□ ■ □






 Life's but a walking shadow, a poor player.
(人間の一生は彷徨い歩く影法師、哀れな役者に過ぎぬ。)



 That struts and frets his hour upon the stage.
(己の出番の時は、舞台の上でふんぞり返って喚くだけ。)







□ ■ □



『“There must be some way out of here,” said the joker to the thief』


 真冬のゴッサムでは、雪が降るのが普通らしい。
 それを聞いた時、【御剣怜侍】は意外そうな表情を浮かべた。
 なにせ、今のゴッサムは雪などほとんど降っていないのだ。
 もうすぐクリスマスが近いにも関わらず、降るのはせいぜい雨くらいのもの。
 そんな状況で雪がよく降ると言われても、冗談の様にしか聞こえなかった。

 しかし、季節を実感できないかと言われると、そういう訳では無い。
 事実、街頭ではクリスマス用の商品がいくつも並んでいるのだ。
 肌寒さも手伝って、やはり冬が来ているのだと嫌でも実感する。

 子供が路頭を走る様を見て、悪が蔓延るこの街にも家族の温もりがある事を実感する。
 そして、同時に実感するのだ――やはり、悪を野放しにしていい訳がないのだ、と。
 聖杯という蠱毒に人々を放り込む存在は、間違いなく悪の存在だ。
 例えどれだけ重い使命を担っていたとしても、多くの犠牲を払うこの儀式を認める訳にはいかない。

 そう決意した矢先に、煙草の臭いが鼻腔を擽った。
 どうやら、煙草を吸いながら歩く男とすれ違ったようだ。
 マナーというものを弁えてほしいものだと、御剣は顔を顰める。

 そんな御剣の様子など、煙草を吸う男は気にも留めない。
 道行く者の健康を尊重する慈悲深さなど、彼には元よりありはしない。
 【ノーマン・スタンスフィールド】は、他者を慈しむ善人ではないのだから。

 さて、そのスタンは今、不幸な知らせのお陰で機嫌を悪くしている。
 聞く所によると、何者かがマフィアを潰して回っているらしいのだ。
 そして過激な自警活動が功を奏したのか、ゴッサムシティの犯罪は減少傾向にある。
 正義を誇りとする者には、さぞや快く受け入れられるニュースであろう。
 だがスタンからすれば、その事実は不快なものとしか映らなかった。

 スタンは麻薬捜査官、つまり正義の側に立つべき存在だ。
 そんな彼が苛立つ理由は、彼自身が正義とは真逆の立ち位置にいるからに他ならない。
 正義の面を被った悪党が、悪が滅ぼされるニュースに良い顔をする筈も無い。

 更に言えば、潰されたマフィアがスタンと"お友達"だったのも痛い。
 彼等が自分の情報を吐けば最後、今度はこちらが狩られる側に立つ羽目となる。
 悪を追う麻薬捜査官が悪として追われるなど、全く笑えない冗談だ。

 お陰様で、最近は神経を尖らせる機会が多くなった。
 スタンの願望は生還であり、こんな偽物の街で死ぬつもりなど毛頭ない。
 僅かな綻びから破綻した自分の人生を、今一度再起動させねばならないのだ。

 そういえば最近、正義ゴッコをしてる連中が目立ってしょうがない。
 どうも、制服を着てヒーローを気取った奴等が自警活動をしているらしい。
 馬鹿馬鹿しい、としか言いようが無かった。
 こんなドブ底の様な街で、よくも正義の味方を気取れるものだ。

 しかし、彼等の台頭によって、スタンの様な悪党の居心地が悪くなったのも事実。
 もしかしたら、彼等のせいで街の悪が一斉検挙なんて珍事さえ起こるかもしれない。
 あの"黒蝗"の餓鬼共め、と苛立ちを零さずにはいられなかった。


『There’s too much confusion, I can’t get no relief』


 名前を見れば分かる通り、黒蝗(グラスホッパー)を率いる【犬養舜二】は日本人だ。
 生まれも育ちも日本であり、このゴッサムに来たのもほんの少し前である。
 にも関わらず、彼が立ち上げたグラスホッパーは一大組織になるまで成長した。 
 これも、ひとえに犬養が持つ絶対的なカリスマのお陰であろう。

 テレビに流れるニュースには、今日もグラスホッパーの姿がある。
 映し出されるのは、やはりと言うべきか犬養の姿であった。
 外見こそまだ若い青年だが、その振る舞いは組織の王に相応しい。
 なるほど、ゴッサムの民衆が惹かれていくのも理解できる。

 街を見張る昆虫の群れは、更にその数を増しつつある。
 それこそ黒蝗が繁殖していくかの様に、恐るべき勢いで増殖していく。
 住処を広げる飛蝗達に、【広川剛志】が抱くのは不信感であった。

