マリオとワリオ
【まりおとわりお】
ジャンル
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アクションパズル
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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任天堂
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開発元
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ゲームフリーク
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発売日
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1993年8月27日
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価格
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通常版:6,600円 マウスセット:9,500円 (全て税別)
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周辺機器
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スーパーファミコンマウス専用
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判定
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良作
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
『スーパーマリオランド2 6つの金貨』で登場した悪役、ワリオのスーファミ進出作品。
『マリオペイント』以外では唯一となるスーパーファミコンマウス専用ソフトであり、通常のコントローラーではプレイ不可。
元はスーパースコープ用ゲームとして開発されていたが、スーファミマウス用ゲームとして発売された。
ストーリー
妖精の森にやってきたマリオ、ヨッシー、ピーチ。しかしルイージが迷子になってしまう。
ルイージを探すマリオ達だが、そこにワリオがやってきてバケツをマリオの頭に被せてしまう。
妖精ワンダはマリオをルイージの元に導いてバケツを外させようとするのであった…。
システム
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マウスで妖精ワンダを操作し、キャラクターを誘導してゴールのルイージの元まで導く。
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誘導するキャラクターはマリオ、ヨッシー、ピーチの3人からワールド選択時に1人を選ぶ。
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それぞれ移動速度が異なり、ヨッシーが最速、ピーチが最鈍になっている。移動速度が速いほど制限時間面では有利だが、落下速度も速く、操作はその分難しくなる。逆もまた然りで、移動速度が遅いほど操作は簡単ではあるが、落下速度は遅く、その分制限時間面で不利となる。
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対して、崖での予備動作は移動速度が速いキャラクターほど長く、遅いキャラクターほど短くなる。
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また、一定以上の高さから落下すると、着地時に一時的に硬直が起こる。この高さもキャラクターによって差がある。
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以下、説明での表記は「マリオ」で統一する。
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ゴール地点まで到達するというのは従来のシリーズと同様であるが、今回マリオはバケツを被せられているため前が見えない。このため、マリオ本人はひたすら直進することしかできず、直接プレイヤーが動かすことはできない。
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プレイヤーが操作するのはこのゲームの真の主人公の妖精ワンダ。彼女は魔法の杖を持っており、この杖で対象を叩く(クリックする)ことで様々なアクションを起こさせることができる。
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マリオを叩くことでの方向転換を基本として、他にブロックを出現させて足場を作る、敵を倒すなどのアクションによってマリオを安全にルイージの元に誘導するのが目標になる。
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全10ワールド、100ステージ。ワールド1~8は自由な順番で攻略できるが、初心者は1画面しかなく仕掛けも少ないワールド1で練習するのが推奨される。
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ワールド8をクリアすると、ワールド9が解放。ワールド9クリアで最終ワールドのワールド10が出現する。このためストーリーを終わらせるだけなら、ワールド1~7については特にクリアする必要はない。しかし全てのワールドクリアで…?
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ワールドクリアの度にワンダがピコハンでワリオをフルボッコにするボーナスゲームが入る。ある程度叩きまくるとワリオの乗っている飛行機が爆発し、ワリオが黒焦げになるという演出もある。叩く度にコインが入手できるのでワンアップのチャンス。
評価点
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一つ一つのステージの構造が非常に凝っており、アクションパズルとして純粋に完成度が高い。
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単にクリアするだけならそこまで難しくないことも多いが、スターコンプリートなどを狙うと、ヨッシーを使っても制限時間がシビア。ゴールまでのルートが複数用意されているステージもあり、最短ルート開拓も熱い。クリアタイムやハイスコアを競うのも面白い。
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たった1ボタンしか使わないにもかかわらず、登場するギミックは多彩で、仕掛けの運用には頭をひねる必要がある。
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わかりにくいかもしれないが、本作ではワンクリック=ワンアクションが徹底されている。ドラッグや、ダブルクリックと言った面倒なアクションはほぼ必要なし。「動かすだけでも楽しい」というのは異色作に見えてしっかりマリオしている部分である。
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ステージ開始後、何かボタンを押すまではポーズがかかっている状態になっており、この間は自由にマップ構造を確認できる。事前に攻略ルートを構築した上での進行が容易。
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ワールドごとにギミックが異なっており、一つ一つのステージごとの個性が強い。
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例えば炎の洞窟では炎を吐く敵、ツボーンが大量出現する、プクプク海では押す度に出現しているブロックが入れ替わるスイッチブロックが多数登場するなど。
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また背景やかぶり物もワールドごとに異なる。かぶり物に合わせてワンダが叩く音も変わるなど芸が細かい。
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BGMもワールドごとにイメージに合ったものが用意されており、完成度は高い。
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グラフィックは奥行きがあるかのような背景を始め、まるでその場にあるかのような臨場感がある。
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3人のキャラクターでの難易度分け。単純にピーチが初心者向けでヨッシーが上級者向け…ということでもなく、ギミックによってはヨッシーの方が攻略しやすいなど、個性付けがキチンとされている。
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キャラクターはワールドクリア、もしくはゲームオーバーで変更可能。ワールド毎にキャラクターが変更できるのは地味ながらうれしい。
