セガガガ
【せががが】
ジャンル
|
シミュレーションRPG (実際はRPG&経営シミュレーション+ごった煮)
|
裏を見る
|
対応機種
|
ドリームキャスト
|
発売元
|
セガ
|
開発元
|
サンダーストンジャパン、ヒットメーカー
|
発売日
|
初版(セガダイレクト専売):2001年3月29日 一般販売版:2001年5月31日
|
定価
|
5,800円
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
重度のセガファン以外にはお勧め出来ない断末魔的存在 自虐ネタ満載、オタクしかわからないネタも相当数 データ内に眠っている度が過ぎるパクリパロディ SCEはおろか任天堂にまでケンカを売っている →今じゃ絶対発売できない ゲーム自体は佳作~良作レベル
|
セガ クロスオーバー関連作品シリーズ
|
概要
2ヶ月前の2001年(平成13年)1月31日に、家庭用ゲーム機の自社開発及び販売から撤退を表明していた「セガ・エンタープライゼス」もとい株式会社セガが断末魔のごとく繰り出した、自虐ネタを満載した文字通り渾身のセルフパロディゲー。
大まかなシナリオ&目的は、セガのスーパーコンピューターの抜擢を受け招かれた高校生「瀬賀 太郎」(名前変更可能)を主人公とし、ゲーム開発指揮を執りながらゲーム業界シェア100%を目指すというものであり、
アニメ調で描かれ実力派声優が演じる主要キャラや、実写・CG・アニメの入り混じったムービーパート等をもって繰り広げられる。
ゲーム内容は、ゲーム開発をする為の人員や資金等を入手する為のRPGパート、RPGパートで入手したリソースを投資してゲーム開発を行う経営シミュレーションパートから成りたっているが、部分的に3Dダンジョン探索、シューティング、倉庫番風のミニゲーム等も用意されている。
バカ要素
-
徹底的に自社(セガ)をこき下ろす自虐ぶり。
-
競合企業の扇動に煽られたゲーマー達にドリームキャストを踏みつけられる、ゲーム内でまで「なんでドリームキャストは売れてないの?」といった質問を受ける、等。
-
ライバル企業「ドグマ社」には(社風・リリースするゲームを含め)任天堂とSCE双方のパロディが見受けられる。ちなみにゲーム開始時の市場シェアはドグマ社97%に対してセガは3%。
-
バカ要素&演出
-
「RPG」の文字が出るたびに「R.P.Gは(株)バンダイの登録商標です」と注釈がいちいち出てくる。
-
セガ・バンダイ(当時)の合併計画が破談になった出来事に対する皮肉とも取れなくはないが、この手のギャグ作品だとこういう天丼ネタはよくある話である。
-
そのため、当時のセガはRPGをさかんに「ロープレ」と呼ぶようにしており、『RPG(ロープレ)伝説ヘポイ』というアニメのスポンサーも務めたが浸透はしなかった。「ロープレゲームは(株)セガホールディングスの登録商標です」。
-
RPGパートの戦闘は基本「口喧嘩」という演出が徹底されている(特定イベントでスポット参戦してくるヒロインだけは銃火器を平気で使ってくるが)。
-
主人公が熱血な台詞で説得して攻撃すれば、敵である業界人は現実的な言葉で反撃してくるという具合。そしてそのセリフ集にも業界人の自虐ネタらしきものが多数。
-
説き伏せた(戦闘に勝った)場合、給料の交渉を経て、相手を仲間にしてSLGパートで使用することが出来ることがある。
-
SLGパートではディレクター1人、プログラマー1~3人、グラフィッカー1~3人の編成で開発を行う。
-
適度にガス抜きや設備投資をしてやらないと開発速度・品質の低下やメンバーの秋葉原への逃亡といった事態が発生する。
-
また、宣伝広告費を大量投入して凡作を期待の新作に見せかけたり、未完成品を需要の高い時期に販売強行することで売り上げを大幅に向上させることが可能。ある意味で凄まじく生々しい。
-
ちなみにラストはRPG+シミュレーションというそれまでのゲーム内容からいきなり『サンダーフォースV』風の横スクロールシューティングになるという超展開。ただしそこにたどり着くには厳しい条件が必要である。
-
道中の敵こそPSのコントローラーやポケットステーションにそっくりだったりするが、転じてSTGボスはまさかの据え置きセガハードのメドレーが登場する。そこに元ネタさながらの熱く切ないBGMと、題材のたどるであろう運命がマッチし、クライマックスを否が応でも引き立てる。
+
|
ラストに登場するボス(ネタばれ注意!)
