大気圏突入(ガンダムシリーズ)

登録日:2020/03/12 Thu 17:00:00
更新日:2025/04/20 Sun 20:11:34
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「バリュート無しで持つのか!?」


ガンダムシリーズでよく見られる状況の一つ。
初代作品から多くのシリーズで採用され、時に危機的状況をどう打破するかというテーマに扱われたり、多くのキャラクターの運命に関わる重要な場面であったりする。
なお、本項目では成功例失敗例*1の二つに区別して紹介する。



大気圏突入の説明

正確にいうと地球由来のモノが一度宇宙に出てから大気圏内に戻ることを「大気圏突入」と呼び、隕石などの外部のモノが入るときは「大気圏突入」と呼ぶ。
なにぶんこの記事に載っている兵器や人材は 地球外で生成されたものが珍しくない ためおそらく作中世界では「大気圏突入」で統一しているのかもしれない。
凄くざっくり説明すると、宇宙から地球に降りる事を言う。
しかし無重力かつ空気の無い宇宙から、強力な重力と空気の塊である地球に降りる物体は、重力によって猛烈に加速されると共に、
その余りの速度により物体表面と大気との間にめっちゃすごい摩擦熱が発生し、物体表面の熱量が非常に高くなる。

……と、アニメ本編中でも説明されることが多いが、大気圏突入時の加熱が空気との摩擦熱によって生じるというのは間違いである
(『ガンダム』以外でも『ウルトラQ』第13話「ガラダマ」では「地球は厚い空気の層に包まれているから、地球に届くまでにほとんど(の隕石)が摩擦熱で蒸発してしまう」と説明されている)

実際には断熱圧縮と呼ばれる現象によるもので、運動する物体の表面にある空気が高密度になる事で温度が上昇するのが原因。
宇宙空間から地球へ落下する物体はマッハ30前後という途轍もない速度となり、
そして運動する物体があまりに高速になると、物体表面の空気は逃げられずに圧縮されて圧力が高まり、その結果として高熱が発生するのである*2*3
まあ摩擦にせよ圧縮にせよ「地球に落ちる際に無くなる位置エネルギーを運動エネルギー、更に何らかの方法で変換して放出しないといけない*4。通常は熱エネルギー化以外選択肢はない。」だと思えばよい。

そのため理屈上、ごくゆっくり*5と大気圏に突入することができれば高熱に晒されることは無い。
しかし、低速で大気圏に突入するにはマッハ30前後の速度からエンジンだけで減速し、更に重力による加速にも抗い続けるための膨大な燃料が必要となり、
その分機体が大きく重くなってコストも跳ね上がるため非現実的である。

また、大気圏への突入角度を浅くして大気の薄い上空を通過した場合、高熱に晒されることは無いがその分減速することもできず、
逆に重力によって加速された結果高度も上がってしまい再度宇宙へ飛び出してしまう。
(水切り石と同じように大気圏に弾かれると説明されることがあるが、大気圏は水面のようにはっきりとした境界はないため弾かれることは無い。)

このように大気圏突入は実際は一定以上の速度と角度、そしてそれで生じる熱負荷からは逃れられない行為なのである。
またスペースシャトルや降下カプセルも、空気抵抗などを考えて機体表面が加熱し過ぎないように計算した上で降下しており、
焼却処分する人工衛星ならまだしも生還前提に地球に降下する物体はただ重力と空気抵抗に任せて自由落下している訳ではない。

ともあれ普通に降下すれば超高熱が発生するのは間違いなく、十分な装備と制御がなされていない場合は、MSもパイロットも熱で燃え尽きて大気の塵と化してしまう
また大気圏内に入ったとしても、次に待っているのは重力による超高度からの落下であり、何かしらの対策を用意しなければ地表に激突しバラバラになってしまう可能性が高い。
つまり大気圏突入は非常に危険かつデリケートなものであり、それを戦闘をしながら行うというのは自殺行為でしかないのだ。
という訳でガンダムシリーズにおいて大気圏突入は物語的に重要な意味を持っており、物語を盛り上げるのに一役買う名シーンとなりやすい。




成功例

機動戦士ガンダム

その名も第5話『大気圏突入』で、ジャブローに降下するためにホワイトベースが突入。
その際護衛にあたっていたガンダムが重力に引っ張られた事でホワイトベースへの帰還が叶わず、単独での大気圏突入を余儀なくされた。
腰の中央にあるV字マーク部分からTV版では「耐熱フィルムを射出、それを着込む」事で、劇場版では「耐熱ガスを噴出し、それを前に構えたシールドで対流させ全身を冷却する」事で突破に成功している。

尚、当時連邦ジオン共に大気圏を突破するには、戦艦から分離した小型艇(連邦のサラミスなら大気圏カプセル、ジオンのムサイであればコムサイ)等でしか不可能であり、
モビルスーツでの大気圏突入など考えられなかった時代である。
そんな中、自力での大気圏突入が可能な戦艦ホワイトベース、そしてモビルスーツでありながら大気圏突入手段のあるガンダムは、まさに連邦の技術力の高さを示す象徴と言えよう…
…といいたいのだが、どうも安全性かコストに問題があったらしく、その後の宇宙世紀で誰一人この手段を取ってない。
特にガンダムが使った方の手段はあくまで熱から保護するだけの非常用装備で、著しく加速したガンダムを地上付近で受け止めてもらわねばならずホワイトベースのキャッチが間に合わなかったら そのまま激突して死んでいた。
後述のバリュートはその名の通りパラシュートなので充分に減速した後に任意操作で外してそのまま地上で戦闘に移れるという画期的な進歩をしている。

なお、ホワイトベースには空中で着艦出来た為はぐれずに済んだものの、お互い大気圏突入間際での戦いによって着陸予定地点からズレてしまいジオンの勢力圏である北米に着いてしまった。(本来は南米のジャブロー上空に到着する想定)

ちなみにとあるゲームでは特に何の機能も使わずに無防備で大気圏突入に成功した*8このゲームでのガンダムの唯一の長所といえる。
また岡崎優氏の漫画版で「くそっしょうがねぇな」と妙に軽いノリで大気圏突入を慣行した一件もファンの間では語り草。

