クリスチーナ・マッケンジー

登録日:2025/01/02 Thu 14:22:44
更新日:2025/02/19 Wed 12:06:19
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戦えばその度に人は死ぬわ。でも、戦わなくても死んでいく。
正しい事なんてどこにもない。自分にできる事をするしかないんだわ…


クリスチーナ・マッケンジー*1とは、機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争の登場人物。
CV:林原めぐみ



【概要】

地球連邦軍に所属するパイロットで階級は中尉。21歳。身長165cm。
通称は「クリス」で、主人公であるアルフレッド・イズルハ(アル)家の隣に住んでいる。
おおよそ戦争には似つかわしくない、穏やかで理性的な女性であるが、不審者に対しては割と殺る気満々でバットを振り回すと言った一面も持つ「隣のお姉さん」。

一方で彼女はガンダムNT-1開発チームの一員で、特に教育型コンピューターの育成に従事していた。
その事からシューフィッター(靴の調整師)とも呼ばれる一方で、人手不足もありテストパイロットも兼任していたが、NT-1は連邦軍に突如現れた強すぎる天パアムロ・レイ専用に調整されていることもあり、劇中では振り回されっ放しであった。
そんなこんなで中立コロニーの中で兵器開発をしながらも、アルや、突如現れたバーナード・ワイズマン(バーニィ)らと交流を深める等平和なひとときを過ごしていたが…。


【劇中の活躍】

舞台となるサイド6リボーコロニーに里帰りという名目で帰ってきており、前述の通りアルやバーニィと過ごしながらも、裏ではMS開発をしていた。
バーニィには同世代の青年であることも相まって好意も抱いていたらしい。
しかしある日の夜、NT-1を破壊せしめんとケンプファーが襲撃。
迎撃に向かったスカーレット隊がサクっと処理されてしまった為、クリスは仕方なくNT-1を起動する。
だが起動しても動きがままならない中、ケンプファーのチェーンマインの直撃を食らうも、チョバムアーマーを装備していた為に本体はさしたる損傷を受けず、逆に腕部ガトリングガンで返り討ちにした。

しかし補給もままならない中、今度はザクⅡ改が襲撃してくる。
無理を圧してクリスは再び出撃するも、ダミーバルーンやザクの捨て身の攻撃に苦戦。
最終的にビームサーベルでコクピットを貫くが、相手の攻撃で頭部も破壊され、NT-1は戦闘不能となった。

それから程なくして一年戦争は集結。
大破はしなかったもののNT-1も無用の長物となった為に、クリスはリボーコロニーでの役目を終えた。
地球に戻ることとなったクリスはアルに「バーニィにもよろしくね」と言い、去る事となった。
そのバーニィが先日討ち倒したザクのパイロットだということを知らぬまま…。*2
だが、真相はアルの「ポケットの中」に封じ込まれ、同時に彼女もまた歴史上から姿を消した。

「ポケットの中の戦争」の主人公はアルであるが、一説ではバーニィとのダブル主人公という意見もある。
そういう意味ではクリスは善良なヒロインであると同時にラスボスでもあるという、なかなか稀有な立場のキャラクターとも言える。


【考察】

本編後の彼女の足取りは不明であるが、CD『機動戦士ガンダム・オデッセイ』では、アル宛ての手紙の中で「自分は軍を辞めるかもしれない」と語っており、程なく一般市民になったと思われる。
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYでは第7話でアナハイム・エレクトロニクスを訪れた際にクリスにそっくりの女性社員が出ているが、スタッフ曰くファンサービスであるらしく、ファンの間では単なるそっくりさんと見られている。
公式百科事典などでも「アナハイムに入社したという」等とボカされている。
逆襲のシャアにおいてクェス・パラヤの修行仲間に「クリスチーナ」という女性が居るが、これは偶然だろう。よくある名前だし。

