「そうなんだろうけどさぁ......。しかし、相変わらず強硬な手段をとるんだな。官僚上がりなのに」
「それが私のやり方なので。それに貴方も望んだ事でしょう」――ホットラインにおけるシルミヤとウォルツァスカイユ(
三国戦記#2)
クラナ紛争(理:
klana io fenteno)とは、クラナ大陸における紛争の一つ。本来不満が溜まっていた現地に、
ユエスレオネ連邦が接触したことにより、各地の紛争が同時多発的に起こり、事態は複雑化していくことになった。
概要
クラナ紛争は三つの戦争を含む複合的な紛争である。それぞれの戦争には直接的な関係は無いが、クラナが一つの大陸であるということによって複雑な関係性を生み出した。
それはユエスレオネ連邦との接触によって、更に複雑なものとなった上に南サニスの反政府勢力
「イェスカ革命主義者同盟」や
Xelken.valtoal過激派などが関係したことによって連邦政府による代理戦争の様相を見せた。
一方で、シルミヤ政権は選挙対策のために現地人の殺傷をよしとせず、
連邦軍の作戦行動は非常に困難なものとなった。
しかし、2037年XX月には連邦、スィレフ、ゼマフェロスによる
連合軍が「同盟」を放逐し、ノルメルに武器を提供していたXelken.valtoal革新派の中枢を逮捕したことによって補給が断絶した反独立系現地勢力は弱体化。
結果として、2037年XX月XX日にノルメルがゼマフェロスやスィレフの独立を認める条約
(****条約)をユエスレオネ連邦仲介の下、調印した。
また、ノルメル、ゼマフェロス、スィレフ、北部キエラヴィ、南部キエラヴィ、ヴィテールの諸国の仲介・支援の条件であった連邦への構成主体としての加盟を以て、クラナにこれら構成主体を統括する
「クラナ大陸国家連合」(KIIC)が成立することになった。
経過
接触前のクラナにおける状況
「PMCF以外に人が......?」―ターフ・ヴィール・ウォルツァスカイユ(
三国戦記#2)
特に紛争に係るクラナの状況として、東部クラナのノルメルによる影響力がある。
Varlakija Elestheiniju Ivane著
『ノルメル人とスィレフ人』によると、ノルメルは定住農耕民であり、また穀倉地帯であるために土地の扶養力が高かった。このために発達した安定王朝である
ノルメル神王国(トイマ)は、周辺民族に対する影響力を持っていた。
遊牧民であるスィレフは、高度な文明を持っていたノルメルに対して度々攻撃を仕掛けてきた。ノルメルは中世後期まで轍を持っておらず、これが攻撃力の差となっていた。ノルメル人とスィレフ人は技術の発展とともにお互いに攻撃や侵略を繰り返してきた。
Woltsaskaija I. Kaltovafis著
『接触前のスローヴェ』によると、スローヴェに相当する地域には、ヴェフシャータ・ゼマフェロス王国という国家が存在した。しかし、度重なるスィレフの攻撃を受けるノルメルは、自らの側面に当たるスローヴェの平定を目指しXXXX年頃にゼマフェロス地域を攻撃。これを平定し、自らの傀儡たるノルメル領ゼマフェロス王国が成立することとなる。
この王国はノルメルの君主が国王を兼任しており、その下でセマフェロス貴族たちによるある程度の自治が認められていた。しかし、ノルメル王****が対スィレフの供給源としてゼマフェロスから税を巻き上げるなど暴政を敷いた。自治が認められていたとはいえ、ノルメルの兵士たちが度々諸領に侵入しては徴集の名目で市民の私財を取り上げ、従わないものは切り付け、その町を焼くなど、横暴を極めていた。
また、市民の一揆が発生すると、ノルメル王座はこれをゼマフェロス貴族の統治責任として、有力な貴族はこれによって次々に処刑された。
スローヴェ家の貴族であるスローヴェ・アシュタフィテスは、この状況をよしとせず、ノルメルの貴族向け寄宿学校で同じく差別され、学んだロスナ・ゼスナディにノルメルの情報収集を依頼した。クラナ人が連邦の存在を知るのは、このロスナの情報によるものが初めてだとされる。
連邦におけるクラナ前史
以前より、クラナ大陸の存在はユエスレオネの防空部隊による地上観察によって知られていたが、PMCFとの接触の経験や緊張関係、紛争などの情勢変化によって簡単に手が出せるものではなかった。特に
デュイン戦争や
第一次ファルトクノア紛争で経験したように先遣隊に死者や負傷者が出ると、全力で対応しなければならないという国民の背景もあって、選挙対策のために不確実にこの大陸に手を出すものは居なかった。
2037年4月、
シルミヤ政権は
閣令10号「全員帰還作戦」を発令。大陸クラナへの調査計画を開始。これを暗い森開拓に継ぐ、地上奪還計画の第二次訓練と位置づけた。
テロリストとノルメル
PMCFは連邦の動きを静観していたが、一方でこれを好機として連邦に打撃を加えんとする勢力が居た。
