魅惑の女王(遊戯王OCG)

登録日:2023/12/15 Fri 23:42:30
更新日:2025/04/21 Mon 21:15:49
所要時間:約 5 分で読めます




魅惑の女王(アリュール・クイーン)とは、遊戯王OCGに存在するモンスター群。
LVモンスターの一種であり、初出は第5期第二弾「CYBERDARK IMPACT」。
同パックで登場した「漆黒の魔王(ダーク・ルシアス)」と共に、LVモンスターの中では後発組にあたる。

概要

闇属性魔法使い族であり、LV3,5,7の三種類が存在する。
共通して
  • 「条件を満たす相手モンスターを装備する効果」
  • 「装備したモンスターを戦闘破壊の身代わりにする効果」
を持ち、レベル3, 5は自身のレベル以下、レベル7はレベル制限はない。
イラストは黒のドレスを纏った女王といった風貌だが、レベル7は露出度が高いドレスを纏った女性になっている。

女性型モンスターの中では「魅惑」の名前の通りどこか妖しげな風貌であり、
このカードが登場した当時は中高生~大学生のプレイヤーが多かったこともあってLV5の人気が高かった。
現在は高齢化もあって別のLVの方が人気が高いかもしれない。

後述するように《サクリファイス》のリメイクモンスターといった趣であり、その第二期前半を思わせる妖艶なイラストと独特の動きから、何人ものデュエリストがこのカードを使う構築に挑もうとした。


【カードテキスト】

魅惑の女王(アリュール・クイーン) LV3
効果モンスター
星3/闇属性/魔法使い族/攻 500/守 500
(1):1ターンに1度、相手フィールドのレベル3以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのレベル3以下の相手モンスターを装備魔法カード扱いでこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。
(2):このカードが戦闘で破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。
(3):自分スタンバイフェイズに、このカードの効果でモンスターを装備しているこのカードを墓地へ送って発動できる。
手札・デッキから「魅惑の女王 LV5」1体を特殊召喚する。

魅惑の女王(アリュール・クイーン) LV5
効果モンスター
星5/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000
(1):このカードが「魅惑の女王 LV3」の効果で特殊召喚されている場合、1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのレベル5以下の相手モンスターを装備魔法カード扱いでこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。
(2):このカードが戦闘で破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。
(3):自分スタンバイフェイズに、このカードの効果でモンスターを装備しているこのカードを墓地へ送って発動できる。
手札・デッキから「魅惑の女王 LV7」1体を特殊召喚する。

魅惑の女王(アリュール・クイーン) LV7
効果モンスター
星7/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1500
(1):このカードが「魅惑の女王 LV5」の効果で特殊召喚されている場合、1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターを装備魔法カード扱いでこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。
(2):このカードが戦闘で破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。

運用について

活用させるのは至難の一言に尽きる。
しかもGX後半の《カオス・ソーサラー》すら禁止になるデフレ環境でこの難易度だった。
シンクロ以降に至っては読者諸兄の方がおそらくたやすく想像できるだろう。
とはいえ、カードプールが増えた現代であればサポートすることもさほど難しくはないが。

その理由としては
1.装備できる相手の対象が厳しい
2.進化がスタンバイフェイズと遅い
3.類似能力でより扱いやすいものがいる
4.そもそも運用するまでの条件が他のモンスターと比して非常に厳しい

ことが挙げられる。

1.装備できる相手の対象が厳しい
LV3とLV5の装備効果は、自身のレベル以下の相手モンスターに限定されている。
これら低レベルモンスターは、基本的に「大型モンスターの素材」として消費されるため、場に残る機会は少ない。
能動的に効果を使用するには、相手の場に適切なレベルのモンスターを立たせる「送りつけ」などの方法が必須。
加えて上位種に進化させるには、「この効果で装備したカード」共々墓地に送らないといけない。


2.進化がスタンバイフェイズと遅い

そもそも装備効果が自分ターンのメインフェイズ限定なのに進化効果はスタンバイフェイズに発動するので丸々1ターンのタイムラグが必要になる。
当然だが召喚・特殊召喚したターンには発動できない。
スタンバイフェイズにしか進化できない都合上、耐性皆無のこのカードを相手ターン中生き残らせる必要がある。
しかも戦闘破壊でしか身代わり効果を使えないので、除去耐性は別で補う必要がある。
加えて装備したモンスターが必須であり、戦闘破壊の身代わりや《大嵐》の巻き添えなどで装備カードを剥がせばモンスターを装備するところからやり直しになる。


