ミステリオ


+ 日本語吹替声優
加藤精三
1967年アニメ版(東京12チャンネル(現・テレビ東京)版)
緒方賢一
1967年アニメ版(CS版)
高瀬右光
『アメイジング・フレンズ』、1994年アニメ版
坂口候一
PS『スパイダーマン』
仲野裕
『アルティメット・スパイダーマン VS シニスター・シックス』
高橋広樹
『ファー・フロム・ホーム』
速水奨
『Marvel's Spider-Man 2』

坂口氏
高橋氏

マーベルコミックの人気シリーズ『スパイダーマン』シリーズに登場するヴィラン(悪役)。
綴りは「Mysterio」(英語の「Mystery」とスペイン語の「Misterio」を掛けたような名称)。
Dr.オクトパスが結成したヴィランチーム「シニスター・シックス」の一員でもある。
初出は1964年の『The Amazing Spider-Man #13』。

本名はクエンティン・ベック。身長180cm。体重79kg。
幼い頃から映画が好きで自主制作映画も撮っており、成人後に映画会社へスタントマン兼特殊効果デザイナーとして就職する。
やがて裏方に退屈を感じてきたベックは表舞台を望むが、俳優になれる容姿も監督になれる技量もなかった事に悩んでいた。
ある日、友人からの助言で自分の知識を活かしてスーパーヒーローになれば有名になれると思い立つ。
当初は新聞によってヴィランとして書き立てられていたスパイダーマンを倒す事を目的として行動を始めたが、
調査によって彼が実はヒーローである事を知ると、今度はスパイダーマンを悪役に仕立て上げようと、なりすまして悪事を働く。
そしてヒーローとしてスパイダーマンと対決した末に敗北、自身こそが偽スパイダーマンである事を暴かれてしまい、
ヒーローになる事が不可能となったため完全にヴィランに転向した。

以後はスパイダーマンの最大の宿敵の一人として度々対決を繰り広げた他、キングピンに雇われてデアデビルと対決した事もある。
自分の使っていた薬品で脳腫瘍を患った事が判明したベックは、自身の最後の戦いとしてスパイダーマン打倒を志すも、
当時のスパイダーマンがクローンであった事からクローンを倒してもオリジナルに勝った事にはならないと失意のどん底に陥り、
やがてデアデビルを「自分も彼もヒーローとヴィランの業界では二軍に過ぎない」という勝手な共感の念から最後の対戦相手として選択。
あらゆる手段を駆使してデアデビルを追い込み、彼を発狂させようとするも、デアデビルの強靭な意思の前に全ての作戦を破られ、
さらには正体を暴かれた末にデアデビルに殺されるという「華々しい最後」すらもデアデビルに拒絶されてしまう。
加えて「お前の作戦はB級映画で、誰かの劣化コピーに過ぎない」ともう見た過去に対決したヴィランとの類似点を指摘され、
実際にクレイヴンの最期を参考にした作戦だったため、あらゆる意味で自身の存在を否定された事で心が完全に折れてしまい、自殺を選択した。

その後、弟子にして2代目のダニエル・バークハートや3代目のフランシス・クラムが現れた後、
突如として初代であるクエンティン・ベックと名乗るミステリオが「地獄からの使者地獄から戻ってきた」と称して復活。
ピーターとマイルズの巡り合いという一大事に関わった。
一時は改心して不幸な少女を救うためにメリージェーンと協力して映画を作り大ヒットさせるなどの善行を働いていたものの、
メフィストと契約して地獄から蘇ったのは真実である事が明らかになり、契約を履行するために再びヴィランとして行動するようになった。

ベノムマグニートーの様な特殊能力こそ無いが、前述の経歴に加え、ロボット工学・化学知識を活かした様々な道具を使って戦う。
ヘルメットはプレキシガラスで出来ており、相手から自身の顔を見えなくしている。
特殊効果によって、相手に自分を巨人であるかの様に錯覚させる事も可能。
多彩な能力を見せられるため、複数のゲームでラスボスも務めている侮れないヴィランである。
誰もが思っていたオチ

