ガイル・ハイダウト(ポケットモンスターSPECIAL)

登録日:2012/03/19 Mon 22:56:30
更新日:2025/10/01 Wed 23:41:59
所要時間:約 4 分で読めます







このバトルフロンティアは沈むのだ !!


偉大なる……海にのまれて !!




ガイル・ハイダウト(Guile Hideout)とは、『ポケットモンスターSPECIAL第6章に登場した謎のトレーナー。
同章のラスボスであり、ジラーチを求めている。


■概要

全身を甲冑で覆った正体不明の人物で、その見た目から作中では「甲冑の男」とも呼ばれている。
片手にはも構えており、なんだかあの漫画や他の冒険漫画に出てきても違和感のない格好である。
この剣はただ物を斬るだけではなく、ポケモンの攻撃をも物理・特殊問わず跳ね返すことができ、フロンティアブレーンの手持ちの総攻撃を剣の一振りで弾き返したりした。
……おい、ポケモンバトルしろよ

劇中ではバトルフロンティアを舞台に幻のポケモン・ジラーチを求めて暗躍し、エメラルドやブレーン達と対峙。
自らの野望をジラーチに願い、全地の覇者となる事を目論んでいるようだが…?

ラスボスとしては、第3章仮面の男以来となるオリジナルキャラクター
その正体は仮面の男と同じく原作にも登場する既存キャラであり、作中終盤に意外な素顔を明かしている。


■主な行動

第6章の開始前、オーキド博士が手に入れていたジラーチに関するデータを奪いに研究所を襲撃。
ジラーチが目覚める場所を特定してバトルフロンティアへやって来る。

バトル施設のフロンティア開設記念にやって来た報道陣を追い返そうとバトルファクトリーのレンタルポケモンに暴走状態にさせた野生のジュカインを紛れ込ませたり、
ダツラを強襲してファクトリーから大量のレンタルポケモンを盗んだりする等、ジラーチを手に入れるために暗躍。

エメラルドのフロンティア挑戦3日目には、アトリエの洞窟でジラーチを見つけたエメラルド及びブレーン達とく直接対峙する。
戦闘では上述のように剣で攻撃を弾き返したり、電気ショックの電気の檻を切り裂いたり……


「消えろ!!失せろ!滅べ!!」


「そのまま果てよ!!下衆なゴミどもお!!」


…と叫んで剣の一振りで衝撃波を起こしたりする等大暴れしたが、その場ではジラーチに逃げられてしまう。
……ポケモンバトルしろよ


その後、バトルドームの屋上にて再びジラーチの捕獲を決行。
フロンティアブレーン達に邪魔されることなく捕獲に成功し……


「ジラーチ、つーかまーえたー」


物凄く嬉しそうな顔でブレーン達に捕まえたジラーチを見せつけた。


そしてジラーチ捕獲という目的を達成したガイルは、予め奪って凶暴化しさせておいたレンタルポケモンをフロンティア中に解放して騒ぎを起こし、
願いを叶える為にバトルタワーの最上階に向かい、バトルタワーのブレーンであるリラを洗脳してエメラルド達と戦わせるなど、非道を尽くす。

それでも自分の元に辿り着いたエメラルド達に、遂に甲冑の下の素顔を見せる。





「望みとあらば見せようじゃないか。」



「クカカカカ。これが…」




「これが…私だ」




■正体と目的

その正体は、第4章の最終決戦でマグマ団の頭領・マツブサと共に行方不明になったアクア団の総帥・アオギリ

当初はブレーンの一人であるウコンがガイルの正体であるかのようにミスリードする描写がなされており、
  • ブレーン全員による打倒ガイルの特訓に誘われても一人だけ辞退
  • 右肩に刻まれたカイオーガの刺青に触れながら意味深に独りごちる
  • サファイアの目を見て以前藍色の宝珠に触れた事を見抜き、同胞と称する
  • これからガイルに挑もうとするエメラルドに対し、パレスの試合のため手持ちを置いていくよう促す
等々、登場人物の中でも怪しい描写がふんだんに盛り込まれていた。
実際にルビーとサファイアはその態度を怪訝に思い、エメラルドも自身の手持ちを置いていくタイミングを「できずぎ」と感じていた。

真相としては、若き日のウコンは藍色の宝珠に触れてカイオーガの魔力に取りつかれかけた事があり、その経験から藍色の宝珠に触れた人物は瞳に宿る光を見れば分かるようになっていた。
そしてこのバトルフロンティアにおいて、ウコンはサファイアともう一人の人物に同じ光を見ていた。
その人物こそガイルであり、ウコン自身も当初は半信半疑でパレスに一人籠って物思いに耽っていたが、サファイアとの出会いを経て確信に変わり、かつて藍色の宝珠の魔力にどっぷり浸かった人物としてアオギリの正体発覚に繋がった。
ちなみにエメラルドのパレス挑戦にはしっかり対応しており、ラティオスに託す形で見事パレスを制覇した手持ち三匹を返している。


