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ドラゴンスレイヤー英雄伝説II - (2014/01/01 (水) 19:34:10) の1つ前との変更点

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*ドラゴンスレイヤー英雄伝説II 【どらごんすれいやーえいゆうでんせつつー】 ※ここでは、初出となる88版を基準に説明します。 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|~| |対応機種|PC-8801mkIISR以降|~| |メディア|5インチフロッピーディスク 9枚組|~| |発売・開発元|日本ファルコム|~| |発売日|1992年3月19日|~| |定価|9,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |ポイント|前作キャラのその後と設定補完+α&br()前作未経験者にはオススメ出来ない&br()プレイヤーの心を折る、複雑且つ広大な地底世界&br()音楽は安心のファルコム印|~| |>|>|CENTER:[[''ドラゴンスレイヤーシリーズ関連作品リンク''>ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]| //ちなみに筆者は88版未プレイで、98・PCE・MD・PSはクリア済みです。 ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 破壊神アグニージャが倒れ、平和を取り戻したイセルハーサ。~ ファーレーン国王となったセリオスは、ディーナと結婚。2人の間に生まれた王子はアトラスと名づけられ、両親の愛と国民の信頼を一身に受けて成長していった。~ そんなある日、イセルハーサ全土に大地震が起こり、各地に深刻な被害が及ぶものの、セリオス王を中心に世界中の人々が力を合わせ、復旧に励んだ。~ それからしばらくして、とある洞窟から奇妙な5体のモンスターが現れて2人の盗賊と戦闘になる事件があった。~ 通りかかった空飛ぶ白いドラゴンの眼下には5体の死体が転がっていた。~ しかしそれは、これから起こる大きなうねりの、ほんの予兆に過ぎなかった…。 **概要 『[[ドラゴンスレイヤー英雄伝説]]』の続編。前作同様、全6章仕立てのRPG。~ 前作から20年後のイセルハーサと、その地下に広がる国家ファーゲスタが舞台。~ 画面構成・マップパーツなどは前作の流用が多い。そのため、発表から短期間で発売に至った。~ 当時のPC市場は、8ビット機から16または32ビット機へと主流がほぼ転換した時期であり、PC88版はファルコムにとって同ハード最後の作品となった。 **システムにおける特徴 基本的な部分は前作から変わっていない。ここでは変更点のみを挙げる。 -呪文関係の変更。1つはMPを廃止し、「呪文カプセル」が導入された。これは、1つの呪文を使用するとそのカプセルが空になり、カプセルのゲージが満タンに回復するまで使えないというもの。戦闘中のカプセル回復手段は個数が限られたアイテム数個しかなく、同じ呪文を1人が複数持つことも大いに意味がある。主な回復手段は、移動中の自然回復と、特定のアイテムの使用。各呪文毎にカプセルの回復速度は違っており、有用な効果を持つものほど自然回復が遅い。 -回復アイテムの説明 --「ビスナの実」は全員のカプセルを7つ全て回復するが、戦闘中は使えない。「ビスのキノコ」は1人のカプセルを回復し、尚且つ戦闘中でも使えるが、ゲーム中わずか2つしか手に入らない超貴重品。なお、気絶と同時にカプセルも回復する「エリクサー」も3つのみ。 -「呪文能力」というパラメータが設定された。値が大きいほど呪文の効果が上がる。また呪文自体も、前述通り効果の大きさが呪文能力に左右されるようになったため、前作にあった呪文の等級((例えば、回復呪文のレスで言えば1~5まで。他は1しかない、または1~4までと様々。))が廃止された。