 たしかに、グラスホッパーは大した自警団だろう。
 この犯罪に汚染された街で"正義の味方"を続けるなど、並大抵の度胸では務まらない。
 だがその一方で、彼等の周りにきな臭い噂が広まっているのも事実だ。

 勢力を拡大していくグラスホッパーと、次々と"不幸な事件"に巻き込まれる権力者。
 そして、犯罪率低下の代償なのか、以前の二倍以上に増えた死亡者数。
 まず間違いなく、これらの間には何らかの因果関係がある。
 グラスホッパーが持つ黒蝗の紋章よりドス黒い、悪しき真実が渦巻いている。

 広川に与えられた役割は、この衆愚の街を動かす権力者の一人である。
 つまりは、"不幸な事件"の犠牲者になる可能性もゼロではないという事だ。
 人類の数が減るのはいいとして、標的の中に自分が含まれているのはいただけない。
 仮に襲撃者が現れてもサーヴァントがいればどうにかなるが、やはり面倒事は避けておきたかった。

 同じ日本人として、仲良くやっていくべきなのだろう。
 少なくとも今は、下手にグラスホッパーを刺激するべきではない。
 民衆が讃え上げたように、広川もまた黒蝗をもてなすとしよう。

 そうした意思を固めた後、ふと思う。
 増えすぎた飛蝗は、時として"蝗害"と呼ばれる災害を齎す。
 自然を食い荒らす人類の様に、奴等は草木を残らず荒らしていくのだ。

 もしも、グラスホッパーが更に巨大な地位と権力を得たとして。
 飛蝗を掲げる彼等が、蝗害を引き起こさないとどうして断言できる?
 災厄の象徴たる飛蝗が、益しか齎さないと誰が証明できる?

 そうしている内に、犬養を取り上げたニュースは終わっていた。
 生真面目なニュースから一転、話題は芸能方面へと切り替わる。
 ゴッサムシティで今も活動する、著名な"歌手"の新曲の話題であった。


『Businessmen, they drink my wine, plowmen dig my earth』


 歌が聴こえてくる。
 透き通る様な歌声が、ドブ底の街に響き渡る。
 まるで、ゴミ捨て場の中に一輪の花が咲いていた様な感覚。
 気付けば、【レッドフード】は歌声の主の所にまで歩み寄っていた。

 物好きな歌い手は、路上で横たわる瀕死の男に唄っていた。
 死する者に捧げる鎮魂歌のつもりなのだろうか。
 おまけに、歌っているのはまだ若い少女ときている。
 夜のゴッサムを独りで歩くなど、度し難い愚行としか思えない。

 だが、それでも。掛け値なしに美しい歌声だったのは確かだ。
 出来るのであれば、もう少し長くこの歌を聴きていたいと思わせる程度には。
 そんな感想をレッドフードに持たせた程、【シェリル・ノーム】の歌声は魅力的だった。

「慈善事業なら止めた方が身の為だぞ、歌姫様よ」

 レッドフードの皮肉気な声に、シェリルは顔を上げた。
 容姿端麗な彼女のコバルトブルーの瞳を、テレビで見ない日は無い。
 社会の枠組みから外れた彼でさえ、彼女の顔は見知っていた。

「好きでやってるからいいのよ、放っておいて頂戴」

 そう言い残して、シェリルは踵を返して去っていく。
 遺体に少し名残惜しい視線を向けたのは、倒れた者への憐憫からか。
 彼女の歌を聴いていた男は、既に事切れていた。

 見た限りだと、死んだ男は一般人ではあるまい。
 恐らくは、何かしらの犯罪に手を染めたマフィアであろう。
 つまりは、レッドフードが始末すべき悪という事である。

 だからこそ分からない。
 犯罪者への手向けとして、歌を捧げるこの女の心情が。
 どんな形であろうと、罪人に慈悲を与える彼女が理解できない。

(ま、理解する気もないけどな)

 ジョーカーに命を奪われ、しかしラピザス・ピットで蘇ったあの日から。
 レッドフードの脳内に、犯罪者への慈悲というものは消え失せていた。
 どうやらあの奇跡の泉が、そうした生温さを奪い取ってしまったらしい。

 蘇生した後悔など無い。ロビンだった頃への未練など猶更だ。
 この身がジェイソン・トッドである限り、自分がレッドフードを名乗る限り。
 自分は罪人に銃口を向け、躊躇いなく引き金を引いていく。

 シェリル・ノームの前で事切れた男の顔を見遣る。
 歌姫の歌の中死んだ男は、どこか満たされた様な表情をしていた。
 無理も無いだろう、あの名歌手の単独ライブを手土産に逝けたのだから。

 だがその一方で、全身に張り付いた"火傷"が、ひどく痛々しかった。



『None of them along the line know what any of it is worth』


 裏社会で急速に規模を拡大している組織は、あまりに暴力的だった。
 武力を以て相手を蹂躙するという、まるで戦国時代の様なやり方を実践しているのだ。
 それこそ弱肉強食を絵に描いた様な、暴力の権化の様な組織。
 その頭領こそが、【志々雄真実】であった。

