蒲原郡下條組古岐村

越後国 蒲原郡 下條組 古岐(ふるまた)
大日本地誌大系第34巻 73コマ目

府城の西北に当り行程17里。
家数15軒、東西1町40間・南北1町40間。
山麓に散居し東南は川に傍ふ。

東4町新谷村に界ひ綱木川を限りとす。その村まで5町。
西17町計・北13町、共に綱木村の山に界ふ。
南5町細越村の山界に至る。その村まで35町。

端村

中沢新田(なかのさはしんでん)

本村の西1里12町にあり。
家数20軒、東西38間・南北1町36間。
四方重山にて東は川に傍ふ。
寛文元年(1661年)本村の農民神田與惣左衛門というもの墾発すという。

山川

笠杉山(かさすきやま)

村西にあり。
頂まで10町計。
南の方細越村と峯を界ふ。

二本杉山(にほんすきやま)

端村中沢新田の北1里20町計にあり。
上に2株の古杉あり。故に名つく。
東は綱木村と峯を界ふ。

左沢峠(ささはとうげ)

中沢新田の丑寅(北東)の方28町にあり。
綱木村に行く道なり。
頂まで15町。

石戸坂(いしとさか)

中沢新田の西にあり。
登ること15町計。
石戸村にゆく道なり。

菱嶽(ひしがたけ)

中沢新田の西30町計にあり。
頂まで1里余。
南は石戸村の山に界ひ、北の方五頭山・大峰山等の諸峯に連なる。

五頭山(いつつふりやま)

中沢新田の戌亥(北西)の方2里計にあり。
五峯相連なるゆえ名つく。
西は公領本郡出湯村と峯を界ふ。

中沢川(なかのさはかわ)

上流に3層の滝あり。故に三階瀧川という。
源を菱嶽・五頭山・大峰山の諸渓より発し、南に流れて笹罹沢*1という川に合してより中沢川となり、中沢新田の東を過ぎ岡沢村の界に入る。
この村の境内を流るること1里余。

綱木川

村東4町にあり。
綱木村の境内より来り、南に流るること7町新谷川に入る。
広20間。

新谷川

村の辰巳(南東)の方にあり。
新谷村の境内より来り、綱木川を得て南に流るること5町計細越村の界に入る。

神社

若宮八幡宮

祭神 若宮八幡?
相殿 山神
鎮座 不明
村北にあり。
鳥居あり。津川町手代木摂津これを司る。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
端村中沢新田の西、山麓にあり。
村民の持なり。


  • Google Map
    • 古岐地区
    • 中沢地区(中沢新田)
    • 笠菅山(笠杉山? - 村西に位置)
    • 二本杉山?
    • 左沢峠 - 不明
      • 明治の頃の地理院地図には中沢村から笠菅山の北を通り綱木村に向う山道があり、現在の天狗越山の東麓を通る径路とは若干異なるようです。
        ※地理院地図(明治44年製図/昭和6年改図)
    • 石戸坂 - 茅峠へ向かう道(林道石戸中ノ沢線)の事かと。茅峠だった場所はゴルフ場の一部になっています。
    • 菱ヶ岳
    • 五頭山 - 現在は「ごずさん」と呼ぶようです。
    • 八幡神社
      • 神社明細帳を見ても古岐にあるのは八幡社なので、風土記の記載は「八幡宮の新宮を勧請した」が正しいかと。
        ※越後佐渡デジタルライブラリー『神社明細帳 阿賀町』No.130より
    • 大山神社(中沢)
      • 神社明細帳にある中ノ沢の大山神社は「大山祇社倉稲魂社合殿」とあり、大山祇命の他に倉稲魂命を祭神として奉っています。また配祀*2神として倉稲魂命・夫須美命(牟須美命?)・大物主命?・素戔嗚尊の記載もあり、何らかの時代にこの辺りの神社を統合した形跡があります。
        ※越後佐渡デジタルライブラリー『神社明細帳 阿賀町』No.131より
      • 由緒欄に、『寛文元年七月創立当村ノ産土神ナリ。口碑に傳ル趣ハ陸奥国会津郡若松藩士神田某~』との記載もあり、会津藩藩士の神田氏が神社の経営に関わっていたようです。
最終更新:2020年11月22日 21:34

*1 雄山閣版では笹羅川と記載

*2 同じ社に主祭神以外の神を奉ること