人気は高く、ゲーム情報サイトIGNで開催された「85th Greatest Comic Book Villain of All Time」にて漫画における最高の悪役に選ばれた。

+ 実写映画での活躍

「一番賢いことを謝らなくたっていいさ」

『MCU』の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』では、Earth-833と呼ばれる異世界からEarth-616世界へ来た謎のヒーローとして華々しく登場。
自らの世界を滅ぼした元素巨人「エレメンタルズ」と勇敢に戦う姿を見せ、トニー・スタークの死に消沈する民衆や、
ピーター・パーカーを支える新たな希望となった。
上述の通りヴィランとして非常に高い人気と知名度を誇っていたミステリオであるが、
既に公開されていた『ブラックパンサー』にて原作のヴィランがヒーローの協力者として登場していた事もあり、
情報公開時には現実世界のファンからも驚きの声をもって迎え入れられた。

+ ──イリュージョン機能停止(※ネタバレあり)

"You are just a scared little kid in a sweatsuit!
  I control the truth! Mysterio is the truth!"

(おまえはスウェットを着て怯えるただのガキだ!
 私は真実を支配する!ミステリオこそが真実なのだッ!)

……当然そんなわけがなく、巨人騒動は全てミステリオの本物と見紛うばかりのホログラム・システムによるマッチポンプであり、
その目的はトニー・スタークがピーターに遺した遺産、防衛AI「イーディス」とその防衛機構及びデータベースの簒奪であった。
ベックは元々スターク・インダストリーの社員だったが、自身の開発した軍事用の高度なホログラム・システムをセラピー用に転換された挙句、
「BARF(嘔吐)」という屈辱的な名前を付けられた事に激怒。
それに文句を言った結果、研究データ全没収の上で解雇されてしまったという過去を持ち、トニーに強い恨みを抱いていた。
そこでトニーの戦死という衝撃のニュースが全世界を揺るがしたタイミングを見計らい、同じようにトニーに恨みのあるスタッフを集め、
今回の異世界ヒーローごっこによるペテンを行い、「トニー亡き世界の次代のヒーロー」の座を奪い取ろうとしたのである
(集めたメンバーの中には、最初の『アイアンマン』でオバディア・ステインの部下だった男も混じっている)。
並行世界Earth-833から来たと言う話も嘘で、本来Earth-833は「スパイダーUK」と呼ばれるスパイダーマンが活躍している世界であり、
そしてMCU世界はEarth-199999であってコミックの世界Earth-616では無いのである。
番号がかぶったのはただの偶然なのだろうが、この話は完全にでたらめだったのだおかげでファンは無駄に混乱させられた*1
(なお劇中でピーターはマルチバースの概念をすんなりと受け入れており、MCU世界でも理論上は提唱されている様子)。

現実と虚構の境目を曖昧にするイリュージョン攻撃の力は恐ろしく、
一度はトニーの死でスランプに陥っていたとは言えピーター=スパイダーマンを撃退するまでに至るが、
ロンドン決戦においては本調子を取り戻したピーターに翻弄され、挙句の果てに奪い取ったAI・イーディスの操る武装ドローンに誤射され、
駆け付けたピーターに「今はどんな荒唐無稽な事でも人は信じる」「人は信じたいものだけを信じる」と言葉を遺し、呆気なく命を落とす。

ヒーローとして振る舞っている時は、ピーターに対しては良き大人として接し、彼の恋愛にアドバイスを送ったり、
また若年であるにも拘らず重大な責務を負わされたピーターの事を「かわいそうに」と同情を見せて気遣っていた。
野望のために犠牲を厭わない姿は疑いようもなくヴィランそのものであったが、彼もまたトニー・スタークの犠牲者の一人だったのかも知れない。

──なおその後、しれっと「自分を殺したのはスパイダーマンだ」というフェイクニュースの遺言をマスコミに流していた事が分かり、
おまけに「その正体はピーター・パーカーだ」と暴露していたせいでピーターを更なる絶望の底(No Way Home)に叩き落とした。……てめえ!

