【どらごんくえすとないん ほしぞらのまもりびと】
ジャンル | ロールプレイングゲーム | ![]() |
対応機種 | ニンテンドーDS | |
メディア | (容量不明)DSカード | |
発売元 | スクウェア・エニックス | |
開発元 |
レベルファイブ スクウェア・エニックス |
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発売日 | 2009年7月11日 | |
定価 | 5,980円(税5%込) | |
プレイ人数 | 1~4人(通信による協力プレイ) | |
セーブデータ | 1個+中断データ1個(*1) | |
通信機能 |
ワイヤレス通信 すれちがい通信 ニンテンドーWi-Fiコネクション |
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レーティング | CERO:A(全年齢対象) | |
廉価版 |
アルティメットヒッツ 2010年3月4日/2,940円(税5%込) |
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判定 | スルメゲー | |
ポイント |
自由度が高いやり込み型RPG 従来からの路線変更に反発も 大都市優遇過疎地方不遇な要素 シリーズ初のギネス認定獲得 クリアしてからが本番 ガングロ妖精・サンディ |
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ドラゴンクエストシリーズ |
そして、僕たちは天使と呼ばれていた
説明不要の国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズ(以下DQ)の第9作。製作は『VIII』同様、レベルファイブが担当した。
ゲーム中のグラフィックスは3DCG中心だが、三人称視点の『VIII』とは違い、『VII』以前の作品に近い俯瞰視点の形式。
また、マップ上のキャラクターなど、一部ではドット絵を使用している。
天空シリーズから続いていたシナリオ重視の作風から一転、『III』同様のキャラクリエイトシステムをメインとしたやり込み要素を重視した作風に転換した。
主人公は天界に住まう天使の1人。
天使の役目は人間を陰から見守り手助けし、人間からの感謝の気持ちの証である「星のオーラ」を集めて世界樹に「女神の果実」を実らせることにある。
「役目を果たした時、神の国へ行くことができる」という言い伝えを信じ日々努めに励む天使たちの働きにより、ついに女神の果実が世界樹に実る。
しかし突如発生した異変により果実が落ちて人間界の各地へと散らばり、主人公も地上へと放り出されてしまう。落ちた先で天の箱舟の運転手を自称する妖精サンディと出会った主人公は、彼女の手助けの元、散らばった果実を集めて天界へ戻るために行動を始めることになる。
キャラクタークリエイションシステム・着せ替えシステム
戦闘・職業周りの仕様
+ | 職業の一覧 |
やり込み要素の充実
すれちがい通信
本作について語るときに「すれちがい通信」の存在を外すことはできない。
従来のDQにない「すれちがい通信」の使用を前提に作っているため不可分であるにもかかわらず、従来のDQと同じ物差しを使っての批判が相次いでいることが、本作の評価を難しくしている一因である。
ゲームバランス面
その他の点
仕様面
ゲーム本編の面
すれちがい通信にはゲームの作りとかみ合った様々なメリットがあり、この点は非常に好評。
一方、「すれちがい通信を前提にした作り」そのものを問題視する声も多い。
+ | 仕様の詳細 |
2014年にDSのWi-Fi接続サービスが終了しているため、以下の事柄はすべて過去の事例についての記載である。
+ | 仕様の詳細 |
本作はシリーズファンが大事にしてきた、見た目には分からない「『ドラクエ』らしさ(*10)」がかなり低下している。
加えて延期に次ぐ延期、当初売りとしてきたインターネットを使ったマルチプレイが行えないことなど、ことごとく前評判を裏切ったことにより旧来のプレイヤーから低評価を受けることが多い。
しかし、そもそも本作は過去のシリーズとは作りが大きく違う。
序盤からクリアまでにかけての難易度が旧作と比べて大きく低下しているのに対し、クリア後からはそれまでのプレイの積み重ねが物を言う強大な難易度に変化する。
また「すれちがい通信」は、メッセージや地図ダンジョンの交換…同じゲームを遊ぶ者同士の交流を通じて、ゲームの幅を広げてくれる。