賛否両論点
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難易度はマリオシリーズとしてはかなり高め。
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前半はそこまででもないが、後半のステージのいやらしさはシリーズでも群を抜く。決してクリアできないわけではなく、やりがいもあるのだが、万人向けを志向するシリーズの1作としてはやや異例。
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ワールド8まではゲームオーバーになってもそのステージからコンティニューできるが、ワールド9はゲームオーバーになるとどのステージでも9-1からやり直し。ワールド10はさらに酷く、ゲームオーバーになると10-1ではなく9-1まで戻される。つまり、ワールド9-1以降はノーコンティニューでクリアしなければならず、非常に厳しい。
問題点
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全100ステージというボリュームにもかかわらず、セーブ機能なし。クリアするだけなら上述通りワールド8~10だけをプレイすればよいのだが、せめてハイスコアの記録や中断機能、パスワードによる進行度保存などの配慮は欲しかったところ。
FC版『スーパーマリオブラザーズ3』での不満を再燃させてしまう事となってしまった。
総評
単純なシステムに奥深い内容、というマリオシリーズのコンセプトをそのまま再現したような一作。
風変わりながらも、独特な面白さを持ち、その快感は他のゲームではなかなか味わえない楽しさである。
操作形態の都合上かバーチャルコンソール配信なども行われておらず、シリーズの中ではやや影が薄い印象があるが、プレイできる環境ならば是非プレイしてもらいたい。
余談
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タイトルについてしばしば話題になる作品である。
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上のパッケージを見れば分かるとおり『マリオとワリオ』なのだが、サイトやカタログによっては『マウス専用 マリオとワリオ』になっている場合がある。
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この記事ではパッケージのタイトルロゴ表記を優先した。
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マウス専用なので、現在ではプレイ環境がやや厳しめ。
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SFC用マウスは「ボール式」であるため、現在のPC用マウスと比べると非常に操作性が悪い。
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ソフトにマウスが付属しているものと、付属していないものとがあり、後者を所持している場合には、マウスを別途用意する必要がある。とはいえ、大抵のプレイヤーは『マリオペイント』に同梱されたものを使用したことだろう。
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ワリオが明確にマリオの敵として登場した作品は本作が最後になっている。
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以降はワリオシリーズとして独立したゲームの主人公として活躍する一方で、パーティーゲームなどでマリオと共演する際もあまりライバル関係は主張されないことが多くなっている。
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落下すると、かぶり物が一時的に外れる(マリオが先に落ち、後からかぶり物が落ちてきてまたマリオの頭に被さる)。
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ガッチリはまっているのかと思うがどうやらそうではないようで、この光景を見たプレイヤーは例外なく「じゃあ自分で外せよ」とツッコむことになる。
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まぁゲームとして成り立たなくなるので、「そういう物だ」と割り切れば済む話だが…。
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コロコロコミックに連載されている漫画『スーパーマリオくん』の『マリオとワリオ』編では、ピーチ姫に被せられたバケツになぜか鍵がかかっており、行方不明になったルイージが持っている鍵でしか開かない、という設定になっている。
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ちなみにこのエピソード、クッパとワンダが不慮の事故で融合して「顔は分厚い唇と化したクッパで身体はワンダ」というクリーチャー状態となり、以後は本来登場すらしないクッパが同行するわ、主役の座を求めてルイージがモンスターと化してマリオに襲いかかるわ、ワリオがパワードスーツを纏ってサムス状態になるわ、
「鍵なんて持ってない」というルイージに対し、ワリオがルイージをハンマーで叩いてカギに加工してピーチ姫のバケツを解除するわ
、最後の最後で強引に『ワリオランド』編にシナリオを繋げるわ…と、やたらカオスな内容になっている。まぁ、この作品ではよくある事なのだが。
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この他にコミックボンボンで連載されていた漫画『スーパーマリオシリーズ』の『マリオとワリオ』においては、コロコロに連載されていた『スーパーマリオくん』の『マリオとワリオ』とは異なり、こちらは『スーパーマリオランド2 6つの金貨』の後日談的なストーリーとなっており、序盤とラストで良心を持ったワリオが登場したり、マリオとピーチ姫が物語の最後まで妖精ワンダを美少女か美少年かで言い争ったりするシーンがあるものの、原作ゲーム版に近い設定を内容にしている。
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もっともこちらのボンボン版も最終決戦においては、直前にワリオの逆恨みによってマリオが徹底的に
鼻を痛めつけられて
瀕死になってしまい、マリオ(鼻の戦士)の危機を感じ取り救援に駆けつけたヨス湖に住むヨッシーの亜種といえるヨッシーザウルス達によって
鼻パワーを分けてもらってマリオが復活。
色々あった末に
必殺のビームを鼻から炸裂させてワリオを飛行機ごと撃沈させて
決着を迎える内容だったりと、
想像の斜め上をいく展開で締め括られる
マンガ作品に仕上がっていたりするが…。
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ボンボン版も終了した次の号から「ワリオランド」の連載が続けて開始したのだが、ラストで良心を取り戻したはずのワリオが悪役と言える様なキャラに説明も無く戻っていたり等、ボンボン版の本作のマンガの設定がパラレルという扱いなのか、無かったことにされた様な感じになっていた。
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前述の通り、制作は後に『ポケットモンスター』で有名になるゲームフリーク。
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メインスタッフも同じであり、制作総監督を田尻智氏、音楽を増田順一氏、キャラクターデザインを杉森建氏が務めている。
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ちなみに『ポケットモンスター 赤・緑』の作中ではとある場面で「マリオがバケツをかぶってあるいていくゲーム」が登場する。
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「プレイするワールドを8つの中から選択し、各ワールドには10コースが存在する」という部分は同社開発の『クインティ』と同様。最終面に進む条件のみ異なる。
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マリオシリーズ全てを通しても非常に珍しい「ピーチを操作できるがルイージを操作できない作品」である(他には『スーパーマリオRPG』などもある)。
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当時、発売されていた公式ガイドブックとのタイアップ企画があった。
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ここでのチャンピオンとは全員ゲームフリークの制作スタッフであり、その全員があたかも『バーチャファイター』の鉄人のようなカタカナ交じりの芸名をつけてポーズをとっていた。
最終更新:2024年10月12日 09:00