ナージャ・アップルフィールド


むか~し昔、100年くらい昔。
これは、運命の扉の向こう側を旅した、女の子の物語…

2003~2004年に東映によって制作され、毎週日曜日朝8:30から放映されたアニメ『明日のナージャ』の主人公。
プラチナブロンドと蒼い瞳が特徴的な12歳の少女である。
担当声優は 小清水亜美 女史で、同女史のデビュー作でもある。

ロンドン郊外のアップルフィールド孤児院で育っていたが、13歳の誕生日に自分宛の小包が届き自分の母親が生きていることを知る
生き別れた母親を捜すために、形見のブローチやドレス、日記帳を手に、旅芸人「ダンデライオン一座」に入って旅に出る。
……というのが『明日のナージャ』のメインストーリーである。

特技は歌とダンス。一座の公演でもしょっちゅう披露している他、作品にとっても重要な要素である。
天真爛漫で他人を疑わない純粋な性格なため、多くの人を惹き付けている。
道中で多くの妨害に遭遇したにもかかわらず無事に母親に再会できたのも、周囲の助力があってこそである。
その一方で、思い立ったら即行動のアクティブな性格をしている。あとよくガラス窓を割る。
また華奢な体躯に見合わず身体能力は高く、ほぼ垂直の断崖絶壁を登ったり、新聞記者をワンパンチでKOしたり、
拳銃の弾を至近距離で避けてみたりアンタ後番組でも通用するよ!的な活躍も見せる。

だが残念なことに、本作品は後述する物語後半からの路線変更の影響により、
描写されるはずだったナージャ自身の人間的成長が描かれることは無く、
最後まで(本編終了後のおまけシナリオですら)後先考えない猪突猛進キャラという印象が残ってしまった。
物語のキーパーソンである双子のイケメン兄弟「フランシス」と「キース」に対しての恋心も、
命を張ってナージャを助けたキースを振り、そもそもキース(平民)と間違われてナージャに好かれていたフランシス(貴族)を選ぶという、
「結局はお金じゃないですか!」と視聴者に言われても仕方ない顛末を迎える。

そんなこんなで海賊と戦ったり、ピラミッドで骸骨の山を乗り越えたり、オーストリア*1警察の留置場にぶち込まれたりと、
ヨーロッパ中を旅したナージャとその御一行は遂に母の居場所を突き止めるが、
そこにはニチアサキッズタイム最凶の悪女「ローズマリー」が立ちはだかるのであった。

……最終的には祖父のプレミンジャー伯爵にとって都合の良い令嬢となることをよしとせず、
再びダンデライオン一座と共に旅立っていったのは続編の伏線かと思ったら、全くそんなことはなかったぜ。*2

+ 『明日のナージャ』という作品について

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,'     ,' i    ヽ、,\-┘    '-y、   i      |, '   < 奇跡の踊り子ナージャ・アップルフィールドが
!       , ! !   ./,, ==ゝ、    _ノ__,ヽノ  丿 i !      ! 在庫の山を掻き分けながら>>6get!!
t     | t ヽ、/ '' 〃_)i. ` ´  rf´)iヾ,ヽ/ 丿ノ     丿「明日のナージャ」は東映アニメの最高傑作!
. \    t. ゝ-v’  { i、リ!     |f_j|  ,'_ / ´    ∠__ ナージャは日曜8:30枠の真のヒロイン!!
   ` ‐- !ゝf ‐、     -‐‐'    ヽ .ヒタ  .fノ          ヽ,.-‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-
      ', l  }  .:::::::::.  ,~-┐ .::::::. |  ヾ、
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  ` ‐-ッ' ./   {  .∧   ` ー ',-'     !`i ヽ     ノ
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近代ヨーロッパ(20世紀初頭~第一次世界大戦直前)という舞台設定、母親を捜すストーリー、歌と踊りがメインで魔法が登場しない世界など、
所謂「魔法少女もの」というよりは「世界名作劇場」に近いノリの作品である。
時代考証もそれなりに練り込まれており、貴族と平民の対立、金持ちと貧乏人の対立など濃いテーマも盛り込まれている。
中でも貴族階級に対する憧れと挫折を体現したライバルキャラのローズマリーのようなキャラクターも、
必要以上に(昼ドラマ的に)生々しく描写されている。
あと、一座の住居兼楽屋であり舞台にも変形する絡繰り自動車は、時代考証からすると明らかなオーバーテクノロジーである

