青き眼の激臨(遊戯王OCG)

登録日:2025/02/04 Tue 00:16:43
更新日:2025/02/09 Sun 13:46:14
所要時間:約 9 分で読めます




《青き眼の激臨(げきりん)とは遊戯王OCGに存在するカードの1枚。
青眼の白龍》をサポートするカードであり、このカードを主軸とした【激臨ワンキル】と呼ばれるデッキについても解説する。

速攻魔法
このカードを発動するターン、自分は「青眼の白龍」しか召喚・特殊召喚できない。
(1):このカードを含む、自分の手札・フィールド・墓地のカードを全て裏側表示で除外し、デッキから「青眼の白龍」を3体まで特殊召喚する。

概要

初出は2018年6月9日発売の「デュエリストパック-レジェンドデュエリスト編3-」。
3体の《青眼の白龍》が集結し、咆哮を上げている迫力あるイラストが特徴。
同様の構図は、原作における海馬とデュエルロボの一戦の他、BANDAI版の「青眼の白竜3体連結」でも見られる。

その効果は《青眼の白龍》を3体までリクルートするという豪快なもの。
攻撃力3000の大型モンスターがあっという間に3体並ぶうえ、表示形式や攻撃に制限はないため、相手の盤面次第ではそのまま総攻撃を仕掛けてゲームセットとなる。
ただしその分、発動条件も代償も非常に重く、
  • 発動するターンは《青眼の白龍》以外召喚・特殊召喚不可。
  • 効果処理時に、発動した《青き眼の激臨》を含む自身の手札・場・墓地のカードを全て裏側で除外する。
という厳しい条件が課せられており、3体の《青眼の白龍》のためだけに他の全てを投げ打つことを求められる。

そのため、通常の【青眼の白龍】では採用されず、主に後攻ワンショットキルを目指す専用構築で運用されている。
そうしたデッキは【激臨ワンキル】と呼ばれ、シングル戦のみの遊戯王マスターデュエルにおいては熱心な愛好家も存在している。


【激臨ワンキル】


発動すれば3体の《青眼の白龍》が並び、合計火力が9000となる(=たった1枚で1ターンキルができる)という特性を活かしたデッキ。
リソースのほぼ全てを吹き飛ばしてしまう都合上、持久力は皆無に等しいため、後攻からの1ターンキルを叩き込むことを理想とする。
デッキ内のカードは基本的に「必須カードである《青き眼の激臨》と《青眼の白龍》のセット」「ドロー効果を持つカード」「相手の制圧盤面を突破するカード」の3種に大別される。

ロマンデッキや大味な脳筋デッキのようだが、多くの後攻デッキに共通する課題である、仮想敵への理解と構築の調整はこのデッキにおいても重要。
盤面の無力化と《青き眼の激臨》の確保、場合によってはデッキを離れた《青眼の白龍》の回収までもを全てこなす必要があり、安定性は決して高いとは言えない。
それでも勝率を安定させるには、攻撃を通す手順を組み立ててから動くことが求められる。


弱点

その制約から、仮に専用のデッキを組んだとしても、以下のような弱点が付きまとう。

  • 魔法メタに弱い
メインデッキに《青眼の白龍》以外のモンスターを入れても腐りやすく、後攻での捲りに貢献できないことから、手札誘発を切り捨てる構築も珍しくない。
当然、厄介なモンスターを壊獣や《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》で退かしてから全体除去、という動きも不可能である。
そのため、構築は自ずと《青眼の白龍》3枚+《青き眼の激臨》を含む魔法カード40枚前後になり、魔法の発動を封じられることは致命傷となる。

  • デッキからしか特殊召喚できない
手札・墓地・除外状態のものには対応していないため、1枚でもデッキを離れると、このカードだけでは総攻撃力が初期ライフの8000に届かなくなる。
いずれもモンスターの召喚・特殊召喚を行うことなくリカバリーすることはできるが、その手段を除去カードなどと同時にバランス良く引けるかは、構築と運に左右される。
仮に仕留めきれなかった場合、残るのは何の耐性もない《青眼の白龍》だけであり、手札も除外されるため巻き返しはほぼ絶望的となる。
灰流うらら》《霊王の波動》のようなリクルート効果を無効にするカードを使われた場合も辛い。
一応、発動に同名ターン1の制限はないため、その場合は2枚目以降を発動することで貫通が可能。