上記以外では、後にジオン側の大気圏突入可能な戦艦としてザンジバルが登場している。


機動戦士ガンダムMS IGLOO -黙示録0079-

水陸両用MSであるズゴックを中枢に設けた『ゼーゴック』が登場。
モビルダイバーシステムという大気圏突入を前提とした試作兵器だが、実際はコンテナで包み込んだ攻撃用ユニットを現地でパージして使用、
ゼーゴック本体もパイロットとデータだけ回収し現地廃棄という、試作兵器とは名ばかりの使い捨て上等な流用品の塊である。
中枢にズゴックを用いるのは水陸両用MS特有の機密性・装甲の高さと、地球上での使用の目処がなくなったから。
何気に一年戦争当時の大気圏突破・突入はHLVが一般的な中、機動兵器単体で突入できる貴重品。

作中では、宇宙に打ち上げ中の連邦艦隊を邀撃するため、ヨーツンヘイムにより三回の大気圏突入が敢行された。(ムスペルヘイム運用時を含めると四回)


機動戦士Ζガンダム

僅か7年間の間に大気圏突入はバルーン・パラシュート、略してバリュートと呼ばれる専用追加オプション装備により、当時生産の殆どのモビルスーツが大気圏突入可能になっていた。
このバリュートとはお椀型のエアーバルーンの様なもので、MSや戦艦を包み込み、底部から冷却ガスを噴射して超高熱から保護する。勘違いされがちだが実際に熱から保護するのはバリュートそのものではなく中身の冷却ガスである。
但しバリュートは風船みたいに脆く、僅かな損傷であっという間に裂けて機能を失ってしまう。
作中では地球連邦軍内組織エゥーゴによるジャブローへの降下作戦で、エゥーゴの降下部隊、および妨害を図るティターンズマラサイハイザックなどがこのバリュートを用いて降下に成功している。
この第11話でも、まんま『大気圏突入』のサブタイが使われている。

またガンダムMk-Ⅱは「フライングアーマー」という専用の大気圏突入機能付きSFSを用いることで、
Ζガンダムは機体そのものが「ウェイブライダー形態」に変形することで、大気圏突入を可能にした。
ちなみにウェイブライダー形態は「フライングアーマー」の設計や運用データを基に開発した物である。
フライングアーマーは、バリュートと違い突入中も機動性を保てるのが強みで、劇中ではバリュート展開中の敵MSを後述のカクリコン含め撃破していく様子が描かれている。

一方のΖガンダムは、後述のクワトロを救う為、ウェイブライダー形態となり共に大気圏へ突入した。

特殊な利用として、地上からブースターを使って衛星軌道上手前まで上昇してきたMk.Ⅱを回収する為、成層圏付近までアーガマで大気圏突入し、ギリギリで転向してまた宇宙に戻るという荒業をしたこともある。


機動戦士ガンダムΖΖ

第23話『燃える地球』にて、アクシズ艦隊のダカール降下を阻止すべくアーガマが出撃。
ジュドーΖガンダムで出撃し、キュベレイMk-Ⅱと交戦するが、
グレミーのバウが誤射したのをきっかけに機体制御を失ったキュベレイMk-Ⅱが大気圏へ落下してしまう。
Ζガンダムはウェイブライダー状態でキュベレイMk-Ⅱを救うため突入し、結局止める事のできなかったアクシズ艦隊やアーガマらもバリュートを展開して後を追っている。
なお、この時ジュドーが何故ΖΖガンダムに乗らなかったのは大気圏ギリギリでの戦闘では小回りのきくΖガンダムの方が有利だからと言う理由とグレミーの元にいる妹のリィナを捜索、救出するのが目的があったため。
単独での大気圏突入能力の無いΖΖ(ΖΖも大気圏突入時はMS形態でバリュートを使用する)だとプルを救う事ができなかったため、結果的にはジュドーの選択は間違っていなかったと言える。
また、この際はウェイブライダーのカバー範囲からはみ出てしまうキュベレイの肩部バインダーを自ら破壊する事で降下に成功している。


機動戦士ガンダムUC

映像作品のEP3で、ラプラスプログラムが示した低軌道にて、ロンド・ベル隊とネオ・ジオン軍が交戦状態に入る。
バナージ・リンクスダグザ・マックールを目の前で失った怒りから執拗にシナンジュを追い回すも誤射でギルボアを殺してしまう。
その結果に呆然となったところで乗機ユニコーンガンダムが大気圏に落下し始めてしまうも、同時期に大気圏突入を開始していた輸送艦ガランシェールの船底にへばり付く形で大気圏突入を果たしている。
ちなみにガランシェールは大気圏こそ無事に突破したものの、操舵手の技量不足もあってか着陸には失敗してしまい、砂漠に船体の半分以上が埋もれてしまっていた。
また、それに先立ってロンド・ベルを離脱したリディ・マーセナスはミネバ・ザビを同乗させたデルタプラスで大気圏に突入。地上に無事降下している。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

秘密結社マフティー・ナビーユ・エリンが、秘密裡に発注したΞガンダムをスペースシャトルの形をしたカーゴ・ピサに搭載して大気圏に突入させている。
事前にその行動を察知していたキルケ―部隊によって迎撃されるも、ハサウェイの行動によって無事機体を受領し、戦域からの離脱も成功した。


機動戦士ガンダムF90

F90のミッションパックの1つに大気圏突入装備「Pタイプ」が存在し、
ゲーム機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122」ではこれを用いた大気圏突入を行っている。
非戦闘用の装備であり戦闘力は低い、と長年されていたが、その実「ウェイブライダーに変形できるF90」というべき機体であり、高い機動力を活かした戦闘も行っている。


機動戦士クロスボーン・ガンダムシリーズ

木星帝国に寝返ったザビーネに敗れたキンケドゥは地球に叩き落とされてしまうが、
咄嗟の機転でクロスボーン・ガンダムX1のビームシールドを利用した大気圏突入を行う。
理論上は以前から可能だとされていたらしいが、試したパイロットは歴史上初めてだっただろうと本人が語っている。
というか、コクピットに風穴が開いている状態で大気圏に突入して生きてるのも後にも先にもコイツ位であろう。
に漂っていた所をサナリィの地上支社に救助された彼は、右腕が義手になるという痛手を負ったものの戦線に復帰できた。
また、その後の地球から宇宙への奇襲作戦では、モビルスーツに特大ブースターをポン付けし、
ビームシールドを使った、前述の大気圏突入とは逆の構図での大気圏離脱も行っている。*9

