄く、その結果早い段階からマンネリを感じてしまう。
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人間型のザコ敵といえば、色と性能がわずかに異なるだけの装束をまとった敵1種類のみ。他のザコ敵は、どこからともなく飛んでくる石や扇子などの道具、蛾やヘビといった小動物ぐらいなもので、これらも種類に乏しく、どのステージでも使い回されている。
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ボスキャラクターに関しても、最終ボス以外は4種類のグラフィックパターンの使い回しであるため、これまた悲惨なほどバリエーションに乏しい。しかも、そのうちの1種類は主人公のグラフィックの流用である。
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よりにもよって、第1ステージに登場するボスは3人ともスキンヘッドの軍人であり、初っ端からウンザリさせられる。
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エンディングでは、倒したボス12人の姿と名前が表示されるが、その12人全員がそれぞれ別名であり完全に別人として設定されている。他にこだわるべき部分があったのではないだろうか?
 
 
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いかにPCE初期の作品とはいえ、楽曲数が少なすぎる。
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主な楽曲は、「タイトル曲」「ステージ道中曲(全ステージ共通)」「対ボス戦曲(全ステージ共通)」「ボーナスゲーム曲」「エンディング曲」の5種類のみ。楽曲そのものは良質であることが救いか。
 
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正直、1周目だけでも問題の多い内容だというのに、それを3周繰り返せというのは酷である。
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エンディング内容はどの周回でクリアしても同じなので、1周クリアすればリセットしても問題はない。
 
総評
外観のインパクトは凄いが、実際プレイしてみるとその内容は、「大味」「雑なゲームバランス」「使い回し過多」といった問題が見受けられ、当時のプレイヤーから批判も多く、PCEというハード普及に貢献したとはお世辞にも言えなかった。
とはいえ、遊べないほどゲーム性が崩壊しているというものでも無い。
どちらかと言えばPCEのデモンストレーション的な側面が強い作品であり、見た目のインパクトは絶大なため、雑誌紹介でファミコンとの性能差を分かりやすく表現する事には成功した。その点においては、それなりに意義のある作品であったとはいえるかもしれない。
移植版
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バーチャルコンソール、PCエンジンアーカイブス、PC Engine GameBoxにて配信されている他、PCエンジン miniにプリインストールされている。かつてはドリームライブラリー(ドリームキャスト)やプレイステーションBB(PS2)のハドソンチャンネルなどでも配信されていた時期があったりと、移植には恵まれている。
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こういった移植版で上述のデバッグモードの裏技が再現されているかは試してみるまでわからない。PCエンジン mini版はされている。
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他のハドソンのゲームの例に漏れず、ハドソンがコナミに吸収されてからはコナミが販売を引き継いでいる。
 
余談
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コナミ公式サイト内で公開されている3DSバーチャルコンソール版『THE 功夫』の説明文が「舞台は中国。」の一言のみという、全くやる気の無い代物だった時期がある。
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コナミの公式サイト全面刷新後は、3DS以外の機種の配信も含めて常識的な説明文に加筆修正されている。
 
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発売が延期された理由は、起動時のハードウェア初期化処理の入れ忘れが発売直前に発覚したため。本体によっては起動しない可能性があり、ROMの再生産を余儀なくされた。
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修正前のHuカードはパンチ穴を開けられ、店頭デモ用に配布されたという。
 
最終更新:2024年07月10日 07:21