キングピン


+ 日本語吹替声優
麦人
『アメイジング・フレンズ』、1994年アニメ版
大友龍三郎
『デアデビル(2003年映画版)』『新アニメシリーズ』
玄田哲章
『スパイダーバース』、『Marvel's Spider-Man』シリーズ、『ホークアイ』
乃村健次
『デアデビル(2015年ドラマ版)』
いとうさとる
『Marvel's ウェイストランダーズ:ドゥーム』

マーベルコミックの人気シリーズ『スパイダーマン』に登場するヴィラン(悪役)。
でっぷりとした体形のマフィアのボス
「キングピン(kingpin)」という名はボウリングの5番ピンの事(5番ピンは正三角形の並びの中心に位置する)だが、
そこから転じて「中心人物」という意味がある。

初出は1967年。傑作と名高い『スパイダーマン・ノー・モア!』。
周囲からの批判に晒されたスパイダーマンが遂に引退した事を受けて、
彼に牽制されて勢力を伸ばせないでいた暗黒街のギャングをまとめ上げ、
史上最大の犯罪結社を作ろうとする謎のボスとして登場する。

その後、人気が出たためか『デアデビル』や『パニッシャー』にも出張している上、
それぞれのゲーム、映画ではラスボスを務めるなどの重要なキャラクターとして扱われている。

本名はウィルソン・フィスク。身長201cm。体重204kg。
小さい頃は肥満児だったため、学校でいじめられていたのだが、
イジメっ子を見返すために体を鍛えはじめ、素質もあったのかとても強くなった。
そしてかつてのいじめっ子達を脅してギャング団を結成し、暗黒街を駆け上がってゆく。
最終的にはボディーガードをしていたドン・リゴレットを殺害して彼の組織を乗っ取り、暗黒街の顔役となった
(ちなみにそれらの過去を知る者は悉く始末しており、自身の経歴は全て抹消している)。

性格は、やはりマフィアらしく冷酷で攻撃的。
だが、妻のヴァネッサ(素面じゃ負けない人ではない)と、
息子のリチャード(パオパオカフェの店長ではない)には深い愛情を注ぐロマンチストでもある。
自分がギャングである事も家族には隠していたようで、表向きの顔は大企業の社長である(次期市長候補ともされるほど市民からの信頼篤かった)。
しかし妻には薄々その裏の顔を感じ取られていたようで…。
そして、(病気治療の為とはいえ)妻を自分から引き離したデアデビルを憎悪するようになってから、その転落が始まる。

『デアデビル:ボーン・アゲイン』にて偶然からその正体を知ったキングピンは、
部下に不審を抱かれるほどに権力を乱用し、マット・マードックを社会的に抹殺。
売れっ子弁護士だった彼は発狂寸前の状態となり、それをキングピンは文字通り嬲り殺しにした。
……のだが死体は見付からなかった。
デアデビルが再起しようとしている事に気付いた彼は、
とうとう米国の特殊工作員を抱き込み、スラム街とはいえニューヨークのど真ん中で市街戦を引き起こしてしまう。
結果、これによって犯罪者としての素顔を暴かれ、起業家としての信頼は失墜。
父が犯罪者である事を知ったリチャードは、父への怒りから敵対するギャングとなり、
挙句の果てにヴァネッサも夫の事をデアデビルに託して死ぬ展開になり、
最終的には組織も、家族も、全てを失ってしまった。

さらには、『リターン・オブ・ザ・キング』では、全てを忘れて得た第二の妻と家族すらザ・ハンドに殺されてしまった
(キングピンはザ・ハンドの首領を務めたことがあり、ザ・ハンドの掟で足抜けや縁切りは許されない行為であるため)。
今まで重ねてきた所業の報いと言えばそれまでなのだが、それを踏まえても不憫過ぎて……。