……だが、こういった「世界名作劇場」なノリが時間帯のメイン視聴者層(小さな女の子)に受けなかった上、
前番組が、王道魔法少女ものでありながら社会問題などを意欲的に扱ったおジャ魔女どれみで、
後番組が、女の子同士の友情をテーマにしたバトル魔法少女もののふたりはプリキュアで、
しかもその『プリキュア』が2018年現在も続く人気シリーズとなってしまったため、
「知る人ぞ知る地味な作品」という扱いになってしまっている。

その分海外における評価は高く、特に舞台となったヨーロッパでは各国で放映され、
作品BGMは2008年のJASRAC国際賞(海外からの入金ベストワン)を受賞している。本田美奈子女史の歌も素晴らしい。

国内でもメイン視聴者層以外にはそこそこ好評だったため、後日談のドラマCDが発売され、
脚本家・大和屋暁氏の手による、まるで脊髄反射で書いたような脚本が(もっとやれ的な意味で)ファンを唖然とさせた。

不良在庫の山を築いたグッズの中で、ハンドミシンは手芸趣味の大人からは意外と本格的で実用性ある商品と無駄に評価されている。

…金スマ?中の人?もう許してやれよ。まあ、中の人は2011年にプリキュアになったけど。
繰り返すが、本作の放映時間は8:30~9:00である。

2017年には本編より3年後を描いた『小説 明日のナージャ 16歳の旅立ち』が講談社キャラクター文庫より刊行された。

ちなみにナージャとは「希望」を意味するロシア系の女性の名前ナスターシャの愛称であり、
綴りはアルル・ナジャと同じNadjaである。
某有名RPGの天才プログラマーであるナーシャ・ジベリ氏は無関係(彼のスペルはNasir)。


格闘ゲームにおけるナージャ・アップルフィールド

ていお氏のフリー格闘ゲーム(未完成)『朝日朝八ヒロイン』に出演している。
色々な技を使っていくオールラウンドタイプで、傘(謹製品ではない)とバトン(不良在庫)をメインとした戦法をとる。
技の攻撃力は低いが、攻撃を当てるたびにゲージがたまっていくためコンボをやりやすい。
ピンチ状態になると攻撃力が1.3倍になるので、逆転もねらっていける。
必殺技は「傘車」やら「アンヌムツベ」やら「天覇封神斬」やら怪しげな物が揃っている。
中でもコマンド投げ超必殺技の「雷電斬震」は実に5割強を奪う高火力な切り札である。
隠しキャラとして使用できる黒ナージャでは、元キャラよりも技の攻撃力が極端に低いので、
通常技がダメージなしに、必殺技が通常技程度の威力に、超必殺技必殺技程度の威力になっているが、
必殺技が一新され、ゲージ回収率が高くなっているので、超必殺技でトドメを刺すタイプになっている。
まあ、このゲームではみんなそんな感じだし、ローズマリーやみどうこくしたりするし、どれみっちはクリムゾンスm(ry……