自ら素顔を晒したアオギリが明かす目的は「海の力による世界征服
宝珠を通してカイオーガと一体化した経験から、アオギリは底知れない「海」のパワーに以前以上に心酔しており、海そのものになってこの世を統べようとしていた。

そのための手段がジラーチであり、今度はカイオーガを呼び起こすのではなく作り出す形で野望を果たそうとする。
そしてバトルタワー最上階にて、ダツラから強引に情報を引き出す事で願いを叶える方法を知り、ついに「すべてを呑みこむ海の魔物を出現させよ」という自らの願いを具現化させるのであった…


■手持ち

  • アメタマ
ガイルの相棒で、いつもガイルの肩に乗っかっている。

劇中では、
  • サイケこうせんでエメラルドのジラーチ捕獲を邪魔する
  • 脚から分泌した粘液であのライコウをも拘束
  • ガイルにのしかかった図鑑所有者のポケモンを簡単にはね除けたりする
等々、進化前には到底思えない「もうあいつ一匹でいいんじなゃないかな」と言いたくなるほどの強さを誇っていた。

しかし、アメモースに進化した途端にレッドニョロゴールドニョたろうに瞬殺されてしまう。
……やはりみずタイプがなくなったのが痛かったのだろうか。

4章での主力だったはずだが、6章では勢いよく飛び出して、勢いよくやられた。

直接の戦闘はなし。
ただ、4章ではマグマ団三頭火のカガリを自慢の触手で瓦礫に引きずり込んだり、ジムリーダーナギ自慢の触手でしめつけたりする等の活躍を見せていた。
6章でも自慢の触手でリラをしめつけている。

  • レンタルポケモン
ファクトリーで奪ったポケモン達。
普段はモンスターボールに入った状態でシシャモの卵みたいに鎧に詰まっている。

レンタルポケモンの中には日下先生もてぃの姿もあるが、
ブルーニドちゃんに蹴られ、作者の言葉の欄でラティアス(ナース姿)に手当てを受けていた。

  • 海の魔物
ガイルがジラーチに願ったことで生み出された、海の一部がカイオーガの姿を模って実体化した魔物。
映画6作目に登場したメタグラードンのようなもの。

バトルフロンティア全体を覆い尽くす程の途方もない巨体を誇り、ガイルの意のままに操れる。
更には全身が海で構成されているので、海に潜れば一体化して攻撃が通らないチートっぷりも併せ持つ。
サファイア曰く「本物のカイオーガのほうがマシ」。

その実態は巨大なエネルギーの塊であり、攻略法として圧倒的なパワーをぶつけて破壊する事がクリスタルより提案された。
最期は海面から浮上したところに、三地方のトリプル御三家究極技と雷の究極技を受けて消滅した。


ポケスペ最強トレーナーである仮面の男以上の人数の図鑑所有者も相手にしたが、実際に圧倒していたのは海の魔物であり、戦闘でも剣を駆使したり大量のレンタルポケモン達を嗾けたりする等、ポケスペらしい盤外戦術が中心であった。
ポケモンバトルでは本来の手持ちがほぼ噛ませになっており、トレーナーとしての実力はいい印象を残せないままだった。


■末路

図鑑所有者達の活躍で海の魔物は破壊され、更には剣も鎧も失った事で完全に無力化されてしまう。
水中に沈んでいたところをエメラルドに引き揚げられ、このままなら独りである事を告げられるが、
アオギリはそれを本望であるとし、部下も組織も、唯一友と呼べそうな男すらも捨て去った過去を語る。


第4章の終盤、エアカーに閉じ込められた上で二つの宝珠も奪われ、マツブサと共に終わりを覚悟していた所、ある人物が二人を解放しにやって来た。
実は宝珠を体内に取り込んだ影響でマツブサ共々肉体が崩壊寸前になっていたが、その人物から全ての攻撃を()く間に弾く(しゅん)」の剣と共に、外とは別の()遠を過ごすことができる(えい)」の鎧を提示される。
既に肉体が限界を迎えつつある二人にとって、鎧の装着は消滅するまでのわずかな時が限りなく引きのばされて助かるのと同義であり、共に鎧を要求するが……


フンフフフフ。
我われ?何か勘違いしているな?


