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陸奥国 [[大沼郡]] [[野沢組>河沼郡野沢組]] &ruby(ふち){藤}村
&blanklink(大日本地誌大系第33巻){https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1179220} 164コマ目
府城の西北に当り行程5里。
家数28軒、東西4町・南北3町。
東は只見川に近く西は山に&ruby(そ){傍}ひ、南北は&ruby(たんぼ){田圃}なり。
東4町[[牛沢組平井村>河沼郡牛沢組平井村]]に界ひ只見川を限りとす。その村は卯辰(東~東南東の間)に当り15町。
西1里17町50間[[青坂村>河沼郡野沢組青坂村]]に界ひ鶴峯山を限りとす。その村まで1里23町50間。
南3町40間[[牛沢組八坂野村>河沼郡牛沢組八坂野村]]に界ひ只見川を限りとす。その村まで24町。
北8町20間[[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の界に至る。その村は丑寅(北東)に当り25町50間余。
また
未申(南西)の方20町50間[[牛沢組椿村>河沼郡牛沢組椿村]]の界に至る。その村まで30町50間。
**端村
***&ruby(かみふち){上藤}
本村より未申(南西)の方4町にあり。
家数23軒、東西4町・南北1町。
東南は只見川に傍ひ西北は平山なり。
***&ruby(おほまき){大牧}
本村より寅卯(東北東~東の間)の方4町にあり。
家数7軒、東西1町32間・南北20間。
東は只見川に臨み三方は平山なり。
***&ruby(なかくほ){長窪}
本村の西1里にあり。
家数10軒、東西53間・南北40間。
[[牛沢組柳津村>河沼郡牛沢組柳津村]]にゆく道をはさみ山間に住す。
*山川
**&ruby(つるがみねやま){鶴峯山}
端村長窪より戌亥(北西)の方20間にあり。
頂まで5町。青坂村と峯を界ふ。
雑木多し。
**&ruby(しほみねとうげ){塩峯峠}
端村上藤より未(南南西)の方1町30間にあり。
頂まで2町30間。[[椿村>河沼郡牛沢組椿村]]と峯を界ふ。
**&ruby(たたみかわ){只見川}(&ruby(あかのかわ){揚川})
俗に揚川という。下同。
端村大牧の東にあり。
[[椿村>河沼郡牛沢組椿村]]の境内より来り、丑寅(北東)の方に流れ東に折れ34町流れて[[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の界に入る。
広50間。
小舟を以て牛沢組の諸村に通す。
川中に姫淵という所あり。水至て深くその色藍の如し。旱歳にはここに雨を祈る。
**沼
長窪の西17町にあり。
周3町&ruby(よしさはぬま){吉沢沼}という。
**清水
上藤より酉戌(西~西北西の間)の方3町20間にあり。
四方に石を甃し径5寸計のわずかの清水なり。その色油の如し。
*水利
**堤5
一は村より酉戌(西~西北西の間)の方11町計にあり。周3町、&ruby(さかしたつつみ){坂下堤}という。慶安3年に築く(1650年)。
一は端村上藤より戌亥(北西)の方5町計にあり。周1町20間、&ruby(さはたつつみ){沢田堤}という。萬治元年(1658年)に築く。
一は村より戌亥(北西)の方8町にあり。周1町10間&ruby(もりのさはつつみ){森沢堤}という。萬治2年(1659年)に築く。
一は村より酉戌(西~西北西の間)の方8町計にあり。周1町50間&ruby(よしがさはつつみ){吉沢堤}という。
一は村より戌亥(北西)の方10町にあり。周1町3間&ruby(すけのさはつつみ){菅沢堤}という。
*神社
**御稷神社
|祭神|御稷神?|
|相殿|熊野宮|
| |山神|
| |石神|
|鎮座|不明|
村北1町40間にあり。
鳥居あり。上野尻村平野左仲が司なり。
**御稷神社
|祭神|御稷神?|
|相殿|稲荷神|
| |宗像神|
| |白山神|
| |天神|
| |大明神|
| |第六天神|
|鎮座|不明|
端村上藤より戌亥(北西)の方50間にあり。
鳥居あり。清野飛騨これを司る。
*寺院
**真光寺
村より申(西南西)の方2町にあり。
慶長2年州智という僧建立し、会津郡中荒井組出尻村にあって日根山心光寺と號す。後ここに移し恵日山真光寺を改む。
曹洞宗会津郡南青木組北青木村善龍寺の末寺なり。
本尊釈迦客殿に安ず。
***薬師堂
境内にあり。
*墳墓
**石塔
端村上藤より戌亥(北西)の方3町にあり。
高3尺5寸、『舘荘院殿全嚴元公居士』と彫付けあり
城四郎重範(長茂)が墓なりという([[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の条下を併せ見るべし)。
*古蹟
**館跡
村西3町、1段高き所にあり。
東西3町12間・南北1町7間。
猿戻城という。
往昔この村は越後にゆく別経なりし故、城四郎長茂ここに築いて&ruby(ほうきょう){封疆}((領土の境目))を守りし所にして28館の一なりという。
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-Google Map
--[[藤村地区>https://goo.gl/maps/XBbr5yt2xH5YrZnN7]]
--[[上藤地区>https://goo.gl/maps/EPGUNJP1jHciXUKZ6]]?