その公式百科事典においては、彼女は実はRXシリーズ…要するに初代ガンダムのAI育成にも関わっていたという話もある。
とはいえ当初は「ガンダムのAIに関わった12名のうちの1人」という設定であったが、その後ガンダムエースにおいて
テム・レイの助手で、連邦軍でも最高のシューフィッター」という設定が登場。
つまり彼女はテムとアムロに並ぶ、全てのガンダムの生みの親になってしまったレイ親子の間に入る謎の女。
多種多様のMSの生みの親と言っても過言ではない、歴史に残る女性とも言える。
ただしそのソースはゴシップ誌(というテイ)のインタビューであるのでそれが正しいかはわからないが、宇宙世紀140年になっても名前が残っている以上、彼女のこなした功績は大きいのは間違いないだろう。

パイロットとしての腕前だが、作中では高性能機に乗りながらも量産型にやられたせいでイマイチのように見られている*3が、実は彼女は士官学校を首席で卒業した超エリート。
更にはMSにも精通していることから、本来であれば優秀なパイロットであるのは間違いない。
実際彼女はメンタルも割と強く、謎の敵が襲撃し味方に多数の死者が出る中でも動じず、またこれ以上の被害が出ないようにと敢えて敵の罠に飛び込むという豪胆さも見せている。
更によく見るとザクが爆発しないようにコクピットにサーベルを突き刺している。戦闘中にこのような芸当が出来るパイロットはそう多くはない。初戦でやったヤツもいるけど。
また乗機のNT-1は人間を超えた何かの為に調整されており、普通の人間が使えるような状態ではなかった為「扱いきれない」という評価は正しいが責められるところではないだろう。
それに加えて、NT-1の装備のほとんどがまだ届いていなかった上に、ケンプファーとの戦闘から整備も補給もする間もなく再出撃する羽目になっている。その上、ケンプファー強襲時にスカーレット隊がやらかしたためにコロニー守備隊の反感を買ってしまっており、スカーレット隊もほぼ全滅状態だったので友軍の援護は全く望めない*4状態だった。
そんな状況下でコロニー内の戦闘の為にデリケートな戦いをせざるを得ず、しかも相手は命を賭しているという、クリスにとっては多大なデバフを食らっている状況であった。
後付であるがザクⅡ改も量産機の中ではかなりの性能とされており、ガンダムだからと楽に勝てる相手ではない。
バーニィの作戦勝ちでもあるが、この状況下ではたとえガンダムに乗っていたとしても勝てるパイロットはそう多くはないであろう。

ちなみに左利きらしく、乙女座の男と同じようにMSでも左手でビームサーベルを使用している。


【その他作品のクリス】

初期から登場。乗機は勿論NT-1アレックスで、アムロが既に参加している場合でもそれに乗っている。逆にアムロはアレックスどころかGP-01とかガンダムMk-Ⅱも配備されているのに頑なに初代ガンダムに乗り続けている。
だが原作再現は殆どの作品で存在せず、相方?のバーニィは普通に仲間になるしザクオタク等のネタで良くも悪くも印象的なのに対し、
特に注目される機会もないなんとなくそこにいる美人というのが原作を知らないプレイヤーの専らの印象であろう。
ウィンキー時代はザクに負けたイメージが足を引っ張ってか能力値は低めであることが多かった。
しかしヒロイン待遇で貴重な精神コマンドを覚えることが多く、適宜乗り換えも活用してサポート向けパイロットとして超優秀になる場合も。
育てるのが大変ではあるが育てきれば使い出があるだけ、他の十把一絡げよりかはマシと言えよう。
スーパーロボット大戦α』以降では中堅レベルの能力値となった。

原作再現されないおかげでバーニィも生き残り、そのまま恋愛関係になる事もある。
特に『第4次スーパーロボット大戦』ではエンディングで私立探偵になったバーニィと結婚して寿退役するというハッピーエンドとなっている。
一方で唯一原作再現された『スーパーロボット大戦GC(XO)』ではバーニィを仲間にしなかった場合、EDでアルからバーニィの死を伝えられた事ですべてを悟るという原作以上のやるせない結末になってしまう。
スーパーロボット大戦F』の図鑑の一言モードの「バーニィ…?」という原作にはない色っぽい台詞にドギマギした青少年は多いだろう。