最終話ではドゥガチ本人が乗ったディビニダドを追うトビアのクロスボーン・ガンダムX3が、ディビニダドを格納していた降下用カプセルに便乗する形で共に大気圏に突入。
X1もそれを追ってビームシールドを利用した大気圏突入を再度行った。
こんな短期間に2回も大気圏突入したガンダム*10もそうは無いだろう(特に宇宙世紀では)。

鋼鉄の7人では、トビア一行がSFSのノッセルを使っての大気圏突入を行った。

ゴーストでは、ファントムが核ミサイルを安全に破壊する際に、
一時的にだが地球から宇宙空間へと飛び出し、更に再度地球へと戻っている。
詳しい事は解説されていないが、ミノフスキードライブ搭載機が持つ光の翼によるものだろう。
また、前述のノッセルを使った大気圏突入も再度行っている。

DUSTでは、アンカーがX13に組み付いた状態で大気圏に突入してしまうが、
アッシュの機転で2機の核融合炉用の冷却材を放出し、それを回転シールドで周辺に散布して冷却フィールドを作ることで難を脱した。
なお、この方法は一年戦争に関する書籍を参考にしたと語っており、恐らくはアムロがガンダムでやったそれを参考にしていると思われる。
そしてクライマックスではサイド1・ネオ1バンチコロニーを9000万人の住民ごと地球に軟着陸させる「DUST計画」が発動され、これを巡る攻防が繰り広げられることになった。最終的にコロニーはキャリフォルニア湾に降下*11し、コロニーの人々は地球の大地に降り立った。
このコロニー降下をサポートしたMS集団及びその他少数機も、コロニー周辺での突入に成功している。(最中に脱落、或いは大気圏内での戦闘により大破した機体も幾らかある。)


機動戦士Vガンダム

宇宙世紀153年頃は、ほとんどの機体がビームシールドの使用によって大気圏突入が可能と思われ、宇宙からそのままビームシールドを使わずに地球へ突入するトムリアットや、戦闘中に攻撃を受け降下したものの機体は無事だったゲドラフなど、機体自体も突入に耐えられるようである。

ミノフスキーフライトやビームローターなどの浮遊装置の普及もあり、落下のリスクも低いこの時代においては、再突入はほぼ作戦の障害とはならなくなっている。

ガイア・ギア

小説版とラジオドラマ版でシナリオ展開が異なる本作ではあるが、どちらのシナリオでも大気圏突入が描かれている。
地球逆移民計画による地球降下を企むマハが、マハ・ゲイジスや一部の所属機体による大気圏突入を実施。
それを追撃するアフランシを中心としたメタトロンの部隊が交戦している。
アフランシの搭乗しているガイア・ギアαはフライングフォームへの変形によって大気圏突入を成し遂げた。


機動武闘伝Gガンダム

第24話『新たなる輝き!ゴッドガンダム誕生』にて、ギアナ高地での戦闘直後に決勝戦の地であるネオホンコンへ向かう道中、
本体機動力だけでは間に合わないとゴッドガンダムを成層圏付近を覆うビームロープ(※よく分からないがゴムの様な弾性があるらしい)を使用して急加速をかけギリギリで突入している。
離脱に関してはガンダムファイター達が無茶苦茶なことをやらかす本作では珍しく自力でホイホイ移動はできないらしく、
終盤レインを助けに行こうと最も気合が乗ってた時でもあったが、地球からコロニーに向かおうとした時はガンダム単独での大気圏離脱は不可能としてキャリアーや馬(風雲再起)を用いなければ不可能であった。
実際に乗っていたキャリアーが破壊されて復帰できず自由落下していくだけであった。
また、終盤登場したガンダム連合はロケットにガンダムがしがみついて大気圏離脱するという後にも先にも例のない力技で大気圏を離脱してきた。
この時、よく見るとクロスボーン・ガンダムX1もロケットにしがみついており、結果的に本編終盤の展開を予言する事になった。
あと、グフが宇宙用でもないくせにヒートロッドをロケットの先端に巻き付けるという力技で大気圏離脱してきている


新機動戦記ガンダムW Endless Waltz

が大気圏へ突入し、全て成功している。
ウイングガンダムゼロは直前にアルトロンガンダムから攻撃を受けていたため、突入最中に負担に耐え切れなかった一部装甲が剥離してしまった。
またガンダムサンドロック改とガンダムデスサイズヘルは防御兵装を着けているため無傷で突破できるのは理解できるが、全身火薬庫のガンダムヘビーアームズ改は特に何も装備してないそのままの姿で突破しているのはあんまし納得いかない。


G-SAVIOUR

物語冒頭にて、シンシア達が廃棄された人工衛星に偽装したカプセルで大気圏に突入し、リグ近辺の大西洋の海底に降下している。
そして、議会軍パイロットのハロウェイが搭乗したブグもこれを追跡中に誤って地球の重力に捉われてしまい、同じく大気圏に突入して大西洋に墜落した。
突入自体には成功したものの、落ちた先が深度数千メートルの海底だったため身動きが取れなくなってしまい、耐圧処理もされていない宇宙用の機体だったので水圧で潰されそうになってしまった。
幸い、ハロウェイはたまたま近くで作業中だったマークのグッピーに救助され、機体は海底に置き去りとなった。

マークのMS操縦の腕を端的に表したシーンだが、むしろここで最も目を見張るべきは大気圏に(おそらく何の装備もなしで)突入し、そのまま墜落した挙句、
耐圧処理無しで深海の水圧に晒されてもパイロットを守り抜き、脱出装置も正常に作動させて五体満足で生還させたブグの恐るべき耐久性であろう…


機動戦士ガンダムSEED

まず第1話の冒頭からして大気圏降下カプセルに搭載された4機のジンが地球に降下するシーンで幕を開ける。
この降下カプセルは続編の『SEED DESTINY』に至るまでザフトは何度も使用しており、地上と空からの二方向から攻める大規模攻略作戦で主に使用される。

大半のガンダムは高熱に強いPS装甲の恩恵により、単独での突入に成功している。
物語序盤、地球へ降下するアークエンジェルだが、それを見届けるため殿を受け持った第八艦隊を援護すべく出撃したストライクガンダムと、
執念から攻撃を仕掛けるデュエルガンダム、ついでにバスターも共に落下。
いずれも機体は無事だったが、コクピット内の温度上昇までは完全には防げず、パイロットのキラ・ヤマトは降下後に高熱にうなされてしまった。
アークエンジェルが降下軌道を調整してストライクを艦上に載せる形でフォローしたので、
大気圏突入自体は成功している…というよりもこれはストライクとはぐれないようにするためという意図が大きい。
これによりストライクとの合流には成功したが降下予定ポイントを大きく逸れ、ザフトの勢力圏のド真ん中であるサハラ砂漠に降下してしまうのであった。
またAA自身も、船底部分に「融除剤ジェル」と呼ばれる粘液を展開することで大気圏突入を可能としている。
これはジェルが先に蒸発する事により、蒸発潜熱の原理で本体の表面温度を下げ高熱から保護するというもの。