3.類似能力でより扱い易いものがいる
LV7になると相手モンスターを装備して除去する効果をレベル制限なしに使えるが、似たような効果には《サクリファイス》《サウザンド・アイズ・サクリファイス》などが既にいた。
これらは出す為の枚数が必要になるが、出したターンにレベル制限無しに吸収可能。
しかも、戦闘破壊の身代わりにできる以外の効果まである。

かなり別物になるが、「1ターンに1回除去を行う戦闘破壊耐性を持つモンスター」という点では《N・グラン・モール》というカードも存在する。
攻撃するだけで対戦相手のモンスターを1体除去し、手札に戻るため戦闘破壊されずに済む。しかも特殊召喚も非常に楽。
「まったく別のカードだろ?」と思うかもしれないが、出しやすさや除去の仕事という意味で見ると役割自体は結構似ているのだ。

そして後世に登場した《No.101 S・H・Ark Knight》に至ってはレベル4モンスターを2体並べる、と非常に楽な条件で出せてしまう。

他にもランク7のX素材にするという使い方も考えられる。
ただ、同じ闇属性・魔法使い族の《ガガガマジシャン》は、自身のレベルを1〜8まで自在に変化させることができ、レベル7のX素材に関してはあちらが使い易い。
こちらはS素材にしたり、同名カードを並べることは可能ではある。

4.そもそも運用するまでの条件が他のモンスターと比して非常に厳しい
この3つの条件に加えて、LV5以降の装備効果は魅惑の女王の効果で特殊召喚していないと使えない。
つまり《キラー・トマト》《早すぎた埋葬》などでの特殊召喚や《レベルアップ!》などの短縮手段が使えない。



関連カード

女王親衛隊
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1700/守1200
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上に存在する「魅惑の女王」と名のついたモンスターを攻撃対象に選択できない。

魅惑の女王をモンスターの攻撃から守る親衛隊の方々。
防げるのは攻撃のみであり、破壊ではない除去効果破壊など効果は全て素通ししてしまう。
戦闘破壊より効果除去が一般的となった今では、これ1枚で「守る」ことは不可能。
というより出た当時から「これを入れるなら別のカードを入れた方がいい」と結論付けられた不遇なサポートカードである。


相性の良いカード

上述の様にこのカード群だけでは効果を満足に活かす事はかなわないため、サポートは必須。
基本的に相手の動きを止めてレベルアップの隙を稼ぐカード、相手のフィールドに低レベルのモンスターを送るカードが必要不可欠である。

動きを止めるカード

  • 《魔法族の里》
魔法使い族が自分フィールドにのみ存在する場合、相手の魔法カードの発動を封じることができる。
維持が必要な魅惑の女王とのかみ合わせは良い。

  • 《大霊術-「一輪」》
LV7が守備力1500のため相手が発動したモンスターの効果を無効にする事が可能。
フィールド魔法のため上記の《魔法族の里》と両立できないのが難か。

召喚・反転召喚・特殊召喚回数を制限する永続罠。
こちらが大して展開しなければ、相手にのみロックが掛けられる。

  • 《群雄割拠》《御前試合》
フィールドに存在するモンスターの種族、属性が同じになるように強制する永続罠。
送りつけとの相性が良い。

モンスターを送りつけるカード

  • 《ブラック・ガーデン》
モンスターを出すとその攻撃力を半減し、相手のフィールドにレベル2のトークンを特殊召喚する。
送ったトークンを吸収し、相手のモンスターの攻撃力を半減させる事で魅惑の女王の維持に貢献する。
攻撃力が半減しても守備力には影響しないため、守備表示で出しておけば戦闘破壊されない可能性が上がる。

  • 《おジャマトリオ》《おジャマデュオ》
相手フィールドにレベル2のおジャマトークンを送りつける事が可能。

  • 《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》
相手フィールドにレベル3のトークンを送りつける事が可能。
ただし上記の3枚と異なり、トークンの特殊召喚は条件を満たす必要があり、タイミングもエンドフェイズと遅い。