  • 発動したカード自体も裏側で除外しなければならない
裏側で除外する処理における「このカードを含む」の一言が厄介。
単に3か所のカードを除外するだけでなく、発動したこのカードが効果処理時にフィールドに存在していないと、「このカードを含む」という条件を満たせず不発になる(効果が適用できなくなる)。
要するに、このカードはサイクロン》で事実上無効化できる*1という初心者の勘違いのような珍しい弱点を抱えており、フリーチェーンでの破壊や除去に滅法弱いのである。

  • 攻撃宣言時やフリーチェーンでの特殊召喚効果
そうした制約を乗り越えても、このカード1枚で出せる火力の合計は最大9000(攻撃力3000×3)であり、バトルフェイズになって壁モンスターを1体出されるだけでワンキルが大きく遠のく。
例としては《妖精伝姫-シラユキ》《スピリット・オブ・ユベル》レベル6のビーステッドなど。
先攻展開の中で使われたカードに注意を払ったり、相手のデッキから存在を予測したりして、対策を取らねばならない。


相性の良いカード

ここまでは重い制約や弱点ばかりを挙げたが、
  • 《青眼の白龍》をアタッカーとするので、効果モンスターやEXデッキに対するメタがほぼ効かない。
  • デッキの大半が魔法であるため、「閃刀」カードと相性が良い。
  • 召喚・特殊召喚以外の制限はないので、破壊での除去が効きにくいデッキに対しては、コントロール奪取で盤面を切り崩せる。
  • 速攻魔法なので、コントロールを奪ったモンスターで戦闘を行ってから発動するプランも取れる。
  • 効果処理時に場のカードを裏側除外するので、奪ったモンスターを再利用されずに済む。
といった独自の強みも存在する。

先述の弱点への対策も含め、他の後攻デッキではあまり見られないような魔法が活躍することも。

説明不要の全体除去カード群。

こちらも言わずと知れたコントロール奪取カード。
装備魔法をサーチする《アームズ・ホール》は発動コストで《青眼の白龍》を墓地に送ってしまう可能性があるため、《強奪》の使用は素引きが半ば前提となる。

  • 《ビンゴマシーンGO!GO!》
《青き眼の激臨》と同じパックで登場したサーチカード。
《青き眼の激臨》の発動や効果が無効にされた場合も、このカードがあれば最大で3分の2の確率で2枚目をサーチできる。

  • 《打ち出の小槌》《リロード》
手札交換カード。
手札を回せるのは勿論だが、このデッキにおいては《青眼の白龍》がデッキに3枚あるかどうかがワンキルの成功の可否に大きく関わってくるので、手札に来てしまった《青眼の白龍》をデッキに戻せるカードとしても価値が高い。
デッキに戻した《青眼の白龍》が即座に帰ってくる惨事も稀に起こる。

  • 《発禁令》
《灰流うらら》や攻撃宣言時に特殊召喚されるモンスターなどを指名し、ワンキルの妨害を防ぐ。

  • 《閃刀起動-エンゲージ》《閃刀機-ウィドウアンカー》
追加効果で1枚ドローが可能な万能テーマサーチと、そこからサーチできるコントロール奪取カード。
【激臨ワンキル】の長所の1つである、破壊を介さないコントロール奪取での除去を支える。
前者は【激臨ワンキル】とバレていない内は、《灰流うらら》や無効妨害などを使わせるためのブラフとしても機能する。

  • 《月女神の鏃》
EXデッキから墓地に送ったモンスターと同じ種類(融合・S・X・P・L)の相手モンスターをデッキバウンスする通常魔法。
効果外テキストにより相手モンスターによる妨害を受けないため、邪魔な制圧モンスターほぼ確実に排除できる。
【激臨ワンキル】はEXデッキへの依存度が低いため、《共命の翼ガルーラ》などの墓地へ送られた際に発動する効果を持つモンスターを多く採用できる。