デュエルとバスターは補助などは無しに突入したが、その後の様子からして無事に着陸できた様である。
ただ、どちらもMS本体の空気抵抗と推力と推進剤だけで大気圏突入時の猛スピードを減殺できるかは不明であり、
描写こそ無いが友軍から何かしらの補助を受けた可能性もある*12が、慌てる様子すらないため恐らく単独で可能。
デュエルとバスターで問題だったことは、敵を深追いするあまり母艦からはぐれたことである。

アラスカの地球連合軍最高司令部がザフトの攻撃を受けた際は、AAを助けるべくフリーダムガンダムに搭乗したキラが再度突入。
今度は戦闘中の偶発的事態ではなく元々大気圏突入を前提に準備・計算していたためか、降下後も体調不良を起こすことは無かった。
後述のシンの例からしても、ストライクの時に体調悪化したのは咄嗟の出来事(と当時の多大な身体的疲労や深刻なストレスも)だったことが最大の原因だった模様。
実際、ストライクの時はエル(後述)が死亡したショックの余りミリアリアの呼びかけで我に返るまでしばらく呆然自失の状態で地球に落下しており、
その姿勢も盾すら構えないただ頭から地球に落ちているだけのものだったため、本来必要な措置は一切取られていなかったと思われる。


◇機動戦士ガンダムSEED ASTRAY

衛星軌道上のデブリ帯で仕事中のレッドフレームをギナが駆るゴールドフレームが奇襲し交戦。
それまでの作業でバッテリーを消耗した状態でなんとか撃退には成功したが、戦闘終了時にはバッテリー切れで身動きが取れなくなっておりそのまま大気圏へ突入してしまう。
母艦であるホームが本編のAAと同様にレッドフレームの真下に割り込む形で回収して事なきを得たが、やはりというべきかサハラ砂漠へ落下して大破。
万一砂漠以外に落着していた場合は船体を地表などに豪快に打ち付けてレッドフレーム共々爆散していたか、海であれば沈没していたかのどちらかだったと思われる。
これによる船体へのダメージは甚大で、更に大気圏内での飛行が出来ない輸送艦である事も災いしてホームは止む無く砂漠に放棄。
後にAAと交戦して大破・放棄されていたレセップス級入手のための元手として現地のジャンク屋にジャンク品として売却された。

◇機動戦士ガンダムSEED MSV

第一次プラント大戦の八・八作戦内にて「切り裂きエド」ことエドワード・ハレルソン駆るレイダー制式仕様が大気圏突入からのザフト基地強襲を行った。
曰く「大気圏外からのダイブ、最高だったぜ!」。
ザフト兵が見上げた太陽からまっすぐレイダーが降下してくるシーンはMSVOPの中でも印象的なシーンの一つ。
また大気圏突入から着陸せずに海上ギリギリまで降下、そのまま超低空飛行しつつ基地を攻撃するというレイダー制式仕様の機動性&突入性能の良さが垣間見えるシーンでもある。

◇機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY

切り裂きエド再び。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後に勃発した南米独立戦争中、連合が流した偽情報に踊らされる形でエドのレイダー制式仕様が宇宙に誘い出され、
衛星軌道上で待ち構えていた「月下の狂犬」モーガン・シュバリエと圧倒的に不利な状況で交戦せざるを得なくなってしまう。
というのも、一度宇宙へ上がって連合軍基地へ向けて再突入を行う算段であったため、エドのレイダーは基地攻撃を前提としたミサイル装備であったのに対し、
モーガンは高い空間把握能力をフルに活かせるガンバレル装備の105ダガーと対MS・MA戦にも優れたMSに搭乗していたのである。
エドは何とか応戦するも徐々に追い詰められて副翼やポッドを喪失し、更に105ダガーから分離してMA形態となったガンバレルストライカーのワイヤー*13に機体を絡めとられ、
そのまま強引に大気圏近くまで牽引されてしまい、なんとか絡みついたガンバレルを破壊した時には既に大気圏への落下は避けられなくなっていた。
大気圏突入用の装備はモーガンと遭遇した時に破壊されており、エドは戦闘の損傷もあって大気圏突入に耐えられそうにないという窮地に立たされるが、
以前ジャンク屋の船がデブリを盾にして大気圏突入を成功させたことを聞いていたことで、付近を落下中だった巨大デブリを同じように盾にすることを思い付き、
取り付いた上で姿勢制御などを(急場しのぎではあるが)行い、レイダーがTP装甲であったことも幸いし、燃え尽きることなく大気圏を突破することに成功。
流石に機体はかなり損耗しており、エドも大気圏突入時の高熱で体調不良を起こしていたが、飛行には支障がない状態だったためにそのまま帰還した。

ユニウスセブン落下テロ事件「ブレイク・ザ・ワールド」では、ロウ達が火星から帰還する際に同行していた火星居住者のディアゴ・ローウェルがアストレイレッドフレーム・マーズジャケットを強奪同然に持ち出してユニウスセブン破砕作業に参加。
大気圏ギリギリまで粘っていたジュール隊所属のシホ・ハーネンフースが大気圏に突入しながらガーベラストレートで破砕を試みる本機を目撃しており、撤退を促したが通信回線を開いていなかったのかそのまま破砕作業を続行しながら降下した。


機動戦士ガンダムSEED DESTINY

ユニウス・セブン落下事件の時に、シン・アスカインパルスガンダムが単独での大気圏突入を果たしている。
ストライクの時とは違い、大気圏突入に際して機体の各部の調整や降下角度の計算の上で降下したためか、パイロットへのダメージは無かった。

また同時にアスラン・ザラ搭乗のザクウォーリアが機体が損傷したまま肩シールドでの大気圏突破を果たしている。
直前の戦闘の影響で突破後に空中分解寸前でシンに助けられたギリギリの状態だったが、何気に量産型のザクがオプション装備無しで単独突破した初の事例。
想定されていないとはいえザフトの技術力の高さがうかがえる。