剣と鎧は1組しか(・・・・)ない。


この場で戦い受け取る勝者を決めろ。


こうして剣と鎧を巡ってマツブサと争い、勝者となったアオギリは「永」の鎧を獲得、肉体の消滅から逃れて生きながらえた。
この時、剣と鎧を与えた者より新生した者には新しい名前が必要として、アオギリの海にかける想いを汲んだ鎧流(ガイル)の名が与えられた。
そこでジラーチの情報も聞き、「全てを呑み込む海の魔物」を出現させるためにジラーチを狙っていたのだ。


話を終えると同時にアメモースでエメラルドを人質に取り、尚も鎧を求めて悪あがきするが、ゴールドが前もって準備していたまさかの奇策に嵌まって失敗に終わる。
最期は体の維持が限界を迎え、剣と鎧と共に跡形もなく消滅した。
今のところは生死不明だが、生前の会話から死亡した可能性が高い(マツブサも同様である)。

また、クリスの「剣と鎧を与えた人物は何者か」という問いかけに対してアオギリが残した最期の言葉の謎は、次章で明らかになる。






望みとあらば追記・修正しようじゃないか。クカカカカ。これが…

これが…項目












そして来る第13章、なんとマツブサと共に大方の予想通りまさかまさかの再登場
何故か性格が逆転しており、元々粗暴だったマツブサは冷静沈着に、逆に自若であったアオギリは荒々しくなっている。(つまりはゲーム本編通り)



第5章におけるナナシマでのデオキシスとの決戦後に、マサキロケット団から回収していたルビー・サファイア*1を強奪しており、
それらを持ってボートでカントーからホウエンに二人で向かっていった。



ホウエン到着後はかつての部下が丁度目覚めさせたグラードンカイオーガに対し、
自然エネルギーを吸収して元の形へと修復し終えたべにいろのたま、あいいろのたまを行使して二体をゲンシカイキさせ、その力で辺り一帯を破壊した。
このとき図鑑所有者を含め無関係の人達を巻き込んでいたのだか素知らぬ顔をしており、単に改心したというわけでもないようだ。

その後は流星の民の長老の誘いを受けてりゅうせいのたきの広大な地下空間で、
巨大隕石から地球を守るためにゲンシグラードン、ゲンシカイオーガの専用技の鍛練に励むことに。

だがエメラルドには(特にアオギリとはバトルフロンティアでの因縁もあり)猜疑心を向けられており、
ルビーも二人のような悪人の協力は出来る限り受けたくないと拒絶気味であった。



小隕石群の来襲時には、特訓の成果を見せんとばかりに二体のゲンシカイキを操って順調に破壊していったが、
何故か途中でアオギリとマツブサの身体の一部が泡状に弾けてしまう。
この時逆転していた二人の性格が元に戻るも、直後に衝撃で細かく砕けた隕石群の直撃を受ける。

マグマ団、アクア団の元幹部が駆け寄ると、そこには下半身の大部分を失い粒子状に消えていく二人の姿があった。
最期を悟った当人達は事の顛末を語り始める。

四年前のグラードンカイオーガ騒動で宝珠を介して二体と融合した二人は、肉体の維持も困難なほどにエネルギーを著しく消費してしまった。
そうして「永の鎧」と「瞬の剣」を賭けての戦いに敗れたマツブサ、バトルフロンティアにて鎧を失ったアオギリはこの世界から消滅し、ある「領域」に飛ばされた。

時間も空間も存在せず、法則も何もないでたらめな領域――やぶれたせかいである。
そこで粒子状に漂って存在していた二人は、融合して一つとなった(内面が逆転していたのは恐らくこのため)。

ある時領域に穴が開き*2、どこからか聞こえる「声」に導かれて穴から現実世界――アルフの遺跡に降り立った。
その後も「声」に導かれるままにカントーに赴きメガシンカを身につけ、宝珠を奪ってホウエンに向かったのだという。

結局は本命の巨大隕石が来る前に力尽きてしまい、エネルギー切れでまた消滅することになってしまった。
だが当人達はやはり自分らは手を組んだときだけ上手くいくのだなと納得しながら消えていった。

「マツブサ、もしもう一度生きながらえたらまた…、」
「ああ…、手を組もうぜ、…アオギリ。」
「だからよ…、ホ…カゲ…、」
「シズ…クさん、この星を…、」

「ま…も…。」


ちなみにアメモースは復活しなかった

追記・修正はやぶれたせかいから帰還した方にお願いします。

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最終更新:2025年10月01日 23:41

*1 それぞれ4章の騒動中に砕けたべにいろのたま、あいいろのたまの破片を加工したもの

*2 これは9章の騒動でアルセウスに創造された内の一体であるギラティナが、住処であるやぶれたせかいへと帰るために開いた穴である