蒲原郡下條組小花地村

越後国 蒲原郡 下條組 小花地(こはなち)
大日本地誌大系第34巻 62コマ目

府城の西に当り行程15里25町。
家数31軒、東西3町・南北47間。
山間に住し北は揚川に傍ふ。

東は大牧村に隣り境界分明ならず。その村まで21町。
西6町谷沢村の界に至る。その村まで21町。
南15町大牧村の山に界ふ。
北7町五十沢村の山に界ふ。

山川

荒倉山(あらくらやま)

村北3町、揚川の北岸にあり。
頂まで2町。
東の方に大峯(おほみね)牛頭(うしかしら)本尊岩(ほんそんいわ)等の諸峯あり。
松樹多し。

揚川

村北にあり。
大牧村の方より来り、西に流るること9町計谷沢村の界に入る。

土産

鉱石(こうせき)

村東2町、山の間より出つ。
慶安の頃(1648年~1652年)始てこの石を焼て石灰とす。
その後漸々に製出し、その利広し。

黄蝋(おうろう)

漆蝋の上品にて、この村の産最良し。

神社

戸隠神社

祭神 戸隠神?
相殿 山神
鎮座 不明
村北3町、揚川の北岸にあり。
鳥居あり。谷沢村佐久間能登が司なり。

寺院

洞照寺

村西にあり。
藤井山と號す。津川町密蔵院の末山真言宗なり。
開基詳ならず。
天正13年(1585年)玉當という僧筑後国より来り住すという。
本尊不動客殿に安ず。



余談。
土産の条に石灰を作っていたと記載がありますが、昭和電工の鹿島工場もこの山から石灰窒素を算出していたとの記述があります。昔からこの地の石灰は有効活用されていたのですね。
参考:昭和橋(阿賀野川の吊り橋跡)(廃墟検索地図)
最終更新:2020年11月03日 20:31