ただし、炎/冷気の攻撃呪文のみ、フラム/ヒュールよりも強力なブラムナ/ヒュドナが中盤に登場する。 --レベルアップ時に能力振り分けで上げられるのは「賢さ」であり、「賢さ」の分だけレベルアップ毎に上昇する。(「つよさ」と「HP」&「攻撃力」の関係と同じ) ---終盤には「賢さ」が上がる装備もあるため、できるだけ低レベルで進めると少しお得という要素にもなる((ただし、賢者の指輪を落とす4章ボスはかなり強く、入手までの低レベルプレイにとって難関だったりする。))。 --回復呪文「レス」の回復量は、呪文能力の数値そのまま。その他各種攻撃呪文のダメージ量、補助呪文は強化系なら上昇量、バッドステータス系なら成功率が増加する。ただし、杖による呪文の効果は運に左右される。 --呪文の入手自体は、「店で”○○の書”を買う」に変更され有料になったものの、書さえ持っていればいつでもどこでも覚えられる(上書き出来る)ようになった。 -「EPスライド制」 --レベルが上がり敵との戦力差がつくと、獲得EP(経験値)が減っていくシステム。同じファルコムの『イースシリーズ』でも採用されている。 --しかし、今作ではEP(経験値)だけではなくGOLDにまで補正がかけられており、レベルが基準より高くなり過ぎるといずれも0になってしまう。パーティーと敵の平均レベルの差によって発生するが、そうなった頃には、(そのエリア、または章内では)実質的に最強レベルと言える。 --そのため次の章になる前に金稼ぎしたい場合は、武器を落とす敵が役立つ。 --なお、ラストダンジョンでは補正がなくなっている。 -前作は、ダンジョン内ではシンボルエンカウントでフィールド上だと普段はマスキングされて判別できないが、エンカウントしてから逃げるとその敵が見えるようになる半シンボルエンカウントだったが、今作では完全なシンボルエンカウントになった。 --こちらを感知すると不気味な鳴き声を発して追いかけて来るなど、緊張感もある。 -前作で好評だったオートバトルは、更に回復行動(呪文/アイテム)・攻撃呪文使用といった細かい指示が可能になった。 -戦闘でモンスターが特定の行動を取る際、それらがアニメーションやエフェクトによって表現されるようになり、個性を印象付けている。1種類につき1つ程度ではあるものの、呪文や特殊攻撃はもちろん、特に意味のない行動まで多岐に亘る。 -章の間にビジュアルシーン(一枚絵)を交えたデモが挿入される。 **シナリオにおける特徴 -前作で残された謎、特にヨシュアとフレイアの存在、竜の卵に関連したものを補完している。それを基盤として、成長した前作の登場人物と、新たな世代の人物とがストーリーを織り成していく。 -パーティーキャラの1人・シンディは、仮面を被った口数少ない筋肉質の20歳の巨漢だが、彼には前作に関連した重大な謎がある。 #region --ラスボスに到達する前に、橋が崩れて奈落の底へ落ちてしまい、このままパーティーを離脱する…かと思いきや、正体を現してラスボス戦直前でパーティーに復帰してくれる。その正体は、アトラス王子の父親セリオスが前作(20年前)で卵から孵化させて終盤には空飛ぶ乗り物として使えた白いドラゴンだった。インプリンティングによりセリオスを親と思って懐いていた。オープニングで登場したり序章ラストでセリオス王が乗っているドラゴンも彼女である。LV99、HP9999で完全オート行動。通常攻撃の他に、強力な炎を吐く。 ---尚、記憶を失ってはいる((厳密には、人間としての言語・思考・認識に変えられたので、今までのドラゴンとして思考・認識・記憶してきた内容がほとんど理解できない状態。))が、アトラスを見て「知っている人に似ている」と発言したことが上記の伏線になっている。 ---離脱後はラスボスとの戦闘しかないが、ワプの翼で3人パーティのまま自由に行動できる。再加入はラスボス戦なので、橋まで進むとそれ以降を4人パーティでは戦えなくなる。 ---仲間の1人であるランドーの父親は変身呪文を研究しており、離脱後に会いに行くとシンディを人語を話せる状態へと人間化させた事について聞ける。 #endregion **音楽 -所謂暗黒期のファルコム作品にありながら、音楽面においては相変わらずのハイクオリティを保っている。 --中でもストッパー(中ボス戦)の人気が高い。本作収録の原曲もさることながら、特にPCE版の米光亮氏によるアレンジは最も高評価。 **批判点 -2章以降の主な冒険の舞台となる地底世界は、施設と施設、または建造物との間が迷宮で繋がっている。迷宮はかなり広く、そして複雑に入り組んでおり、当然ながらモンスターもうろついている。更に宝箱まで点在しているため、多くのプレイヤーがその余りの広大さと、「延々と地下を彷徨う」という地味な展開に苦痛を感じ、挫折した者さえいるほど。 --さらに、たいまつやランプは歩いていると次第に効果が切れる上に、永続的に周囲を照らすアイテムが存在しない((前作には「ルメンのランプ」という超レアアイテムがあった。))。 --地下迷宮では「ヨシュアの目/鏡」を使っても自分の周りしか表示されず、全体マップを見られないため、役に立たない(下記の移植版には改善されたものもある)。 -全般的に敵が打たれ強い。前作の戦闘はテンポは良かったものの、サクサク進みすぎたのを反省したのか、今作では1章序盤で手に入る武器でさえ雑魚敵にろくにダメージを与えられない。更に敵はレスを平然と使う者が多く、多くの場合MAXまで回復するため、繰り返されると流石にストレスが溜まる。故に、戦闘テンポが若干悪くなっている。 -敵の行動は個性にあふれているが、戦闘中に「モンスター同士でほめたたえる、照れている」など悪ノリがするものもある。 --もっとも、敵にも前述の呪文カプセル制が導入されており、決して無限ではないため、使い切らせてしまえば活路は開けるが…。 -シナリオ面も、前作のラスボス・アグニージャが「悪神と呼ばれてはいるが、絶対悪とは言えない存在」という立場にあり、王道ながらも最後で驚くような展開を見せたのに対し、今作のゴドウィン2世は「野望に燃える悪の独裁者」という設定のため、ありふれた勧善懲悪展開になってしまっている。 -攻撃呪文の使い勝手の悪さ --呪文カプセル制のせいで最大7回までしか使えない。回復呪文を入れるともっと枠が減る。ザコとの連戦ではゲージ回復が間に合わず、しばしば通路の端などに隠れて回復するまで放置することになる。ボス戦では補助呪文を多く入れることになり、すぐに呪文を使い切ってしまう。 --上位攻撃呪文は強いのだが、ゲージ回復にかかる時間が長過ぎる。 -「EPスライド制」がGOLDにまで適応されていること。理不尽だしプレイヤーに不利益しかない。GOLDがゲームバランスを崩すことはまずありえない。 -終盤まで育てた仲間が1人離脱してしまう。 //--逆に言えばその仲間は、手動振り分けでどんな育て方をしても最終的にチャラにできるということでもある。←再加入時に能力が変わることなどの説明がない上にチャラになるのはラスボス戦だけ。そこまでの道中で困ることは変わりない。 //--装備を持っていかれる。ただし一度知ってしまえば、イベント直前に外せばいいだけの事ではある。←ゲームの流れを知ってる人にしかとれない対策。また装備を持っていかれること自体はRPGとしてはありふれている。 -ラスボスに主人公専用の最強武器以外が効かない。 //--ランドーの能力オート振りにおける攻撃力の高さは、ラストバトルで無意味。←ラストバトル以外で有意義ならわざわざ記述することもないでしょう。 --前作でもラスボスには最強武器が必要だったが、主人公専用ではなく2本あり、他にもラスボスの特殊攻撃で壊されることもあるがまともなダメージ源にできる魔法杖など、それなりに自由度があった。 **攻略のポイント -特徴で挙げた呪文システムの変更点を踏まえ、1人に付き最大7つまでしか所持できない所持呪文の構成を臨機応変に組み替えていくことが戦略のポイントになる。 -例によって、運が高ければ会心の一撃が出やすくなり、眠らせさえすれば100%発生するため、敵を眠らせる呪文「ホー」と同じ効果を持つ「聖なる杖」を入手すれば、以降の展開がいくらか楽になる。状況によっては敵を即死させる呪文「オビス」と同じ効果の「光の杖」も活躍。故に前作同様、運を上げることも重要と言える。 --状態異常の戦闘メッセージが、無効な敵だと「効かなかった」、有効な敵への失敗だと「何も起こらなかった」、に分かれているため効かない敵に無駄撃ちし続ける心配もない。 **総評 快適なインターフェースといった前作の良さを継承した点はあるものの、長すぎる地底ダンジョンや強化された敵といった、かえって相殺してしまった部分もある。つまり、長所と短所が前作以上に綺麗に分かれている。~ しかし、決してクソゲーに堕ちたということはなく、人によっては良作と呼べるかもしれないが、その一方でガッカリした、あるいは挫折したプレイヤーもおり、上記の「前作の良さを相殺する要素」に耐えられるかどうかで評価が変わる作品である。~ それでいて、続編としての役目は十分に果たしたとも言える。設定の伏線回収と人物のその後が見られるという点では、かの『[[イースI&II>イース/II]]』のように、本作の前に『I』をプレイしておくことを推奨する。 **余談 -ゲーム開始時のローディング画面では、アトラス王子の趣味である「スライムいじめ」が行われる。 -「好評だった前作の続編」という看板があるからこそだろうか、家庭用への移植もそれなりにされた模様(下記参照)。しかし、MSX2/2+/turboR及びX68000版は発売されなかった((特に前者はスペック不足か、既に時代遅れのハードと見做されていた、という理由のいずれかと思われる。))。 --また、『I』が『新 英雄伝説』としてリメイクされたものの、本作はリメイクされることはなかった。 -コピー対策 --本作は序章・1~4章・終章の6章構成だが、安易にコピーしたバックアップディスクでプレイすると、4章になって「EPスライド制」システムが1戦闘で1レベル分の低下という鬼仕様に切り替わる。4章ボスは普通にプレイしていても結構強く、章内最高装備も高価なため、終章を目前にして詰まるという仕掛け。 ---当時のコピー対策としては、序盤のイベントでゲームオーバーになるものが結構あったが、このように8割がたプレイさせてから改めて正規ディスクを求めるタイプもちらほらあった。 -ファイル名書き換え --敵のファイル名を入れ替えるとプレイ中に出現する敵もそのまま入れ替わる。そのため、ボスと再戦したり前章の敵のドロップ限定武器を回収したり次の章のザコで稼いだりというチートプレイが、とても簡単に可能だった。 **移植 -PC-9801VM/UV以降版(日本ファルコム、1992年7月24日/9,800円) --移植に際し、一部のモンスターのグラフィックが書き直された。 --新モンスター「雷娘」「装甲スライム」「ブラックナイト」が追加。いずれも下記の移植作品では標準実装されている。 --88版と共にProjectEGGにて配信されている。 -FM TOWNS版(ブラザー工業/日本ファルコム、1993年2月6日/同上) --ソフトベンダーTAKERU専売。基本的に98版のベタ移植。 -PCエンジン スーパーCD-ROM2版(ハドソン、1992年12月23日/7,560円) --88版と98版の要素が入り混じった移植。ラスボス第1形態のグラフィックはオリジナルのもの。 --CD-ROMならではの、ボイスを生かしたイベントシーン演出が魅力。 --BGMアレンジは、ハドソン製ファルコムタイトルではおなじみの米光亮氏が担当。 -スーパーファミコン版(エポック社、1993年6月4日/9,800円) --戦闘シーンの背景追加とモンスターグラフィックの変更に加え、ダンジョンマップがかなり簡略化された(これをただの手抜きと取るか、オリジナルで評判が悪かった事を理解した上での変更と取るかは人によるが…)。 --オートマッピング機能がある。 --A・B以外のボタンに簡易コマンド呼び出しが割り当てられ、ボタンを余らせない工夫がされている。 --前作同様、バーコードバトラー対応。 -メガドライブ版(セガ・ファルコム、1995年1月20日/8,800円) --章間デモのビジュアルがない(OP・EDにはある)。 --98版をベースにしているが、メガドラ1の3ボタンとの兼ね合いの都合か、簡易コマンド呼び出しはない。 --家庭用移植で唯一配信がされている(Wiiバーチャルコンソールのみ)。 -プレイステーション/セガサターン版(GMF) --詳細は[[こちらヘ>The Legend of Heroes I&II 英雄伝説]]。