ヴィランとしての能力は、あくまでも普通の人間のもの。鍛えただけの人間でしかない。
しかし一見ただの脂肪の塊に見えるが、肥満(デブ)ではなく、全て筋肉である
要は鍛え過ぎて体の内側に収まり切れなくなったからあんな体格になったに過ぎないという事。
アニメ版でスパイダーマンに語った所によると、体脂肪率はたったの2パーセント。なんというアンチェイン
そのため、筋力と耐久力は人類最高レベル。また、相撲の達人でもある。
普段から刀を持ったニンジャやサムライに本気で斬りかからせてそれを投げ飛ばすという方法でトレーニングを積んでいるというから、
無茶苦茶強いのも納得である。スパイディですら正面から挑むと結構な頻度でボコられるくらいだし。
さらに、犯罪組織のボスをやっているだけあって頭脳も明晰であり、部下からも恐れられつつ慕われている。
その上、彼の組織の規模はアメリカをはじめとする数カ国を手玉に取れるレベルであり、一国の元首であるDr.ドゥームと同格に渡り合えたりする。
しかも膨大な財力に飽かせて様々な兵器を買い揃え、独自に新兵器を開発しているというから、始末に負えない
(部下に全身サイボーグのシルバーメインなんてのがいたり、かのブラックキャットの肉体改造に関与してたり)。
何と言うか、バットマンをそのまま悪人にしたようなスペックである。

多数の作品に登場しているだけあって、ゲーム情報サイト「IGN」が開催した「The Top 100 Comic Book Villains」では、
キャットウーマントゥーフェイスを抑えて10位となった。

+ 映像作品における活躍
90年代にカートゥーンで放映されたアニメ版においてはメインのヴィランとして物語全体を通し暗躍する。
オズコープ社の株主として非合法な繋がりを持っていることを皮切りに、
インシディアシックスの結成やフェリシア・ハーディのブラックキャット化、
スパイダースレイヤー製造に、宇宙から飛来したシンビオートを秘密裏に回収しようとする等多くの事件を裏で操った。
特にドックオックを顎で使ってスパイダーマン対策する姿は印象的で、
嫌がって抵抗する彼を脅迫のためにヘリコプターから突き落として宙吊りにし従わせる場面は迫力満点。
その割に素顔を暴くチャンスを自分から潰してしまうというポカもあったが
原作と異なり家族愛も持ち合わせておらず、実の息子すら保身のために見捨てるほど。
初期から登場し(日本では未放映の)終盤まで敵として君臨し続ける抜群の存在感を放っていた。

2003年に制作された『デアデビル』の映画ではマイケル・クラーク・ダンカン氏が演じている。
知らない人にも分かりやすく言うと『グリーンマイル』の優しい巨漢・コーフィ役の人である
(あるいは『レジェンド・オブ・チュンリー』のベガじゃない方のバイソン。同じくMUGEN入りしている『シン・シティ』のマヌートもこの人)。
やさしげだったコーフィ役の面影を微塵も残さない悪魔のようなヴィランっぷりと、独自の美学を兼ね備え、
原作設定通りの圧倒的な筋肉で、デアデビル最後の敵として立ち塞がっている。
なお、原作での人種は白人だが本作では演者の関係で黒人となっている。
マットの父親を殺した八百長組織のボスであり、現在では大企業のトップとして街に君臨。
さらにはヒロインであるエレクトラの父親とも長年事業提携をしてきたが、
裏稼業に嫌気がさした彼から手を切られかけたことで、殺し屋ブルズアイを雇い入れて殺害。
そして同時に自分を裏切った情報屋の娼婦も始末するなど、自分の手を汚さず邪魔者を排除することで、正体不明の犯罪王となっていた。
しかし、そうした痕跡を丹念に辿って自分の正体を突き止めたデアデビルが、自らのビルに乗り込んで来るに至り、
マットの父を殺したのが自分である事を明かし、「自分もブロンクス育ちだ」とストリート上がりの流儀として、1対1での決戦に挑むという、
単なる悪役にとどまらない、かなりの存在感を持ったキャラクターである。
最後はマットに自分を殺すよう挑発するが、あくまで復讐ではなく正義のために動くことを誓った彼によって逮捕、収監された。

