ヘカトンケイル(遊戯王OCG)

登録日:2025/09/07 Sun 00:06:32
更新日:2025/09/07 Sun 23:29:38NEW!
所要時間:約 17 分で読めます





狂える信徒、啓かれし賢人、蒙昧の愚者

――神は等しく抱擁する


ヘカトンケイルとは、『遊戯王OCG』に登場するテーマの一つである。


概要

2025年8月23日に発売された、第13期初期のデッキビルドパック「ファントム・リベンジャーズ」にて登場したテーマ。
同期テーマは【糾罪巧】【キラーチューン】。

所属モンスターは光か闇属性の幻想魔族モンスターであり、初期に見られた幻想魔族の戦闘破壊耐性が久々に復活している。
融合召喚テーマであり、最大の特徴はコントロール奪取
様々な効果で相手モンスターを奪い取り、それを元手に素材確保や盤面構築をして戦うテーマとなっている。

テーマ単位でコントロール奪取を主軸にした前例は【ヴァンパイア】【グレイドル】等が存在する。
対して【ヘカトンケイル】の場合は、相手のフィールドに留まらずデッキ・手札・墓地からもモンスターを奪う事に特化させている。

なお同じパックで登場した他2テーマと異なり、【ヘカトンケイル】側には掟破りの展開方法と展開制限は無く、動かし方はシンプルな方。
他のテーマとの混合構築も無理なく行える。

戦闘破壊耐性の復活も加味すると、コントロール奪取に着目したのは原作でペガサスが《ブラック・マジシャン》のコントロールを得た場面を強く意識したためだろうか。
このビルドパックでは、その時に使用された《幻惑の眼》も再録されている。


「ヘカトンケイル」とはギリシャ神話に登場する3人の巨人の総称。
天空神ウラノスと大地母神ガイアの間に生まれた、ギュゲス・コットス・アイガイオンの三兄弟。
50の頭と100の腕を持ち、1本の腕で山を持ち上げて投げるほどの巨体であったといい、ヘカトンケイルという名前もギリシャ語で「百の手」という意味である。
もう一つはベテルギウス(オリオン座α星)で、どれも「ジャウザー*1」に関連する語句から取られている。無数の腕とベテルギウスと聞くと、どうもデス!なカルト司教が脳裏によぎる。
手に纏わる怪人ということで、イラストは全体的に手を強調したものになっており、概ね「天使のような姿の光属性」と「魔獣のような姿の闇属性」の2パターンに分かれている。
レベル6の光属性ヘカトンケイルは一見は人型で神々しい天使に見えるが、その実体は翼も髪も何もかもが無数の手で構成されており、集合体恐怖症を持つ人は鳥肌モノのおぞましいモノ。
レベル7の闇属性ヘカトンケイルは黒い粘膜に包まれた魔獣と言った感じで、天使型のヘカトンケイルに比べると本数は少ないが、こちらも多腕となっている。

ちなみに遊戯王では、これより前にヘカトンケイルを名前・外見のモチーフにしたモンスター《無限起動要塞メガトンゲイル》がいる。
またホセのDホイールも「G(グリーフ)・ヘカトンケイル」という名を冠している。

モンスターカード

上級モンスター

見えざる手(ヘカトンケイル)イブエル
効果モンスター
星6/光属性/幻想魔族/攻1600/守2100
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。
このカードをデッキに戻す。
その後、デッキから「見えざる手イブエル」以外の「ヘカトンケイル」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、「見えざる手イブエル」以外の自分の墓地の「ヘカトンケイル」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
天使のような姿をした2体のうち、男性型と思われる個体。
名の由来はアラビア語でベテルギウスを意味する「イブト・アル=ジャウザー」から。

(1)効果は他の「ヘカトンケイル」モンスターのリクルート。
レベル7ヘカトンケイルは自己特殊召喚効果を有するが、その条件を待つことなくデッキから直に場に出せる。
そのままレベル7ヘカトンケイルの効果で相手モンスターを奪い、融合召喚までできれば理想的。

