1.一般的な格闘ゲームにおける用法
格闘ゲームにおいては、
アーケードモード?の一種、あるいはアーケードモードの亜種として存在する対CPUモードのこと。
基本的には対戦の前後に会話シーンなどが挟まれ、文字通りストーリーを楽しみつつ戦っていくモードである。
アーケードモード自体がそうである場合もあるが、区別される場合はアーケードモードに会話シーンはない。
主に家庭用において搭載されていて、中には特殊な状況・ルールで戦うものや分岐ルートの選択肢が出るもの、
果ては
格闘そっちのけでミニゲームが始まるものもある。
MUGENでは、「ARCADE」モードで似たようなことが出来る。
キャラクターごとにオープニングやエンディングが表示されるように設定することができるので、
それによりストーリー付きの戦闘を行うことが可能である。
2.『東方Project』におけるストーリーモード
『東方Project(の中でも典型的な弾幕STGの形態をとるもの)』ではボスキャラクターには体力ゲージが複数本存在し、
それが一定の残量まで削れるとスペルカードと呼ばれるものを宣言、カットインとともにスペルカードの名前が表示され、
それ以後はそのスペルカードに対応した独特な弾幕を体力ゲージがなくなるまで放ってくるようになる。
『
萃無想』『
緋想天』『非想天則』におけるストーリーモードとは、この『東方Project』におけるスペルカードルールを格闘ゲームの形態で再現したものといえる。
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設定上のスペルカードルール |
命名決闘法案
妖怪同士の決闘は小さな幻想郷の崩壊の恐れがある。
だが、決闘の無い生活は妖怪の力を失ってしまう。
そこで次の契約で決闘を許可したい。
幻想郷の中には、スペルカードルールというものが存在する。
それは、強大な妖怪達が過剰な力で小さな幻想郷を破壊しつくさないための「形式的な決闘」ルールのことで、
幻想郷において異変やトラブルが発生した場合はこのルールで解決せよという決まりがある。
つまり、幻想郷内においては基本的に殺し合いなどのガチンコによる解決は存在しないのである。
実際に対峙しての会話でルール・お約束に言及するのは 滅多に見られないが、流れを簡潔に記す。
- 互いに要求(例:「それをよこせ!」「とっとと帰れ!」)を出し合い、合意する(しないと決闘が成立しない)
- スペル使用者が「あらかじめ紙に書いておいた」自分の得意技(弾幕)の名前を宣言し、攻撃する。(宣言の際は叫ぶ必要はない)
- 宣言された側は、その技に倒される前に相手を打ち破るか、規定された時間まで回避し切ると、技を「破った」事になる。
- 全て破られて負けた方は勝った方が事前に伝えた要求に従う。
試合に負けた後は、たとえ体力に余裕があっても戦いは続けられない。また、勝った方も負けを認めた相手には攻撃できない。
(再戦を申し込む事は可能。合意が得られるかは別として。)
スペルカードルールが「技を出す事」と「それを破る事」に意味を見いだす関係上、
「技を出させる前に速攻でボコって倒す」というのは勝ちと認められない。
HPゲージも生命力ではなく、スペルが破られたかどうかの指標の意味合いが強い。
だからスペルごとにゲージがリセットされるし、ゲージが無くなれば体がピンピンしていても負けを認めることになる。
中には スペルを破られる度に死んでしまう人もいるが、これは例外だろう。
決闘という性質上、不意打ちは許されないし、知覚不可能な攻撃や回避も攻撃も不可能な絶対に勝てないスペルも使用禁止になっていて、例えば 無敵になる「夢想天生」などは制限時間が設けられていたりする。 東方文花帖には回避不可能なほど高密度の弾幕が存在するが、これは写真に撮られる(弾幕を消される)事を前提としているためである。
ただしSTGでも格闘でも、稼ぎを意識しないなら、両者が同時にスペル展開する事は頻繁にあるため、
概ね複数の必殺技を応酬し、どっちかがヘコむまで痛い目を見ると決着、という形が多い様子。
自機とボスの条件がだいぶ違うように見える事については、「攻撃側・防御側に分かれて、スタイル(速射で紙・多弾でライフ制)を変更している」
「実際は全く同じ条件で、ゲーム的に彼我の表現を変えてある(耐久値が尽きるのと、見切れず被弾するのが同じ現象)」などの解釈がある。
なお、実力差による力づくの決着を避けるルールでもあるので、設定上どれだけ強かろうとそれがゲーム内の強さと一致するとは限らない(むしろ一致しないことの方が多い)。
霊夢以外の人間では勝ちようのない連中も少なくない中、人間な自機が勝てるのはそういうわけでもある。
