本項ではD3パブリッシャーより発売された『@SIMPLE DLシリーズ Vol.12 THE 脱出ゲーム ~危険な5つの密室~』『@SIMPLE DLシリーズ Vol.14 THE 脱出ゲーム ~裏切りの密室~』を併せて取り扱います。判定は『危険な5つの密室』が「なし」、『裏切りの密室』が「ゲームバランスが不安定」です。



@SIMPLE DLシリーズ Vol.12 THE 脱出ゲーム ~危険な5つの密室~

【あっとまーくしんぷる だうんろーどしりーず ぼりゅーむじゅうに ざ だっしゅつげーむ きけんないつつのみっしつ】

ジャンル 探索・謎解き・脱出ゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 D3パブリッシャー
開発元 インテンス
発売日 2013年4月24日
定価 700円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント ストーリーは重め
シリーズファンには嬉しい要素も
単体では完結しない実質前編
@SIMPLE DLシリーズ

概要(危険な5つの密室)

『@SIMPLE DLシリーズ』の12作目。 『THE 密室からの脱出』でお馴染みのインテンスが開発しているが、ストーリー仕立てになっており全体的にシリアス要素が濃く、同シリーズで展開されている『THE 密室からの脱出』のシュールでコミカルな雰囲気とはかけ離れた脱出ゲーム。

特徴

  • メインである脱出パートのシステムは『@SIMPLE DLシリーズ』の『THE 密室からの脱出』シリーズとほとんど変わらない。
    • プレイヤーは画面をタップして密室の中を探索し、アイテムやヒントを入手しつつ謎を解いて脱出を目指す。
    • 一応ゲームオーバーの可能性が付き纏う・実績が設定されているなど、差別化されている部分もある。
    • そのほか、同シリーズに存在しているマイク機能やジャイロ機能は存在しない。
  • 強めのストーリー性
    • 各ステージが「第○話」というようにシナリオで区切られており主に脱出パートの前後に長めの物語パートが挿入される。
    • また登場人物全員に立ち絵が存在し、キャラ付けがなされている。

登場人物

+ 一部公式サイトより引用
  • 佐川 健太郎(ケンタロウ)
    • 本作の主人公で、「謎解きミステリー研究会」(通称ミス研)のOB。現在失業中でフリーター。
  • 篠原 さくら(サクラ)
    • ミス研の後輩で、健太郎の彼女。元ミスキャンパス。
  • 小山 大介(ダイスケ)
    • ミス研のサークル仲間で、健太郎の幼なじみ。学生時代にさくらを巡って健太郎と争ったことがある。
  • 春日 来美(クルミ)
    • ミス研のサークル仲間で、健太郎の同期。海外で生まれ育ちアメリカ人の血を引いている。
  • 梅田 孝(タカシ)
    • ミス研のサークル仲間で健太郎や大介の同期。軽めの性格で女性好きだが、頭が良く運動も出来る。
  • 服部 真司(シンジ)
    • ミス研の1年先輩のサークル仲間。親の跡を継いでいきなり国会議員になった。
  • 矢島 友里(ユリ)
    • ミス研のサークル仲間で健太郎の後輩。現在は医者として働いている。
  • 川久保 昌之(マサユキ)
    • 健太郎の学生時代によくサークルに遊びに来ていたOB。面倒見がよく健太郎たちとも仲がいい。

ストーリー(危険な5つの密室)

サークルの友人たちと飲み会を楽しんでいたが、いつの間にか酔って眠ってしまった主人公。
目を覚ますとそこは冷たいコンクリートに覆われた見知らぬ『密室』だった。唯一の出入り口である鉄の扉は封鎖されており、友人の姿も見当たらない。その時、スピーカーから何者かの声が響き渡る。

『ルールはいたって単純明快だ。キミは今、その部屋に監禁されている。そこから脱出するだけだ』

何者かによって強制的に"ゲーム"に参加させられた主人公。しかしこれはただの"ゲーム"ではなく、後に起こる大きな事件の序章に過ぎなかった。

※公式サイトより引用

評価点(危険な5つの密室)