 西洋の街に似合わない煙管(キセル)の煙を吐きだし、ニタリと笑う。
 肉食動物を思わせるその笑みは、一人の男に向けられたものだった。

 肥え太った身体に軍服を着た、眼鏡面の男。
 ゴッサムで息を潜めるテロリスト"最後の大隊"の頭領。
 ネオナチの過激派を纏め上げる彼は、自らを【少佐】と名乗った。

 二人がそれぞれ従える組織は、現在協力関係にある。
 片や更なる勢力拡大の為に、片や来たるべき日の準備の為に。
 いずれ訪れる闘争に向けて、彼等は動いていたのであった。

「しかし物好きな野郎がいたもんだ、この街で戦争起こそうだなんてよ」
「だが君もそれを望んでいる、だから私も"ここ"にいる」

 違いねえと、志々雄はまた頬を釣り上げた。
 強い者が弱い者を蹂躙する世界、それが戦場というものだ。
 言い換えるなら、それが志々雄が求める理想郷であった。

「しかし君の方こそ物好きなものだよ。君のやり口はまるで獣だ、蜜獾(ラーテル)といい勝負じゃないか」
「他の奴等が温すぎるだけだ。国盗りってのはこれくらい派手にやらねえとな」

 第二次世界大戦を乗り越えた今、闘争は戦争からテロリズムへ姿を変えた。
 口では戦争放棄を謳っても、人類は未だ武器を捨てれないでいる。
 その一点に、人間という存在の本質が如実に示されているのだ。

 弱肉強食をモットーとする闘争こそが、人間の根底にあるもの。
 志々雄と少佐も、その根底で渦巻くものを欲している。
 少佐は闘争そのものを、志々雄はその先にある強者の世界を。
 二人が手を取り合うのは、至極当然の事なのかもしれない。

「そういえば、最近妙な輩が出しゃばってると聞くじゃねえか」
「ああ、赤い覆面に黒飛蝗の事か?奴等も大した度胸じゃないか」
「そいつらもそうだが、俺の言いたいのはもっと別の奴だ」

 そう言って、志々雄が一枚の写真を取り出した。
 最近になって裏社会を賑わせる、一人の正義の戦士を収めたものだ。
 叩きのめされたマフィア曰く、その戦士は"果実を纏う"のだという。


『“No reason to get excited,” the thief, he kindly spoke』


 ユグドラシル・コーポレーションは、ウェイン産業に勝るとも劣らぬ大企業だ。
 当然ながら、そこに務める者はある程度の地位を約束される。
 【呉島貴虎】もその一人で、街の一角に豪邸を建てる程度には恵まれた生活を送っていた。

 しかし、豪邸で暮らしているのは、貴虎と彼の弟だけである。
 そのせいか、家はどこか空虚な印象さえ感じられてしまう。

 夕食の時もそうだ。食事は手伝いの者が作ってくれるが、食卓を囲むのは二人だけ。
 貴虎と【呉島光実】の二人だけで、静かに食事を取るのが普通だった。

「……光実、学校の方はどうだ」
「順調だよ、日本人も意外といるしね」

 光実のその言葉で、ゴッサムと沢芽が姉妹都市提携を結んでいた事を思い出す。
 こんな治安の悪い街と手を結ぼうとするとは、中々に勇気のある決断をしたものだ。
 そのお陰と言うべきか、この街では頻繁に日本人の姿を見かける。
 グラスホッパーの会長である犬養など、その代表格だろう。

「グラスホッパーがいるとはいえ、街の治安はまだ悪い。あまり寄り道はするなよ」
「それくらい分かってる。安心してよ、兄さんの言う通りにしてるからさ」

 それを最後に会話が途切れ、静寂が室内に充満する。
 兄弟の仲が悪いという訳ではないが、貴虎がどう接するべきか分かりかねているのだ。
 例え偽りの関係であったとしても、兄らしくありたいという感情が彼にはあった。

 だが、貴虎は知る由も無いだろう。
 その弟の方は、兄に情など欠片も抱いていないという事に。
 貴虎が見ている光実は、所詮仮面を被った偽りの姿に過ぎない。

 呉島光実という少年は、どうしようもない位に"呉島"の人間だ。
 "呉島"の血が流れる者は――貴虎の様な例外を除けば――目的の為なら手段を選ばない。
 その証拠に、彼は自分の居場所を護る為なら、どんな犠牲でも払おうとするだろう。

 まだお互いは気付いていないが、呉島兄弟は共に聖杯戦争の参加者だ。
 兄が理想を叶えるには弟を斬らなければならず、逆もまた然りである。

 光実はきっと、自分の兄はおろか、"友人"でさえ殺せるだろう。
 だが一方の兄は、果たして自身の弟を今度こそ斬る事が出来るのか。
 少なくとも当の貴虎に、首を縦に振る程の確証は無かった。


