蒲原郡下條組大牧村

越後国 蒲原郡 下條組 大牧(おほまき)
大日本地誌大系第34巻 61コマ目

府城の西北に当り行程15里。
家数26軒、東西4町・南北2町。
山中に住し西南は揚川に傍ふ。

東は京瀬村田圃(たんぼ)(まじ)り地界なし。その村まで10町30間。
西は小花地村に隣り境界分明ならず。その村まで21町。
南は西村と田圃相雑わり地界なし。その村まで15町。
北1里計五十沢村の山に界ふ。

山川

焼山(やけやま)

村西2町余、揚川の南岸にあり。
春水(しゅんすい)深く舟路の断るとき、西村より小花地村に行く道あり。
登ること18町計。難所なり。

大沢川(おほさはかわ)

村中にあり。
白鬚山の麓より流れ出、西北に流るること20町計揚川に入る。
広2間計。

揚川

村南にあり。
京瀬村の境内より来り、西北に流るること1里計余小花地村の方に注ぐ。
村西6町計、両岸に嶮岨(けんそ)なる岩山あり。山戸(やまと)と称す。昔空海護摩を修せし所とて、岩上に2、3間計の平あり。本尊岩(ほんそんいわ)経岩(きやういわ)衣岩(ころもいわ)等の名あり。この間蒼松(そうしょう)多く(すこぶ)佳景(かけい)なり。

強清水(こはしみず)

村北1町、岩間より湧出。
清冽にして炎旱にも涸れず。

神社

帝釈神社

祭神 帝釈神?
鎮座 不明
村中にあり。
村民の持なり。


  • Google Map
    • 大牧地区
      • 本文を見る限り、阿賀野川の北岸だけでなく南岸の一部も大牧村に属していたようです。
    • 焼山
      • 現在西村(赤岩)から小花地村に行く道は残っていないようです。明治時代の地理院地図には、水谷川河口付近から山を登り焼山の北を抜けて小花地へと向かう山道が載っています。
    • 大沢川 - 現在も同名の川あり。
    • 揚川 - 阿賀野川
      • 山戸のうち本尊岩のみ地名に残っています。
      • また本尊岩の下をくり抜いて通したトンネル(JR磐越西線及び旧国道49号線の本尊岩隧道)が現存しています。ただし現在は通行止めとなっているようです。(参考:山さ行がねが
    • 強清水?
    • 多賀神社(旧・帝釈神社?)
    • 昭和橋跡(右岸) / 左岸
      • 「1929年(昭和4年)に昭和電工・鹿瀬工場によって架橋され、当時の鹿瀬工場で製造されていた『石灰窒素(化学肥料)』の原料となる石灰石を阿賀野川左岸で採掘していて、その採掘場へ従業員が渡るために架けられた作業用の吊橋。採掘場は1960年(昭和35年)に閉山し、昭和40年代におきた大雨による洪水で流された状態で現存。」(Google Mapのクチコミより)
    • 大牧鍾馗大明神
  • イザベラ・バードの阿賀流域行路を辿る
    • イザベラの足跡を辿るという特集で、その4では津川から新潟まで船で移動した所を紹介しています。記事の中に本尊岩の写真?や津川から新潟までの船賃について記載があります(30銭?)。経岩?の写真も載っています。
最終更新:2020年11月07日 18:53