MUGENにおけるナージャ・アップルフィールド

NullPointer氏による『朝日朝八ヒロイン』仕様のものが公開されている。
元ゲーエンジンは処理落ちが激しい『格闘ゲームツクール95』ということもあり、
MUGEN移植版では意外なほど操作性が良く、技が出やすい。
大体において原作通りであるが、弾きシステムやコンボの仕様、一部の技コマンドが操作しやすくアレンジされている
(これはコンフィグで「原作風」を選択すると元のコマンドに戻すことができる)。
また、一部のガード方向の揺さぶりが厳しかった技はしゃがみガードできるようにもなっている。このため安易な二択はできない。
原作旧バージョンであった永久コンボは削除され、ヒット数に応じて落下速度が速くなる補正が導入されているため、
中々テクニカルなキャラになっているが、1ゲージワイヤーコンボで6割持っていける高火力は健在。
対応キャラの多い勝利デモもあり、パロディ色の強いキャラでありながら、
原作ファンも思わずニヤリとする様々な台詞を見ることができる。
ちぃたま氏によるAIパッチも公開されている。

余談だが、画面右上に「アナログ」の文字が常に表示され、左右端も数ピクセルが黒く切れるという誰得な演出が導入されている。
皆さんも地デジ移行はお早めに。
プレイヤー操作

また、ローズマリーも同じくNullPointer氏によってMUGEN入りしている。


「今日と違う明日を、一日一日を、しっかりと生きていきたい。
 明日はずっと遠い未来に繋がっているから…」

出場大会

出演ストーリー

プレイヤー操作

アルで昇華(part24 アルで8:30を昇華)


*1
今のオーストリアではない。正式名を「帝国議会において代表される諸王国及び諸邦、並びに神聖なるハンガリーのイシュトヴァーン王冠の諸邦」。
……つまりオーストリア=ハンガリー帝国である。
物語の舞台は放映開始時点から100年くらい昔、つまり20世紀初頭のオーストリアが物語の最終局面の舞台であり、
ナージャはオーストリア貴族プレミンジャー公爵令嬢コレットとフランス人作曲家レイモンの間に生まれた、貴族の姫君だったのである。
二人は駆け落ちして幸せに暮らしていたが、レイモンが事故死、コレットも病に倒れて昏睡状態に陥ってしまい、
コレットが意識を取り戻した時には既に実家の手によってナージャは孤児院に捨てられ、「ナージャも死んだ」と伝えられてしまっていた。
ほどなくしてオーストリア帝国は第一次世界大戦の中心となり、これをきっかけに帝国は崩壊していくため、
ナージャとローズマリーは、最終的に二人とも貴族社会に背を向けて、世界で生きていくため歩き出すので、
薄暗い時代背景に反して救いと希望のある終わり方を迎えている。

*2
ドラマCDではその後ダンデライオン一座のからくり馬車が大破してしまい、代わりに劇場を購入し、
何だかんだで転がり込んだローズマリーと共にどたばたと賑やかに過ごすといった物語が描かれていたのだが、
3年後を描いた小説版では、この展開を元にしてアニメ本編に準拠した物語へと翻案されている。
アニメ後、ナージャは母の再婚相手であるワルトミュラー伯爵家に戻り、ウィーンで貴族令嬢として幸福に暮らしていた。
この過程で祖父プレミンジャー公爵ともある程度和解し、正しい意味での貴族の在り方を教わっている。
しかし16歳の誕生日、アップフィールド孤児院の友達のことを思い出し、自分だけが幸福を享受しているだけではいけないと決意。
再びダンデライオン一座の仲間達と共に旅立ち、離れ離れになった孤児達と再会、最終的にパリに劇場を開いて独立するまでの物語が描かれている。
また、三角関係の相手だった平民の青年キースが3年のうちに商売で成功して資産家になっていたり、
相変わらずな性格でナージャから資金を騙し取った借りたローズマリーがアメリカに渡って事業を始めるなど、
貴族社会が斜陽の時代に入っていくことも描写されている。
本作はアニメ声優陣による朗読劇も行われており、その結末はさらに3年後、19歳となったナージャとローズマリーが、
「ごきげんよう、プリンセス・ナージャ」「ごきげんよう、プリンセス・ローズマリー」といって再会する場面で結ばれている。


最終更新:2025年10月21日 02:42