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パチパラ13 ~スーパー海とパチプロ風雲録~ - (2015/02/28 (土) 22:31:17) のソース

*パチパラ13 ~スーパー海とパチプロ風雲録~
【ぱちぱらじゅうさん すーぱーうみとぱちぷろふううんろく】
|ジャンル|ギャンブラーRPG+パチンコシミュレーター|&amazon(B0010LWYWA)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|アイレムソフトウェアエンジニアリング|~|
|発売日|2006年10月26日|~|
|定価|5,040円|~|
|レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~|
|廉価版|愛コレ!アイレムコレクション:2008年2月7日/1,800円|~|
|分類|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|いろんな意味で旧作から飛躍的に進化。|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
アイレムソフトウェアエンジニアリングと企業提携しているパチンコメーカー三洋物産のパチンコシリーズ、『海物語シリーズ』を収録したパチンコシミュレータにギャンブラーRPG「パチプロ風雲録5-青春編-」を収録した作品。~
パチプロ風雲録はパチパラ8から収録されているシリーズであり、パチンコゲームながらギャルゲー要素や妙にシリアスなストーリー(…とバカゲー要素)が特徴的なシリーズであった。旧3作では画面が見下ろし型だったが前作「パチプロ風雲録4-銀玉殺人事件-」で3D化され、同社製作・発売の『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』と同じゲームエンジンを採用したことによってゲームの可能性が広がりを見せた。~
5作目である本作はそこから色々な意味で凄まじい進化を遂げて見事(?)バカゲーとしての地位を確立するに至ったのである。~

**特徴
-4つのモード
--「スーパー海」
---提携先である三洋の人気機種『スーパー海物語』をリアルに再現し、クギや台の寝かせなども調整しながら打つ事が可能。また実践攻略では、軍資金5万円やオリジナルグッズなどのプレゼントに応募できるパスワードが入手できる(現在はすでに終了している)。
--「パチプロ風雲録5」
---オマケモードにして、あらゆる意味での本作のメイン。友人からの頼みで代打ちをしたことから、パチプロの世界へとのめり込んで行くギャンブラーRPG。詳しくは後述。
---「5」とあるが、前作までとはストーリー上の繋がりは無く、旧作のキャラが何人かゲスト程度の出演をするぐらい。本作から初めても問題は無い。
---ちなみにストーリー的な繋がりがある作品は「1」~「3」。「5」と「6」であり、「4」のみが独立したストーリーとなってる。
--「液晶ビュー」
---スーパー海物語の演出だけを抜き出して見られるパート。ホールでは滅多に拝めないレア演出も見られる。
--「お楽しみ」
---パンフレットやデモムービーの閲覧のほか、風雲録で戦ったパチプロとのフリーバトルも可能。

**ストーリー(風雲録5)
時代は昭和末期。県立八原高校を卒業した主人公は、未だ進路が決まっていない事に悩んでいた。~
校庭の桜の木の下で頭を抱えていた時、同じく頭を抱えていた同級生の小川桜子に声を掛けられる。~
「ねえ!君!パチンコ勝負に出てよ!」~
桜子は実家の自動車修理工場を借金の形に差し押さえられていた。~
そしてその工場を賭けたパチンコ勝負に出てくれる人間を探していたのだ。~
断り切れず引き受けた主人公はやがてパチプロの世界に足を踏み入れることになる。~
~
勝負か?恋か?就職か?