『There are many here among us who feel that life is but a joke』


 白昼堂々、数台のパトカーが路地裏を封鎖していた。
 犯罪などこの街では珍しくないが、やはり目の前にあると好奇心が沸いてしまうものだ。
 【多田李衣菜】も、そういった感情に釣られてしまう者の一人だった。

 バリケードテープの向こうにある景色を覗けないか、立ち止まって目を凝らす。
 少し悪いかもしれないが、テープを潜ってみるべきだろうか。
 規律を破る行為も、それはそれでロックな行為なのかもしれない。

「李衣菜ちゃん、何やってんの」

 反射的に振り返ってみれば、【前川みく】がこちらを見つめていた。
 彼女とは同じ学校に通う友人で、通学路も途中まで同じだったりする。

「い、いやぁ……こういうのもロックっぽいかなって……」
「そんなの全然ロックじゃないし!馬鹿な事言わないでほしいにゃ!」

 呆れ気味の説教を受け、李衣菜が苦笑いを浮かべる。
 そんな彼女を尻目に、みくは通学路に向けて歩き出す。
 李衣菜もそれに釣られる様に、みくの元へと足を進め始めた。

 呆れる程平和そうな、ゴッサムに似つかわしくない平和な風景。
 そんな二人の姿など眼中に収めずに、現場の調査に専念する男がいる。

 【ディック・グレイソン】は、昼間は警察官として働いている。
 日が出ている内は一般人として、一方で夜はヒーローとして街を護っているのだ。

 警察さえ汚職に手を染めるゴッサムでは、ディック程正義に厚い男は珍しい。
 本来はディックの様な警察が一般的なのだが、この街ではそんな常識は通用しない。
 今となっては、己の正義を実行し続ける彼の方が異端となる有様だ。

 傍から見れば、ディックの行いは賞賛に値すべきだろう。
 だが当の本人は、この現状に疑問を抱いていた。
 果たして、この偽りのゴッサムでいつも通り生きるべきなのか、と。

 現在のディックは、聖杯戦争のプレイヤーの一人だ。
 万物の願望器を景品とした、サーヴァントと共に他の主従を狩る殺し合い。
 この戦いに、召喚されたサーヴァントに、自分はどう向き合うべきなのか。

 唐突に与えられた願望器へのチケットに、一人悩みを募らせる。
 そのせいか、彼は本来なら気付ける筈の異物に気付けなかった。

 視界の隅、死体が横たわっていた場所のすぐ近くで。
 コールタールの様な"黒いヘドロ"が蠢いている事に。



『But you and I, we’ve been through that, and this is not our fate』


 ゴッサムに突如現れた連続殺人犯は、手口さえ常軌を逸していた。
 マスコミが言うには、"内部"から何かを破裂させて殺害したというのだ。
 普通、殺人というものは"外部"からの攻撃により成り立つものである。
 内部から生じた物体による殺戮など、それこそ魔術でも使わなければ成り立たない。
 凶器の正体さえ謎に包まれた殺人事件は、一向に進展を見せてはいなかった。

 しかし、この謎を知っている者が一人だけいる。
 【ハナ・N・フォンテーンスタンド】は、全てを知っている。
 なにせ、彼女がその殺人鬼を呼んだ張本人なのだから。

 自身が召喚したサーヴァントが、凶行を繰り返しているという事実。
 本来であれば、そんな愚行は令呪を使ってでも止めるべきである。
 しかし、非力な少女でしかないハナは、その決断を未だ下せずにいる。

 もし彼の勘に障れば、何をされるか分かったものではない。
 それに、もしも令呪で自身のサーヴァントを縛ってしまえば。
 万物の願望器たる聖杯に、永遠に手が届かなくなってしまうのではないか。
 そう考えてしまうと、二の足を踏んでしまう自分がいる。

 帰路に着く最中、ハナはずっと聖杯戦争の事を考えていた。
 そんな彼女は、果たして自身を見つめる影に気付けたのだろうか。
 恨みの籠った二つの視線が、彼女の身を射抜いていた事に。

 【オルワルド・コブルポット】の眼は、幸福への憎悪で汚れている。
 忌み嫌われた自分と違う、幸福に生まれ、幸福に育つ子供が憎くて堪らない。
 日の光を浴び続けたというただその一点でも、憎悪するに値するのだ。

 しかし、まだ我慢を続けるべきだろう。
 このゴッサムに鮮血をぶちまけるまで、この怒りは抑えるべきだ。
 お楽しみは取っておくべきだ。キリストの血を注いだ聖杯を手に入れる、その瞬間まで。

 ふと壁に視線を向けると、何者かが張り付けたであろう手配書が目に入った。
 ギャング殺しの罪で、"東洋人の少女"を追っているのだという。
 たかが人一人に大げさなものだと、オズワルドは鼻で笑ってみせた。