『F完結編』においては碇ゲンドウに対して「ああいうタイプは意外とモテるかもしれない」という旨の発言をしていたが、これは声優ネタだろうか。制裁しそうな話である。
『α』においてもイサム・アルヴァ・ダイソンとデートしていたが、こちらはYF-19テストチームのオペレーターであるルーシー・マクミランをイサムが原作で口説いていたが故の声優ネタ。
妙に声優ネタに恵まれるスパロボにおけるクリスである。

  • 機動戦士SDガンダム

90年頃に子供向け作品として人気を博したOVAのSDガンダム(外伝じゃない方)にも登場。
…が、バットでバーニィを殴った印象が強いのか、やたら凶暴な性格にされている。これで原作通り林原氏の声なのだから腹筋に悪い。
一応バーニィとは仲良しではあることが多いのが救いか。
またドラマCD『機動戦士SDガンダム・こちらマッケンジー探偵社』では主役で探偵役なのだが、なぜかその時の仕事仲間はハサウェイ・ノア(逆襲のシャア版)とオリキャラのミニロボットオコッチャマ」だった。

  • SDガンダム外伝
円卓の騎士編に騎士クリスとして登場。
魔法の鎧・盾・兜を装備しており、人間族では最強クラスの能力を誇る。
ゲーム版では仲間になる…のだが、他の仲間になる女性キャラがフォウロザミィクェス…と原作で主人公と戦ったキャラばかりであり、少なくともゲームスタッフ的にはクリスもその扱いという考えだったのだろう。偶然かもしれないが。
漫画版では未登場に終わった。

アムロ編「光る宇宙」をクリアすることで使用可能。初期レベルは2。
アレックスの性能を存分に発揮できない原作設定を考慮してか、残念ながら各ステータスが軒並み全パイロット中最低クラスに設定されてしまっており、集中力以外の全てが15人中ワースト。精神力以外に至っては100%にも達していない。初期レベルでボールに乗ると誇張なしで信じられないぐらい遅い。
ミッションはバーニィとの決戦のみ。原作のようにリーア軍から支援行動を断られ、アレックス1機で出撃する。
初期レベルだと耐久力がわずか58しかなく、機動力もジム程度。さらには初回プレイ時はケンプファーを倒した原作設定を意識してかガトリングガンが20発しか残っておらず*5、60mmバルカンもこのミッションでは搭載されていないのでビームサーベルでの接近戦は避けられない。
原作のように「平地で戦うほうが有利だ」と主張するスチュアート*6(CV.政宗一成)を無視して斜面の森林地帯で戦うことになるが、そこには多数の地雷が埋められており、初見では誤って踏んづけてしまってミンチになるやられることもしばしば*7。うまく回避したとしても低レベルのうちはヒートホークの一撃でお陀仏になり得るため、原作のように相打ちとはいかずに一方的になぶり殺されてしまう。
アビリティも通常時は指定した味方機のダメージを1/10にする「助言」のみで、上記の通り単独出撃であることからこのミッションでは全くの無用の長物である。一応プレッシャーレベルが3以上になれば直撃率を90%減少させる「予感」が使えるようになるが、初期レベルではそもそもプレッシャーレベルが上昇する前に耐久力がもたないのでこちらもアテにはできない。
なお、戦闘前のタクティカルブリーフィングでは「市街地で戦えば、市民に被害が出る…川か、森林部で戦闘を…」とクリスが言っているが、実際にはどれだけ建物を壊してもクリアランクに影響はないので原作とは違って市街地で戦っても問題ない
撃墜シーンではガトリングガンでトドメを刺したような描写になっているが、クリア後のエンディングではビームサーベルとヒートホークを構える両機の原作のシーンが描かれており、やはり原作通り傷ついたアレックスが前線に配備されることはなく、彼女自身もザクのパイロットがバーニィだと知らないまま地球に転属になった模様。
ちなみに、本作ではアムロ搭乗アレックスを堪能することができる作品であり、クリア後に高レベルのアムロを使ってみるとクリスとの違いが一目で分かるだろう。

