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ハイドライド3」を以下のとおり復元します。
*ハイドライド3 異次元の思い出
【はいどらいどすりー いじげんのおもいで】

|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00008I6N0)写真はWindows版|CENTER:&amazon(B00005REYV)写真はWindows版&br()1・2・3セット|
|対応機種|PC-8801MkIISR以降、X1、MSX、MSX2|~|~|
|発売・開発元|T&Eソフト|~|~|
|発売日|【PC88】1987年11月21日|~|~|
|定価|【PC88】7,800円|~|~|
|備考|他社製などのアレンジ移植作については下記「移植」を参照|~|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:ハイドライドシリーズ&br;[[ハイドライド]]/ハイドライドII/''ハイドライド3''|
//シリーズ名の記述方法はファミコンの『ドンキーコング』やPCエンジンの『改造町人シュビビンマン』などを参考にしています。

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**概要
-アクションRPG『[[ハイドライド]]』シリーズの完結編((ハイドライド関連ゲーム自体は、その後アレンジという形でいくつか発売された。))。前作までのシステムを大幅に変更し、意欲的なシステムが多く採用されている。一方で、理不尽とまで言われた難易度は下がり、遊びやすくなった。
-続編ではあるが、『ハイドライドII』のリメイクという意味合いの方が強い。それはタイトルからも表われていて番号表記がローマ数字からアラビア数字に置き換えられている((ファンには続編を切望されたが、製作者は続編を作ることにかなり否定的だった。))。
-時間と重さの概念をシステムに導入している。本作の大きな特徴。
--また前作から踏襲しているファンタジー感のある前半から一転、後半はSF要素も盛り込まれた。
--パッケージに描かれた天を突き抜ける塔(200階建て)は作品の遊び要素として冗談混じりに大きくプッシュしていた((エレベーターがあるので実際の昇り降りはかなり楽。建物自体はネタでしかない。メーカー側にどのような思惑があったか分からないが大して話題にならなかった。))。

**ストーリー
エビルクリスタルが打ち壊され、フェアリーランドにまた平和が訪れた。やがて人々は様々な所へと生活圏を広げていった。一方で、かつてどこでも見られた妖精達の姿が見られなくなる。&br
そんなある日、とある場所で夜中に地響きとともに火柱が立つ。しかしそれは何事なく収まったかのように見えた。だが異変は起きていた。不思議な扉が出現しそこに入った人々をどこかへと飛ばしたり、奇妙な地割れが現れたりと、これまでからは絶対に考えられないような事が次々と起こり始めた。&br
それを不安視した修道僧達は一人の若者に、この事態の調査を頼む。そして若者は旅立つのだった。

**特徴
-リアル要素を増したアクションRPG。時間や重さがあり、攻撃魔法はないがアクションは従来より多彩に。

-高まったアクション性。
--直に剣を振り回す攻撃方法。前作まで単に体当たりでダメージを与えていたものが、本作では剣を振ったり矢を放ったりへと変わった。さらに剣や弓の射程もそれぞれにある。これによりアクション性が強まった。
--近接攻撃は自身と武器の攻撃力が合わせられたものが用いられ強力であるが、敵からの反撃を受けやすいリスクが生じる。また矢などの飛び道具は攻撃力は一定であり低めに設定されているが、中ボスを安定して倒せるためそれぞれ一長一短がある。
---工夫した戦い方の一つが、壁越しの攻撃。リーチの長い剣は壁越しの攻撃できるため、敵の飛び道具やリーチの短い攻撃を壁で防ぎながら、一方的にダメージを与えられた。逆に敵のリーチの長い攻撃も、壁越しにされる時がある。

-時間の流れがある世界。
--本作には時間が流れている。プレイヤーはそれに沿い規則正しい生活を送らないといけない。このため無駄足を食っていると戦う暇がなかったり、ダンジョンの途中で引き返す必要に迫られたりという事も起こる。一日の状況は日中→夕方→夜→日中…と流れ、この変化は様々な影響を与える。ちなみに一日は24時間。
---食事。本作では必ず食事を取らないといけない。13時と19時の二食。これを抜かすとHPが減っていき、ついには餓死してしまうのだ。一食抜く事が死活問題に繋がる場合も。なお事前に食料を持っていると自動的に食事するのだが、持っていない状態で購入した場合、自分で使わない限り空腹状態が解除されない。
---モンスターの強さ。日中に比べ夜のモンスターの攻撃力は異様に強くなる。日中、敵ではなかったモンスターに、夜だと手痛い目にあう時もある。
---睡眠。夜になれば眠くなる。人は寝ない訳にはいかない。これを無視して活動し続けると、攻撃力が落ちていく。このため一旦宿屋に戻らなければならない。テントがあればその必要はないが重量が足かせになる。ちなみにセーブはこの睡眠時に行われる。