相手モンスターのレベルを操作するカード

相手モンスターのレベルを操作し3以下にすることで、即座に魅惑の女王での装備が可能となる。
エクシーズ・リンクモンスターはレベルがないため効かないが、有効な対策になり得る。

「幻影騎士団」に属する罠モンスター
フィールドの表側表示モンスター1体のレベルをターン終了時まで2にできる効果を持つ。

相手モンスターに捕食カウンターを乗せてレベル1にするカード群。
展開能力もあるため、戦力低下せずに使える。

その他

  • 《カードトレーダー》
手札に来ても事故要素にしかならないLV5、LV7をデッキに戻すことで進化時のアド損を防いだり、噛み合いの悪い手札を戻したりできる。
GX時代に事故りやすいデッキを使っているプレイヤーは《メタモルポット》を必携し、その上で《打ち出の小槌》かこのカードに頼ったものである。



アニメ作品の出番

アニメ遊戯王VRAINSにて、クイーンが使用。
後述するオリジナルカードの使用により、1ターンで4体の「魅惑の女王」の特殊召喚に成功し、L召喚まで成している。
しかし【@イグニスター】を使うAiの敵ではなく、全体除去を立て続けに受けてしまい、マスターデュエルでスキルを使用する不正を犯したうえで敗北してしまう。


その後

2024年になってクイーンの使用したサポートカードが一挙にOCG化。
これにより魅惑の女王がようやくサクリファイスなどとも異なる運用が可能になった。
魅惑の女王がOCG化してから実に18年経ってからのことであった。
長すぎた……

金色の魅惑の女王(ゴールデン・アリュール・クイーン)
リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
 
闇属性/魔法使い族/ATK2500/LINK-3
魔法使い族モンスター3体
(1):このカードがL召喚した場合に発動できる。
自分のデッキ・墓地から「魅惑の女王」モンスター1体を特殊召喚し、このカードの攻撃力は次のターンの終了時まで1500アップする。
(2):元々のカード名に「魅惑の女王」を含む自分のモンスターが持つ、自身にモンスターを装備する効果は、相手ターンでも発動できる効果になる。
(3):1ターンに1度、相手が効果を発動した時に発動できる。
フィールドのカード1枚を破壊する。
このターン中、自分フィールドの「魅惑の女王」モンスターは効果では破壊されない。
リンク先の魅惑の女王の攻撃力を得る効果はなくなり、往復ターンの間1500上がる効果になった。限定的とはいえ4000打点を出せるのは強力。
耐性付与効果は破壊が先になり、効果破壊耐性のみになった代わりに、トリガーが相手の効果であれば何でも良くなった。代わりに攻撃対象になった時には使えなくなっている。
アニメとの違いとして、魅惑の女王の装備化効果をスペルスピード2に変更するという《オルフェゴール・バベル》的効果を追加されており、これにより魅惑の女王が妨害として機能するようになった。

魅惑の宮殿(アリュール・パレス)
フィールド魔法
このカード名の(3)の効果は1ターンに3度まで使用できる。
(1):自分フィールドの魔法使い族モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。
(2):自分フィールドの「魅惑の女王」効果モンスターは以下の効果を得る。
●自身の効果でカードを装備しているこのカードを墓地へ送って発動できる。
手札・デッキから攻撃力1500以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。
(3):手札を1枚墓地へ送って発動できる。
デッキから「魅惑の女王」モンスター1体を選び、手札に加えるか相手フィールドに特殊召喚する。
効果自体はアニメとさほど変わらないが、アニメでは魅惑の女王を対象に同名を送り付ける効果だったのが、手札コストを払ってサーチするか送り付けるかを選択するものになった。
進化効果のタイミングを変更するテキストは、【天気】と同じ要領で魅惑の女王側に効果テキストを付与するという豪快な形で落とし込まれている。魅惑の女王は全てリクルート対象になる上「魅惑の女王の効果での特殊召喚」なので装備効果が使える。

魅惑の舞(アリュール・ダンス)
永続魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「魅惑の女王」モンスター1体か「魅惑の宮殿」1枚を手札に加える事ができる。
(2):自分フィールドの「魅惑の女王」モンスターの攻撃力は、自身の効果で装備しているモンスターの攻撃力分アップする。
(3):自分フィールドの他の魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
自分の墓地から「魅惑の女王」モンスターを可能な限り特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。
攻撃強制とターゲット指定効果はなくなり、代わりに機皇帝よろしく装備モンスターの攻撃力を得る効果が追加。
魅惑の女王の大量蘇生効果はコストの範囲が広がり、金色の魅惑の女王も蘇生できるようになった。

