スライムもりもりドラゴンクエスト3 大海賊としっぽ団

【すらいむもりもりどらごんくえすとすりー だいかいぞくとしっぽだん】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DS専用カートリッジ
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2011年11月2日
定価 5,800円(税別)
判定 良作
ポイント 前作より難易度は上昇
熱中できる「船バトル20連戦」
ドラゴンクエストシリーズ


概要

『スライムもりもりドラゴンクエスト』シリーズの第三弾。
今作の物語は、前作までの「さらわれた仲間を取り戻す」というものではなく「盗まれたオーブを取り戻す」というもの。

前作『2』の「勇車バトル」に代わり、本作では「船バトル」が登場。


特徴

ワールドマップの導入

  • 今作にはワールドマップが存在し、海域を自分の船で自由に探検できるようになった。
    • 海の世界では港などの拠点の他に、アイテムが採取できるスポットなどがある。
    • 海上では敵船がうろついており、これらに触れると船バトル(後述)が始まる。

船バトル

  • 前作の「勇車バトル」にあたるものだが、今作は乗り込むものが「海賊船」に変わっている。
  • 船に積んである武器や弾を相手の船に目掛けて打ち込み、敵船のHPが0になったら敵船のエンジンルームを攻撃して勝利、といった流れは前作同様。
  • 前作との最大の違いは「どちらかのHPが0になるまでは、“自分が大砲に入ってそのまま敵船まで到達する”以外では敵船に侵入できない」という点。
    • このシステムのおかげで、前作で猛威を振るった「自分が敵船に潜り込んでジャマをする」といった戦法がとりにくくなった。
    • どちらかの船のHPが0になると船と船の間にロープが張られ、安全に敵船に侵入できるようになる。
  • 自分が乗り込む船は4つのパーツに分かれており、パーツごとにカスタマイズすることができる。
    • パーツの組み合わせによって船のステータスは変動するので「どんな船にするか」も戦略要素の1つになっている。

アクション面

  • 世界各地にある大規模な港にはステージ(アクション面)があり、そこでは従来の『スラもり』同様、アクションを駆使しながら道中を進み、奥にいるボスを目指すことになる。
  • 魔物や素材をトロッコにのせて回収するといった要素は今作も健在。

おねがい

  • 世界各地の港では「おねがい」を依頼してくる者たちがいる。
    DQ9』の「クエスト」にあたる要素であり、クリアするとアイテム等を貰える。
    • 物語の進行には関係ないので、あくまでやり込み要素の一つである。

評価点

可愛らしいグラフィック

  • スライムたちや敵モンスターはとても可愛らしく描かれている。
  • ボスモンスターとのバトルの演出が非常に凝っており、シリーズ経験者なら初見は驚くであろう。

世界を探検する楽しさ

  • 世界には平原、砂漠、雪国、熱帯雨林などがあり、まるで本当に冒険している気分になる。
    • 海上を探検していると思わぬ場所にアイテム採取ポイントがあったり、隠しステージがあったりと、探検の好奇心に火をつける要素多数。

難易度の上昇

  • 前作は「難易度が低すぎる」と指摘されていたが、今作は歯応えのある難易度になった。
    • 具体的には敵の動きが速くなったり、ステージ内のダメージを受けるギミックが増えたりした。
  • 中でもクリア後に遊べる「船バトル20連戦」は飛び抜けて難易度が高いやり込み要素であり、アクションが得意な人がやっても対策なしでは決して上手くいかない。

前作の反省が活かされた「船バトル」

  • バランスブレイカーとして特に名が挙げられることの多かった「ミラーシールド」は通常の弾の半分程の距離しか飛ばなくなった。
    加えて、本作では盾系の弾に対して無敵の「ハンマー系・召喚アイテム」も登場するなど、徹底的な調整がなされている。
    • 又、前作ではその強さの割に入手が非常に容易である点も問題視されていたが、今作では交易で手に入る最上位アイテムの一つとなっており、入手難易度が格段に上昇した。
    • 当たった弾を跳ね返す効果自体は変わらず。前向きに捉えれば「使い所を見極める必要性が生まれた=戦略性が広がった」とも解釈できるので、難点ばかりでは無いと言える。
  • 裏技的戦法「とうがらしバルカン」は本作でも実行可能だが、本作では「とうがらし」の防御範囲が狭くなったことと「メラゾーマ」を撃ち落せなくなった事でやや弱体化している。
    • 又、水中を進む「ヤリイカ・魚雷系」の弾はそもそも「とうがらし」では絶対に防げず、一方的にダメージを受ける。
    • 「とうがらしバルカン」は嵌まると対処困難な戦法であったため、これも妥当な調整だろう。逆に言えば「とうがらしバルカン」を行う側も「メラゾーマ」や「魚雷」を気兼ねなく使えるということでもあるので、弱体化した反面戦略の幅は広がっている。