その後のザフトによるオーブ侵攻の折、アカツキガンダムデスティニーガンダムの交戦に割って入るかのように、
キラの乗るストライクフリーダムガンダムと運搬役のラクスが乗る∞ジャスティスガンダム仲良く手を繋いで突入してきている。
女の子が身代わりパイロットになって大気圏突入の通過儀礼を果たすというのは前代未聞の展開である。
なお、この作戦はキラがラクスの命を狙っているデュランダルの目を欺くために考案したものであり、実際、ラクスがテレビ放送に出演した際は「宇宙のエターナルにいたはず」と思い込んでいたデュランダルを驚愕させた。


機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

ブルーコスモスの残党のパルチザン鎮圧のため、コンパス所属のヤマト隊が物語のOPから実行。
ライジングフリーダムとイモータルジャスティスは航空機形態に変形して、ゲルググメナースとギャンシュトロームは足元にパラシュートのようなものを装備し、足元から落下する形で大気圏を突破した。
技術革新のペースがイカれきっていることがネタにされているCE世界でも大気圏突入は簡単ではないことがわかる。
……のだが、ライジングフリーダムとイモータルジャスティスの航空機形態は機体底面に設置したシールドの表面にライフルを装着するため、ライフルが断熱圧縮の影響をモロに受けている。しかし直後の鎮圧作戦で普通に使用できていたため、耐熱処理かなんかがされているのだろう。やっぱあの世界の技術はイカれているのでは。


機動戦士ガンダム00

太陽炉搭載機はGNフィールドを機体前方へ最大展開する事で突破が可能。
1stシーズン序盤では、プトレマイオスに残っていたガンダムキュリオスガンダムヴァーチェがセイロン島への武力介入を行う為に宇宙から直接突入。
セルゲイ・スミルノフの台詞から西暦には単独で突破が可能なMSは存在しない事、そして単独での大気圏突破が可能なガンダムの規格外さを示した場面だった。
後半には刹那ラッセ・アイオンが搭乗していたGNコンテナが突入した旨が軌道エレベーターに常駐しているオペレータが報告していた。

2ndシーズンでは、プトレマイオスⅡが反政府勢力収監施設に囚われているアレルヤ・ハプティズムの救出作戦で突入した。
減速しないままあえて海面へ突入し、それに生じて起きた大波で反政府勢力収監施設の地上戦力の大半を無力化。
更に大気中に水分が多く含まれた事で天然の粒子撹乱幕が発生、アロウズ側のビーム兵器の威力を半減させる状況を作り出した。
効果は5分程度だったがその間にアレルヤの救出を成功させた。

またブレイク・ピラー事件の際に「成層圏より上のミラーパネルは、断熱圧縮による空気加熱で燃え尽きる」と作中の人物が解説している。
機体が突入した訳ではないが、ガンダムシリーズで断熱圧縮という単語が初めて使用された。


機動戦士ガンダムAGE

第二部のアセム編終盤で、移動要塞ダウネス破壊後にガンダムAGE-2ゼイドラが突入。
前者は元々突破能力があるらしく無事成功するが、後者はゼダスMに守られる事で突破に成功している。
またこのエピソードの予告前のおまけコーナーで、大気圏突入時に発生する高熱の原因は断熱圧縮であると解説された


ガンダム Gのレコンギスタ

終盤にG-セルフカバカーリーダハックが敢行。
カバカーリーは膝アーマー内の耐熱フィルムを展開、ダハックは外装ユニットのダーマを使って降下に成功する。
なお、この時それぞれのパイロットの恋人(とその機体)も一緒に降下しており、
共に死ぬかもしれない状況下で協力して大気圏突破を成功させるというロマンチックなシーンでもあった。
一方、パイロットが失恋したばかりで一人身のG-セルフは単騎でアサルトモードにしつつ前面にコピペシールドを展開する事で割と余裕をもって対処した。


機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

1stシーズン中盤で、地球外縁軌道統制統合艦隊の執拗な攻撃により船へ戻れなくなったガンダム・バルバトスがやむを得ず単独で突入。
当初は脚部が焼け付くなど突破が不可能に思われたが、つい先ほど撃破したグレイズ・リッターの残骸を土台に使う事で熱から逃れ、無事突破に成功している。

その翌週に地球外縁軌道統制統合艦隊のMS部隊がサーフボード状の大気圏突入機器に乗って大気圏突入を成しえ、2ndシーズンでも同様の方法を使ってレギンレイズガンダム・ヴィダールが火星への着陸に成功した。


ガンダムビルドファイターズ

世界大会の予選が行われる中で、全参加者によるバトルロワイヤルが行われた。その序盤でスタービルドストライクガンダムがアビゴルバインと遭遇。
そのまま交戦に入るが、ミサイルの応酬を防ぎきれずに被弾し、その余波で重力に引っ張られてしまった。
この時同盟を組んでいたガンダムX魔王も追いかける形で大気圏突入するが、両機とも無事に成功している。


ガンダムビルドダイバーズRe:RISE

第12話『震える世界』で主役4人の機体がそれぞれ大気圏突入する。
モビルドールメイはかなりガタが来ていたが、ドラゴンモードのヴァルキランダーに大気圏突入機能があったため、その背に乗る形で一緒に成功。
ガンダムジャスティスナイトコアガンダムのアーマーフレームをフライングアーマー代わりにして成功する。
そしてコアガンダムは股間部に格納されていた耐熱フィルムを使っての成功。
まさかのTV版ファーストオマージュというヒロトのガノタっぷりを見せつけてくれた。


◇SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝武化舞可編

はるか昔の『新SD戦国伝 七人の超将軍編』で損傷し宇宙を漂っていた機動武者大鋼に、烈火武者頑駄無の魂が融合して機動武者烈火大鋼として復活。再び天宮の地に降り立った。
大気圏突入の際の熱で色が変色した、というどこかのゲッターロボみたいな設定が存在するが、あちらとは逆に元は黒かったのが赤くなった。


◇Gの影忍

龍虎の章にて、主人公のリョウガはMS忍者(モビルスーツ)「Gの影忍」をもって、敵機を断熱材として扱う大気圏突入奥義「イズナ落とし」を繰り出し、見事勝利を収めた。

…何言ってるか分からないって? 私も分からん。

前述の『鉄血のオルフェンズ』で敵機を断熱材扱いしての突入シーンが放送された際、本作を連想した視聴者も少なくない。
本放送当時、作者のこやま基夫氏もTwitterで言及している。