(3)効果は他の「ヘカトンケイル」モンスターの蘇生。
こちらは(1)効果と異なり墓地にモンスターを用意する下準備こそ必要だが、それさえ満たせば展開役として申し分ない。
何より「ヘカトンケイル」融合モンスターも蘇生でき表示形式の制限もないので、用途が幅広い。
またどこから墓地に送られても発動でき、タイミングを逃さずに発動できるため、各種素材やコストにしてもカード消費を補填できる。


見えざる手(ヘカトンケイル)ヤドエル
効果モンスター
星6/光属性/幻想魔族/攻2100/守1600
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。
このカードをデッキに戻す。
その後、デッキから「ヘカトンケイル」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
(2):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「ヘカトンケイル」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを自分フィールドにセットする。
女性型の個体。多腕の異形でありながらも豊満な肉体を持ち、どことなく艶めかしい。
こちらは「ヤド・アル=ジャウザー」を由来としており、上記と同じくベテルギウスを意味する言葉。
というよりもあちら(イブト・アル=ジャウザー)はこちらの誤字という説があり、実質同じ言葉ではないかと言われている。

こちらはさしずめ《見えざる手イブエル》の魔法・罠カード版であり、大まかな要素は同じ。
狙い目のカードは《神の見えざる手》であり、他の「ヘカトンケイル」カードにもアクセスできる。
既に持っている場合でもカウンター罠を構えることで守りを固めるなど、柔軟に動ける。
デュエル後半では、一度使ったカウンター罠を(3)効果で使いまわす役割も発生する。


最上級モンスター

見えざる手(ヘカトンケイル)ゴッドス
効果モンスター
星7/闇属性/幻想魔族/攻2300/守2000
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドローフェイズ以外で相手の手札にカードが加わった場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
(3):相手メインフェイズに、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。
相手の墓地を掘り返す、多腕の赤い悪魔。由来はギリシャ神話に登場するヘカトンケイルの一人、コットスから。

(1)効果はレベル7ヘカトンケイルが持つ共通の効果で、手札からの自己特殊召喚。
条件はドローフェイズ以外であれば相手のドロー・サーチ・バウンス・サルベージ全てに対応する。
現在ではこれらの効果を多用するデッキは多く、相手任せにしても緩い方。
無論こちらの効果で手札に加えさせ発動させても良いし、この効果に頼らず《見えざる手イブエル》で直接特殊召喚させても良い。
なおこの効果は、同一チェーン上では1度しか発動できない点に注意
手札に複数のレベル7ヘカトンケイルがいても、相手の該当行為1回につき1枚しか(1)効果を発動できない。

(3)効果はレベル7ヘカトンケイルが持つ、相手モンスターの強奪。
このカードの場合は相手の墓地から選んで特殊召喚。
他のレベル7と異なり確実に奪取でき、更にフリーチェーンで発動できるため墓地メタ効果としても機能する
相手の先攻1ターン目であっても(1)効果で簡単に特殊召喚し、蘇生効果にチェーンするなどして(3)効果を発動する妨害として機能する。
フィールドから離れた場合は除外されるため、相手が墓地効果を再度試みる事態も起きない。
一方【ヘカトンケイル】では、相手ターン限定の強奪効果なので展開がワンテンポ遅れるという小さくない欠点にも繋がっている。


見えざる手(ヘカトンケイル)ガイガス
効果モンスター
星7/闇属性/幻想魔族/攻1200/守2800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドローフェイズ以外で相手の手札にカードが加わった場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手のデッキの上からカードを3枚めくる。
その中からモンスター1体を選んで自分フィールドに特殊召喚できる。
残りをデッキに戻す。
(3):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
相手の山札を荒らす、多腕の青いケルベロス。由来はギリシャ神話に登場するヘカトンケイルの一人、ギュゲスから。

