東に宮川流れ西に衆山連なり、土地肥えて五穀豊なり。ただ竹原・上中川・西勝等の諸村は養水の便悪く常に旱損に苦しむ。軽井沢・逆瀬川の両村は山中に住し、雀林・米沢・根岸・中田・立行事等の村々は山麓にあるゆえ寒暑の候府下に比すれば10余日の差あり。
また5、6月の際に日を択び高田村伊佐須美神社にて御田植祭あり(
高田村の条下に詳にす)。その時遠近より高田村に来たり詣る者郡集あり。
この組及び中荒井組にて正月15日若木に団子をさす時その湯を家居に四面に灌で悪虫を避く。
同月15、16両日家中に塵芥多ければその年田圃に草多しとて度々座中を掃除す。
節分の夜種子浸とうことあり。茶碗に水を盛り大豆数粒を諸穀に擬え1粒づつ水に浸しその年の豊儉を占う。沈む者は実入りよく浮かぶ者は実入り悪しという。
またこの組及び中荒井・永井野・東尾岐・冑・滝谷・大谷・野尻・大石・大塩組にて大晦日に神玉飯とて団飯12を作り大麻の幹を挿み歳徳神に供え、その後蓄置いて明年大麻の種子を蒔く時これを食う。
この組の諸村皆郷を失う。
凡32ヶ村あり。
最終更新:2020年04月12日 00:32