基本展開パターンとしては《魅惑の舞》から《魅惑の宮殿》を発動。
手札コストを払いLV7をサーチ、さらにそれをコストにLV5、さらにLV3をサーチ、召喚。
LV3から《聖魔の乙女アルテミス》をリンク召喚し、《魅惑の舞》で《魅惑の宮殿》をコストに3体の魅惑の女王を蘇生。
《聖魔の乙女アルテミス》と魅惑の女王2体で《金色の魅惑の女王》を出し、何かしらの魅惑の女王を更に展開することになる。

魔法使い族を展開し易いことから【白き森】と組み合わせたデッキなども構築されている。
更に送りつけや展開しやすい魔法使い族という性質から《サモン・ソーサレス》との併用も多い。

混沌なる魅惑の女王(アリュール・クイーン)
効果モンスター
星7/光属性/魔法使い族/攻1500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札から他の光・闇属性モンスター1体を捨てて発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):自分か相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを装備魔法カード扱いでこのカードに装備する。
このカードはエンドフェイズまで、この効果で装備したモンスターと同名カードとして扱う。
この効果で光・闇属性モンスターカードを装備した場合、
さらに自分のデッキ・墓地から闇属性の「魅惑の女王」モンスター1体を特殊召喚できる。

「RAGE OF ABYSS」で登場した新たな魅惑の女王。LV5とLV7の中間ぐらいの見た目。
混沌=カオスを意識したのか初の光属性の魅惑の女王。

手札から光か闇属性を捨てて手札から特殊召喚可能で、
自分か相手の墓地のモンスターを装備してその名前をコピー、装備したのが光か闇属性ならデッキ・墓地から闇属性の魅惑の女王を特殊召喚出来る。
  1. 手札の魅惑の女王を捨てて特殊召喚して捨てたカードを装備
  2. LV3を装備したならLV5を、LV5を装備したならLV7を特殊召喚
  3. 特殊召喚したLV5もしくはLV7はそれぞれ“《魅惑の女王LV3》の効果で特殊召喚されたLV5”もしくは“《魅惑の女王LV5》の効果で特殊召喚されたLV7なので装備効果を発動
と言う設計のカード。《魅惑の宮殿》があれば名前が変わった《混沌なる魅惑の女王》をリリースして更に展開が出来る。
また、LV7と同じレベル7なのでランク7エクシーズに繋げたり、闇属性のLV3と合わせる事でフルスペックの《カオス・アンヘルー混沌の双翼ー》を出したりする事も可能。

特殊召喚のコストに光か闇属性を要求するものの、装備するのはそれ以外の属性のモンスターでもいい。
カード名を変更する効果と合わせれば、
  • 剣闘獣を装備して、剣闘獣となったこのカードと装備魔法化した剣闘獣で剣闘獣融合モンスターを出す。
  • 仮面魔獣デス・ガーディウス》を装備し、各種素材にして墓地に送りつつ《遺言の仮面》を起動。
  • 《仮面呪術師カースド・ギュラ》や《メルキド四面獣》を装備して《仮面魔獣デス・ガーディウス》のリリースコストを確保する。
という風に、【魅惑の女王】以外でも幅広いコンボが可能。


余談:レアリティについて

かつてはこちらの記事にも記載があり、レアリティが性能の割に高く、外れカードとして知名度は高い。
しかし現在このカードのアルティメットレア版は結構な高値で取引されていたりするので、持っている人は大切にしておこう。




「決闘者のアニヲタ LV5」の効果で特殊召喚した場合、1ターンに1度だけ自分のメインフェイズ時にwiki上の記事1つを選択し、
追記・修正扱いとしてこの項目を編集する事ができる(この効果で編集できる記事は1つまで)。
この内容をさらに充実させられるという自信がある場合、代わりに記事に追記・修正を施すことができる。


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最終更新:2025年04月21日 21:15

*1 これ自体は《スピリット・オブ・ファラオ》など、当時のやたら難しい召喚条件を持つモンスターにも言えた。

*2 羽箒禁止、ハリケーン・大嵐・サイクロン制限、ハリケーンは当時はまだ評価が今ほど高くはない