府城の西に当り行程14里。
家数10軒、東西54間・南北1町20間。
拂川を挟み山間に住す。
東4町56間
九島村の界に至る。その村は辰巳（南東）に当り25町10間余。
戌亥（北西）の方35町24間
下條組西村の山界に至る。その村まで1里15町20間余。
南1里20町計
橡堀村の山に界ふ。
北15町20間
津川町の界に至る。津川町まで1里10間余。
端村
雲前
本村より亥（北北西）の方30町にあり。
家数13軒、東西1町12間・南北2町20間、山間に住す。
昔雲前寺という日光寺の塔頭あり、いつの頃にか廃す。因て雲前寺村と名く。寛文中（1661年～1673年）寺の字を省く。
西山
本村の西19町30間余にあり。
家数4軒、東西1町45間・南北1町18間。
山の八分目に散居す。
山川
出角山
村より亥（北北西）の方25町にあり。
頂上まで5町計。
雑木多し。
高森山
村より申（西南西）の方1里10町計にあり。
頂上まで1里10町計。
西は
下條組西村・
谷沢村の山に連なる。
御筆山
端村西山より申（西南西）の方4町にあり。
登ること8町計。
頂上に東西20間・南北40間計の平地あり。昔傳教山上の岩に梵字を書し故名くという。
硯水石
村西15町計にあり。
高2尺計。
小穴3あり。穴に水たえず、傳教の用いし硯水という。
拂川
源を高森山に発し、村中を過ぎ丑（北北東）の方に流れ
津川町の界に入る。
広5間余。
境内を経ること凡1里18町余。
滝2
共に拂川にあり。
一は村より未申（南西）の方1里5町にあり。高10丈、両部滝という。
一は日光寺の南6町計にあり。高15丈計。側に不動を安ず。
関梁
橋
村中にあり。
拂川に架す。
長5間・幅7尺。
神社
山王神社
端村西山にあり。
日光寺これを司る。
山神社
| 祭神 |
山神 |
| 相殿 |
稲荷神 |
| |
宗像神 |
| |
白山神 |
| 鎮座 |
不明 |
村南にあり。
鳥居あり。村民の持なり。
寺院
日光寺
端村西山にあり。
野州日光山の末寺天台宗なり。醫王山と號す。
縁起に、延暦中（782年～806年）傳教の開基とあり。
昔は七堂の伽藍にて僧房軒をならべ宏麗の梵宇なり。いつの頃よりか衰頽し、文禄元年（1593年）の火災に堂舎・什物焼失し僧侶も離散せり。
慶長年中（1596年～1615年）蒲生氏の臣岡野信春という者、堂宇を再建し新に薬師佛の像を刻み、傳教作の金像を軀内に造篭て本尊とす。
寛政4年（1792年）4月火災にかかり慶長已来のもの残りなく焼失し、佛像等大抵災後の造作なり。また金上遠江守当寺に贈れる書翰も焼失す。その写しあれば下に出す。
二王門
本堂の東にあり。
3間半に2間半。力士の像各1丈余、運慶作という。
鐘楼
本堂の前にあり。
9尺四面。
鐘径2尺3寸『洪鐘銘
大沼郡火玉大工藤内次郎家貞西山日光寺本願嚴敬白 寛正五甲申従歳元禄十六癸未當歳住僧法印沙門圓順記工再鑄畢』と彫付けあり（寛政5年：1793年、元禄16年：1703年）。
本堂
7間四面、辰巳（南東）に向う。
本尊薬師及び十二神将を安ず。
釈迦堂
二王門の東にあり。
9尺四面、戌亥（北西）に向う。
先度ハ火事ニ付而自途中預御届候祝着至極に候 仍板度々所望申候へとも今度之義は餘之事に替候間 乍御造作大数急度被為登申候間 其次而ニ為登可申とても可被下候ハゝ はやく可預候 遅く候てハ夏中之用所ニハ罷立間敷候 兼而被下候者尺たり不申候間 御造作軀請是迄為申候ても無曲候 能〻被仰付間に合候様に候迄可被下候 恐〻謹言
尚〻今般之義ハ御ふしゆうに候間〻急度被下候はゝ 一入可為祝着候
（金上）
四月八日 盛 備（花押）
日光寺 御衆中
- Google Map
- 払川地区（拂川）
- 雲和田地区（雲前？）
- 西山地区
- 出角山
- 高森山？
- 御筆山？
- 硯水石？
- 拂川 - 姥堂川の上流の事でしょう。
- 両部滝？
- 旭滝（日光寺の南）
- 山王神社 - 見当たらず。
- 山神社
- 西山日光寺
- 仁王門と薬師堂が現存しています。
- 仁王門に置かれている2躯の木像金剛力士像は、元々会津の東山東光寺（現羽黒山神社）にあったもので、明治の廃仏毀釈の際（明治11年(1878年)）にこの寺へと移されたと伝えられています。
- 明治の地理院地図には日光寺の西、出角山の方に大黒杉と記載があるのですが、現存していないのでしょうか？
- こちらも参照：村影弥太郎の集落紀行
- ワラダ松峠
- 地理院地図には九島方面に向かう峠の記載がありますが、航空写真を見るかぎり形跡はなく森の中に消えています。
- 神社？（雲前） - 確認できず。
最終更新：2020年10月19日 20:13