**バカゲー要素/評価点
本作のバカゲー要素と評価点。それはパチプロ風雲録5そのものである。
-とにかく自由度が恐ろしく高い箱庭形式になっている。
--パチンコに明け暮れる正しいパチプロライフはもちろん、ひたすら釣りを極めてもいい。グルメに走ってひたすら食べまくる事も、逆に道端のタンポポを食べながら生きる事も出来てしまう。
--清潔度など運に影響するパラメータもあるため、円滑に進めるのであれば「バランスのいい食事をして毎日ちゃんとお風呂にも入る健康的な生活」が推奨される。
--そういうことを意識せず、家を持ち車を買いデートをして…と呑気な昭和ライフを満喫する事ももちろん可能。
--主人公の性別は選択可能。それぞれの性別に応じた楽しみ方ができる。
-カスタマイズの幅も非常に広い。
--服装、髪型の種類は豊富で、組み合わせは自由自在。プレイヤーだけの主人公を作る事ができる。
---時代を反映したファッション、様々な職業の制服、そして雰囲気ぶち壊しの着ぐるみやコスプレと、種類はとにかく豊富。帽子や手袋、眼鏡、靴、手荷物も自在にカスタマイズ可能。
---男性主人公なら髭を生やしたり、女性主人公なら化粧が出来たりも出来、挙句の果てに普段の立ち振る舞いまで変えられる。腰に両手を当てて格好つけたり、モデル歩きで街を闊歩したり、変態の如くダバダバ走りや忍者走行をする事すらできる。
---女性主人公の場合はゲーム開始時にバストサイズも変えられる。ゲーム本編には影響が無い%%ので男の目を引いたりは出来ないが%%。
--部屋も好きなようにカスタマイズ可能。新しい部屋の鍵はパチンコの景品で入手でき、粗末な掘っ立て小屋から二十四時間風呂付の豪華マンションまで選ぶ事が可能。家具もポスターも自由において、「俺の城」にしてしまえる。
---例によって家具の種類も非常に豊富で、テーブルやベッドなどは勿論、骨格模型や西洋の鎧などのネタに走ったものも勿論取り揃えております。
--その他カスタマイズ要素の多くはゲームには関係なく、本当に単なる趣味。だからこそ拘ってしまうユーザーが続出。
-恋愛要素も豊富。
--各恋愛対象との出会いにはこれまた個性的なイベントが用意してあり、ちょっとした恋愛アドベンチャー気分が味わえる。
--出会いイベントをこなして電話番号を入手すれば、いよいよデートが可能。行先やデート中の行動がかなりきめ細かく設定でき、最終的には同棲もできる。
--恋愛対象も男女共に豊富。ヒロインは勿論の事、元同級生、先輩、巫女さん、デブ、病弱、小悪魔系女子、家出娘、好青年、ヘタレ、パチプロ、実は純情なチンピラ、DQN野郎、''保健の先生''、''エロオヤジ''、''ヒロインの母親''と、とにかく色々なタイプが揃っている。
--一部の同性キャラも口説ける。ただし、男性主人公でなければ口説けない男性キャラ(ガチホモ)はいるが女性主人公でなくては口説けない女性キャラ(ガチレズ)はいない。また、攻略条件の関係で、レズ要素を楽しむにはゲーム本編をクリアした後のフリーパートまで進まなければならない。
--ヒロインとの交際もエンディング後限定である。
-パチンコ脳な主人公
--とにかくパチンコで何とかしようとする性格があり、あるイベントで河砂が必要になったときは「パチンコ屋の景品にはないだろうし、どうすればいいんだろう」と頭を抱えてしまう。パチンコ以外にも色々と手はあるはず…というかそもそも土木作業用の資材は専門家に任せなさい。
--ちなみに本シリーズの通貨は「''玉''」。パチンコの玉がそのまま貨幣となっているのである。