(1)(2)効果は《見えざる手ゴッドス》と同じなので説明を省略。
(3)効果は相手デッキからのモンスター強奪。
手札誘発も含めれば、デッキの上3枚に何らかのモンスターカードが有る期待値は高い。
自分ターンで発動でき、期待値もそこそこなので自分ターンの展開手段として重宝する。
またこれはノーコストで相手のデッキ内容を確認する効果でもあり、マッチ戦のサイドデッキも含めた対策考案に役立つ。


見えざる手(ヘカトンケイル)ブレアス
効果モンスター
星7/闇属性/幻想魔族/攻2800/守1300
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドローフェイズ以外で相手の手札にカードが加わった場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手の手札をランダムに1枚確認する。
それがモンスターだった場合、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚できる。
(3):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
相手の手札を監視する、多腕の碧い竜人。由来はギリシャ神話に登場するヘカトンケイルの一人、ブリアレオースから。

(1)(2)効果は《見えざる手ゴッドス》と同じなので説明を省略。
(3)効果は相手手札からのモンスター強奪。
成功すればハンデスとなり相手に与えられる被害は大きいが、確認したカードが通常召喚可能なモンスターカードでないと不発に終わるため運要素が強い。
強いて成功確率を上げるなら【ドラゴンテイル】などの「モンスターカードの比率が多いデッキ」に試すか、
相手が《無限泡影》を発動するなど「モンスターを当てやすい」時がきたら試すくらい。
外してもデメリットは無いので、相手にゆさぶりをかける意味も込めて「とりあえず」使うのも無くは無い。


融合モンスター

見えざる神(ヘカトンケイル)ジャウザー
融合・効果モンスター
星8/光属性/幻想魔族/攻2400/守2500
「ヘカトンケイル」モンスター+幻想魔族モンスター
このカードは融合召喚及び以下の方法でのみEXデッキから特殊召喚できる。
●自分フィールドの、幻想魔族モンスター1体と元々の持ち主が相手である表側表示モンスター1体をリリースした場合に特殊召喚できる。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
自分のデッキ・墓地から「ヘカトンケイル」カード1枚を手札に加える。
(2):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
テーマの看板モンスターであり、天使タイプのヘカトンケイルの親玉らしき存在。
黄昏の空へ絡み合う腕の翼を広げ、前に立つものを文字通り抱擁せんとする異形の天使。
由来はイブエル、ヤドエルと同じくベテルギウスを指す「ジャウザー」より。

融合素材はヘカトンケイル+幻想魔族モンスター。
「ヘカトンケイル」モンスターは全員幻想魔族なので、単純に「ヘカトンケイル」モンスターを2体用意しても良い。
他の召喚方法として、自分の幻想魔族と相手から奪ったモンスターをコストにして特殊召喚できる。
【ヘカトンケイル】では後述するように他の幻想魔族も採用しやすいので、主にこちらの方法で召喚することになる。
いずれにせよ、かなり緩い召喚条件となっている。

(1)効果は「ヘカトンケイル」カードのサーチもしくはサルベージ。
発動条件がない事もあり非常に便利な性能をしている。
基本的には「ヘカトンケイル」カウンター罠をサーチ・サルベージして妨害の手数を増やすことが多い。
発動後は(2)効果くらいしか場で使える効果が無いが、「ヘカトンケイル」カウンター罠のために残すか《真血公ヴァンパイア》のX素材にしても良い。


見えざる神(ヘカトンケイル)ゼノ
融合・効果モンスター
星9/闇属性/幻想魔族/攻3400/守3500
「ヘカトンケイル」モンスター×3
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。
相手のEXデッキの裏側のカードをランダムに2枚確認する。
その中から1枚を選んで自分フィールドに特殊召喚できる。
(2):このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その2体は戦闘では破壊されない。
(3):融合召喚したこのカードが相手の効果で破壊された場合に発動できる。
相手フィールドのモンスターを任意の数だけ選び、そのコントロールを得る。
魔獣タイプのヘカトンケイルの親玉らしき存在。
巨大な身体の竜と言った風体で、全身より伸びる糸のような光は無数の手に変じて多方向へと放たれている。
奇しくも同じ「ゼノ」の名とコントロール奪取効果を持つモンスターが黎明期に登場している。