夢のマロン社宇宙の旅

「「「「「「熱いよ狭いよ熱いよ狭いよ熱いよ狭いよー!!!」」」」」」
SD世界からリアルサイズのMSが戦争を繰り広げている世界に転移してきたマロン社とツアー客一行。
両方の軍から所属不明機として執拗に攻撃を受けるガブスレイ号だったが、大気圏付近にて銃撃を受けその勢いのまま落下。
大気圏突入の際の高温と成長期なのでどんどん膨らんでいくαアジールちゃんのダブルパンチで非常に苦しい目にあったが、ガブスレイ号自体は無傷
中の住民も大した被害も無く地球に不時着する事になるが…。

余談だがこのアニメはサラミスの打ち上げシーンが初めて映像化された事で有名だが、その一隻にSDキャラがまとわりつく形で大気圏脱出までしようとする。
のだがSDグフが砲台に潜り込んだせいで大破してしまう。
ジオンがそれを見て『ゼーゴック』を発明した…かどうかは神のみぞ知る。



失敗例

機動戦士ガンダム

  • クラウン
「しょ、少佐! 助けてください、減速できません! シャア少佐、助けてください!」

劇中序盤でシャア・アズナブル麾下にいたパイロット。
ホワイトベース及びガンダムとの戦闘の最中、大気圏に近付きすぎているとシャアから撤退勧告を受けるが、
ガンダムの妨害もあってそれに従えずにいるうちに重力に囚われ、戦線離脱も叶わずザクⅡもろともに燃え尽きた。
前述の通り、ザクには大気圏を突破できる性能はないため、地球の重力に囚われた時点でクラウンは最早死を避けられない状況にあり、
そのことを察していたシャアは、必死に自分に助けを求めるクラウンにどうすることもできず、「気の毒だが…」と同情するしかなかった。
その後に続けた「しかしクラウン、無駄死にではないぞ……!」という言葉は、この時ガンダムもまたホワイトベースに戻れない状況だったため、
「おそらくはガンダムも一緒に燃え尽きるだろうから、君は一人では死なず宿敵ガンダムと刺し違えるのだ」という心ばかりのはなむけの言葉である。
しかし実際にはガンダムは大気圏突入能力を持っていたため、やはりクラウンは無駄死にとなってしまったのであった……。
(後々その情報が役に立つかどうかはともかく)ガンダムの脅威的な能力の一端を知る事が出来たのはクラウンのおかげと言えなくはないが。
これが祟ったのかは不明だが、8年後皮肉にもシャアもクラウンと同じ目に遭うこととなった(後述)。

余談ではあるが、この際に出撃したザク4機を大気圏突入前に回収するために随伴したコムサイには、MSを2機しか搭載できない為、
コムサイに収容できないザクは自力で大気圏外に離脱しなければならないというかなり無茶な作戦であった。
それを踏まえてORIGIN版ではW・コムと呼ばれる大型コムサイ(MSを4機搭載可能)が代わりに登場している。

  • グワメル
グワジン級大型戦艦の2番艦。大気圏突入実験を行うが強度不足で空中分解する。
以後グワジン級を大気圏突入させる計画は断念され、実現は後継艦のサダラーンを待つことになる。


機動戦士Ζガンダム

「アメリアっ……!!」/「アメリアーーー!!」

エゥーゴによるジャブロー降下作戦の折、執拗にガンダムMk-Ⅱを追い掛け回すも大気圏突入の限界到達ラインになってしまい、相棒のジェリドは先に離脱。
それでもなお追いすがるカクリコンだったが、高度が下がり過ぎたためバリュートがオートで開いてしまう。
追撃の為にカミーユに近付き過ぎていた事が仇となり、すれ違い様にフライングアーマーの翼端でバリュートパックを破り裂かれてしまった事で突入に失敗、
彼女の名前を呟きながら燃え尽きてしまうのだった。
TV版では絞り出すような声だが、劇場版ではかなり悲痛に叫ぶ声に再録されている。


「えぇい、打ち所が悪いとこんなものか!」

キリマンジャロ攻略作戦の陽動で出撃中、ハンブラビの攻撃からΖガンダムを守ろうとした所、コツンと機体に当たったウミヘビの影響で機体制御を失い大気圏に落下する。
何とかΖガンダムによって救い出されるが、もし放っておかれたら燃え尽きていただろう。

  • EVOLVE../13 RMS-108 MARASAI
販促用の短編OVA。上記のジャブロー降下作戦での一幕。
正規の突入には失敗したが、結果的に大気圏突破は果たして生存したという稀有な例。

降下中にマラサイのバリュートが破損したので、同じく降下中だったリック・ディアスに組み付いて強引に突入しながら撃破し、マラサイが大破する直前にイジェクションポッド機能で脱出…という歴代主人公でもやらない相当に無茶苦茶な方法で突破している。

ガンダム・センチネル

  • ALICE
「やっぱりこいつは生きているんだ! 俺たちに自分で生きろって言っているんだ!」

物語終盤、地球軌道上でゾディ・アックらと交戦するSガンダムだったが、やはり重力に囚われそうになりALICEが覚醒。
Gコア部分のみを排除し、残ったパーツは突入を試みるニューディサイズ部隊を撃破後、燃え尽きてしまった。

  • ジョッシュ・オフショー
彼は未だ泣いていた。泣きながら夢を見ていた。

上記の場面でSガンダムに無謀な戦闘を敢行。撃墜すらされず乗機のゼク・ツヴァイを地球へと放り投げられた。
無防備になったニューディサイズ部隊がALICEに撃墜される中で本当は自分が何をしたかったのか悟ったが、全ては遅かった。


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

  • アクシズ、アムロ・レイ、シャア・アズナブル、連邦兵、ネオ・ジオン兵
「ロンド・ベルだけに良い思いはさせませんよ!」
「ラー・カイラムでアクシズを押し返すんだよ!」

アクシズが分断され、片方が地球圏へ落下するルートを辿るのが計算によって導き出された。
「貴様らの頑張り過ぎだ」「計画通り」と高笑いするシャアに対し、アムロはνガンダムをもって阻止せんとアクシズを押し返そうとする。
そこへ大量の地球連邦軍の兵士とネオ・ジオン軍の兵士が協力する形で駆けつけるが、摩擦熱*14とオーバーロードで多くの機体が自爆していく。
連邦軍側のモビルスーツの中にはアクシズの破砕作業のためか、爆装状態のまま駆けつけた機体もまた自爆していった。
サイコフレームの共振によって起こった超現象によってアクシズは落下ルートが変更され、大気圏を離脱して地球そのものから引き離される。
多数の兵士も押し戻されるかのようにしてアクシズから離されてしまったが、アムロとシャアだけは戻ってこなかった。