--[[大牧地区>https://goo.gl/maps/Am3uhqMsj7nFQB199]]?
--[[長窪地区>https://goo.gl/maps/4yDDqHFKUWw9bjGt9]]
--[[鶴峯山>https://goo.gl/maps/4KANn541BDrk5oBL9]]?
--[[鶴峯山>https://goo.gl/maps/4KANn541BDrk5oBL9]]?
--[[塩峯峠>https://goo.gl/maps/V7esLNdbzCZjcPe88]](県道151号線山都柳津線)
--[[御稷神社>https://goo.gl/maps/vZia9BRZ1L5EcCSs7]](村北)
--[[正一位御稷神>https://goo.gl/maps/wzhz7J2wsNQqMMnG8]](上藤の北西)
--[[真光寺と地蔵堂>https://goo.gl/maps/38itpfNqeY9Z1bKs8]]
--[[藤村猿戻城跡地>https://goo.gl/maps/k3xP6sipTh6t4JTq7]]
--[[天満宮>https://goo.gl/maps/x4osx18rDnoTcNG1A]]
余談。
会津古塁記には『藤村猿戻城 東西七十間南北九十間槻木森山に有り。永延二年戊子城四郎重範築いて成らず討死す。是八舘之元也俗曰城四郎長茂と有大に誤也其間百九十四年違』と記載されています。城四郎長茂はこの城を築いたのに入城する事無く討死してしまったんですね。なお、端村上藤の北西に彼の墓があるとの事ですが、どこにあるのかさっぱりわかりませんでした。
参考:[[会津古塁記>http://aizufudoki.sakura.ne.jp/tatakai/tatakai17.htm]]
陸奥国 [[大沼郡]] [[野沢組>河沼郡野沢組]] &ruby(ふち){藤}村
&blanklink(大日本地誌大系第33巻){https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1179220} 164コマ目
府城の西北に当り行程5里。
家数28軒、東西4町・南北3町。
東は只見川に近く西は山に&ruby(そ){傍}ひ、南北は&ruby(たんぼ){田圃}なり。
東4町[[牛沢組平井村>河沼郡牛沢組平井村]]に界ひ只見川を限りとす。その村は卯辰(東~東南東の間)に当り15町。
西1里17町50間[[青坂村>河沼郡野沢組青坂村]]に界ひ鶴峯山を限りとす。その村まで1里23町50間。
南3町40間[[牛沢組八坂野村>河沼郡牛沢組八坂野村]]に界ひ只見川を限りとす。その村まで24町。
北8町20間[[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の界に至る。その村は丑寅(北東)に当り25町50間余。
また
未申(南西)の方20町50間[[牛沢組椿村>河沼郡牛沢組椿村]]の界に至る。その村まで30町50間。
**端村
***&ruby(かみふち){上藤}
本村より未申(南西)の方4町にあり。
家数23軒、東西4町・南北1町。
東南は只見川に傍ひ西北は平山なり。
***&ruby(おほまき){大牧}
本村より寅卯(東北東~東の間)の方4町にあり。
家数7軒、東西1町32間・南北20間。
東は只見川に臨み三方は平山なり。
***&ruby(なかくほ){長窪}
本村の西1里にあり。
家数10軒、東西53間・南北40間。
[[牛沢組柳津村>河沼郡牛沢組柳津村]]にゆく道をはさみ山間に住す。
*山川
**&ruby(つるがみねやま){鶴峯山}
端村長窪より戌亥(北西)の方20間にあり。
頂まで5町。青坂村と峯を界ふ。
雑木多し。
**&ruby(しほみねとうげ){塩峯峠}
端村上藤より未(南南西)の方1町30間にあり。
頂まで2町30間。[[椿村>河沼郡牛沢組椿村]]と峯を界ふ。
**&ruby(たたみかわ){只見川}(&ruby(あかのかわ){揚川})
俗に揚川という。下同。
端村大牧の東にあり。
[[椿村>河沼郡牛沢組椿村]]の境内より来り、丑寅(北東)の方に流れ東に折れ34町流れて[[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の界に入る。
広50間。
小舟を以て牛沢組の諸村に通す。
川中に姫淵という所あり。水至て深くその色藍の如し。旱歳にはここに雨を祈る。
