蒲原郡下條組石戸村

越後国 蒲原郡 下條組 石戸(いしと)
大日本地誌大系第34巻 67コマ目

府城の西に当り行程18里。
家数29軒、東西2町30間・南北2町。
山間に住し南は揚川に臨む。

東5町取上村の界に至る。その村まで6町40間余。
西4町50間計石間村の山に界ふ。
南30間熊渡村に界ひ揚川を限りとす。その村は未申(南西)に当り4町。
北2里計、公領本郡今板村の山に界ふ。

山川

牛石山(うしいしやま)

村北2里計にあり。
頂まで1里計。
西の方、公領本郡里村・大室村の山に連なる。
雑木多し。

菱嶽(ひしがたけ)

村北1里24町にあり。
頂まで30町。
東北は古岐村と峯を界ふ。

小笹山(おささやま)

村西50間にあり。
小山なり。
上に腰掛石とて長1尺余・幅8寸計の石あり。空海ここに腰を掛て(わらび)を折て食せし所という。今、村民この辺の蕨を食するに灰汁にひたさずという。

石戸沢(いしとさわ)

村東にあり。
牛石山より流れ出、南に流るること2里計揚川に入る。
広3間。

霧滝(きりたき)

村北1里余、石戸沢にあり。
高15丈。

揚川

村南30間にあり。
取上村の境内より来り、石戸沢を得て西に流るること10町余石間村の界に入る。
広1町40間。




余談:三社大神社。
風土記本文に記載はありませんが神社明細帳にはこの神社が載っていました。
住所は「東蒲原郡下條村大字上戸谷渡字石戸」で社名は「村社 三社大神社」で、祭神は大鷦鷯尊(おおさざきのみこと)(若宮八幡神)、建御名方神(たけみなかたのかみ)(諏訪神)、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)(稲荷神)の3柱です。
由緒に、天長3丙午年(826年)に山城国愛宕郡八幡村八幡神社より勧請したとあります。その他この社の細かい事は下図を参照してください。
また、取上村の稲荷神社の相殿神の記に、諏訪神と若宮八幡を石戸村より移すとの記載もあります。移転したり戻したりと色々あったのかもしれません。
※越後佐渡デジタルライブラリー『神社明細帳 阿賀町』No.57より
蛇足。明細帳のNo.60に、菅ノ谷地にあった諏訪神社が村社三社大神社へ合併と書かれています。



余談:延命寺。
取上村の取上観音の管理者が延命寺なのですが、風土記本文のこの村の記に記載がありません。寺院明細帳を見ると東蒲原郡下條村大字上戸谷渡字石戸に蒲原郡草水村観音寺の末寺として曹洞宗延命寺の記載があります。由緒の所を見れば創立年月不詳とあり、現在の寺号となったのが明治12年(1879年)7月1日と書かれています。ひょっとしたら風土記編纂時は衰退していて、明治に入ってから再興したのかもしれません。
※越後佐渡デジタルライブラリー『寺院明細帳 阿賀野市 阿賀町 五』No.31より
最終更新:2020年11月13日 21:24