|
▽
<貴様にセガの歴史が倒せるか?いでよ!
|
ドルメヒカの破片
|
|
SG-1000
|
|
セガ・マークIII+FMサウンドユニット
|
|
メガドライブ+メガCD+スーパー32X
|
|
セガサターン
|
▽
<お前に何がわかるというのだ・・・
|
|
-
真エンディング自体は意外とシリアス。
-
OPテーマが作中におけるセガの社歌。歌いだしは「せーがー♪ せーがー♪ 東京都大田区ー♪」。
-
OPはインストゥルメンタルだが、ノーマルEDでボーカル付きの曲を聴ける。(真EDでは別の
マトモな
曲が流れる。)
-
文章で説明すると只のバカ要素だが、ゲームクリア時にはプレイヤーもそれなりに感情移入しているのでじんみり来るところが無くもない。
-
道具屋がある秋葉原でも珍妙なテーマソングが流れる。
-
ちなみに、ゲーム中の秋葉原は何故か実写である。
-
アイテムを手に入れる度に「セーガー!!」と流れる。
評価点
-
一見色物ながら実は結構作り込まれているゲームシステム
-
RPGパートは簡素な作りながら、「雑魚を倒してお金を稼ぎながらレベルを上げて装備を整えてボスを倒す」という基本的な楽しさはちゃんと備わっている。
-
バトルの「舌戦」もあまり例を見ない演出として楽しめる。基本的にランダムなセリフが表示されるだけだが、たまに面白い会話が成立して笑ってしまうこともある。
-
SLGパートにも、開発スタッフの体力・やる気などのパラメータを細かく管理しつつ、人間関係に悩むスタッフの相談に乗るといったランダムイベントをこなしていくという、ゲーム開発シミュレーションとしてしっかり楽しめる要素が盛り込まれている。
-
特に「ゲームの開発途中でゲーム雑誌記者から取材が来て、発売予定日を聞かれる」というイベントはかなり面白い点であり、ここでプレイヤーが決定した予定日通りに上手く完成させて発売出来れば売上にボーナスを得ることが出来るのだが、大抵数十日先の話になるので、適切な日取りを決めるのは難しく、それだけに上手くスケジュールを調整出来れば大きな達成感を得ることが出来る。
-
また、これら2つのパートが直接繋がっているという点も特筆に値する。RPGパートで良い人材を得られればSLGパートで大きな売上が見込めるし、SLGパートで大きな売上を得ればRPGパート用の主人公のポケットマネーへの報奨金が得られるのである。
-
ミニゲームの類も丁寧に作られており、特に真EDルートのシューティングは高品質な作りである。
-
豪華かつ熱い演出
-
作中では低予算がアピールされているが、アニメで描かれるイベントシーンがかなり多く、声優陣も有名所が多く、意外とチープさはあまり感じられない。
-
とある作中ゲームのパッケージを漫画家/イラストレーターのヤスダスズヒト氏が手掛けていたり、知る人ぞ知るがっぷ獅子丸氏がちょい役で出演しているなど、ゲスト陣も豪華である。
-
ストーリー本編も、「やってることは異様だが演出はとにかく熱い」という場面が多く、世界観に乗っかれれば楽しめる。
-
真ENDルートのクライマックスや、RPGパートのC研攻略時のラストなどは特に盛り上がるポイントとなっている。
-
セガの様々なゲームキャラの共演
-
当時のセガのオールスターゲームのような側面も有り、セガファンには(ネタに抵抗感が無ければ)感涙モノな場面も多い。
-
特に前述の真ENDルートではセガオールスターvs
任天堂&ソニー
ドグマ社という熱いシーンがアニメで描かれている。
-
ゲーム中盤以降、ソニックなどのメジャーなキャラを開発スタッフとしても仲間に出来るようになる。(セリフはコンパチだが。)
-
高品質なBGM
-
シーンに応じたムーディな曲や、熱く格好良い曲が多く、シーンの「燃え」に一役買っている。