2015年に制作されたNetflix専用ドラマ『デアデビル』でもメインのヴィランとして登場。
演じるのは『フルメタルジャケット』の微笑みデブことヴィンセント・ドノフリオ氏。
原作通りギャングのボスであり、敵対者を容赦なく殺害する冷酷さや、警察や司法にまで己の息がかかった者を潜り込ませる狡猾さを持つ。
だが、同時に心を許す女性ヴァネッサに対しては無償とも言える愛を示し、
またその行動動機は私欲ではなく故郷ヘルズキッチンの復興である事が明言されている
(なおヘルズキッチンが復興の必要があるほど破壊されたのは、世界観を同一とする映画『アベンジャーズ』の最終決戦が原因)。
単純に悪党とは切って捨てられない複雑な内面を抱えた人物として描写されており、
ドノフリオ氏の繊細な演技と相まって、事実上『デアデビル』のもう一人の主役とも言える存在感を放つ。
言ってみれば『デアデビル』の主役のマット・マードックとは、
「手段に相違があれども街を愛しよりよくしたいという目的は同一」という意味で合わせ鏡であり、
また「非合法のクライムファイターとして悪党と闘うマットと、ギャングとして手段を選ばず街の復興を強引に進めるフィスク」
という意味で似た者同士である。
なお、作中では一貫して本名の「ウィルソン・フィスク」という名で呼ばれており、キングピンの呼称は出てこない。
+ また、原作のような白いスーツではなく紺のスーツを作中で着ているが……以下ネタバレ
また、原作のような白いスーツではなく紺のスーツを作中で着ているが、
これは彼がまだ「キングピンではなくウィルソン・フィスクだから」との事であり、
最終回は逮捕された先の拘置所で壁を見つめる白シャツ姿のフィスクで終わる。
同回においてフィスクは、聖書の良きサマリア人の寓話を引いて自分が街に害をなす悪であった事に気付く描写があったが、
言うなれば『デアデビル』というドラマそのものがマット・マードックがヒーロー・デアデビルになるまでを描くオリジンであったと同時に、
ウィルソン・フィスクがヴィラン・キングピンになるまでを描くオリジンでもあったという事である。
その後ネトフリMCUドラマの展開終了で黒歴史になってしまうのでは?と思われてきたが、
ディズニープラス配信ドラマ『ホークアイ』で再登場を果たしファンを驚かせた。


"Vanessa…Richard…Vanessa, it's me! You know me?
 Don't go! Stay with me, Please!"

(ヴァネッサ…リチャード…ヴァネッサ、私だ!わかるだろ?
 行くな!ここにいてくれ、頼む!)

2018年公開のアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』でも物語の中心となるヴィランとして登場。
スパイダーマンと戦闘中の姿を目撃したヴァネッサとリチャードが、彼から離れる途上で自動車事故を起こし死亡。
「妻子が死んだのはスパイダーマンのせい」と逆恨みしてピーターを殺害、
傷心の彼がDr.オクトパス(女性)に命じ、別の世界の二人を連れて来る為に量子加速器を開発させた事が、物語の発端となる。
なお、結局それで別の世界のスパイダーマン五人を呼び寄せたのみならず、一時的に繋がった別の世界(それも複数)の妻子にも、
またスパイダーマン(マイルズ・モラレス)と戦闘中の姿を見られ逃げられるという全く同じ結果に終わった。因果は収束する
あらゆる人々を裏切り続け手段を選ばずに全てを手にしてきた悪の帝王が、
最後の最後に唯一護りたかったものを最悪の形で失う(彼はどの並行世界においても妻子からだけは拒絶されてしまうのである)
というまさしく因果応報である…。
最終的にスパイダーマン達に敗北、逮捕された。

+ ゲーム作品における活躍
"Your ridiculous little vendetta ends
 now Punisher!"

(くだらん復讐劇は ここで終わりだ!
 地獄へおちろ!パニッシャー!!)

カプコンのベルトアクションゲーム『パニッシャー』でも最終ボスとして登場している。
ページ冒頭のgif画像はその時のものだが、これがまたデカい。説明不要ってくらい。
…が、流石に原作と比べてもデカ過ぎたらしく、スタッフは後でマーベルから盛大に叱られたそうな。
しかしこのデカいキングピンをパニッシャーやニックは持ち上げる事が可能だったりする。なんなんだこの常人共

また、2018年にPS4向けに発売された『Marvel's Spider-Man』では本名名義かつ黒スーツで登場し、
ゲーム開始直後のチュートリアルステージにおけるボスを務める。
前述の通りあくまで鍛えた常人以上の何物でもない…はずが、戦闘時では、
拳を振り下ろすだけで石の机を粉々にしたり、蒸気パイプを凹ませたり、床が抜けて崩壊したり、投げた石机を逆に投げ返されても怯む程度で済んだり、
タックルがホバー移動&ホーミング機能付きだったり、スパイダーマンを捕まえて投げ飛ばしたらその先の壁を突き抜けて別の部屋に着いたり、
高所から床を突き抜けながら落下しても平然と戦闘を継続したり
と、いくら超筋肉質と言えども明らかに人間をやめている
戦闘後は警察に捕まり連行されるためゲーム内での出番こそ少ないが、
作中ではNYの裏社会を強くコントロールし、(あくまでヴィランとしてではあるが)一定の秩序を保っていた事が何度も強調されている。
事実、彼の逮捕によりNYでは統率されていない犯罪者が跋扈し治安が急激に悪化、
彼と癒着していた汚職警官の公職追放や、これを好機と見た新たなヴィランの出現により、街は新たな混乱に見舞われる事となる。
なお、スパイダーマンからの人物評は「フィスクは市民を人質に取ったりするような真似は絶対にしない」との事。