『So let us not talk falsely now, the hour is getting late』


 【ヤモト・コキ】はギャングを殺した犯罪者である。
 それ故に、仲間は彼女を追いつめねばならない。
 それこそ殺し屋を雇ってでも、殺す必要がある。

 たった一人の童女を殺す為に殺し屋を雇うなど、ジョークにしか聞こえない。
 だが、そんな馬鹿げた仕事でも引き受けるというのが、プロの役目であった。
 殺しを専門とする以上、どんな相手でも慢心は禁物なのだから。

 標的の顔写真を取り出し、その顔を目に焼き付ける。
 "橋を壊して追跡を阻んだ"という、一見ただの子供にしか見えない女。
 橋を破壊したという一点に、殺し屋は警戒を抱かずにいられない。

 殺し屋――【レヴィ】の悪党としての勘が告げている。
 舐めてかかれば最期、喰われるのはこちらの方だ、と。

 最初に仕留めた者が一等賞、そこに職歴は関係ない。
 警官だろうが殺し屋だろうが、息の根を止めた奴が勝つ。
 そして標的は、サーヴァントを引き連れた聖杯戦争のプレイヤー。
 レヴィに仕留めてください、そう言っているようなものだ。

 獣の様に獰猛な自身の傀儡なら、勝機は十分にある。
 それでもなお、彼女の心中には引っ掛かりものが残っていた。
 果たして、その子供が持つのはサーヴァント一騎のみなのか。
 この犯罪都市ゴッサムで生き抜いた子供が、ただのそれだけしか有してないというのか。

 そんな事を考えているせいで、不注意になっていたのだろう。
 歩いてくる女性の肩がぶつかったのは、レヴィの不覚であった。
 彼女に行く手を遮られた女性が、こちらを見つめている。
 感情というものをまるで感じさせない、無機質な瞳であった。

「……何見てんだよ」

 見世物ではないと言わんばかりに、レヴィの眼が鋭くなる。
 女は「すみません」と一言謝った後、何事もなかったかの様に歩き出す。
 彼女のその様子は、レヴィからは酷く不気味なものに覚えた。

 視線が合わさった瞬間、レヴィが見たのは空洞である。
 善性も悪性も在りはしない。瞳の奥で蹲っていたのは、虚無だけであった。
 それもそうだろう。女――【久宇舞弥】には、人間性など皆無なのだから。

 レヴィが歩く死人であれば、舞弥は歩く人形だ。
 その眼に光は無く、片方には悪意が、もう片方には虚無が宿る。

 きっと、歩く死人であるレヴィの方が幾らかマシなのだろう。
 死者の日に踊る骸骨とは違って、人形には還る"墓場"さえありはしないのだから。


『All along the watchtower, princes kept the view』


 共同墓地には、無数の墓標が並べられている。
 地の下で死者が眠るこの場で、親友は今も眠りに就いている。
 ディオ・ブランドーの名が刻まれた墓標は、変わらずそこにあった。

 【エンリコ・プッチ】は毎日の様に、ディオの墓を訪れている。
 そしてその度に、自分に"天国"を教えてくれた親友を思い出すのだ。
 彼と語らった懐かしき日々と、その中で自分が見つけ出した理想郷。

 そして今日もまた、ディオを墓に寄ろうとしていた。
 しかしながら、その日は意外な事に先客がいた。
 ディオの墓石で、まるで親の墓を前にした様な表情を見せる男。

 その男は、たしかに見知った顔であった。
 かつてディオに心酔し、しかしディオの死後も生き続けた男。
 宿敵への復讐を支えとした、盲目の狙撃手。

 何度も目を凝らして確認したのだから、間違いない。
 ディオの墓石の前にあったのは、【ジョンガリ・A】の姿である。
 その事実を前に、プッチは思わず声を上げそうになった。

 彼が此処に来ているという事実は、偶然とは思えない。
 誰かが言っていた――スタンド使いは惹かれあうものだと。
 彼がNPCならまだいい、だが、もし聖杯戦争のプレイヤーなのだとしたら。

(DIO……君が私達を導いたというのか?)