賛否両輪点
-
詰め込まれているネタが非常に特殊な為、極一部のよく訓練されたセガファンやオタクしかその内容を理解出来ない
-
セガが発売してきたゲームだけでなく、当時までのアニメ等の各種オタク文化にも精通していなければ本作のギャグ要素は到底堪能しきれない。
-
バーチャやソニックしか知らない程度のゲーマーや、ネット等で話題になったアニメなら見た事がある(または名前や大まかなストーリー程度なら知っている)という程度のオタ知識では、出てきたネタに気付くことさえ難しい。
-
当然というべきか、なんと久しく忘れ去られていた『アレックスキッド』も登場する。勿論自分が忘れ去られていたという自虐ネタ付きで。
-
上記の一つなどまだ序の口。そこに疎いゲーマーが本作をプレイしても、詰め込まれた内輪&自虐&バカ演出等のネタは意味がわからず寒いだけにしか感じられなくなってしまう。
-
ただし、本作のターゲット層は完全にそういったコアなセガマニアにだけ向いていた(それもあって当初は通販限定で販売されていた)ため、こうしたネタが盛り込まれまくっている点については割り切るべきだろう。
-
そういったコアなセガゲーマー達からは本作を「神ゲー」と評する人もいるほどである。…それと同時に、その中でも本作や当時のセガの社風にあった徹底した自虐ぶりに不快感を抱く人も存在した。
-
内輪的過ぎるネタにシナリオ展開
-
業界人の逸話等、ゲーム業界の内輪ネタやラストの超展開は嫌いな人にとってはマジで受け入れ辛い。
-
シナリオは『カルドセプト サーガ』『カオスレギオン』『シェンムー』などを手がけ、後に小説『天地明察』で吉川英治文学新人賞を受賞することになる冲方丁が執筆している。シナリオの質自体は案外良好。
問題点
-
一部の度が過ぎたネタ
-
自虐の一環としてセガ社内に実在した「パソナルーム(自己研修部屋)」ネタまで出ているが、皮肉にも本作リリースと同時期にパソナルームに配属されていた社員に訴訟を起こされ、後のセガ全面敗訴により完全に笑えない話に。
-
アダルトチルドレンを「幼稚な大人」と根本的に誤った解釈をし、おむつ姿のおっさんを敵として登場させてしまった(本来の「アダルトチルドレン」という言葉の意味は、「成人した被虐待経験者」の事である)。当然ながらこの事が当事者団体から抗議を受けて『スパイおじさん』に名称変更をせざるを得なくなったという、ギャグでは済まされない問題を起すはめになった。もっとも当時、この誤用は世間的にかなり広まってしまっていたのでこのゲームだけの問題というわけでもない。もちろんだから許されるという物でもないが…。
-
なお、グラフィックはそのままであるため、事情を知らずに修正版をプレイした人間は「『スパイおじさん』がなぜかおむつをしている」という謎の事態に戸惑うことになる(
もともと変な敵キャラばかり出てくるので、あまり気にならないと言えばならないが)。
総評
とにかくアクの強い作品である。
RPGとゲーム開発SLGを組み合わせたゲーム性にはなかなか面白みが有り、ストーリーの本筋にも驚きの急展開や燃える場面などが用意されているが、
ドリームキャスト発売当時の情勢や、セガやオタク・サブカル的な分野の知識をある程度持っていなければ、
殆ど意味不明なクソゲーという印象にも成り得るし、パロディの凄まじい多さ自体も好みの分かれるところであろう。
そのため、安易に推薦は出来ないが、プレイする人によっては心に強く残るゲームであると言える。
補足
-
チート行為をしないとわからないことだが、著作権上等の
パクリパロディ演出が没データとして残っている。
-
ミニゲーム集のカタログの中に没データがあるのだが、それらが(著作権上)非常に危険な代物。他ゲームからアニメ、映画と無節操なほどの潔い
