風習や風俗・祭祀などをまとめます。
会津郡の風習・祭祀
風習
会津嶺 2020年6月号(No495)より引用
「早苗振りの祭り、村から消えていった馬鍬洗い」
(文・前田 新)
(略)
早苗振は田植えはじめに田の神を迎えるサオリと呼ばれる行事と一体化するもので、早苗饗とも書く、サは田の神を意味する。サオリは苗代から成苗を三把とってきて臼や杵を飾った祭壇に供えたというが会津での例は聞かない。田植えが終わった後は、関東、東北ではサナブリ、四国、九州ではサノボリ、中国、四国ではシロミナと言って、田の神を労い山に返す行事として行われてきている。もともとは水系単位の労働共同体であったが、中世期から本家、分家といった一族の「結い」による田植作業への移行にともない、サナブリもそれが主体となった。成苗三把を馬鍬とはよ竹とエンブリともに飾り、神酒を供えて、その神酒を一同で飲み、餅を搗いて田植えに関わった早乙女たちと共宴した。
田植休みは三日間として、その間に、何等かの事情で田植作業が終わらない家がある場合は、それを集落が一族の共同作業で終わらせてサナブリの神事を行い、集落全体として稲作の作業を統一して次の作業へと進んでいった。水利との関連において形成される相互扶助の精神は、稲作文化のコアであり、日本の民族に通底する思想なのである。
(略)
- 刈上餅
- 蜡祭
- 望の年越・女の年取
- 七夕
- 眠流
- 虫供養
- 菜年越
- 川びたり餅
祭祀
地神下・地神上
会津郡の一部(弥五島・松川・楢原・田島・高野・熨斗戸・古町・和泉田・黒谷・大塩)に伝わる祭。
- 3月11日を地神下と云う。この日未明に虚臼を搗けばその聲に應じて地神降臨ありとて虚臼を搗き粢を製してこれを祭る。
- 10月10日を地神上と云う。この日は地神天上の日とて又虚臼を搗き粢を供う。
この地域には他に下記の風習もある。
- 大寒の後百五日に霜ふるを百五の霜という。もっとも諸物を傷うとて三月の頃霜祭とてうぶすな生土神に参詣しその日遊楽す。
- 弥五島・松川・楢原・田島・河島・高野・熨斗戸七組とこの組とには三月中兄弟契ということあり。老若男女各年歯に従って会集し舊を話して相歓す。
最終更新:2020年02月08日 16:51