*ドラゴンスレイヤー英雄伝説II 【どらごんすれいやーえいゆうでんせつつー】 ※ここでは、初出となる88版を基準に説明します。 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|~| |対応機種|PC-8801mkIISR以降|~| |メディア|5インチフロッピーディスク 9枚組|~| |発売・開発元|日本ファルコム|~| |発売日|1992年3月19日|~| |定価|9,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |ポイント|前作キャラのその後と設定補完+α&br()前作未経験者にはオススメ出来ない&br()プレイヤーの心を折る、複雑且つ広大な地底世界&br()音楽は安心のファルコム印|~| |>|>|CENTER:[[''ドラゴンスレイヤーシリーズ関連作品リンク''>ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]| //ちなみに筆者は88版未プレイで、98・PCE・MD・PSはクリア済みです。 ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 破壊神アグニージャが倒れ、平和を取り戻したイセルハーサ。~ ファーレーン国王となったセリオスは、ディーナと結婚。2人の間に生まれた王子はアトラスと名づけられ、両親の愛と国民の信頼を一身に受けて成長していった。~ そんなある日、イセルハーサ全土に大地震が起こり、各地に深刻な被害が及ぶものの、セリオス王を中心に世界中の人々が力を合わせ、復旧に励んだ。~ それからしばらくして、とある洞窟から奇妙な5体のモンスターが現れて2人の盗賊と戦闘になる事件があった。~ 通りかかった空飛ぶ白いドラゴンの眼下には5体の死体が転がっていた。~ しかしそれは、これから起こる大きなうねりの、ほんの予兆に過ぎなかった…。 **概要 『[[ドラゴンスレイヤー英雄伝説]]』の続編。前作同様、全6章仕立てのRPG。~ 前作から20年後のイセルハーサと、その地下に広がる国家ファーゲスタが舞台。~ 画面構成・マップパーツなどは前作の流用が多い。そのため、発表から短期間で発売に至った。~ 当時のPC市場は、8ビット機から16または32ビット機へと主流がほぼ転換した時期であり、PC88版はファルコムにとって同ハード最後の作品となった。 **システムにおける特徴 基本的な部分は前作から変わっていない。ここでは変更点のみを挙げる。 -呪文関係の変更。1つはMPを廃止し、「呪文カプセル」が導入された。これは、1つの呪文を使用するとそのカプセルが空になり、カプセルのゲージが満タンに回復するまで使えないというもの。戦闘中のカプセル回復手段は個数が限られたアイテム数個しかなく、同じ呪文を1人が複数持つことも大いに意味がある。主な回復手段は、移動中の自然回復と、特定のアイテムの使用。各呪文毎にカプセルの回復速度は違っており、有用な効果を持つものほど自然回復が遅い。 -回復アイテムの説明 --「ビスナの実」は全員のカプセルを7つ全て回復するが、戦闘中は使えない。「ビスのキノコ」は1人のカプセルを回復し、尚且つ戦闘中でも使えるが、ゲーム中わずか2つしか手に入らない超貴重品。なお、気絶と同時にカプセルも回復する「エリクサー」も3つのみ。 -「呪文能力」というパラメータが設定された。値が大きいほど呪文の効果が上がる。また呪文自体も、前述通り効果の大きさが呪文能力に左右されるようになったため、前作にあった呪文の等級((例えば、回復呪文のレスで言えば1~5まで。他は1しかない、または1~4までと様々。))が廃止された。ただし、炎/冷気の攻撃呪文のみ、フラム/ヒュールよりも強力なブラムナ/ヒュドナが中盤に登場する。 --レベルアップ時に能力振り分けで上げられるのは「賢さ」であり、「賢さ」の分だけレベルアップ毎に上昇する。