 死後も親友、あるいは部下であり続けた者達への、悪の王からの報酬。
 それが聖杯戦争へのチケットではないかと、思わず疑ってしまう。

 何にせよ、今は見て見ぬ振りをして、此処から立ち去るのが得策だろう。
 そう考えたプッチは、可能な限り静かにその場から立ち去ろうとする。
 聴覚が極めて優れたジョンガリに気付かれないよう、細心の注意を払い、ゆっくりと。

 人類を天国に導き、"救済"する為の聖杯戦争。
 その最初の一歩から躓くのを、プッチが望む筈もなかった。


『While all the women came and went, barefoot servants, too』


 死は救済である。醜き血肉に縛られた魂を解放する儀式だ。
 死は恩恵である。現世の絶望より魂を解き放つ唯一の法だ。
 死は希望である。旧き器からの脱却により、真に人類は救われる。


 ――魔女は嗤う。生にしがみ付く愚かな旧人を。


 旧人類よ、貴様も既に気付いている筈だ。
 この世界に留まる事自体が、最早耐え難き苦痛である事に。
 事実を見て見ぬ振りして苦痛に耐え忍ぶ姿の、なんと見るに堪えない事か。


 ――魔女は憐れむ。死を絶望と捉える無知な旧人を。


 新人類たるこの我らが、唯一の人類種たるこの私が。
 現世で嘆き苦しむ旧人類に、救いを齎してやろう。
 一切衆生の救済こそが、我らペルフェクティ教団の理想なのだ。


 ――魔女は讃える。これよる救われる栄誉ある旧人を。


 聖杯とはイエスの聖遺物、ならば救済に使われるのが道理だ。
 その力、魂の救済を吉とする我らにこそ相応しい。
 悦ぶがいい、そう遠くない未来、貴様らを魂の牢獄から解放してやろう。


 ――真理を知る者、その名は完全者。またの名を――【ミュカレ】。



『Outside in the distance a wildcat did growl』



「……また日記か」

 【ロールシャッハ】にそう言うのは、彼のサーヴァントだった。
 銀色のレインコートを纏った中年男性、そのクラスは暗殺者(アサシン)。

「煙草はあったのか」
「いや、売ってねえな」

 アサシンの願いは、絶版した煙草を吸う事らしい。
 聖杯が取れないのなら、せめて街中探す事くらいはさせてくれと。
 だから現在、アサシンは煙草屋を巡り歩いているのであった。

「……行くぞ」

 ロールシャッハは、これから"聞き込み"行くつもりだった。
 巷を賑わす数々の殺人事件、その調査を行うのである。
 彼としては、アサシンが煙草を買いに行く時間がもどかしくてしょうがなかった。

 アサシンは無駄口を叩かない、比較的ストレスの溜まらないサーヴァントだ。
 その方がロールシャッハも動きやすいし、聖杯も工面してくれたのだろう。
 だが、それと聖杯を見過ごせるかどうかは全く別の問題だ。

 聖杯は必ず"破壊"する。
 強いて言えば、それは聖杯戦争にかける願いだ。

 どんな願いが立ちはだかろうが、絶対に自分を曲げるつもりはない。
 犯罪を呼び出す聖杯は破壊するし、聖杯を求めて殺人を行う者も罰する。
 それがロールシャッハの信念であり、存在理由そのものだ。

 ふと見れば、アサシンが壁に貼り付けられた紙切れを見つめていた。
 誰が貼ったか知らないが、お尋ね者の情報を求めているもののようだ。
 ギャングを殺した小娘を探している。見事討てれば報酬を支払おう。
 そう言いたいだけの張り紙を、アサシンはじっと眺めていた。

 それの何がアサシンの琴線に触れたのかなど、ロールシャッハには知る由も無い。
 だが、どんな事情があるにせよ、その彼が気にかけている女は犯罪者だ。
 アサシンの心境がどうであれ、罪人は罰せねばならない。

 もう一度呼びかけ、アサシンの心を元の世界に引き摺りだす。
 腕は確かなようだが、果たしてこの無気力気味な男はどこまで戦えるのか。
 【シルバーカラス】――ニンジャを名乗るのなら、それ相応の活躍を見せてほしいものだ。

 アサシンが憂い、ロールシャッハが毒づくその横で。
 変異を齎さんと忍び寄るのは、異界より出でし"植物"の影。


『Two riders were approaching...』


「舞台ってのは華やかな方がいい」

 そう一人嘯きながら、歩くのは民族衣装の男。
 彼の通り過ぎた後には、植物の蔦が沸いて出てきている。
 ゴッサムを蝕む宇宙規模の侵略者、ヘルヘイム
 その端末たる【サガラ】は、この聖杯戦争の監視を命じられた。

「だがな、心置きなく愉しむ為には警備員が必要だ」

 ヘルヘイムは、物理的に他者に干渉する事は出来ない。
 "侵略"という概念に近いそれには、サガラを利用して会話をとる程度が関の山だ。
 それ故に、他のサーヴァントに働きかける抑止力にはなり得ない。

「……という訳だ。安全な進行の為に、せいぜい働いてもらうぜ」

 サガラが見据えた先には、一つの影があった。
 身の丈程の槍を手に持った、全身緑色の怪人。
 それは、かつてヘルヘイムに犯され、そして滅びていった種の一人。
 この存在こそが、監視者に代わる聖杯戦争の抑止力。