機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人

  • ローズマリー
「まじめに働いたのが良くなかったのかねぇ」

アナハイム製ミノフスキードライブ搭載型モビルスーツ「スピードキング」の運用試験中、
何らかのトラブルによって大気圏突入することになり、咄嗟に光の翼をシールド代わりにすることで突入自体には成功するものの地上に不時着し、
ローズマリー本人も責任追及を逃れるため機体をそのまま放置。
不時着した時の角度も悪く、えぐれた崖に縦にはまってしまい衛星写真でもほぼ確認できない状態だったのに加え、
そもそもこの機体自体が曰く付き*15なせいか、トビア達に重要視されるまで一年以上放っておかれていた。


機動武闘伝Gガンダム

  • キョウジ・カッシュ
「頼む……お前が私に代わって影となり、ドモンを守ってくれ……」

ネオジャパンコロニーから逃走したアルティメットガンダムがそのまま大気圏に突入して南米に墜落している。
大気圏で燃え尽きなかっただけでもすごいが、墜落したというのにコクピット内のキョウジも生きていたというのだから恐るべき耐久力である。
しかし落着のショックで機能が狂ってしまい、人類抹殺を目的とするデビルガンダムへと変貌し、キョウジも生体ユニットとして取り込まれてしまった。
但し墜落のダメージは相当に重かったらしく、ボロボロになった機体を引きずりながら各地を転々とし、復活には膨大な時間と手間をかけている。
…が、かなりの実力者であろう真シュバルツ(劇中のシュバルツが東方不敗並にとんでもなく強かった一因)がこの時のデビルガンダムに敗北している事実は原作時点でも確定しているなど、
突入時にハード面はあまりダメージを受けていなかった可能性が割とあり、復活に時間がかかったのは真シュバルツとシュピーゲルにボロボロにされた為かもしれない。


新機動戦記ガンダムW

  • ヒイロ・ユイ
「左推進システム異常!? やるな!」

第1話序盤にウイングガンダムをスペースシャトル風に偽装する大気圏突入モジュールを装着して大気圏突入を行うも、ゼクス・マーキスに捕捉されて交戦に入る。
最初はある程度大気圏に突入後、偽装パーツをパージしバードモード状態で突入を続行し更に攻撃を加えられた事で反撃の必要が生じMS形態に変形しバスターライフルを発砲する。
圧倒的とも思えた勝負だが、ゼクスがリーオーでウイングガンダムを拘束した上で破棄したため、身動きの取れなくなった両機は海面へ落下し、そのまま海底へと沈んだ。
その後ヒイロはとても冷静に深海から脱出するも無事では無く(むしろ生きているのがおかしいけど)、意識不明になりつつ海岸に打ち上げられた。
そして助けた少女に礼も言わず、正体が知られた(と勝手に思い込んだ)ため自爆スイッチを作動するが失敗。駆け付けた哀れな救急車を明らかに死にかけていたとは思えぬ動きで強奪し逃走した。


機動戦士ガンダムSEED

  • エル
「今まで守ってくれてありがとう」

「一体どこの誰だ?」と思う方が多いかもしれないが、ヘリオポリスから避難してきた市民の中にいた少女の名前である。
一応数話前から出番や台詞は存在するが、劇中では名前を呼ばれる場面は1回位しかない。
しかし、それまで自分達を守ってくれたキラに折り紙を渡すシーンを覚えている諸氏は多いだろう。
ストライクより先に大気圏へ突入するが、デュエルと交戦している最中に割って入る形となってしまったため、
戦闘を邪魔され苛立った事と避難民ではなく連合軍兵の脱出艇と勘違いしたイザークによってシャトルは狙撃、爆破されてしまう。*16

ただでさえSEED屈指の鬱シーンと名高い場面であるが、スペエディでは作画が強化され、エルの首が捥ぎ取れる様子がしっかりと描かれている
フレイの父に続き、一度ならず二度までも守りたいと思った人を目の前で喪ったショックは大きく、
これ以降キラは坂を転がり落ちるように精神的に追い詰められて行くようになる。

「閣下……」
「ゼルマン艦長ー!!」

前者は地球連合軍第8艦隊の旗艦、後者はザフト軍クルーゼ隊の僚艦で、ニコルらの母艦。
何れも上記ストライクの大気圏突入時の戦闘にて、高度を下げ過ぎた事で離脱できなくなり、また大気圏突入能力も無かったため大気圏上層で塵となった。
メネラオスはAAが無事に大気圏突入を果たせるよう限界まで、もとい限界を過ぎてもなお最後まで見送ったという感が強く、
艦が熱で焼かれて行く様を前にマリューは敬礼を捧げていた。
ガモフもまた何としてもAAを倒そうと限界以上まで深追いした結果このようになった模様。


機動戦士ガンダムSEED DESTINY

  • アスラン・ザラ
「くっ! 損傷のせいか、右足の温度上昇が早い! 行けるか……!?」

ユニウスセブン落下事件の折、ザクウォーリアで最後まで残って破砕作業を続けていたのだが、
テロ実行部隊による特攻によって機体にダメージを負い、離脱に失敗して大気圏へ落下する。
大気圏突破こそ成功するも機体は大破同然で、ウィザードの追加スラスターも突入後間もなく半分もぎ取れてしまっていたため、
ほぼ自由落下状態であり、減速どころか姿勢変更すらままならないような状況であった。
駆け付けたインパルスとミネルバに保護されなかったら海面に叩きつけられていたと思われる。


機動戦士ガンダムAGE

  • ドール・フロスト
「信じようじゃないか。お前が創ろうとしている、ヴェイガンの未来を……」

ヴェイガン内部に存在する8人のXラウンダーで構成されたマジシャンズ8のリーダー。
移動要塞ダウネスが地球へ落下するのを防いだゼハートが爆発によって重力圏への落下を免れなくなったため、
彼のゼイドラを庇うためゼダスMで駆けつけ、空力加熱を受け止め続け燃え尽きた。