要は ゲーム的な補正なんだけども。
ちなみに、スペルカードは宣言に使う技名を書いた 紙で、これ自体には魔力や霊力はない。
ない、のだが……そもそもルールを破ったらどうなるのかという問題に言及はなく、
外から来た 東風谷早苗や長らく交流が無かった 地底の住人、
果ては 数百年以上もの封印から解放されたばかりの相手にもスペルカードが使えることから、
「片方の宣言で上記のルールを強制できるカードなのではないか」等の説もファンの間では囁かれている。
二次創作では「スペルカードがなくて技が出せない」といった前後関係が逆転している描写もあったりする。
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スペルカードの由来とか |
このルールが決められた最大の理由は、
『紅魔郷』より以前、幻想郷外から吸血鬼( スカーレット一族とは明言されていない、別人の可能性も)
が幻想郷を支配しにきた(通称「吸血鬼異変」)。
この時、巫女や人間を襲うことが禁じられ食糧も供給されるようになっていたことが一つの原因で、 妖怪は気力が下がる一方であったため、多くの妖怪が短期間のうちに吸血鬼の軍門に下ってしまったが、
それも最も強大な力をもった妖怪によって鎮圧された。その後、気力が残っていた妖怪達が懸念して「 博麗の巫女」に相談、巫女も退屈だったので妖怪と決闘しやすくなるアイディアに賛同して、妖怪が書いたと思しき原案を元に「スペルカードルール」と呼ばれる一連のルールを持つ決闘法を制定、導入することを決定した。
これにより、「プロレスの様な」あるいは「スポーツ感覚に近い決闘」と表現されるような闘いを気軽に行うことが可能となった。
大規模な異変を引き起こしても、一度敗れたら素直に引き下がって禍根を残さないので、妖怪は異変を起こしやすくなり、人間も異変を解決しやすくなった。
他にも決闘ルールはあるようだが、スペルカードルールによる弾幕の美しさと多様さが大ウケしたため、他の決闘法はあまり使われていないらしい。
ちなみにスペルカードルールが適用された一番最初の異変が、『紅魔郷』の「紅霧異変」である。
作中での扱いはこの決闘ルールも所詮『弾幕
ごっこ
』であり、正確に言えばゲームや遊びの一環でしかない。
しかも、 女の子同士のままごと感覚なのである。
(ただし、妖怪のために作られた決闘ルールであるため、危険だから禁止という概念は少なく、 人間の場合は当たり所が悪ければ死ぬこともある。)
また、 あくまで対等に戦うルールのため、どれだけ能力差があろうとも必ず互いに勝ち目のある形で決闘する。
力量差のあるものが互いに全力で戦えば勝負にならないし、力のある者同士が激突すれば前述のように幻想郷に被害を与えかねないのでこれは致し方ないところ。
本人達もその辺は織り込み済みなので無用に荒れることはあんまりないようである。
「弾幕ごっこ」と呼ばれることもあるが、攻撃が「弾」に限定されることもなく、スペルカードの技が弾幕である必要もない。
なお、このスペルカードルールは幻想郷に広く知れ渡っているものの、男性にとってはあまり関係がない。
Q.「幻想郷」今まで頑なに少女しか登場しなかったのには何か重要な意図が?
A.もちろんありますよ。
本気で闘う場合、少女たちが1対1で闘う事なんてあり得ないんです。(シリアスなストーリーになればなるほど)
だから、あれは彼女達のゲームなんです。遊びとしてみた場合、今度は均等に老若男女が入り乱れる事の方が
不自然になります。だからゲームの中では、容易に少女以外を出す事が出来ない訳です。今までもこれからも。
(
幻想掲示板のweb archiveより
)
ちなみにZUNは萎えラジでも、 東方キャラはみんな子供(だからあんまり胸ない)、と明言している。
東方Projectに男性キャラや大人キャラが出てこないのは、そういう理由からなのである。
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上記3作のストーリーモードでは、敵キャラクターの体力がある程度減るとスペルカードを宣言し体力が全快、
それを削りきるまで特殊な攻撃、行動パターンを取るようになる。
ゲームジャンルが「弾幕"アクション"」とされる理由もこのあたりにあるのであろう。
相手の体力を削りきることでそのスペルを攻略したことになり、再び敵の体力が全快して次のスペル攻撃に移行する
(緋想天と非想天則では、溜めがある代わりにスーパーアーマー状態が付加。溜め時間中でも仰け反らせられないので
むやみに突っ込めば発動時にぶっ飛ばされる。もちろんスペルにより溜め時間は変わるので見極めが必要)。