「なんだ、そんな事の為に私達を呼んだのカい?」
「そうとも、"王の中の王"は安心安全な公演がお望みらしいんでな」

 これこそ、監視者たるヘルヘイムに与えられた宝具。
 侵略した世界の住人を、己が使い魔として召喚する能力。
 そうして呼び出されたのが、【フェムシンム】であった。
 サガラの目前にいるのは、その中でも最後の生き残りであるレデュエである。

「まあいいサ、私も聖杯戦争とやらには興味があるからね。
 お前の余興にも少し付き合ってやろうじゃなイか」
「そりゃ良かった、デェムシュと違ってお前は理知的で助かるな」
「デェムシュ……?ああ、あンな馬鹿と比べないでおくれよ」

 そう言い残し、レデュエは何処へと去って行った。
 与えられた使命を果たす為に動くのだろうが、果たしてそれもどこまで行くか。
 あの狡猾な女の事だ、何か良からぬ事を考えているに違いない。

「……ま、止める気も無いがな」

 役者達がどう動こうが、観客にはさほど影響はないのだ。
 干渉ならぬ鑑賞を愉しむサガラとて、それは同じ事。

 そう、どう繕ったところで、人生は所詮喜劇に過ぎない。
 どんな信念を持とうが、どんな理想を描こうが、人生は悲劇になり得ない。
 何を対価にしてでも叶えたい願いを持ったとしても――やっぱりそれは、喜劇(コメディ)なのだ。

 ゴッサムシティを舞台にした聖杯戦争。
 そいつもまた、喜劇役者(コメディアン)による馬鹿げたショウでしかない。
 鉄火渦巻く闘争も、積み上げられていく屍の山も。
 一つ残らず、悪趣味なジョーク以外の何物でもない。

 サガラはただゴッサムの監視を行うだけだ。
 サーヴァントの闘争を、聖杯の行方を、客席から見つめ続ける。

「俺は見届けるだけさ。お前らの最期の大舞台をな」








『the wind began to howl....』






『...HA HA HA HA HA HA HA !!』







「一つ、ジョークを聞いてくれよ」

 笑う、嗤う、笑う、笑う、笑う、嗤う、笑う。
 闇の中で、道化師が嗤って笑って嗤い続ける。

「ある男が精神科医を訪ね、こう訴えた。
 "私の半生は悲惨の一言だ。もう人生に何の希望も持てないんだ。
  先の見えない社会を、たった一人で生き抜く辛さがわかりますか?"」

 真っ白な頬が吊り上がる。
 真っ赤な唇が三日月を作る。

「医者は答えた。
 "今夜、有名なピエロのパリアッチのショーに行ってみるといい。笑えば気分もよくなりますよ"」

 緑の髪をクシャクシャ撫でながら。
 紫の服でヨロヨロ歩きながら。

「突然、男は泣き崩れた。そして言った……。
 "でも先生……私がパリアッチなんです……"」

 泣き出しそうな声色でジョークを垂れ流し。
 しかし、その表情は今にも嗤い出しそうで。

「笑えねえジョークさ、答えなんて頭使わなくたって分かるってのによ」

 今度は、不愉快そうに顔を顰めてみせる。
 きっとそれも演技であり、心中では嗤いに満ちているのだろう。
 道化師は常に笑うものであり、彼もまた例外ではない。

「バァァァカになるのさ。イカれちまえば、世界がどれだけ不安定でも笑ってられる。
 恋人が死のうが、核が落ちようが、狂えば最後ずっと笑顔のままだ」

 道化師は狂っていた。
 狂った様に微笑み、狂った様に破顔し、狂った様に嘲笑する。
 彼こそ世界を笑(くる)わせるコメディアンであり、最狂の犯罪者。

「そうさ!バカになるのさッ!そうだろ――――バァァァァッツ!!」

 道化師が――【ジョーカー】が、高らかに叫ぶ。
 刹那、闇から出でるのは、これまた黒い戦士であった。
 蝙蝠を模した衣装を纏った、ジョーカーが何より待ち望む存在。




 此度の聖杯戦争で、騎乗兵(ライダー)として現界したサーヴァント。
 ジョーカーの僕たるその男の真名は――――【バットマン】。




 ライダーは勢いのままジョーカーを殴り飛ばす。
 拳の直撃を喰らった彼は、血を吐きながら地面をのたうち回る。

「HA,HAHAHA……ラブコールにしちゃ過激じゃないか」

 ライダーは何も答えない。答えるつもりなど微塵もないのだろう。
 恐らくは、口も利けなくなってしまう程に、自らの状況を嘆いているのだ。
 絶望するのも無理はない、なにせ自らのマスターが、自身の宿敵なのだから。

 追撃を行おうと、ライダーはジョーカーに詰め寄る。
 しかし、第二撃を加える前に、彼の視界に令呪が現れた。
 ジョーカーが、自身の手の甲に刻まれたマスターの証を見せつけたのだ。