(「つよさ」と「HP」&「攻撃力」の関係と同じ) ---終盤には「賢さ」が上がる装備もあるため、できるだけ低レベルで進めると少しお得という要素にもなる((ただし、賢者の指輪を落とす4章ボスはかなり強く、入手までの低レベルプレイにとって難関だったりする。))。 --回復呪文「レス」の回復量は、呪文能力の数値そのまま。その他各種攻撃呪文のダメージ量、補助呪文は強化系なら上昇量、バッドステータス系なら成功率が増加する。ただし、杖による呪文の効果は運に左右される。 --呪文の入手自体は、「店で”○○の書”を買う」に変更され有料になったものの、書さえ持っていればいつでもどこでも覚えられる(上書き出来る)ようになった。 -「EPスライド制」 --レベルが上がり敵との戦力差がつくと、獲得EP(経験値)が減っていくシステム。同じファルコムの『イースシリーズ』でも採用されている。 --しかし、今作ではEP(経験値)だけではなくGOLDにまで補正がかけられており、レベルが基準より高くなり過ぎるといずれも0になってしまう。パーティーと敵の平均レベルの差によって発生するが、そうなった頃には、(そのエリア、または章内では)実質的に最強レベルと言える。 --そのため次の章になる前に金稼ぎしたい場合は、武器を落とす敵が役立つ。 --なお、ラストダンジョンでは補正がなくなっている。 -前作は、ダンジョン内ではシンボルエンカウントでフィールド上だと普段はマスキングされて判別できないが、エンカウントしてから逃げるとその敵が見えるようになる半シンボルエンカウントだったが、今作では完全なシンボルエンカウントになった。 --こちらを感知すると不気味な鳴き声を発して追いかけて来るなど、緊張感もある。 -前作で好評だったオートバトルは、更に回復行動(呪文/アイテム)・攻撃呪文使用といった細かい指示が可能になった。 -戦闘でモンスターが特定の行動を取る際、それらがアニメーションやエフェクトによって表現されるようになり、個性を印象付けている。1種類につき1つ程度ではあるものの、呪文や特殊攻撃はもちろん、特に意味のない行動まで多岐に亘る。 -章の間にビジュアルシーン(一枚絵)を交えたデモが挿入される。 **シナリオにおける特徴 -前作で残された謎、特にヨシュアとフレイアの存在、竜の卵に関連したものを補完している。それを基盤として、成長した前作の登場人物と、新たな世代の人物とがストーリーを織り成していく。 -パーティーキャラの1人・シンディは、仮面を被った口数少ない筋肉質の20歳の巨漢だが、彼には前作に関連した重大な謎がある。 #region --ラスボスに到達する前に、橋が崩れて奈落の底へ落ちてしまい、このままパーティーを離脱する…かと思いきや、正体を現してラスボス戦直前でパーティーに復帰してくれる。その正体は、アトラス王子の父親セリオスが前作(20年前)で卵から孵化させて終盤には空飛ぶ乗り物として使えた白いドラゴンだった。インプリンティングによりセリオスを親と思って懐いていた。オープニングで登場したり序章ラストでセリオス王が乗っているドラゴンも彼女である。LV99、HP9999で完全オート行動。通常攻撃の他に、強力な炎を吐く。 ---尚、記憶を失ってはいる((厳密には、人間としての言語・思考・認識に変えられたので、今までのドラゴンとして思考・認識・記憶してきた内容がほとんど理解できない状態。))が、アトラスを見て「知っている人に似ている」と発言したことが上記の伏線になっている。 ---離脱後はラスボスとの戦闘しかないが、ワプの翼で3人パーティのまま自由に行動できる。再加入はラスボス戦なので、橋まで進むとそれ以降を4人パーティでは戦えなくなる。 ---仲間の1人であるランドーの父親は変身呪文を研究しており、離脱後に会いに行くとシンディを人語を話せる状態へと人間化させた事について聞ける。 #endregion **音楽 -所謂暗黒期のファルコム作品にありながら、音楽面においては相変わらずのハイクオリティを保っている。 --中でもストッパー(中ボス戦)の人気が高い。本作収録の原曲もさることながら、特にPCE版の米光亮氏によるアレンジは高評価。 **批判点 -2章以降の主な冒険の舞台となる地底世界は、施設と施設、または建造物との間が迷宮で繋がっている。迷宮はかなり広く、そして複雑に入り組んでおり、当然ながらモンスターもうろついている。更に宝箱まで点在しているため、多くのプレイヤーがその余りの広大さと、「延々と地下を彷徨う」という地味な展開に苦痛を感じ、挫折した者さえいるほど。 --さらに、たいまつやランプは歩いていると次第に効果が切れる上に、永続的に周囲を照らすアイテムが存在しない((前作には「ルメンのランプ」という超レアアイテムがあった。))。 --地下迷宮では「ヨシュアの目/鏡」を使っても自分の周りしか表示されず、全体マップを見られないため、役に立たない(下記の移植版には改善されたものもある)。 -全般的に敵が打たれ強い。前作の戦闘はテンポは良かったものの、サクサク進みすぎたのを反省したのか、今作では1章序盤で手に入る武器でさえ雑魚敵にろくにダメージを与えられない。更に敵はレスを平然と使う者が多く、多くの場合MAXまで回復するため、繰り返されると流石にストレスが溜まる。故に、戦闘テンポが若干悪くなっている。 -敵の行動は個性にあふれているが、戦闘中に「モンスター同士でほめたたえる、照れている」など悪ノリがするものもある。 --もっとも、敵にも前述の呪文カプセル制が導入されており、決して無限ではないため、使い切らせてしまえば活路は開けるが…。 -シナリオ面も、前作のラスボス・アグニージャが「悪神と呼ばれてはいるが、絶対悪とは言えない存在」という立場にあり、王道ながらも最後で驚くような展開を見せたのに対し、今作のゴドウィン2世は「野望に燃える悪の独裁者」という設定のため、ありふれた勧善懲悪展開になってしまっている。 -攻撃呪文の使い勝手の悪さ --呪文カプセル制のせいで最大7回までしか使えない。回復呪文を入れるともっと枠が減る。ザコとの連戦ではゲージ回復が間に合わず、しばしば通路の端などに隠れて回復するまで放置することになる。ボス戦では補助呪文を多く入れることになり、すぐに呪文を使い切ってしまう。 --上位攻撃呪文は強いのだが、ゲージ回復にかかる時間が長過ぎる。 -「EPスライド制」がGOLDにまで適応されていること。理不尽だしプレイヤーに不利益しかない。GOLDがゲームバランスを崩すことはまずありえない。 -終盤まで育てた仲間が1人離脱してしまう。 //--逆に言えばその仲間は、手動振り分けでどんな育て方をしても最終的にチャラにできるということでもある。←再加入時に能力が変わることなどの説明がない上にチャラになるのはラスボス戦だけ。そこまでの道中で困ることは変わりない。 //--装備を持っていかれる。ただし一度知ってしまえば、イベント直前に外せばいいだけの事ではある。←ゲームの流れを知ってる人にしかとれない対策。また装備を持っていかれること自体はRPGとしてはありふれている。 -ラスボスに主人公専用の最強武器以外が効かない。 //--ランドーの能力オート振りにおける攻撃力の高さは、ラストバトルで無意味。←ラストバトル以外で有意義ならわざわざ記述することもないでしょう。 --前作でもラスボスには最強武器が必要だったが、主人公専用ではなく2本あり、他にもラスボスの特殊攻撃で壊されることもあるがまともなダメージ源にできる魔法杖など、それなりに自由度があった。 **攻略のポイント -特徴で挙げた呪文システムの変更点を踏まえ、1人に付き最大7つの所持呪文の構成を臨機応変に組み替えていくことが戦略のポイントになる。 -前作と同じく、運が高ければ会心の一撃が出やすくなり、敵を眠らせれば100%会心の一撃となるため、敵を眠らせる呪文「ホー」と同じ効果を持つ「聖なる杖」を入手すれば、以降の展開が楽になる。状況によっては敵を即死させる呪文「オビス」と同じ効果の「光の杖」も活躍。故に前作同様、運を上げることも重要と言える。 --状態異常の戦闘メッセージが、無効な敵だと「効かなかった」、有効な敵への失敗だと「何も起こらなかった」、に分かれているため効かない敵に無駄撃ちし続ける心配もない。 **総評 快適なインターフェースといった前作の良さを継承した点はあるものの、長すぎる地底ダンジョンや強化された敵といった、新たな賛否両論点もある。