融合素材はヘカトンケイル3体。
現状テーマ内に融合召喚効果を持った「ヘカトンケイル」モンスターがいない事もあり、重い素材指定となる。
テーマ専用融合方法の《見えざる幽獄》ならば奪った相手モンスターをヘカトンケイル扱いにでき、自分墓地のモンスターも素材にできる。
しかし素材のモンスターが除外され再利用が難しくなる点は注意。

(1)効果は相手のEXモンスターのコントロール奪取。
EXデッキ破壊と素材確保を兼ねた優秀な効果だが、自身の戦線強化と捉えると漏れも多い。
そもそも「相手のEXデッキからランダムに選ばれた2枚のどちらか」と選択肢が狭く、その場に合ったモンスターを選べるとは限らない。
また戦力という図りで考えると、以下の通り《見えざる神ゼノ》では意味を為さないEXモンスターも多い。
あくまで素材確保とEXデッキ破壊を主目的とし、効果も使えるモンスターまで頂けたらラッキー程度に思っておくと良い。
  • 正規の方法で召喚して初めて効果を発動・適用できるモンスター
  • そのテーマデッキで使用して初めて効果を発動・適用できるモンスター
  • 特定の方法でしかEXデッキから特殊召喚できないモンスター

(3)効果は相手モンスターの無差別コントロール奪取。
対象も取らず任意の数だけ奪えるため、相手の盤面をそっくりそのまま移し替えることも可能。
とは言えトリガーは「相手の効果で破壊された場合」であり、かつ相手にも丸見えなので対策もされやすい。
破壊以外の除去もさることながら、相手が展開の前に破壊することで効果が空振りしてしまう。

強力な効果を持ってはいるものの、現状の【ヘカトンケイル】では魔法・罠カードのサーチが太くなく、このカードの融合とカウンター罠の設置を安定して両立できない。
現在では1ターン目の展開では《見えざる神ジャウザー》+カウンター罠と余裕があれば混合テーマ分の展開に留め、《見えざる神ゼノ》は中盤以降の出番となることが多い。


魔法カード

神の見えざる手(ヘカトンケイル)
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
このカードは自分フィールドの他のカード1枚を墓地へ送って発動する事もできる。
(1):デッキから「ヘカトンケイル」モンスター1体を手札に加える。
カードを墓地へ送って発動した場合、さらにデッキから「神の見えざる手」以外の「ヘカトンケイル」魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。
相手は1枚ドローする。
その後、相手は自身の手札を1枚選んで捨てる。

端的に言えば【ヘカトンケイル】の重要カード。
(1)は「ヘカトンケイル」モンスターのサーチと、追加効果で「ヘカトンケイル」魔法・罠のセット。
前半の効果だけでも十分に有力で、その場に合わせたモンスターをサーチし相手モンスターの奪取に繋がる。
追加効果もリリースするカードは何でも良く、《見えざる神ゼノ》を融合召喚する《見えざる幽獄》やカウンター罠のセットで盤面を補強できる。
ただしサーチする効果なので《灰流うらら》に無効にされる点は注意。
これは追加効果狙いでリリースして発動した場合も同様で、《灰流うらら》1枚でカード2枚を失う損失を被る羽目になる。

(2)は相手の手札交換。
一見相手だけが得をしているように見えるが、レベル7ヘカトンケイルの持つ「ドローフェイズ以外で相手の手札にカードが加わる」時の自己特殊召喚効果を誘発できる。
相手は損失なく手札交換と墓地効果の準備をしていることに変わりはないため、リスク相応の展開といきたいが、ここのドローで手札誘発を引かれていると悲惨なことになる。


見えざる幽獄(ヘカトンケイル・タルタロス)
速攻魔法
(1):以下の効果から1つを選択して発動できる(このカードの名の以下の効果はそれぞれ1ターンに1度しか選択できない)。
●自分フィールドに「ヘカトンケイル」モンスターが存在する場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に戻す。
●自分のフィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、「ヘカトンケイル」融合モンスター1体を融合召喚する。
元々の持ち主が相手である自分フィールドの表側表示モンスターを融合素材とする場合、「ヘカトンケイル」モンスターとして扱う事ができる。