--ただし世界観そのものがパチプロを容認しているわけではなく、むしろ一般人にとっては「専業パチプロ=無職」という扱いになっている。主人公は就職も進学も決まらないまま卒業してそのままパチプロになっているから、無職と言われても返す言葉は無いだろうが。
--エンディングによってはパチプロをやめて大手企業に就職する結末もある。尤も、その後のフリープレイでは普通にパチンコが出来る。
-アイレム節全開のイベント
--アイレム作品の例に漏れず無駄に選択肢が豊富。切羽詰った状況なのにラブホテルへ行こうとする選択があったり、真面目なときに限ってネタが紛れ込むアイレム展開。アイレムお馴染みの「そんなことよりおなかがすいたよ」も勿論健在。
--[[絶体絶命都市]]シリーズでは批判された部分だが、本作ではむしろマッチしている。
--選択肢によって主人公の性格が「冷静」「情熱」「慈愛」「鬼畜」のグラフで判定され、デートでの相手との相性に影響する。
---ちなみにメインヒロインである小川桜子の好みの性格は「''鬼畜''」。まさかのドMヒロインである。但し、酷い選択肢を選んで喜ばれるかと言えば、それは別。
--自由度とバカゲー要素が満載でそちらにばかり目が行きがちだが、本編のストーリーはアイレム作品の例に漏れずメイン、サブ問わず基本的に暗めのシリアス路線である。コンセプト故の突っ込み所は多々あるものの、伏線も随所に張られており、全体的な作りはしっかりしている。
---パチンコ勝負が原因で全てを失う者、復讐心に駆られて凶行に及ぶ者と、登場人物の悲劇性は割と容赦が無い。人死にも普通にある。
---ある恋愛対象キャラについては''イベントを最後まで進めると必ず死亡してしまう''。進めなかったとしてもエンディング後には既に亡くなっている。
---ちなみに続編では、メインシナリオ中に''殺害''されてしまう恋愛対象キャラも登場。
--サブイベントも大量に用意されているが、クリアしたからと言って必ずしも大団円で終わるとは限らず、「行動しようがしまいが結果は変えられない」「主人公の所為で事態が悪化してしまう」と言ったような報われない展開もあったりと、アイレム特有の現実主義が垣間見られる。
---逆に選択肢や外見でこう言ったシリアスな流れをブチ壊しにする事も可能。それも自由度の高さ故の楽しみ方の一つである。
-更なるカオス、フリーパート
--一度ゲームをクリアすると、本編の二年後を舞台にしたフリーパートが始まる。こちらは本編以上にブッ飛んだ内容になっている。
--「[[次元戦闘機>R-TYPEシリーズ]]」や「二足歩行自動車((『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』の機体。))」をマイカーとして買えるようになったり、本編とは違った勝負もあったりする。
--特に女性主人公でパチプロ「乾」に「私が勝ったら付き合って」と約束した状態で勝ったときの様子は必見。本編では「飄々とした、掴みどころのない謎のパチプロ」という感じだったのだが、そんなイメージなどかなぐり捨てて「絶対に嫌だ!」と大暴れしBGMにまでケチをつける始末。そこまで嫌がる事は無いのでは……?
-パチンコ勝負
--風雲録シリーズではパチプロ必殺技なるものが存在し、本作においても例外無く登場している。発動すると一定時間効果が持続し、勝負を有利に進める事ができる。
---チューリップを開きっぱなしにする、出玉数を倍にする、''確実に大当たりを出す''、''相手の玉をスローモーションにする''、などもはや超能力の類である。いつからパチンコ勝負は能力バトルになったんですか…?