**沼
長窪の西17町にあり。
周3町&ruby(よしさはぬま){吉沢沼}という。
**清水
上藤より酉戌(西~西北西の間)の方3町20間にあり。
四方に石を甃し径5寸計のわずかの清水なり。その色油の如し。
*水利
**堤5
一は村より酉戌(西~西北西の間)の方11町計にあり。周3町、&ruby(さかしたつつみ){坂下堤}という。慶安3年に築く(1650年)。
一は端村上藤より戌亥(北西)の方5町計にあり。周1町20間、&ruby(さはたつつみ){沢田堤}という。萬治元年(1658年)に築く。
一は村より戌亥(北西)の方8町にあり。周1町10間&ruby(もりのさはつつみ){森沢堤}という。萬治2年(1659年)に築く。
一は村より酉戌(西~西北西の間)の方8町計にあり。周1町50間&ruby(よしがさはつつみ){吉沢堤}という。
一は村より戌亥(北西)の方10町にあり。周1町3間&ruby(すけのさはつつみ){菅沢堤}という。
*神社
**御稷神社
|祭神|御稷神?|
|相殿|熊野宮|
| |山神|
| |石神|
|鎮座|不明|
村北1町40間にあり。
鳥居あり。上野尻村平野左仲が司なり。
**御稷神社
|祭神|御稷神?|
|相殿|稲荷神|
| |宗像神|
| |白山神|
| |天神|
| |大明神|
| |第六天神|
|鎮座|不明|
端村上藤より戌亥(北西)の方50間にあり。
鳥居あり。清野飛騨これを司る。
*寺院
**真光寺
村より申(西南西)の方2町にあり。
慶長2年州智という僧建立し、[[会津郡中荒井組出尻村]]にあって日根山心光寺と號す。後ここに移し恵日山真光寺を改む。
曹洞宗[[会津郡南青木組北青木村]]善龍寺の末寺なり。
本尊釈迦客殿に安ず。
***薬師堂
境内にあり。
*墳墓
**石塔
端村上藤より戌亥(北西)の方3町にあり。
高3尺5寸、『舘荘院殿全嚴元公居士』と彫付けあり
城四郎重範(長茂)が墓なりという([[片門村>河沼郡野沢組片門村]]の条下を併せ見るべし)。
*古蹟
**館跡
村西3町、1段高き所にあり。
東西3町12間・南北1町7間。
猿戻城という。
往昔この村は越後にゆく別経なりし故、城四郎長茂ここに築いて&ruby(ほうきょう){封疆}((領土の境目))を守りし所にして28館の一なりという。
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-Google Map
--[[藤村地区>https://goo.gl/maps/XBbr5yt2xH5YrZnN7]]
--[[上藤地区>https://goo.gl/maps/EPGUNJP1jHciXUKZ6]]?
--[[大牧地区>https://goo.gl/maps/Am3uhqMsj7nFQB199]]?
--[[長窪地区>https://goo.gl/maps/4yDDqHFKUWw9bjGt9]]
--[[鶴峯山>https://goo.gl/maps/4KANn541BDrk5oBL9]]?
--[[鶴峯山>https://goo.gl/maps/4KANn541BDrk5oBL9]]?
--[[塩峯峠>https://goo.gl/maps/V7esLNdbzCZjcPe88]](県道151号線山都柳津線)
--[[御稷神社>https://goo.gl/maps/vZia9BRZ1L5EcCSs7]](村北)
--[[正一位御稷神>https://goo.gl/maps/wzhz7J2wsNQqMMnG8]](上藤の北西)
--[[真光寺と地蔵堂>https://goo.gl/maps/38itpfNqeY9Z1bKs8]]
--[[藤村猿戻城跡地>https://goo.gl/maps/k3xP6sipTh6t4JTq7]]
--[[天満宮>https://goo.gl/maps/x4osx18rDnoTcNG1A]]
余談。
会津古塁記には『藤村猿戻城 東西七十間南北九十間槻木森山に有り。永延二年戊子城四郎重範築いて成らず討死す。是八舘之元也俗曰城四郎長茂と有大に誤也其間百九十四年違』と記載されています。城四郎長茂はこの城を築いたのに入城する事無く討死してしまったんですね。なお、端村上藤の北西に彼の墓があるとの事ですが、どこにあるのかさっぱりわかりませんでした。
参考:[[会津古塁記>http://aizufudoki.sakura.ne.jp/tatakai/tatakai17.htm]]