二つある効果のいずれかを選択できる速攻魔法。
1つ目は魔法・罠カードのバウンス。
速攻魔法なので永続カードの「発動時の処理」も防げるものの、手札に戻してしまうので相手に再発動を許してしまう。
除去ではなくレベル7ヘカトンケイルの自己特殊召喚効果を活かす目的と捉えるべき。

2つ目はヘカトンケイルの融合召喚。
自分の墓地のカードも素材にでき、また相手から奪ったモンスターをヘカトンケイル扱いで素材にできる。
現状《見えざる神ゼノ》を融合召喚できる唯一の「ヘカトンケイル」カードであり、ヘカトンケイル扱いの部分もあちらの素材条件と合致している。
素材は除外するため相手の墓地を肥やさずに済むが、自分のカードも除外することで《見えざる手イブエル》にて蘇生ができない点は注意。
いくら【ヘカトンケイル】と言えども相手モンスターだけで《見えざる神ゼノ》の素材を賄うのは容易ではなく、自分のヘカトンケイルも除外させる前提で展開は考慮すること。

ギリシャ神話において、巨人戦争(ティタノマキア)終結後、ヘカトンケイルたちは敗北した巨人たちを幽閉したタルタロスの番人となったという。
タルタロスから這い出ようとするものを叩き返す、番人としてのカード。


罠カード

見えざる誘い手(イブト・アル・ヘカトンケイル)
カウンター罠
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドに「ヘカトンケイル」モンスターが存在し、相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、破壊したモンスターを自分フィールドに特殊召喚できる。

見えざる招き手(ヤド・アル・ヘカトンケイル)
カウンター罠
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドに「ヘカトンケイル」モンスターが存在し、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、破壊した魔法・罠カードを自分フィールドにセットできる。
対を成す異形の天使たちによる救済。伸びる腕は対峙した相手より何もかもを奪い取っていく。

いずれもカードの発動を無効にして破壊し、更にそのカードを頂く効果を持つ。
発動条件は「ヘカトンケイル」モンスターなので融合体でなくても良く、各々が持つ戦闘破壊耐性と合わせて急場を凌ぐ手段にもなる。

モンスターを無効・強奪する《見えざる誘い手》は各種素材として処分するため、奪った後のことを難しく考えなくても止めたい効果をそのまま止めれば良い点は使い勝手が良い。
下手に欲張って強力なモンスターを奪おうとするとその前に除去される危険も高いので、展開の要になる下級モンスターを奪えれば重畳と捉えるべき。
《見えざる招き手》の場合はデッキを選ばない汎用カードを奪うか、墓地効果も持つ魔法・罠カードを自分の場に留める目的になる。
《無限泡影》や《聖王の粉砕》《霊王の波動》は条件も無く汎用的に使えるため狙いどころ
(「破壊した魔法・罠カードをセットする」ため、ドミナスカードの「手札から発動した時の属性デメリット」は関係なくなる)。

なおカードを奪うには「無効にして破壊する」所まで成功しないといけない
つまり手札や墓地で発動した場合など「無効にしても破壊はできなかった」際は、後半の強奪効果を適用できない。
特にモンスター効果を無効にする《見えざる誘い手》で起きやすいため注意。



相性が良いカード

幻想魔族モンスター

手札コスト1枚と引き換えに特殊召喚し、更に幻想魔族モンスターをサーチする。
当然メインデッキの「ヘカトンケイル」モンスター全員が該当し、盤面構築に必要なヘカトンケイルを任意にサーチできる。
効果使用後は《見えざる神ジャウザー》の召喚コストにするか、ランク6のX召喚に使用できる。

  • 《影法師トップハットヘア》
緩い素材指定でL召喚でき、L召喚時に罠モンスターをセットできる。
《見えざる神ジャウザー》のコストにしやすく、また処分方法に困った自他のモンスターを簡単に処理して場の圧迫を回避できる。
セットする罠モンスターは、単体で妨害として機能する《碑像の天使-アズルーン》《影帽子》辺り。