パクリパロディである。店頭販売版ではこのデータ自体はおろか痕跡すらも一切なくなっているほどのヤバさである。
-
セガのライバル会社「ドグマ社」の三幹部の一人「ドグマ博士」は、本ソフトの開発初期には当時ライバルでもあった任天堂の横井軍平をもじった人物「横○博士」として登場する予定だったが、流石に任天堂に怒られる事を恐れてドグマ博士に変更したと言われる。
-
今作の演出やBGMの一部が、名作シューティングシリーズとして知られていたサンダーフォースの6作目『サンダーフォースVI』に流用されている。
…が、サンダーフォースのイメージに合わなかった事から猛烈な批判を食らう事になった。詳細は該当ページにて。
-
ラストSTGステージの開始前アニメムービーでは、ラスボスの放った怪獣軍団(よく見るとP○2、○カチュウ、ピポザ○といった、著作権的にアウトなものばかりがモチーフ)を迎え撃つため、セガの全歴代ゲームキャラが出撃するという衝撃の展開が待ち構えている。
+
|
ネタバレについて
|
-
ファンタシースターIのパーティーメンバー(実はゲーム序盤から登場しているが正体は隠していた)を皮切りに、パンツァードラグーンのブルードラゴン、オパオパ、ソニック、挙句の果てにHODのゾンビどもまでが登場。
-
一応設定上は「セガが出したゲームのキャラクター全員」ということになっているが、実は会社のゴタゴタのせいでムービー中に出ていないキャラが意外と多い、惜しい事態に。あと当初はせがた三四郎も巨大化して登場する予定だった。
-
前者は当時のセガがリストラの弊害で権利関係のトラブルにあったため。後者も肖像権のせいで没になってしまった。
-
代わりとしてか、セガ製品ではない『バトルマニア』シリーズからも主人公の大鳥居マニア・羽田マリアが同ムービーに出演している。
|
余談
-
だいぶ後の話になるが2015年1月に4月からセガは『セガゲームス』と社名変更すると発表した。
-
元々「セガ」とは「SERVICE GAMES(サービスゲームス)」のそれぞれ頭2文字を取ってそれをローマ字読みしたものであるため「セガ」の「ガ」が「ゲームス(GAMES)」であることから「それってセガガじゃね?」というツッコミが多数発生した。
-
そんなネタ要素満載な社名変更だったことに加えて似たようなタイトルである本作も妙な形で注目されることとなった。元々自虐マンマンなネタ路線ゲームのためイメージブレイクになるようなことはなく再注目される効果はあったのである意味プラスに働いたネタと言えるだろう。
-
それに併せて『セガ』→『セガガ』ときて次はいよいよ『セガガガ』か?と更なるネタにされたが、それからわずか5年後の2020年に、セガゲームスはセガインタラクティブと統合され新しい『セガ』となったことで『セガ』→『セガガ』→『セガガガ』は実現しなかったのであった。
-
いかにもセガの集大成のようなゲーム内容に加え直前の撤退表明、以後はプレイステーション2の独壇場な時代になり、他に2001年にはこれまでしのぎを削り合ったライバルである任天堂のゲームキューブが発売されセガもサードとしてローンチタイトルソフト『スーパーモンキーボール』を供給、2002年はXBoxの発売によりあのマイクロソフトがゲーム業界への電撃参戦など、ゲーム業界でも話題性ある出来事が続きドリームキャストはその存在感が一気に薄くなったことなどもあって、本作がドリームキャスト大トリのように思われているところもあるが実際はドリームキャストのソフトは以後も年を追うごとに減少はしているもののリリース自体は2007年まで続いた。セガ自身も2004年の『ぷよぷよフィーバー』までファーストとしてソフトを出している。
最終更新:2024年12月23日 22:40