重峰四方に
繞り村居皆山間に散布し、南の方に朝日・大鳥の二山
峙ち、
四時多は雪絶えず。中にも叶津・只見・田子倉・石伏の四ヶ村は朝草山の東麓に在り。冬日積雲屋を埋み昼夜を弁せざることあり。居民雪を
鑿ち
僅に出入を通ず。
気候大抵
古町組に同じ。寒早く暑遅く農務の候平地より後れ常に二十日計の差あり。然れどもこの
邊の諸組に比すれば土地
稍潤肥にして五穀乏しからず。
薪樵の業ゆたかなり。また布を製し
筵を織り蚕を飼て余産を
贍はす。
習俗
鄙朴にして華飾を務めず。故に居民恒の産ありて生計に困せず。ただ檜枝岐川・只見川の洪水
田圃を害する患あり。また三月より五月までは山間の諸渓
漲り注ぎ、水かさ増りて両岸の残雪が
爲に崩れ荒島・小川・只見・石伏の村々は船通せず。矢文を射て諸用を弁ず。所々に土堤を築いて水災を防ぐ。
この組の諸村皆伊北郷と称す。
最終更新:2020年04月01日 22:25