  • 謎解きのクオリティ
    • 基本的に謎解きは簡単すぎず難しすぎず程よい難易度でやりごたえがある。
    • どうすれば良いのかわからなくなった時も後述の初心者モードに切り替えれば詰まることはほとんどないと思われる。
  • 初心者モードの存在
    • 行き詰まった時に主人公が調べる場所や暗号の解法のヒントを出してくれるため、探索の楽しみを完全に削がれることなくゲームを進めることが出来る。
  • グラフィック
    • 低価格帯の脱出ゲームであることを考慮するとグラフィックはそれなりに良い。
  • キャラとの掛け合い
    • 第3話『暴走車両』では主人公の恋人であるサクラと共に脱出することとなり、タッチで会話することも出来る。
    • 何度も調べることで起きるサクラの反応はイラストと相俟ってかなりかわいらしいものとなっている。
  • シリーズファンへのサービス
    • 本作には『密室からの脱出』シリーズのファンであればニヤリとするような要素が比較的多く取り込まれている。
    • 特に実績として設置されているドナルクマを始めとした同シリーズお馴染みのキャラクターやアイテム等を模したコレクションキャップは思わず集めたくなってしまうほど。ステージとリンクした内容のものもあるので、元ネタが分かればより楽しめるだろう。
      • コレクションキャップには『THE 呪いの廃病院』のキャラクターを模したものも含まれているので、そちらのファンも楽しめる。
    • 他にもキャラクターが会話で匂わせたり、3DSシリーズのステージの画像が登場したりする。

賛否両論点(危険な5つの密室)

  • やり込み要素(実績)の存在
    • 特定の条件を満たすことで開放される実績が各ステージ8つずつ存在するが、脱出の手順とは直接関係ないものが多く初見で全てを網羅するのはほぼ不可能(そもそも2回以上のプレイが必須な場合もある)。そのため周回プレイが要求されるが、脱出ゲームの性質上2回目以降はどうしても作業的になってしまうためゲームの本質とのズレが否めず、実績集めが好きな人とそうでない人で評価が分かれる。
    • また、ネタバレになるので詳細は伏せるが実績の条件の設定がやや雑。
    • しかし前述のコレクションキャップのほか実績を達成することによって見られるキャラクターのやり取りもあり、その点は好みに合わなかった場合(前者はシリーズファンに限るが)も評価出来るだろう。また、最後までクリアせずとも実績は獲得した時点で記録されるのも救い。
    • おまけシナリオを見るためには実績を50%以上達成していなければならない。なお、実績を100%にしても何も起こらない。
  • 『THE 呪いの廃病院』のキャラクターを模したコレクションキャップは、元ネタの特性上かなり不気味。
    • そちらの作品のファンには嬉しい要素だが、ホラーが苦手な人にはやや厳しい。

問題点(危険な5つの密室)

  • シナリオについて
    • 主人公が何者かに密室に閉じ込められ命の危険に晒される…というのは良いのだが、如何せん話の筋がなかなか見えてこない。
    • というのも一切そのような記述はないにもかかわらずこのゲームのシナリオは続きモノとなっており、謎は次回作で全て明かされるという仕様となっている。
    • (恐らく)シナリオ部分よりも脱出部分がメインのゲームではあるが、そのため黒幕や主人公が巻き込まれた理由等は謎に包まれたまま終わりクリアしてもスッキリしない。
  • 毎ステージ設置される爆弾
    • ゲームオーバーのリスクが伴う爆弾処理を毎ステージ行わなければならないのも考えものだが、そこは好みによる部分も大きいだろう。
    • 問題は爆弾を発見してから解除するまでセーブが出来なくなる点。時間制限がある第1話はともかく、他の4話でもそのような仕様にする理由はないに等しく、ただのストレス要素と化している。
    • タップミスで即爆発(=ゲームオーバー)してしまうこともあるので、セーブし忘れた場合は後述のテキストスキップ不可もあり非常に面倒。
  • クリアしない限り不可能なテキストスキップ
    • ゲームオーバーになり再プレイした場合も既読扱いにはならず、セーブしていなかったのであればAボタン連打で早めるしかない。
    • 何も無い所を調べていると今置かれている状況についてなどを主人公が話し出すのだが当然スキップ不可。そこそこ長めに話すので地味に煩わしい。
    • またエピローグはクリアしてもスキップ出来ない。

総評(危険な5つの密室)

同じインテンス製でSIMPLE DLシリーズである『THE 密室からの脱出』とは趣を変えたシリアスな一作。 セーブ不可の場面の存在や単体ではシナリオが完結しないのがやや難点だが、脱出ゲームとしては十分に楽しめる。