---一方、玉が全ての役物を通過する、釘を最良の状態にする、と言った使い所に困る技もある。
-主題歌は飯田舞の「花」。他にも彼女が唄う挿入歌が収録されており、いずれも良曲と好評。
--「花」は次回作『6』でも再び主題歌として採用された。また、飯田舞は後に『[[絶体絶命都市3>絶体絶命都市3-壊れゆく街と彼女の歌-]]』の主題歌も担当している。
-その他、ミニゲームまで収録されている。
--釣りにカーレースと、パチンコゲームである事を忘れてしまうほど本格的である。

**賛否両論点/問題点
-パチンコ部分について
--確かにリアルでレア演出も見られるが、収録が一機だけなのはやはり寂しい。
--また、実機と違ってハンドルを固定してしまえるためプレイヤーは見ているだけの時間が結構ある。
-風雲録でのパチンコ
--他のパチプロとの勝負はともかく、生活費を稼ぐためのパチンコが面倒。運が高い場合、ハンドル位置さえ決めてしまえばあとは大当たり演出以外は見ているだけ。
--物語後半に舞台となる「山之上旅館」は高速道路を通らなければ行く事ができず、自動車を買う為に大金を稼がなければならない。一番安い車でも150000玉とかなりの値段であり、もはや苦行である。
---一応、救済処置として一気に玉を稼げる条件をパチンコ勝負にて提示する事が可能だが、これを活用したとしてもある程度は玉稼ぎに精を出さなければならない。
---続編では免許証の更新イベントはあるものの車を買う必要はなくなった。山之上旅館がマップデータごとなくなり、車なしでもストーリーが進むようになったため。また、購入せずとも入手可能な車両も登場した。
--ストーリー中で度々バトルロイヤルなる多人数戦を行うが、これが時間が掛かる。ストーリーを進めたいだけの時はかなり苦痛。
--かと思いきや、ラストバトルはすぐにイベントが起きて中断され、そのままパチンコとは関係無い流れでエンディングを迎える。パチンコゲームですよね…?これ。
---ちなみに前作『4』もラストバトルが存在せず、そもそもストーリー自体がパチンコと殆ど関係ない内容だった。それ以外の作品ではしっかりラスボスとなる人物が存在し、最後はパチンコで決着を付けている。
--ソフト自体がパチンコシミュレーターで、パチンコ経験者を対象としている為か説明書にはパチンコのルールが書かれていない。「パチンコは知らないけど風雲録目当てで買った」と言う人はまず基本的な部分から始めなければならない。
---基本ルールさえ判っていれば問題はない。また、公式サイトには遊び方が記載されている。
--むしろパチンコ要素をカットしてほしい、とまで言われる始末。パチンコゲームとしては本末転倒である。

**総評
パチンコシミュレータとしては平凡ながら、凄まじい進化を遂げた「風雲録」によって名を馳せたレアなタイトル。~
愛コレ!アイレムコレクション(廉価版)で発売されている本シリーズ唯一のソフトであり、人気の高さが伺える。~
パチンコ好きでなくともオススメ出来る、非常に珍しいタイプのパチンコシミュレータである。

**余談
-次回作にもこの路線は受け継がれ、パチパラ14収録の「パチプロ風雲録6-情熱編-」は本作の4年後が舞台の直接の続編となった。凄まじい自由度もしっかり継承されつつ、要素の追加やシステムの改良が施された正統続編である。本作が楽しめたならこちらもオススメである。
--ストーリーの繋がりこそ殆ど無いが、主人公は本作と同一人物であり、本作の登場人物も多数続投している。本作をプレイ済みであればより楽しめるだろう。
-パチパラ8~12に収録されている「パチプロ風雲録1~4」((パチパラ10収録作はシミュレーション風の外伝である))については本作や次作と比べると、どうしても自由度やボリューム、システムの面で大きく見劣りしてしまうが、アイレム節全開のストーリーや魅力的な登場人物、おまけ要素は既に確立されている。本作プレイ後でも興味と機会があったらこちらに手を出すのも良いだろう。
--但し、本作以外のシリーズ作品には廉価版が出ていないので、本作ほど入手が容易ではない点に注意。
-ハードをPS3に移したパチパラ15以降は風雲録は収録されていない。本作が「春」、次作が「夏」の物語であったために「秋」「冬」の物語を待ち望んでいたユーザーもいたのだが……。
--ニンテンドー3DSにハードを移してからは「パチプロ風雲録・花」シリーズとして一応の復活を果たしたが、旧6作の主要スタッフは『絶体絶命都市4』や『バンピートロット2』の発売中止と言った経緯を経て既にアイレムを退社しており、当ゲームもタイトルの通り全く別の作品と化している。そもそもジャンルがアドベンチャーに変更され、旧シリーズの要素はほぼ廃されてしまった。