難点

アイテム収集が非常に大変

  • 船のデッキを充実させたり、船を強化するためには「こうえき」でより上位のアイテムを入手する必要がある。
    • 問題なのは、「こうえき」で必要となるアイテムが大きな階層構造をなしている点。
      • Aを入手するためにはBが2つ必要で、Bを入手するにはCが3つ必要で、Cを入手するにはDが4つ必要で…という階層があり、「最上位のアイテム1つ得るのにステージで拾えるレベルのアイテムが数十個必要」といったものもざらである。
    • 船の強化では、最終的に最上位アイテムを複数個要求してくるものもあり、余程のプレイヤー以外では達成は非常に難しい。

売買システムの仕様変更

  • 今作では所謂「道具屋」の類は街中には存在せず、アイテムは基本的に前述の「こうえき」と「おねがい」で入手する。
    • 買い物でアイテムを入手するには、海に出て「ヤンスのみせ」という船を探す必要がある。
      この船は限られた海域に一定確率でしか出現せず、しかもこちらに気付くと海賊船と勘違いして逃げようとするので面倒。
      その上、気付かれてから追いつけずに数秒経つと勝手に消えてしまうなど、一度買い物するだけでも一苦労。
  • 一番の変更点は「アイテムを売ることが一切出来なくなった」ということ。前作では余分に入手してしまったアイテムは売って換金する事でアイテム欄のスペースを確保できたが、本作ではそれが不可能である。
    交易の対象となっているアイテムならそちらで減らせるが、交易に使えないアイテムは一度カンストしてしまうとずっとそのままになってしまう。
    • 余談だが、とあるキャラクターは「金塊は高く売れる」という台詞を残す。この事から「元々はアイテムは今まで通り売ることが出来たが、何らかの理由でそのシステムが削除された」という可能性がある。
      尚、台詞に出てきた「きんかい」は前作、前々作共に高額で売れる貴重なアイテムだったが、この影響により本作での価値は見る影もない程に下がっている。

船のカスタムによるステータス変動が地味

  • 基本的にどのパーツもHPの変動しかしない。
    • 攻撃力やはやさを上昇させるパーツもあるが、上昇値はすべて「+10」である。
    • 「攻撃力を大きく上げる代わりにHP上昇量は非常に小さい」といった個性のあるパーツは皆無であり、とにかくHPの高いパーツと、攻撃力やはやさを+10させるパーツだけに需要が集中してしまう。

ダンジョンのBGMについて

  • 今作のダンジョンのBGMは、あろうことかラストダンジョン以外全て同じBGMなのだ。遺跡や雪山や火山だろうが、全て同じである。
    • BGM自体は良質なのだが、ラストダンジョン以外のダンジョンに入る度に同じBGMを聴かされると流石に聴き飽きてくる。こればかりは手抜きと見られても仕方が無いだろう。

調整し過ぎた船バトルのシステム

  • 前作は盾系の弾で守りを固めている内に攻撃系の弾を大砲の付近に掻き集め、それを一気に放つことで大ダメージを狙えたが、その対策なのか今作は出てきた弾は数秒程度で消滅するようになった。
    • 又、スラ・ストライクで弾いた弾が地面に当たると大きくバウンドするようになり、連続のスラ・ストライクで弾を運び辛くなった。

意味を成さない「分かれ道型」のエンジンルーム

  • 「分かれ道型」のエンジンルームは途中で道が2つに分かれており、どちらか片方はハズレの行き止まりなのだが、CPUは迷わず正解のルートを選ぶ。因って、全く意味を成さない。「一定確率でハズレの道を選んでしまう」といったAIには出来なかったのだろうか…。

やりこみ要素の「船バトル20連戦」について

  • クリア特典は、最強クラスの武器を売っている店なのだが、そこで最強クラスの武器を手に入れたとしても、通信プレイを除けばそれを試す相手がいない。
    • 「せめて「20連戦」は、クリアしても何度でも楽しめる仕様にしてほしかった」という声が強い。

総評

前作のゲームバランスに関する問題点をほぼ解消し、更にワールドマップ導入などの新要素もクオリティが高いことを考えれば、良作と判断してよいだろう。
今作のやり込み要素である「船バトル20連戦」はネット上で数多くの攻略法が議論され、子供向けゲームとは思えない熱中性が見て取れる。

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最終更新:2022年11月13日 20:37