@SIMPLE DLシリーズ Vol.14 THE 脱出ゲーム ~裏切りの密室~

【あっとまーくしんぷる だうんろーどしりーず ぼりゅーむじゅうよん ざ だっしゅつげーむ うらぎりのみっしつ】

ジャンル 探索・謎解き・脱出ゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 D3パブリッシャー
開発元 インテンス
発売日 2013年7月31日
定価 700円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 全体的に難易度が上昇
ほぼ攻略サイト必須の最終話
シナリオが完結
@SIMPLE DLシリーズ

概要(裏切りの密室)

『@SIMPLE DLシリーズ』の14作目。 事実上『THE 脱出ゲーム』の後編にあたり、これで物語は完結となる。 基本的な部分は前作と変わらないが、難易度が大幅に上昇。これにより多くのプレイヤーが悲鳴を上げた。

ストーリー(裏切りの密室)

何者かに謎の密室、トイレ、車、病院など爆弾が仕掛けられた様々な部屋に閉じ込められてしまった主人公・ケンタロウ…。
辛くも脱出には成功するものの事件は解決しておらず、心身ともに衰弱していた彼は深い眠りのなか、自分の過去を思い出すことになる。

「ケンタロウくん、起きて!シンジさんの実家に着いたよ~!」
それは4年前…ケンタロウが大学時代にサークルの夏合宿として先輩であるシンジの実家に来ていた頃の夢だった。
そこでケンタロウは同行していたクルミとともに立ち入り禁止であるはずのカラクリ屋敷に足を踏み入れ、閉じ込められてしまう。

「駄目だ、入り口の扉は開きそうもないぞ…」
閉じ込められた状況に焦りを感じるケンタロウに対して、
「えへへ、ごめんね~?中がどうなってるのかどうしても見てみたくって~」
呑気に答えるクルミ…。

「とにかく、部屋の中を調べてみよう。手がかりがあるかもしれない…」

この時の出来事が全ての始まりであり、今回の事件の大きな鍵となっていることにケンタロウは否応なく気づかされてゆくのであった。

※公式サイトより引用

評価点(裏切りの密室)

  • 仲間と協力するステージの多さ
    • 前作では単独で脱出するステージが大半を占めていたが、今作では反対にほとんどが共に閉じ込められた人物との脱出となる。
    • 共に行動することになるクルミやダイスケはなかなかにキャラが立っていて主人公との会話が良いアクセントになっており、飽きさせない。
  • エンディング分岐
    • 最終話であるものを入手するとエピローグでの会話が変化し、実質の真エンドが見られる。
  • グラフィック
    • 前作に引き続きグラフィックは比較的綺麗。
  • シリーズファンへのサービス
    • こちらも健在。前作に引き続きコレクションキャップのモチーフとして取り入れられており、ステージの画像も登場する。

賛否両論点(裏切りの密室)