+ 原作:平井和正、作画:池上遼一による日本漫画版
マーベルの許可を得ている日本漫画版(Earth-70019。東映作品のスパイダーマン=Earth-51778とは別の並行世界)では、
エレクトロリザードと並び、アメコミとほぼそのまんまな造形・能力で登場。
しかし鬱展開に定評のある同作でただで済むはずがなく、主人公の小森ユウがスパイダーマンに嫌気が差してヒーローをやめた際、
彼が捨てたスーツを拾って偽スパイダーマンとして活動して強盗を働き、スパイダーマンに汚名を着せるという行為を行ってくれた。
この被害にあったのはユウのガールフレンドであるエレクトロの妹ルミちゃんで、兄の写真を盗まれた彼女はスパイダーマンをますます恨み、
これに怒りを爆発させたユウはスパイダーマンとして復帰、ミステリオと偽物の関係性を疑って決闘を挑むが完膚なきまでに敗北してしまう。
(池上版における最強の超能力者であるユウが敗北したのは、このミステリオとスパイダーマン2の2戦だけである)
さらにその騒動で怪我をさせてしまった子供の治療費を稼ぐため、ユウは超人的身体能力を酷使してスタントマンのアルバイトをしたが、
治療費を持ち込んだタイミングと強盗のタイミングが重なったため、彼自身の善行まで踏み躙られてしまう。
強盗犯としてミステリオに挑まれたスパイダーマンだが、彼はミステリオの能力を封じるために電車上での対決に持ち込み、
超能力を封じる煙を吹き飛ばした後、文字通りの意味で容赦なくボコボコにして正体を暴いた

その正体はユウのバイト先の撮影所にいた、天才的なスタントマンの北川だった。
ユウにとっては気の良い先輩であり、尊敬する人物だったが、主役の影として誰からも評価されない事に嫌気が差し、
自分もヒーローになりたいという考えからスパイダーマンを悪役にして、ミステリオとして退治する計画を立てたのだ。
これによってスパイダーマンの汚名が消える事を確信したユウだったが、その心に喜びはまるでなかった。

「世間から称賛されるヒーローなんてもうまっぴらだ!
 善人ヒーローなんてくそくらえだ~~~~~っ!!」

そう叫ぶユウだが、しかし彼は彼の善性故に、それでも人を助けようとして苦悩していく事になる。

+ 偽りの赤版
マーベル公式許諾でマガジンポケットにて連載された『スパイダーマン/偽りの赤』にもメインヴィランとして登場。
本作は突如としてスパイダーマンが姿を消し、
たまたまスーツを手に入れた日系人青年のユウ(小森とは別人でFNは「尾ノ前 侑」)がスパイダーマン不在のニューヨークを舞台に、
偽スパイダーマンとして奮闘する物語となっているのだが、
終盤になってスパイダーマンを失踪させた元凶として、ミステリオが登場する。

その動機やオリジンについては前述の内容通りなのだが、特筆すべきはその調査能力。
どうやったのかは不明ながらスパイダーマン=ピーター・パーカーという事実を調べ上げた上で、
やはりどうやったのかは不明だが、MJに化けてピーターにスポンサーから提供されたシンビオートを寄生させる事に成功。
最終的にスパイダーマンが暴走して人を襲った所をミステリオとして退治し、ヒーローになる計画を立てていた。

……が、偽スパイダーマンが現れた上にスパイダーマン暴走を食い止めてしまったために計画はご破産。
イリュージョン機能を駆使して一人シニスター・シックスを結成し、二人のスパイダーマンに襲い掛かって苦戦させるも、
MJに化けてピーターを不意打ちしようとした所MJが誰だか知らないユウにぶん殴られたり、
逆にスパイダーマンに化けてユウを不意打ちしようとしたら当然偽物だと知っている本物にぶん殴られたり、
「ターゲットを絞ったイリュージョンは当然それ以外の人間にはバレバレ」という弱点以前の問題を突かれて敗北してしまった。