「バッツ、今のお前は俺のサーヴァントだ……こいつがどういう意味か分かるよな?
 お前のサイドキックはロビンじゃない、このオレなのさ!」

 令呪を用いた命令の前では、如何なるサーヴァントも無力である。
 つまり、ライダーは"三度だけ好きに操れる権利"を宿敵に持たれたという訳で。
 その事実は、ライダーの手を鈍らせるには余りある威力を持っていた。

「安心しろよバッツ、お前に殺しをしろなんて命令するつもりは無いからな。
 最高の観客が盛り下がる真似なんて、こっちから願い下げだ!」

 先程の痛みはどこへやら、立ち上がったジョーカーが破顔する。
 ライダーはやはり何も答えない、表情に怒りを浮かべるばかりだった。

「バッツ!俺とお前は一蓮托生、運命の糸で繋がってるのさ!
 心配する事はねえ、オレとお前なら最高のジョークを生み出せる!HA HA HA HA HA !!」

 瞬間、ジョーカーとライダーの間に光が炸裂する。
 ジョーカーが隠し持っていた閃光手榴弾が作動したのだ。
 光が収縮した頃には、ライダーの目の前から宿敵の姿は消えていた。

 追うべきかと考えたが、どこに逃げたか分からない以上探しようがない。
 強制的に発動した宝具が、ジョーカーの詮索を妨げているのだ。

 ジョーカーを、引いてはこの聖杯戦争を止めるにはどうするべきか。
 今は考えるしかない。少しでも思考を止めれば、事態は最悪の方向に向かって行く。

「……ああそうだ、最悪のジョークだな……ッ!」

 すぐにでも動かなければならない、ゴッサムを護る為に。
 この衆愚の街の守護こそが、ライダーに与えられた使命なのだから。











□ ■ □







 When we are born we cry that we are come,To this great stage of fools.
 (人間は泣きながらこの世に生まれてくる。阿呆ばかりの世に生まれたことを悲しんでな。)








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セイバー(後藤)
レヴィ 013:屍者の帝国
セイバー(グリムジョー・ジャガージャック)
-020:前川みく&アーチャー 前川みく 002:運命はもう止められないとしても
アーチャー(ジャスティス) 008:Feel A Fear
-019:広川剛志&アーチャー 広川剛志 007:What I`m made of
アーチャー(エシディシ)
-018:呉島光実&アーチャー 呉島光実 002:運命はもう止められないとしても
アーチャー(暁美ほむら)
-017:ディック・グレイソン&アーチャー ディック・グレイソン 019:Difference
アーチャー(ジョン・『プルートー』・スミス)
-016:シェリル・ノーム&ランサー シェリル・ノーム 011:虚無と歌姫
ランサー(ウルキオラ・シファー)
-015:志々雄真実&ランサー 志々雄真実 015:the law of the jungle
ランサー(エスデス)
-014:御剣怜侍&ランサー 御剣怜侍 001:トリックとマジック
ランサー(ジェイド・カーティス)
-013:ヤモト・コキ&ランサー ヤモト・コキ 018:矢本小季は忍者である
ランサー(乃木園子)
ジョーカー 006:S(mile)ing!
ライダー(バットマン) 008:Feel A Fear
-012:犬養舜二&キャスター 犬養舜二 010:僕らはこの街がまだジャングルだった頃から
キャスター(戦極凌馬)
-011:呉島貴虎&キャスター 呉島貴虎 002:運命はもう止められないとしても
キャスター(メディア)
-010:ハナ&キャスター ハナ・N・フォンテーンスタンド 004:Dancer in the Dark
キャスター(デスドレイン)
-009:ジョンガリ・A&アサシン ジョンガリ・A 004:Dancer in the Dark
アサシン(カール・ルプレクト・クロエネン)
-008:スタンスフィールド&アサシン ノーマン・スタンスフィールド 009:BLACK ONYX
アサシン(鯨)
-007:レッドフード&アサシン レッドフード 005:こぼれ話のその先に
アサシン(チップ=ザナフ)
-021:THE END IS NIGH ロールシャッハ 005:こぼれ話のその先に
アサシン(シルバーカラス)
-006:少佐&バーサーカー 少佐 006:S(mile)ing!
バーサーカー(ン・ダグバ・ゼバ)
-005:正義と幸福 エンリコ・プッチ 014:唯我
バーサーカー(セリュー・ユビキタス)
-004:多田李衣菜&バスター 多田李衣菜 005:こぼれ話のその先に
バスター(ノノ)
-003:ミュカレ&セイヴァー ミュカレ 003:セイヴァーたぶらかし
セイヴァー(ジェダ・ドーマ)
-002久宇舞弥&デストロイヤー 久宇舞弥 027:Coppelia
デストロイヤー(加藤鳴海
-001:But who will watch the watchmen? ウォッチャー(ヘルヘイム) 020:第一回定時通達-The Times They Are A-Changin'-
レデュエ 038:Shadow World


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最終更新:2016年05月07日 21:20