盆(盂蘭盆会)

盆(盂蘭盆会(うらぼんえ)

(会津若松史より)
七月十四、十五、十六日は魂祭(たままつり)のため、家々では仏壇の左右に葉付きの竹を切って立て、精霊菰(しょうりょうごも)と唱える菅草で編んだ菰を敷き、素麺(そうめん)・海草・長大角豆(ささげ)・果物などを飾り、燈明・香華をたむけて、御先祖の位牌へ毎朝膳を供え、昼は団子・素麺の類を供えた。またその家の主人は夜、墓に参り提灯を燈して亡き人を偲んだ。

この三日間は、店を閉じ(すだれ)をかけて家業を休み、夜になれば各門ごとに提燈(ちょうちん)行燈(あんどん)をかけ、町は深更まで人出で賑やかであった。七、八十年前(元文年間)までは戸ごとに篝火(かがりび)を焚いたことがあるが、今はまったく絶えた。市中で火を焚くこ
とは火災のおそれがあるため、禁止されたのである。

※元文年間:1736年~1741年

佛壇飾り

(会津史談会誌より)
佛つくり、盆飾りなどともいって十三日に佛壇を、扉をはずして両側に竹か葦をたて、麻縄を張って、かけそうめん、わかめ、ほうずきなどをかけて飾る。盆棚或は法界棚などという。特別な佛壇をつくるようなことはしない。他の地方には別個によく手のこんだ飾りつけを施した法界棚をみうける。然し古くは別の精霊棚をつくったこともあるらしく、田島地方の風俗帳には、十四日の宵に聖霊棚をつくり、佛像、位牌、名号を持佛堂より移すとみえる。十四日に佛を迎えてくるのであるが、それまでは佛が留守なのか、十四日よりは墓に佛が留守になるのか、それとも墓と佛壇と双方に祭る風が古くからあったのか、この辺が盆行事の信仰に関する重要な問題であろう。


関連

冬木沢参り(ふゆきざわまいり)
(会津大事典より)
河沼郡河東町冬木沢にある真言宗八葉寺内の阿弥陀堂(国重要文化財)に、死後100日を過ぎた新仏の霊を供養するため、八月一日から七日の間のお祭り中に参詣することをいい、会津高野山ともいわる。
平安のころ、この寺の開山空也(くうや)上人が、会津各地に散らばっている死霊の骨を拾い集めて供養したのが起こりと伝えられる。
多くは木製五輪塔地階に、死者の遺髪・歯などを納める。現在約一万数千個を越える五輪塔が、奥之院に国重要文化財と保存してある。
また境内には、空也清水、閻魔十王堂、空也上人墓、開山堂が並び、戦前はここでオワカ様という霊媒巫女(みこ)がいた。死霊を招き、祖霊との対話・口寄せをして、人々が泣きながら帰宅したので、七月朔日を「泣きの朔日(ついたち)」ともいっている。
奥之院前には芭蕉の「父母のしきりに恋し雉の声」の句碑がある。紀伊高野山の句碑を写したものであろう。また空也念仏踊りも国の重要文化財として保存され、近年納骨地も確認された。


最終更新:2025年08月13日 19:22