-全ての物に重さがある。
--装備品はもちろん、アイテム、食料、さらになんとお金にまで重さがある。一方でプレイヤーには持てる重さの上限がある。そして制限重量を越えるものを持つと、身動きが遅くなり、さらには動けなくなってしまう。このため必要、不必要を考えて持たなければならない。
--宝箱を見つけたからと言って、何でも取ればよいという訳ではない。また、レベル上げに励んでいたら、モンスターから得たお金の重さで動きが鈍くなることもよくある話。ちなみにスタート時、一般のRPGのように武器と防具を一式揃え、武器屋を出ると全く動けない。
---さらに使いこなせる武器の重さも限度があり、それを越える重量の武器を装備すると攻撃力が大きく落ちる。これら持てる重さの上限は、レベルと共に上がっていく。

-プレイヤーキャラクターのメイキングは「戦士」「強盗」「僧侶」「修道士」の中から職業を選ぶことになるが、それぞれ初期パラメーターに影響する。その数値自体はある程度幅を持った範囲内でランダムに決まる。
--戦士:名前とは裏腹にほぼオールマイティに使える初心者向けの職業。
--強盗:体力があるが魔力が低い、ただし序盤から中盤では最も物が持てるので割と使える職業。
--僧侶:魔力はあるが攻撃力が低い。しかもその魔法も中盤にならないと入手できず、序盤が非常に厳しいためレベル5までは経験値1.5倍という特典がある。
--修道士:魔力攻撃力共にバランスが取れているが低レベル(特に1~2)では''敵の攻撃を2発喰らうだけで死亡する超虚弱体質''。一度の被弾もしない自信がある上級者か開始即死亡のループに耐えられるドM向け。

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#region(もう一つの職業)
-約150分の1で「怪物」という職業がランダムで発生する。選んだ4種の職業の能力はそのままに体力が非常に高く、また職業で僧侶を選ぶと何故かレベル5までの特典である経験値1.5倍が永続する。
-ただしラスボスから受けるダメージが破滅的に大きい。ラスボス戦は体力の消耗戦になる上、メニュー画面を開けないため回復アイテムが使えないので最後で苦しむ(場合によっては詰む)結末が待っている。
#endregion()

-画面はトップビュー。そしてハイドライド伝統の移動方法、スクロールではなく画面端に行くと隣のエリアに切り替わるというのも同じ。だがこのため、出会いがしらに攻撃されるという事もままある。
--また、グラフィックとBGMは一新。

-魔法はあるが、補助魔法と回復魔法しかない。前作であった攻撃魔法は一切なくなった。これもアクションゲーム性を強化した。魔法の取得も独特。獲得した経験値と引き換えに魔法を取得する。入手できるのは中盤以降で、前作とは違い極端な話、魔法が一切無くてもクリアはできる。

-前作からあった善良、邪悪のモンスター属性も本作に引き継がれている。この内善良なモンスターは倒してはいけない。これを倒すと、精神力というステータスが悪化する。そうなると高値で物が売られたり、話をしてくれなかったり、ラスボスを倒せなかったりする。精神力は邪悪モンスターを倒す事で、わずかずつ改善する。

-遊びのアイテムが多い。重さがある分、無意味どころか足かせにしかならないが、軽く気分をなごます程度には悪くない。
--中には初期ロット版で入れ忘れてエンドロールにのみ出てくる「幻のアイテム」が存在し、銀の剣とニベアンクリームがこれにあたる。
--また「T&Eパック」という隠しアイテムがあった。本来これは使用することにより特定のフラグが立ち、終了時表示されるパスワードを書いて送ると全員に送られていた「終了認定証」と、別にフラグが立っていた人には先着5名に記念品が贈られる予定だった。しかし早々とゲーム雑誌にアイテムの場所が掲載されてしまったので、ただの遊びのアイテムと化してしまった経緯がある。

-MSX/MSX2版では前作のバッテリーバックアップからカセットテープレコーダーへのデータセーブになった。データの読み書き時間は長くなったが、これによりキャラクターデータを複数用意できる、バッテリーバックアップの電池切れの心配がなくなり今でも遊べるという良い面が目立つようになった。

**評価点
-重さ、時間の流れなどの制限が生み出すテンポと緊張感の中で、高いアクション性を楽しむのが本作の味わいの一つである。
--前作よりはるかにアクション性が高まったため、アクションゲームとして面白味が増した。

-大きく変わったグラフィックとBGMの導入。
--グラフィックは大幅に向上し、どこか記号的だった前作までの印象をがらりと変えた。さらに前作までなかったBGMも、本作ではしっかりある。しかも幻想的な曲調で、世界観によく合った悪くないもの。

-独特な世界観。
--単なるファンタジーでは終わらない世界観。これも前作から、がらりと雰囲気が変わっている。

-難易度が大幅に低下。
--前作は高難易度で知られたRPGでもあったが、それに比べればはるかにプレイしやすいものになっている。だからと言って簡単という訳ではない。