  • シナリオについて
    • 話は無難にまとまっていて、ほとんどのプレイヤーが脱出パート目当てであろうことを考慮すると問題なく楽しめるようなものにはなっている。
    • しかし反対に言えばシナリオ単体で見るとかなり微妙な出来であり、取ってつけたように感じられるのは否めない。
+ 黒幕について(ネタバレ注意)
  • 一連の事件の犯人は主人公・ケンタロウと同じミス研に所属していたクルミだったのだが、描写が足りておらず不完全燃焼。
    • 最後の爆弾を止める暗号は"CRUSH ON YOU"になるなどケンタロウへの想いが強調されておりそれが動機であることも窺えるが、本編での描写は一言程度である他、犯人と分かったあともはっきりとは言及しないため説得力に欠けてしまっている。
    • また事件の大元の組織であるタランチュラに加入した経緯や毎回爆弾を仕掛けた理由なども曖昧なまま終わってしまっている。
  • クルミのその後に関しても他にやりようがあったのでは?と思ってしまうような展開。
+ さらにネタバレ注意
  • 勿論お縄になったクルミだが、真エンドではちゃっかり脱獄していることが発覚。しかも主人公(ケンタロウ)とサクラの結婚式に参加し手紙を送ってくる始末。(その手紙で脱獄が伝えられる)。これにはケンタロウも「罪は償うべきだと思う」と苦言を呈している。
  • 些細なことではあるが、手紙内で「みんなとうことはもう二度と無いだろうから」という誤字も見られる。
  • やりこみ要素(実績)
    • システムは前作と一緒だが、おまけシナリオの解放には75%以上の達成が必要となる。
    • なお前作以上に実績のバリエーションが無く設定が雑になっている。おまけシナリオを解放させやすくするためかもしれないが、本末転倒。
+ ネタバレ注意
  • 特に多いのが「○○を複数回調べる」「ゲームオーバーになる」といった内容のもの。
  • なかでも第8話はなんと8つの実績中実に6つが前者、1つが後者である。(残り1つはクリア時無条件で達成)
  • これにより「とりあえずそれっぽいものは連打しておく」「とりあえず爆弾の処理をミスっておく」というように実績対策がマニュアル化されがちで、面白味がなくなってしまっている。後者はリプレイの必要があるため余計に作業化しやすい。
  • 実績として設定されているものは調べた際に表示されるテキストの分量が多くバラエティに富んでいるため対象のものを見つけて読む楽しみはあるものの、前作では存在していた「ヒントを聞かずにクリア」「特定のアイテムを入手せずにクリア」などのある種裏技的な実績は一切無くなってしまっている。
  • 前作に引き続き『THE 呪いの廃病院』のキャラクターを模したコレクションキャップが登場する。
    • モチーフとなるキャラクターの不気味さはアップしており、見た目はかなり怖い。苦手な人は要注意。

問題点 (裏切りの密室)

  • 難易度の大幅上昇と極端な初心者モードの調整
    • 本作最大の問題点。
    • 謎解きが全体的に複雑化しており、初心者モードにせず脱出するのはかなり難しい。その難易度は体験版のみのプレイでも十分に実感出来るだろう。
    • 特に問題となっているのが第10話『最後の密室』。単純に謎解きが難しいだけならまだ良かったのだが、考えてもどうにもならないような納得感の薄い謎が多い。
    • それでも初心者モードを駆使すれば解決…と思いきや、主人公は頭が働かない(要約)と言って考えることを放棄。要は‪初心者モードが使えない
    • これにより大半のプレイヤーは攻略を見るか根気強く手当り次第調べるかを余儀なくされ、一気に楽しさが削がれることとなる。
    • なお他のステージでは初心者モードにすると脱出に必要なパスワードの謎をプレイヤーそっちのけで解き進め、答えをそのまま口にすることもある。こちらは初心者モードを使わない・使っても最後までヒントを見ないことで防げるが、いくらなんでも極端すぎである。
    • 最終話が不評という点ではTHE 密室からの脱出の二の轍を踏んでしまっている。最終場面になると何か捻りたがる癖でもあるのだろうか…?
    • 他にも第7話『エレベーター』では謎解きにエレベーターのとある仕組みが関わってくるのだが、ゲーム中にその仕組みについて詳しく解説されることはなく、初心者モードに変更しても一切触れずかなり抽象的なヒントしか言わない。そのため非常に分かりにくく難易度が高い。
  • テンポの悪さ
    • 第7話はその名の通りエレベーターが舞台になっているのだが、十数階ある移動が可能なフロアに移る毎にエレベーター内を調べなければならずいちいちボタンを押して移動する動作を挟むのが非常に面倒。最初は手当り次第に移動して調べるしかなく、把握したあとも各フロアの特徴を忘れた場合また手当り次第に目当てのフロアを探さなければならない。
    • 他にも暗号のヒントを得るための動作をする場所とヒントが得られる別の場所を数回にわたって行き来しながら確認しなければいけない場面がある。
  • 前作から引き継いでいる問題点
    • セーブ不可の場面の存在
      • 相変わらず爆弾(やそれに準ずるもの)の発見時から解除するまではセーブ不可。
    • テキストスキップについて
      • 前作と仕様は変わらずそのまま。

総評(裏切りの密室)

仲間と脱出するステージの増加など前作より良くなっている点はあるものの、難易度が大幅に上昇しており、特に最終話のあまりにも理不尽な難易度は不評を買ってしまった。
しかし決して質が悪い訳ではないので、シナリオの続きが気になったりキャラに魅力を感じたのであれば、その点を覚悟してプレイしてみるといいだろう。

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最終更新:2022年12月22日 19:49