逆にバーニィ編では攻撃目標として登場。レベルは10。
MMP-80マシンガンは弾切れのため、原作通りヒートホーク1本だけで勝負する必要があるが、クリス編とは違ってガトリングガンが300発フル装填済みになっている。
とはいえこちらは地雷があるため、うまく誘導すればダメージを稼ぎやすい。レベルが低いうちは機動力も低いのでこれだけで削り切るのは困難だが、立ち回り次第では初期レベルでも撃破可能。原作とは違ってクリスがミンチになってしまうのでそれはそれでバッドエンドだが。
なお、クリス・バーニィ両編ともにサンタのバルーンが登場する。建造物の扱いなので内部的なポイント判定があり、クリス編では1つでも破壊しないとSランクを取ることはできず、バーニィ編では破壊されすぎると無傷でクリアしてもやはりSランクを取得できない。
いずれも難易度の割に入手できる経験値が比較的多く、レベルの低いうちは繰り返しバーニィやクリスを倒し続けることで簡単にレベルアップすることが可能。

その他、全てのパイロットの全てのミッションをクリア後に出現するEXステージ「ハードコア」ではこちらもアレックス1機で出撃し、北から南に移動する敵を撃墜していく。敵は全て一般兵だが、ゲルググ・ザクIIFZ・ザクIIC型・ザクIIS型・旧ザクと多様に登場し、10分間の制限時間内に1体でも戦闘エリア南端に到達されると作戦失敗になってしまうため、いかにアレックスの性能を引き出せるかが鍵になっている。
スチュアートもテロップで登場。もっとも「マッケンジー中尉、何をやっている! 敵の侵攻を許しているぞ」と敵が防衛ライン寸前にまで接近しているというかなり危険な状態であり、早急に食い止める必要がある。

その他のパイロットではシロー・アマダ編では61式戦車に乗ってアムロやエイガーなどの連邦軍エースとともにプレイヤー(シロー)を援護してくれるが、バーニィ編ではアムロ率いる戦車軍団の一員として登場。プレイヤー(バーニィ)やシャアたちジオン軍エースが乗る戦闘ヘリ部隊と戦う。
セイラ・マス編ではジム頭に搭乗してカレンとともにお供を務めてくれる他、ランバ・ラル編ではジムに乗ってギャロップに迫ってくる。

キャンペーンによって500本限定で生産された特別版『角川書店連合企画 特別編』では最初からガトリングガンがフル装填済みかつビームライフルやシールドの装備といった完全武装も可能になっており、原作とは違ってほぼ万全の状態で挑めることから初期レベルでも容易にクリアできるようになっている。
ただし、60mmバルカンはこちらでも搭載されていない。

なお、上記の通りクリスは左利きの設定だが、本作ではゲームシステムの関係で「右手に盾を、左手に剣を」ということにはならず、通常通り各武装は右腕・シールドは左腕で持つ。



パパ、ママ! 早く項目を編集して! 追記よ、修正を捕まえたわ!

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最終更新:2025年02月19日 12:06

*1 OVA発売当時およびドラマCDでは「クリスティーナ・マッケンジー」とも。

*2 ただしアルの反応からバーニィになにかあったのか気付いたような表情であるため、ザクのパイロットとまでは思わなくてもジオンの関係者というのは察してたのかもしれない

*3 ケンプファーに勝てたのも装甲と不意打ちのお陰である=正面から戦ったら負けていたと厳しい評価をする資料もある

*4 ただでさえMSは有視界戦闘を強いられるというのに、情報提供すら拒否されるという始末。

*5 本作のガトリングガンは右腕に装填された300発という設定になっており、左腕からは発射しないようになっている。

*6 スタッフロールのボイスアーティスト欄では「サイド6連邦軍基地司令」表記。ゲーム中では名前を呼ばれない。

*7 『作戦遂行マニュアル』という攻略本では「レーダーで地雷の位置をチェックし」と記載されているが、当然ながら敵視点では検知できない。