今作はクリア後を念頭に置いたバランス設計がなされており、特に「交流」をメインにしたゲーム設計がなされている。
これらは、通り一遍のプレイでエンディングを迎えるだけでは感じ取ることのできない、しかし本作の持つ確かな魅力である。
後の『X』はオンラインゲーム、「交流」の要素を前面に押し出した。
国民的有名タイトルに、当時勢力を劇的に伸ばしつつあった「ソーシャルゲーム」の要素を搭載した本作は、各種メディアですれちがい通信の流行が取り上げられるなど社会現象と化し、秋葉原などに設置された通信スポットも連日大盛況した。
女性や子どもなどの新規層の開拓にも成功しており、伸びに伸びた売上は2009年10月末に実売本数400万本を突破し、ロングセラーソフトとなった(*11)。
これは任天堂以外のメーカーとしては初の快挙である。販売本数としては劇的に成功した作品であると言えよう。
ゲーム性への理解が深まるまでの間、本作の評価は不安定な様相を見せていた。
それは、保守的なイメージのあるシリーズとしては、見た目以外の部分にかなりドラスティックな変化が施されていたが故だろう。
そもそも、本作ではアクションRPG的要素を取り入れると発表されながら、長らくシリーズに親しみ続けてきたユーザーの猛反発で元のコマンド式に戻されたという経緯がある(*12)。
その時点で、正統派続編を求める古参ファンと、新しいゲームを目指すスタッフや新規ファンとの間で目指す場所が大きく分かれていたと言える(*13)。
そういった事情から、評価は人によって大きく分かれるゲームであるといえよう。
本記事では「スルメゲー判定」としているが、本作はクリア後の冒険に重きを置いている設計になっているので、それを受け入れられるかどうかによって「良作」と取る人間も「過去シリーズから劣化した」と取る人間も多い。
そのことからも分かるように、本作に本質的な評価を下すのは今も尚、難しいのが実情である。
*1 中断データは再開後自動的に消去される。
*2 最初の宝の地図は入手タイミングとボスの強さが見合っておらず、ボコボコにされたという報告も相次いだ。
*3 『IV』以降、定番として続いてきたイントロが刷新されている。
*4 レシピごとに設定された必要歩数分歩いた時点で完成する。
*5 レベルアップで手に入るスキルポイントは全職業共通のため、「転職を繰り返し、全部の職業をLv10~20程度まで上げる」だけでも莫大なスキルポイントを得られてしまう。
*6 装備品のコーディネートにより変動するマスクデータの1つで、一部のクエストをクリアするのに必要となる。
*7 一定歩数の間ダメージ床の影響を受けなくなる呪文。
*8 実際にプレイすると彼女の「良さ」も分かるのだが、外見や性格から「絶対に選びたくない」というプレイヤーも非常に多かった。なお堀井氏も『デボラはあえて絶対に選ばれないようなキャラにした』と公言している。
*9 3月11日の震災後、2回目の震度6地震後、7月1日の15パーセント節電。
*10 そもそもこの言葉自体、人によって受け取り方が違う。
*11 2022年12月末時点の実売本数は約550万本超を達成している。
*12 元々『ドラクエ』はRPGのバトルシステムとしては最もシンプルかつ低年齢層でも取っつきやすいコマンド型を採用し、元々一部のマニア向けだった上に複雑かつ高難易度の作品が多かったRPGというジャンルを一気にメジャージャンルにまで押し上げ、小中学生程度の年齢層に幅広く浸透させたゲーム業界としての実績がある。実際、『ドラクエ』は『FF』や『ポケモン』などの誕生にも影響を与えており、『ドラクエ』が無ければ、日本においてRPGというジャンルがここまでメジャーには成らなかっただろうと言っても過言ではない。長年バトルシステムを変えなかったのも、複雑になればなる程、主にライト層を中心にRPG離れを起こしやすくなり、シリーズの存続に係わる問題が発生しかねないからである。実際、最新『ドラクエ』でも、昔ながらのシンプルなシステムのままだが、システムに関する批判は比較的少ない。
*13 余談だが、アクションRPGの要素は後に外伝作品であるヒーローズシリーズで実現した。
*14 実際の最速は発売から5ヶ月後に登場したSFC版『V』の主人公、もう1人花嫁、子ども2人、ラスボスのジグソーパズルであるが、出回りが悪かったためにそこまで話題にはならなかった。
*15 この『IX』と、その時期の自社タイトルの不具合の多さから「レベルファイブはネット接続に弱い」と悪評が広まってしまった。
*16 そもそもこの連動自体がタイトー内で理解されていなかった様で、これに気づいた店長やアルバイトが自主的に盛り上げてからやっと動き出している。