MUGENにおけるキングピン

カプコンのゲーム版『パニッシャー』のドットをベースにしたものが3体確認されている。

+ SLotman氏製作
  • SLotman氏製作
現在は正規公開されていない模様。
上記の通りドットのベースとなっているのはカプコンのゲーム版『パニッシャー』。
ハルクと互角の体格を誇り、横幅もあるため異常な存在感である。
元がベルトスクロールアクションのキャラなので技は少なく、動きもややぎこちないが、その分個々の威力が強烈なパワーキャラに仕上がっている。

操作方法はシンプルな4ボタン方式で、超必殺技を持たない代わりに必殺技でゲージを少量消費する仕様となっている。
元ゲー同様ステッキによる殴打やステッキからのレーザー、気絶効果のある葉巻の煙等で戦う。
ストライカーを呼び出して銃撃する技もあるが、やって来るのは何故か名無しの超戦士1P。…なんでこの人選なのかはわしにも分からん・・・・
ちなみに煙攻撃は気絶→気絶と延々繋げられるため、ゲージがある限り相手をハメ続ける事が出来てしまったりする。
AIは搭載されていない。

+ Luigi-Master氏製作
  • Luigi-Master氏製作
現在はリンク切れにより入手不可。
上記のものを『MVC』風の6ボタン方式に改変したもので、チェーンコンボやエリアルレイヴが可能。
なお、カラーパレットの共有が上手くいっていないのか、デフォルトカラー以外は妙な配色になってしまっている。

技構成は変わっていないが、葉巻の煙幕攻撃が3方向に撃ち分け可能となっている他、名無しの超戦士を呼び出して援護させる技が超必殺技に格上げとなり、
呼び出すキャラもカプコン版に登場した雑魚敵「クール」(トレンチコート着てマシンガン持った奴。この人ではない)に変更されている。
ちなみに葉巻攻撃の弱・中版には改変元同様気絶効果があるのだが、相手が気絶中は使用出来なくなった…かと思いきや、
実は気絶が解けるギリギリのタイミングで使用可能となっており、シビアながらもハメ殺しが可能だったりする。
AIは搭載されていない。

+ Gartanham氏製作
  • Gartanham氏製作
上記Luigi-Master氏のキングピンにGartanham氏が更なる改変を施したもので、MUGEN1.0以降専用。
現在は下記の動画及び海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されている。

ニュートラルポーズ通常技をはじめとする各種モーションが大幅に変更・描き足されており、
巨体を活かした突進「Shoulder」や踏み付け攻撃「Smash」、ステッキからレーザーを乱射する「Super Cane Laser」など、
必殺技・超必殺技も多数追加。あとレーザーの発射ポーズが妙にスタイリッシュ
また、援護で呼び出されるキャラがブルズアイに変更されている他、
その強化版とも言えるカーフューのマジックブレイク「Henchmen」では多数の部下(とブルズアイ)に四方から銃撃させ、
自分はちゃっかりバリアを張って流れ弾を防ぐというマフィアのドンらしい(?)狡猾な演出が見られる。
他にもガード不能で高威力な乱舞超必「I catch you!!」を所持しているが、予備動作がやたらと長いので潰されやすいのが難点。
しかし相手をボコボコにした後で「Time is money!」の台詞と共に札ビラを叩き付けてフィニッシュという素敵な演出となっているので、
何となく狙ってみたくなるという一種のロマン技である。
2023年11月の更新により、援護攻撃で呼び出されるキャラがブルズアイから車に乗った部下達に、
「I catch you!!」の〆に叩き付けるものが札束とコインに変更され、よりマフィアのドンっぽさが増した。

完成度は高く、AIも中々強いものがデフォルトで搭載されているのだが、
葉巻攻撃のアニメーション表示位置が若干ズレており、煙が額から出ているように見えてしまうのが玉に瑕。
性能も改変元と変わっておらず、相変わらずハメ殺しが可能だったりする。
紹介動画(DLリンク有り)
最新版の演出(DLリンク有り)



出場大会

出演ストーリー



最終更新:2024年12月08日 12:42