なお、本作の主人公であるユウは一切超能力を持たず、ウェブシューターとボルダリング技能だけで必死に奮闘する一般人。
それだけに卓越したスタント技能とSFX技術を持ちながら、他人を踏み台にするミステリオの邪悪さが顕著である。
というか素直にヒーローデビューしてればよかったのに……


MUGENにおけるミステリオ

MUGEN1.0以降専用のキャラが2体が確認されている。
どちらもミステリオらしいトリッキーな技を所持しているが、コマンド表が付属していないので注意。

+ JETthePHOENIX氏 & ZVitor氏 & crosspotts氏 & Axellord氏 & RobsonMSH氏製作
  • JETthePHOENIX氏 & ZVitor氏 & crosspotts氏 & Axellord氏 & RobsonMSH氏製作
複数の製作者による合作のミステリオ。
常に残像を発したり、スモークのようなものを炊いている演出が特徴的。
また、ジャンプ中に上方向へ入力し続けていると降下速度が遅くなるという特性がある。
現在は下記の動画の他、海外サイト「The MUGEN Multiverse」でも代理公開されている。

操作方法は『MVC』風の6ボタン方式。
チェーンコンボも可能だが何故か立ち強Pの威力が非常に高く、一回のコンボで200超のダメージを叩き出せたりする。
ただし空中強攻撃でダウンを奪えず、コンボも繋がりにくい等、エリアルレイヴはほぼ死んでいる点には注意。
なお、空中食らい状態から復帰する際に姿を消して瞬間移動したように地上に現れる演出があるのだが、
この時に喰らい判定も消えるので、実質喰らい抜けのような状態になると言うちょっとインチキ臭い仕様になっている。

必殺技はバリアや相手の背後を取るテレポート、不可視の飛び道具で相手を引き寄せて無防備にする技がある。
超必殺技は相手の背後に分身を出現させるものが一つのみと少ないが、これが中々の曲者。
性能的には分身と本体で前後から攻撃出来る(モリガンのアストラルヴィジョンのような感じ)という、
イリュージョンで相手を幻惑するミステリオらしい技なのだが、この状態でテレポートを使うと分身と本体が重なり、なんと攻撃力が2倍になる。
しかも再度分身発動→テレポート…と繰り返す事が可能であり、4~5体ほど重なれば通常の相手チェーンコンボ一発で即死する
ど、どういう事なの……。

AIはデフォルトで搭載済み。
ただし簡易的なもののようで、正確には動かない。
紹介動画(DLリンク有り)


+ Candido159氏 & Shining氏 & LESSARD氏 & JARRO77氏製作
  • Candido159氏 & Shining氏 & LESSARD氏 & JARRO77氏製作
こちらも複数製作者によるミステリオ。
下記の動画の他、「The MUGEN Multiverse」でも代理公開されているが、そちらは古いバージョンなので注意。
ドット絵Dr.ドゥームユリアンがベースとなっており、カラーバリエーションも11色と豊富。
また、UnoShe氏の「Uno Tag System」にも対応している。

対人向けのAIがデフォルトで搭載されている他、ホルン氏による外部AIも公開されている。
恒例のコンボ・立ち回り・反応・ガードレベルに加え、アドバンシングガードの頻度を設定可能。
想定ランクは強~凶下位との事。
また、Splash氏によるPS版のボイスに差し替えたキャラも公開されている。
DLは下記の動画から
Splash氏改変版(DLリンク有り)


出場大会



*1
……でたらめのはずなのだが、スピンオフドラマである『ロキ』では『MCU』世界にEarth-616のナンバーが振られている事を始め、
『MCU』のスタッフがこの宇宙の事をEarth-616と呼称し始めており、いつどの事件が切っ掛けかなのは不明だが、
現在のMCUのアースナンバーが616に変更された可能性が生じている。
そのため、ファンの間では「何故ミステリオはこのアースナンバーを口にしたのか?」とますます混乱が広がる事に…。
一方で『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では199999と呼ばれており、
公式でも確定していない若しくは敢えて曖昧にしている模様。
或いは『MCU』の住民から見れば自分達の世界が「正史=Earth-616」という解釈なのかもしれない。


最終更新:2024年05月16日 09:20