ガンダム Gのレコンギスタ

「私には、無駄死にというチョイスは無いのだ!」

こちらは作中序盤。アメリア軍による宇宙軍事演習に連動してキャピタル・アーミーへ陽動作戦を仕掛けた宇宙海賊部隊は、デレンセン率いるベルリ救出作戦部隊と交戦状態に入った。
クリムが乗るモンテーロはG-セルフがエルフ・ブルと対決するのに援護として赴くも、機体特性を見誤り苦戦してし逆に助けられてしまう。
そのうえ被弾の影響で大気圏へ落ちてしまうが、リクレクターパックのエネルギーを使ったG-セルフによって燃え尽きずに済んだ。
この時命が危うかったにも関わらず、性能限界のせいで救助に来られなかったフライスコップ部隊を咎めていない事から、自身のミスであるというのをよく理解しているようでもあった。

  • サラマンドラ
「クレッセント・シップがくれた耐熱フィルムってほんと大丈夫なんですか?」
「大丈夫だから本艦にも塗ったんでしょ!」

先述の成功例と同じタイミングで大気圏突入を行なっているが、艦長がクレッセント・シップから調達した耐熱フィルムを過信した結果、
船体の損傷を無視し、杜撰な調整で適当に大気圏に突入して熱であっさり爆散という、ガンダムシリーズでも稀に見るおマヌケな沈み方をしてしまった*17
サラマンドラを擁するアメリア軍は10年に及ぶ大陸間戦争で実戦経験自体は豊富だが、天体観測や科学技術の進歩を禁じるスコード教の戒律*18や、
そもそも敵国のゴンドワンも同じ地球の国家であることなどから、宇宙戦の経験は極めて浅かった。
なまじ場数を踏んでいるだけに宇宙を甘く見てしまい、ハイテク技術を過信して自滅するという、ある意味Gレコという作品のテーマを象徴するようなエピソードであった。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

  • 地球外縁軌道統制統合艦隊所属のカルタ・イシュー親衛隊隊員
「地球に……!我らの地球に火星のネズミを入れてたまあぁぁぁ!!」

グレイズ・リッターに乗った地球外縁軌道統制統合艦隊のMSパイロット。
出撃前のシーンでカルタから標語斉唱の遅れを指摘された"右から2番目の男"という名前で知れ渡っている。
事前に網を張っていた艦隊陣形を突破され、遂に鉄華団に大気圏突入をされそうになった時、一人だけ諦めずにバルバトスに食い下がり熾烈な剣劇を繰り広げた。
しかし鍔迫り合いになった時に刃先をそのままコクピットに突き刺され、無念の台詞を吐く事すらままならず死亡する。
機体はその後バルバトスの土台代わりとなり、大気圏突破後は捨てられた。
なお、他の親衛隊機は直前に大気圏突破を諦めて撤収しており、次回に安全な手段を用いて全機大気圏突入に成功している。つまり彼の底意地は無駄死にでしかない。

◆Gの影忍

  • ラセツ
龍虎の章にて、先述のリョウガに成り代わる事を狙い隠れコロニーを襲撃した忍者。
MS忍者(モビルスーツ)「ニセガンダム」を操り、禁じ手「コロニー落とし」さえも使おうとしたが、逆に先述の大気圏突入奥義「イズナ落とし」を受けてMS忍者共々燃え尽きた。

…何言ってるか分からないって? だから私にも分からん。







追記・修正は大気圏突破能力を得てからお願いします。

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最終更新:2025年04月20日 20:11

*1 失敗未遂も含むが、突入を断念した場合は除く

*2 身体の正面に紙を置いて高速で走れば紙が落ちない現象の超スゴイ版と考えれば感覚的には分かりやすい

*3 「圧力が高まると温度も高まる」のは空気入れが使用しているうちに熱くなるのと原理は同じである

*4 大気がない場合は運動エネルギーが維持され地上に激突することになる。

*5 「ゆっくり」という語句のせいで「数分間~数時間」程度のイメージで想像してしまう者が多いが実際は「数日間」、下手すると「一週間」程度の長い時間をかける様な内容であり、軍事行動で採用・許容できる様な時間の範囲にはならない。

*6 しかも急場しのぎで用意されたからか、展開する際は必然的に発射直前に戦略兵器の効果範囲に対してMSの背中を向ける形へ反転しなければならないため、バリュート本体やMS本体が敵機体に対し無防備になってしまう欠点が発生した

*7 『クロスボーン・ガンダム』に登場する母艦マザー・バンガードはもともと地球侵攻用の艦艇であったため館内に多数の降下カプセルを搭載していた。作中では艦の自爆と同時に乗員を地球へ脱出させるために使用

*8 PS版のみ。PC版では大気圏突入時にミニゲームが挿入され、失敗すると燃え尽きてしまう。PS版では自動的に成功する形となる

*9 このシーンから逆算して後年設定されたF90ミッションパックの1つに大気圏離脱装備「Uタイプ」があるが、ロケットにF90の脚が生えたようなイロモノ中のイロモノである

*10 X3も2回突入してはいるが、1回目もマザー・バンガードの降下用カプセルに格納した状態だった。

*11 軟着陸といっても落下に伴って暴風雨と津波が発生し、後者は既に無人の廃墟となっていた沿岸部を洗い流した

*12 降下地点のアフリカはザフトの勢力圏であるため、近場の基地にスクランブル発進を要求出来たとしても不思議はない。但し、設定上遠距離通信手段は限られるので、予定にない大気圏突入を地上側から咄嗟にフォローすることは非常に難しく(予定通りでも少しズレただけで間に合わなくなる)、更にそのような状況で咄嗟に外部からMSを補助出来る様な装備(グゥルの様なSFSや輸送機など)を即座に、かつ降下中のMSの元に正確にお届けできる体勢が整っているという前提も必要なことなどから、補助が行われた可能性は低そうである。

*13 ガンバレルとストライカー本体を繋ぐ有線

*14 アムロがハッキリ「摩擦熱」と発言している

*15 マザー・バンガードの残骸を戦場泥棒し、操縦用に適当なMSを取り付けただけなので「自社製」とは言えそうにない

*16 イザークは後に民間人殺害の罪で裁判にかけられるが、デュランダル議長による保護や大戦末期にカガリ・ユラ・アスハを救助した事で取り消されている。

*17 しかもTV版では背景で撃沈するだけだったが、劇場版では丁寧に艦橋が爆発に飲み込まれる瞬間を新規作画で描写している

*18 海賊部隊の母艦であるメガファウナにも、スコード教の戒律に抵触することが問題視され表向きには解体されたことになっている宇宙船を秘密裏に改造して作った、という背景がある