**難点
-シリーズの中ではかなりヒントが多いものの、相変わらずやや不親切な面もある。
--必須アイテムである両替機の位置が提示されていない。両替機は小銭を大きな額面のお金に換金してくれる、お金の重量を減らす必須アイテム。特にあまり物が持てない序盤には是非とも欲しい。しかし、それがどこにあるのか全くヒントもない。
--さらにそこに行くまでが非常に大変。レベルが低い内では初期地点に配置されている雑魚「食人樹」の攻撃力が尋常でなく、マップ切り替えの直後、さらに運が悪いと最初の町から出た瞬間に攻撃を喰らって2秒で死亡、ということもある。
---ただしそういった極端に運の悪いケースを除けば、食人樹自体は移動せず4方向に弾を撃ってくるだけのモンスターなのでやり過ごすのは難しくないし、斜めから近づいて安全地帯で一方的に攻撃することができる。

-町のNPCの台詞のバリエーションが乏しい。特に「なんのこと?」という台詞を割り当てられたNPCがやたらと多い。町の1/4のNPCはこの台詞(しかも老若男女関係なしにこの台詞)ということも。ハイドライド3と言えば「なんのこと?」などと揶揄されるほど。

-セーブは睡眠時しかできないため、取りあえずセーブして試すという訳にはいかない。さらにその睡眠を取るためには原則宿屋に泊る必要があり、つまり一定額を所持していなければセーブできない。
--これとは別に前述のテントを使うことによってセーブできるが、非常に高価な上、ラストダンジョンに入った時点でこれを使ってセーブし、かつ帰還する手段を持たない場合は最悪、詰む。

-善良モンスターは倒してはいけないのだが、この配置がいやらしい。善良と邪悪モンスターの見た目が同じというものが結構多く、しかもフィールドからすぐ行けるダンジョン内で、フィールドと同じ姿のモンスターが善悪の属性が違ったり、一つのダンジョン内に同じ姿の善悪のモンスターがそれぞれいたりと、トラップのように仕掛けられている。またダンジョン内で善良モンスターが道を塞ぐ事があり、ややプレイしづらい面も。

-ボス戦ではコマンドウインドが開かない。このため戦闘中は魔法はおろか、回復すらできない。事前セーブもできないので、必勝の覚悟で挑まなければならない。

-レベルアップに必要な経験値がレベルの2乗に100をかけた数なので後半になると極端に上がり辛くなる。また強くなりすぎるのを防ぐためかレベル20を超えた時は殆ど成長しないようになっている。

**総評
時間や重さの概念がある事によって、ある程度の計画性を持った行動が必要になる。これはプレイに一定の緊張感とテンポを生み出した。またより強化されたアクション性とグラフィック&BGMは、単純に動かすことが楽しい。&br
ただアクション性に関しては単にわずらわしくなっただけとも感じるプレイヤーもいた。さらに前作から続くモンスターの善悪の属性も障害要素としての面が大きい。もっともこれらはかつてのPCの高難易度RPGを好み、踏破する腕前を持つ者には大した問題でないだろう。&br
しかし当時はすでに『[[イース]]』『[[ドラゴンクエスト]]』が発売されており、RPGは遊びやすいものへと変わっていた。そういう点ではやや時代に取り残された面のあるゲームである。本作はファミコンへも移植されたが、制限の多い独特のゲーム性はコンシューマー市場では受け入れられずに終わる。&br
当時のゲームMAPは拡大する一方で、それを売りにさえするゲームばかりだった中で生み出された200階建ての「ハーベルの塔」はゲーム史においても興味深い。

**移植
話題作だったこともあり、比較的多くの機種に移植されている。
-『ハイドライド3 闇からの訪問者』(ファミリーコンピュータ/1989年2月17日発売、ナムコ)
--家庭用向けに一部要素の簡略化などを行っているが、重量システムや手軽にセーブできないなど制限の多さはそのまま移植されたため、上述のように正当な評価を受けずに終わった。
-『ハイドライド3 S.V.』(PC-9801VM以降/1989年9月9日発売)
--S.V.とは「スペシャルバージョン」の略であり、新キャラや新マップを追加した言わば完全版である((エンディングで修正されたあるキャラのセリフは、一部の熱心なファンから批判された。))。
-『ハイドライド3 Special Version 異次元の思い出』(X68000/1989年11月5日発売、シンキングラビット)
--X68kならではの多彩なグラフィックに書き換えた『ハイドライド3 S.V.』の移植。BGMもX1をベースに一部アレンジを施した選曲となっている。また、開発は「シンキングラビット」だが、ソフト自動販売機TAKERUを用いての商品展開なので、他の機種と違ってパッケージ版は存在しない。
-『スーパーハイドライド』(メガドライブ/1989年10月26日発売、アスミック)
--タイトルに3がないが、正真正銘ハイドライド3の移植である。

**余談
今ではソフトハウスの営業がソフト販売店にドサ回りするようなことがなくなったが、この頃あたりまでは店頭で開発中のベータ版に触れることが出来たり、販促グッズを配布する姿などをよく見かけられた。

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