《合成獣融合》を駆使した融合召喚を得意とするテーマ。
一部のモンスターが幻想魔族であり、また幻想魔族をサーチ・墓地送り・蘇生するカードもあるため種族サポートを共有できる。
キマイラ側の妨害も付け足すことで妨害の数を増やすことができる。
EXデッキから融合しか出せない制約も付くが、元々融合デッキの【ヘカトンケイル】には無問題。
また一緒に採用されやすい《ガーディアン・キマイラ》も後攻時の盤面突破にしやすい。

同じく幻想魔族の融合召喚テーマ。
【ヘカトンケイル】側の展開に失敗した際のサブプランとして、あちらの正規融合召喚時の素材に使用できる。
【ヘカトンケイル】は召喚権が余るため《白き森のシルヴィ》に召喚権を割き、【白き森】も絡めた展開が可能。

Xモンスター

後述する【千年】等も含めて、ある程度レベル帯が揃っているため高ランクのXモンスターも無理なく採用できる。

  • ランク6
レベル6ヘカトンケイルや《幻惑の見習い魔術師》《千年の宝を守りしゴーレム》等を素材にX召喚できる。
またレベル6ヘカトンケイルはX素材として墓地に送られても(3)効果を発動できるため相性は良い。
相手を選ばず使える選択肢として《エヴォルカイザー・ラーズ》《フォトン・ストリーク・バウンサー》等が挙げられる。

  • 《真血公ヴァンパイア》/《交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン》
【ヘカトンケイル】よりも先にコントロール奪取をテーマにしたデッキ【ヴァンパイア】のエース達。
X召喚の際に「元々の持ち主が相手のレベルを持つモンスター」をレベル8・レベル6として扱えるため、奪ったモンスターの有効活用ができる。
前者は互いのデッキの上からカードを4枚ずつ墓地に送り、その中のモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚できる。
これも相手の墓地から奪う手立てになる上、運次第だがレベル6ヘカトンケイルの効果にも連鎖できる。
後者も破壊耐性貫通の墓地送りと戦闘破壊か墓地送りをトリガーとしたコントロール奪取を持つため、相性が良い。

  • その他ランク8
《見えざる神ジャウザー》の他に《千年の眠りから覚めし原人》《蛇眼の原罪龍》を素材にX召喚できる。
候補は《No.90 銀河眼の光子卿》《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》辺りが無難か。
ネタ寄りの構築では、由来繋がりで《魔海城アイガイオン》もX召喚でき、あちらはフリーチェーンで相手EXデッキを1枚ランダム除外できる。
《見えざる神ゼノ》と合わせれば互いのターンで2枚ずつ相手EXデッキを削れるため、成立できればEXに大きく依存した相手には有効…かもしれない。

コントロール奪取効果

  • 《大捕り物》
相手モンスター1体のコントロールを得る永続罠。
ターンを跨いでもモンスターが戻らない点や、フリーチェーンで使える点から汎用性と妨害性能が高い。
効果は使用できないため、各種コストとして手早く処理してしまおう。

  • 《天声の服従》
モンスターカードを1枚宣言し、相手のデッキにあれば手札に加わるか自分の場に特殊召喚する通常魔法。
サーチと特殊召喚は相手が選ぶものの、元々の持ち主が相手のモンスターを自分の下に寄せられる。
ここで汎用的な手札誘発を宣言すれば、相手は「場に出せば素材として使われる」「手札に加えれば妨害効果が自分に向く」と苦渋の選択を強いられる。
もしくは《見えざる手ガイガス》でデッキ内容を確認した後に、ピン挿ししたキーカードをデッキから奪う嫌がらせもある。
2000のライフコストは重めで、ライフを減らして展開する【千年】混合構築とはやや相性が悪い。