イェスカ革命主義者同盟は、その筆頭であり、他の勢力を差し置いてノルメルに接触し、その連邦に対する対決姿勢を助長した。また、
xelken.valtoalの過激派である革新派の一部はドホジエ・アレスを雇い、前線で連邦への圧力を掛けようとした。このために
アルヴェイルガード教法主義共和国のアポーイェヴァル地域でタリェナフ派の幹部との秘密裏の会議を行い、協力関係を確立した。
アシュタフィテスの接触
「は、は、これではまるでただの七面鳥撃ちだな」――連邦軍兵士(
三国戦記#7)
ゼマフェロスの貴族である
ロスナ・ゼスナディは知り合いが運営する天文台から空中に浮かぶ「箱」から飛び出る「鳥」が増えていることを知った。これは連邦空軍の地上偵察機だったわけだが、ロスナはこれを人が乗ったものであると考察、先遣隊来訪の一ヶ月前には連邦軍が散布した介入文章の言葉を分析し、連邦が人を送ってくることを察知した。
スローヴェ家の
スローヴェ・アシュタフィテスはロスナからこの報告を受けて、単身交渉のために居留区まで馬で近づいていった。
4月20日、連邦の居留区に接触するも、特別警察の警備に止められてしまう。特別警察は無許可の現地人を居留区に入れることを禁じられていたため、アシュタフィテスを制止し、近辺からの追い出しを計った。しかし、ラムノイ特務監理官が近くを通りかかり、彼を入れるよう説得したため、アシュタフィテスは居留区に入ることに成功した。
同時に、ロスナは妹を人質に取られて、ノルメルの逆スパイとして活動しており、この情報が横流しされていた。ノルメル側は騎馬兵千数百を用意し、それにタリェナフ派及び
Xelken.valtoal過激派のライフル兵を忍び込ませた。連邦軍側は、閣令に「現地人の殺傷は厳として禁ずる」と書かれていたために、装備がゴム弾装填の自動小銃と刃物だけであった。出来る限り、現地人の殺傷の可能性を減らすために敵の上半身への発砲は禁じられており、刃物の利用は最終手段とされていた。このため、忍び込んでいたライフル兵に射撃された連邦軍側に被害が増大、任務部隊指揮官のXXXXは撤退線を居留区の後方に敷いた。しかしながら、この撤退線の設定は居留区側に遅れて通知されたため、ノルメル軍勢が居留区に侵入した時点で、居留区に長官含む連邦の職員が残っており、多数の文民に死者が出た。
この
「4月21日の戦闘」では、居留区の半数を超える職員が死亡したが、数分後連邦軍の増援(
EFJIP)が到着し、ライフル兵を殲滅、行政長官と生き残りの職員は救出された。
戦争開始と同盟国参戦
「連邦はあなた方に期待しています。故にあなた方に前線をお任せすることになりました。しかし、もしものことがあれば私にお任せください。力になれると思いますよ」――
ターフ・アレシャ(
三国戦記#11)
情報特務庁の調査により、タリェナフ派やXelken.vatoal過激派が関係していたことが確認されると、連邦政府は正式な戦争としてノルメルを対象とした宣戦布告を決定した。布告文書は護衛を伴った外交官によって手渡しされることとなったが、渡航途中でノルメルの官吏との交渉に失敗。戦闘に発展し、宣戦布告が不可能であることを悟った外交官は臨時行政庁に帰還した。
本格参戦が確認されたことから、
連邦参事会は権力監視を目的として、
ターフ・アレシャを団長とした「クラナでの
最高尊厳の保護にまつわる査察団」を派遣した。
その間、連邦政府はサニス第三条約に基づく集団的自衛権を発動し、
ハタ王国等の参戦が決定した。
別で要請を受けていた南サニス連合王国は
クーラ・コーギム・セルアを指令とするクラナ派遣軍を結成した。
アシュタフィテスの逮捕
しかし、シルミヤの指示によって、最初は介入せず現地人の力で勢力のまとめ上げを行うことを指示した。これによってアシュタフィテスは自らの領地へ戻り、国民軍の結成を目指すことになった。しかし、移動中にノルメルの官憲によって逮捕され、牢獄へと移送されてしまう。
Xelkenに協力していた
ドホジエ・アレスは彼と面会し、寝返れば安全を保証し、ロスナの妹も救うと条件を提示したがアシュタフィテスはこれを飲まなかった。
一方でアシュタフィテスの逮捕を知った領民は連邦に対してこれを伝える手紙を送り、数日後にロスナ達はこれを知ることになる。連邦政府はアシュタフィテスの救出よりも地盤を持った国民軍を形成するのが先であるという戦略方針から、ロスナを自らの領地へ送り、同じように軍の結成を求めた。しかし、ロスナはアシュタフィテスが捉えられている街での蹶起を考えており、地域の有力者であるシャーツニアーのラティーナ・ファンシャ・フェルティエと接触するが、ラティーナはロスナを連邦側との交渉材料としており、彼を自らのフィアンシャに閉じ込めた。
◯◯牢獄の襲撃
最終更新:2024年07月16日 19:10