会津郡小出組大沢村

陸奥国 会津郡 小出組 大沢(おほさは)
大日本地誌大系第31巻 82コマ目

府城の南に当り行程7里14町。
家数22軒、東西1町20間・南北20間。
渓流に傍て畳山の間に散居し四方僅かに田圃(たんぼ)を開く。

東6町10間・北9町、共に湯原村の界に至る。その村は東に当り15町。
西15町楢原組桜山村の界に至る。その村は申(西南西)に当り1里。
南12町弥五島組弥五島村の界に至る。その村まで1里。

端村

上村(かみむら)

本村の西2町にあり。
家数12軒、東西1町20間・南北15間。
西は山林に続き三方に菜圃(さいほ)あり。

久景(ひさかけ)

本村の戌(西北西)の方2町20間にあり。
家数3軒、東西30間・南北15間、四方田圃(たんぼ)なり。

山川

(たけ)

村の戌亥(北西)の方4町にあり。
登ること13町余、西は楢原組大内村の山に界ふ。

殿上(てんしやう)

村西18町計にあり。
山勢邐迤(りい)*1として登ること11町余、西南は大内・桜山両村の山に続く。

(むかひ)

村南1町にあり。
東南は弥五島村の山に界ふ。

大沢川(おおさわかわ)

村南1町計にあり。
桜山村の山中より源を発し、東に流れ湯原村の界に入る。
境内を経ること21町余、広1間余。

神社

熊野宮

祭神 熊野宮?
鎮座 不明
村北20間計にあり。
鳥居あり。

神職 星大和

先祖を伊勢某という。
いつの頃にか伊勢国度会郡よりこの地に来り当社の神職となる。
今の大和勝儀は7世の孫なり。

山神社

祭神 山神?
相殿 天道神
   杉御前
   大明神
勧請 不明
村より戌亥(北西)の方2町20間にあり。
星大和が司なり。



余談:村名の由来
下郷町史より引用
寛文五年(一六六五)の「土地帳南山小出組八箇所村」によれば『民家山腰ニアリ、沢深キ故大沢』とある。(『会津風土記・風俗帳』巻一)
また、周囲の山々や窪地から流れ込む数多い沢の故に呼ばれるようになったとも言われる。

大沢から南側にある林道名の「当勢」の由来がわかりませんでしたが大沢地区の字名でした
大沢の字名(大字大沢)
桜平 杉之窪 菌沢 東窪 赤坂 和田 上ミ和田 都沢 小野川 当勢 桑窪 和田向 家ノ向
残念ながら旧地名(端村)は残っていないようです
位置については福島県の「森林計画図の閲覧・出力(下郷町)」より、「30-8 [PDFファイル/7.81MB]」辺りを参照してください

大沢地区の地図


地理院地図より

下郷町史によれば居村地区に慶安四年(1651年)建立の観音堂もあるらしいが地図上に記載がない
最終更新:2025年07月09日 17:05
添付ファイル

*1 曲がりくねって連なるさま