その他

出張パーツとしての「千年」ギミックも、このデッキとは高相性。
《千年の眠りから覚めし原人》《千年の宝を守りしゴーレム》をLPと引き換えにした汎用素材要員として幅広く使用できる。
更に《石版の神殿》でデッキの千年モンスターと手札の任意のモンスターを永続魔法化させ、それをコストに《蛇眼の原罪龍》を特殊召喚。
この時レベル6の「ヘカトンケイル」モンスターを永続魔法化・コストにすれば(3)効果を誘発できるので無駄が無い。
成功すれば手札1枚からレベル6とレベル8のモンスターを制限なく用意できるため、X召喚の素材として有用。

召喚権が余るテーマなので、それを活かす出張ギミック。
特に光属性の「ヘカトンケイル」モンスターを素材にすることで、強力な《召喚獣メルカバー》を融合召喚できる。

奇しくも「相手がデッキからカードを手札に加える」事を条件に動くというコンセプトが共通しており、お互いがお互いをサポートし合える。

  • レベル10Sモンスター
レベル7ヘカトンケイルの効果で相手からモンスターを奪う際、大抵の相手であれば「妖怪少女」がヒットする。
なのでレベル10のSモンスターを採用しておくと、レベル3チューナーの妖怪少女と合わせて楽にS召喚できる。
【ヘカトンケイル】は除外を活かせるデッキでは無いため、硬い候補は《フルール・ド・バロネス》《カオス・アンヘル-混沌の双翼-》辺り。


弱点

特殊召喚メタ

昨今のテーマよろしく特殊召喚を繰り返すため、特殊召喚メタや展開制限効果には弱い。
特に《フォッシル・ダイナ パキケファロ》などの「特殊召喚できない」型のメタ効果は天敵となる。
「ヘカトンケイル」モンスターは全員上級モンスターなのでリリース無しで通常召喚出来ない。
加えて幻想魔族の戦闘破壊耐性のせいで「目障りなモンスターを戦闘破壊してから展開」もできず、かといってテーマ内の除去カードも乏しい。
そのため下手すれば《フォッシル・ダイナ パキケファロ》1体で詰む悲劇も発生しかねない。

展開が運と相手に左右されやすい

相手モンスターを奪う前提なのか、ヘカトンケイル自体の展開力はあまり高くない。
実のところ他の融合テーマが融合召喚のために「自分のモンスターを用意」する工程を、こちらは「自他のモンスターを用意」に差し替えただけに過ぎない。
しかしそのコンセプトに伴い「運が絡む」「相手依存」と二重の不安定要素を抱えている

自分のターンでは《見えざる手ガイガス》《見えざる手ブレアス》で相手モンスターを奪うが、運が悪いと奪えず終いとなってしまう。
この手段では相手デッキのモンスターカードの比率が少ないとそれだけ失敗確率が上がるため致命的な欠点になる。

特にモンスターカードを(ほぼ)使わないデッキであれば「コントロール奪取」という個性そのものが死んでしまう。
例えば【神碑】が該当し、メインデッキにはメタ効果持ちを極少数しか入れていないため、確率が絶望的に低い。
EXデッキの神碑モンスターを《見えざる誘い手》で無効・破壊しても、蘇生制限を満たしていないので奪い取ることはできない。

通常の展開デッキと異なり、不安定な強奪に成功しないと展開の出力が低下してしまうのは大きな問題と言える。

妨害内容

【ヘカトンケイル】内で用意されている妨害の内容も少々怪しい。
現実的な内容はカウンター罠二種のセットで、《見えざる神ゼノ》は効果の不安定さと用意の重さがネックになる。
そして当然これらは後攻時に活かしにくい内容となり、後攻時の対策も別途必要になってくる。
前述の通り互いに作用する戦闘破壊耐性と相まって直接的な除去手段に欠け、盤面への干渉力に不安を覚える内容となる。
ここは他テーマとの混合構築で解消するべき部分になる。


追記修正お願いします。

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最終更新:2025年09月07日 23:29

*1 アラビアの伝承に登場する英雄で、中東ではオリオン座はジャウザー座とされている。