魔法が主体の【激臨ワンキル】において、状況に応じた柔軟な対応を可能とする重要カード。
《三戦の才》は2枚ドローも強力だが、コントロール奪取を選択することで、相手に妨害を切るよう迫れる。
《青眼の白龍》を引いたなどの理由でワンキルができない場合、《三戦の号》にチェーンして《青き眼の激臨》を発動することで、《青眼の白龍》を並べながら下記の《大熱波》を用意できる。

【激臨ワンキル】の特権。
次の自分ドローフェイズまでお互いに効果モンスターの召喚・特殊召喚を封じる通常魔法。
メインフェイズ1開始時にしか使えないため、後から引いても腐るのが欠点だが、捲りの初手としてだけでなく、相手に先攻を押し付けられた際の防御にも使える。
通れば相手ターンでも展開できるテーマへの強力な妨害となり、無効にされても《三戦の才》《三戦の号》の発動条件を満たしたり、他の全体除去を通しやすくしたりと、ワンキルの成功率を大きく高めてくれる1枚。

【激臨ワンキル】のサブプランその1。
未界域】や《鎖龍蛇-スカルデット》と組んで暴れた過去を持つギャンブルカードだが、【激臨ワンキル】においては手札・墓地の《青眼の白龍》をデッキに戻せるドローソースとなる。
別の除去カードを引き込めるだけでなく、「閃刀」魔法の追加効果の補助にもなるため、環境次第では大真面目に採用を検討できる。
勿論、居合いドローが本当に成功すれば莫大なアドバンテージを得られる。

【激臨ワンキル】のサブプランその2。
相手から奪ったモンスターをレベル8として扱いX召喚できるランク8。《青き眼の激臨》でのワンキルが見込めない状況での延命手段となる。
これに《No.84 ペイン・ゲイナー》と《No.77 ザ・セブン・シンズ》を重ねてから戦闘を行うことで、X素材を5つ持った《天霆號アーゼウス》を出せる。

  • 《No.23 冥界の霊騎士ランスロット》
レベル8モンスター2体で出せる、攻撃力2000のダイレクトアタッカー。
相手による妨害を一発だけ無効にでき、《青き眼の激臨》で仕留め損なった場合での詰めの一手となる。


余談

  • 【激臨ワンキル】はキーカード1枚から高火力のモンスターを並べる点で【ヌメロン】に似ているが、マスターデュエルで注目された経緯には、まさにその【ヌメロン】が関わっている。
    サービス開始から間もない頃、イベントを効率よく周回できるデッキとして、そのシンプルな動きから【ヌメロン】が人気を博した。
    しかしその流行から、後に開催されたイベントではキーカードが禁止となり、その代替として、《重装武者-ベン・ケイ》などと共に注目を集めた形である。

  • 場では《青眼の白龍》として扱われ、除去効果を持つ《青眼の亜白龍》は、《青き眼の激臨》の発動前ならば発動条件を満たしたまま特殊召喚が可能。
    ただし【激臨ワンキル】において手札を2枚要する(しかも片方はデッキにいてほしい元祖《青眼の白龍》)モンスター単体除去というのは、事故のリスクに見合った効果とは言えず、採用は現実的ではない。

  • 初出である「デュエリストパック-レジェンドデュエリスト編3-」は、このカード以外にも【ブルーアイズ】に関連する新規カードが登場しており、先述の通り《ビンゴマシーンGO!GO!》もその1枚である。
    他の3枚の新規カードの性能はというと
    • 《青眼の白龍》を用いて儀式召喚している場合、攻撃宣言時に相手モンスター全員の表示形式を変更し、攻守を0にしながら貫通効果を得る《青眼の混沌龍
    • 召喚・特殊召喚時に相手モンスター1体の効果を永続的に無効化し、サクリファイス・エスケープをしながら《青眼の白龍》をリクルートできる《ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン》
    • 「ブルーアイズ」モンスター1体に、1ターン限りだが非常に強力な耐性を付与でき、墓地から自身を再セットできる通常罠《強靭!無敵!最強!》
と、堅実なものばかり。《青き眼の激臨》だけ効果が尖り過ぎである。

追記・修正は《青眼の白龍》の素引きにめげずにワンキルを決めてからお願いします。

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最終更新:2025年02月09日 13:46

*1 厳密に言えば発動や効果が無効になるのではなく、正しい効果処理が行えないため不発という形である。