さらに非想天則では、前作までと比べHPが非常に高くなり、削りきるには非常に時間がかかるようになったが、
攻撃を与えるごとに画面上部のSPELL BREAKゲージが減少していき、空になると相手がクラッシュを起こすようになった。
クラッシュ中は相手のアーマーが無くなるとともに通常よりも多くのダメージを与えられるようになり、ダウン中などでも追撃できるようになる。
よって、相手がクラッシュしてる間にいかに追撃できるかが鍵となる。
また
ゴリアテ人形など、STGでは度々登場する、耐久スペカ(時間切れまで回避し続けなければいけないスペカ)も登場するようになった。
参考動画
3.MUGENにおけるストーリーモード
MUGENにおいても上述のシステムが実装されているキャラクターが存在する。
特にニコMUGEN界隈では、単にストーリーモードと呼ぶ場合はその中でも『東方Project』の弾幕アクションにおけるストーリーモードの挙動を再現したものを指す。
転じて、そのシステムを他作品キャラやオリジナルキャラに搭載したものも同じように呼ばれる。
「ピンチになると体力ゲージが回復する」という見た目のせいか格ゲーの範疇を超えた超回復と勘違いされることがあるが、
実際は
オンスロートや
アビスのような段階的形態変化をするボス仕様である。
彼らと違い外見上の変化がないので勘違いされやすいのは仕方なくもあるが。
後述するが、MUGEN的にはスペルを出す前に速攻でボコっても勝ちになることがある
*1。
スペカの攻撃のパターンは大別すれば3つあり、
「弾幕を放つ→移動もしくは間を置く→再び弾幕を放つ」というパターン(『符の壱「夢想妙珠連」』『符の壱「連続殺人ドール」』等)と
「特定のスペルカードが使い放題になる(他の技も普通に使用する)」パターン(萃夢想での一部スペル)、
「一定の弾幕を継続的に放ち続ける」パターン(『外力「無限の超高速飛行体」』『無題「空を飛ぶ不思議な巫女」』等)に分けられる。
プレイヤー操作の場合、パターンを読んでガン逃げしつつ攻撃すれば(しなくとも耐えきればクリアになる場合もある)
カンフーマン並のキャラで倒すことも十分に可能である。
‥‥と言っても、その多くは、東方独自システムである
グレイズ(ダッシュや飛翔中は弾幕を素通り出来る)で弾幕を回避しながら
相手に接近しての打撃、もしくは相手が隙を見せたときに射撃などで攻撃を加えるのが一般的な攻略法なため
グレイズができないキャラで攻略することは非常に困難でもある。
(最近は東方キャラの方で「ダッシュ中の相手に当たらない」ように設定された弾を撃っている事も多く、
その場合はダッシュステートに入ればどの作品のキャラでも弾幕をすり抜けられる事が可能。
KOFなど途切れないダッシュができるシステムのキャラはこの面では東方キャラより有利とさえ言える)
一方、AI操作のキャラで対戦させた場合、
パターンを読んでガン逃げという概念もグレイズというシステムも
AIは認識できないため、
力技で強引に攻めるか特殊な手段で突破できる凶キャラ級以上でないと攻略が困難な場合が多い。
従って、AI同士で普通にやるとまともな勝負にならないため、
封印推奨。
狂クラス大会をやるというならストーリーモードではなく狂クラスモードのようなレベル設定のある東方キャラを出すといい。
ちなみに、AI操作であってもストーリーモードに突入する直前に限り相手ステートを奪う攻撃でライフをゼロにすると倒せる事があるため、
「
瞬獄殺」や
一撃必殺などの威力が大きい投げ判定技があれば他の部分が並~強ぐらいでも運が良ければ撃破できることもある。
ストーリーモードに突入した場合でも、全部
ブロッキングや
反射で対処したり、耐久スペルが無ければ開始と同時に超火力攻撃をしたり
無敵つきの移動技を駆使したりすれば対戦用のAIでも攻略できる場合もあるにはある。本当に稀だが・・
なお、クロガネ氏が製作した東方キャラに関しては「AssertSpecial」のステートの「NoKo」のフラグを使用しているため、一般的な
即死攻撃ではストーリーモードに移行させずに倒すということができなくなっている。
MUGENでのストーリーモード搭載キャラは以下の通り。
*1 実は東方においても、スペルカードが初めて導入された『紅魔郷』では宣言直前にボムを使うことで潰すことができるスペルが存在した。
『妖々夢』以降は宣言と同時にボムが強制的に中断されるようになり、スペル潰しは不可能になった。当然、萃夢想・緋想天でも(初期バージョンの一部スペルを除いて)同様。
『地霊殿』では、
一部中ボスの登場演出中、機体によってはボムを重ねると攻撃開始前に撃墜可能というバグがあったが、こちらは仕様としてそのままGOサインが出た。
関連項目