つまり、長所と短所が前作以上に綺麗に分かれている。~ しかし、決してクソゲーに堕ちたということはなく、人によっては良作と呼べるかもしれないが、その一方でガッカリした、あるいは挫折したプレイヤーもおり、上記の要素を好むかどうかで評価が変わる作品である。~ それでいて、続編としての役目は十分に果たしたとも言える。設定の伏線回収と人物のその後が見られるという点では、かの『[[イースI&II>イース/II]]』のように、本作の前に『I』をプレイしておくことを推奨する。 **余談 -ゲーム開始時のローディング画面では、アトラス王子の趣味である「スライムいじめ」が行われる。 -「好評だった前作の続編」という看板があるからこそだろうか、家庭用への移植もそれなりにされた模様(下記参照)。しかし、MSX2/2+/turboR及びX68000版は発売されなかった((特に前者はスペック不足か、既に時代遅れのハードと見做されていた、という理由のいずれかと思われる。))。 --また、『I』が『新 英雄伝説』としてリメイクされたものの、本作はリメイクされることはなかった。 -コピー対策 --本作は序章・1~4章・終章の6章構成だが、安易にコピーしたバックアップディスクでプレイすると、4章になって「EPスライド制」システムが1戦闘で1レベル分の低下という鬼仕様に切り替わる。4章ボスは普通にプレイしていても結構強く、章内最高装備も高価なため、終章を目前にして詰まるという仕掛け。 ---当時のコピー対策としては、序盤のイベントでゲームオーバーになるものが結構あったが、このように8割がたプレイさせてから改めて正規ディスクを求めるタイプもちらほらあった。 -ファイル名書き換え --敵のファイル名を入れ替えるとプレイ中に出現する敵もそのまま入れ替わる。そのため、ボスと再戦したり前章の敵のドロップ限定武器を回収したり次の章のザコで稼いだりというチートプレイが、とても簡単に可能だった。 **移植 -PC-9801VM/UV以降版(日本ファルコム、1992年7月24日/9,800円) --移植に際し、一部のモンスターのグラフィックが書き直された。 --新モンスター「雷娘」「装甲スライム」「ブラックナイト」が追加。いずれも下記の移植作品では標準実装されている。 --88版と共にProjectEGGにて配信されている。 -FM TOWNS版(ブラザー工業/日本ファルコム、1993年2月6日/同上) --ソフトベンダーTAKERU専売。基本的に98版のベタ移植。 -PCエンジン スーパーCD-ROM2版(ハドソン、1992年12月23日/7,560円) --88版と98版の要素が入り混じった移植。ラスボス第1形態のグラフィックはオリジナルのもの。 --CD-ROMならではの、ボイスを生かしたイベントシーン演出が魅力。 --BGMアレンジは、ハドソン製ファルコムタイトルではおなじみの米光亮氏が担当。 -スーパーファミコン版(エポック社、1993年6月4日/9,800円) --戦闘シーンの背景追加とモンスターグラフィックの変更に加え、ダンジョンマップがかなり簡略化された(これをただの手抜きと取るか、オリジナルで評判が悪かった事を理解した上での変更と取るかは人によるが…)。 --オートマッピング機能がある。 --A・B以外のボタンに簡易コマンド呼び出しが割り当てられ、ボタンを余らせない工夫がされている。 --前作同様、バーコードバトラー対応。 -メガドライブ版(セガ・ファルコム、1995年1月20日/8,800円) --章間デモのビジュアルがない(OP・EDにはある)。 --98版をベースにしているが、メガドラ1の3ボタンとの兼ね合いの都合か、簡易コマンド呼び出しはない。 --家庭用移植で唯一配信がされている(Wiiバーチャルコンソールのみ)。 -プレイステーション/セガサターン版(GMF) --詳細は[[こちらヘ>The Legend of Heroes I&II 英雄伝説]]。

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