「むしとり」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
むしとり」を以下のとおり復元します。
*むしとり
【むしとり】
|ジャンル|シミュレーション、図鑑ソフト|&amazon(B00005OIBU)|
|対応機種|Windows 95/98|~|
|メディア|CD-ROM 1枚|~|
|発売元|メディアカイト|~|
|開発元|エイチアイ|~|
|発売日|1998年6月19日|~|
|定価|5,800円(税5%込)|~|
|廉価版|Great Series:2000年1月28日/4,180円&br()Ultra Series:2002年3月15年/2,200円&br()Wセレクション9((釣道2~海釣編~とのカップリング)):2002/8月9日/3,300円 (各税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|1つ|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|攻略と周回プレイに難あり&br;本格的なSLGとスローライフ|~|
----
#contents(fromhere)
----

**概要
メディアカイトが、都会化が進む現代に向けて贈り出す昆虫採集シミュレーション。数量的なノルマや時間の制限は忘れて、ひたすら自然に生きる昆虫と触れ合いを楽しんでもらうことをスタンスとしている。

**ルール
-プレイヤーは雑木林、田舎、山地といった自然あふれるロケーションに足を踏み入れ、自然のすみずみに目を凝らしつつ虫を捕まえ図鑑に片っ端から登録していくという流れ。

-時間経過
--ゲーム中は何かしら行動するたびに1時間単位で時間が経過する。
--4月1日8時~9月30日23時までが1周でプレイできる時間である。メニューから任意の時刻に進めることも出来るが巻き戻すことは出来ない。----4月~5月は春、6~8月は夏、9月は秋に区分され、季節ごとにいけるロケーションの装いも変わる。
--季節や時間帯によって登場する昆虫も変わる。

-目的
--4月から9月末まで、様々な虫を捕まえることが一応の目的だが、数値的なノルマはまったくない。ゲームオーバーもない。
--メニューでいきなり9月30日23時に設定すれば、一応だがゲームの1周分がクリアとなる。
--1周クリア時にそれまでの成果をかなり細かく教えてくれる。

**メニュー
-メニューは左下のカーソルをクリックする事で開ける。
-時間操作、昆虫採集のロケーションの移動、BGMとSEのON/OFFはここで切り替えが可能。

-マップ
--田舎、雑木林、高山それぞれに東西南北(合計12)のロケーションが分けられている。

-博士・昆虫図鑑
--捕まえた虫は虫かごに一時保管される。
--虫かごには5匹までしか入れられず、捕まえた虫は彼に見せることで図鑑登録してもらえる。登録すると虫かごの虫は消滅するため、新しい虫を捕まえてはまた見せに行き…というのが本作の流れ。
--博士はアドバイスの欄から基本操作やヒントを教えてくれる。

-昆虫の捕獲について
--飛んでいる虫か、ロケーションに用意された固定の採取ポイントをクリックする事で、虫めがねで表示される採取画面へと移行する。
---固定採取ポイントは虫がいなくてもクリックできるが、いない場合はアナウンスしてくれる。
--採取画面はExitボタンを押すか、採取の成功・失敗で終了する。また後述の虫の襲撃を受けたり足を負傷、煙を吸うなどすると強制的に終了させられる。
--補虫網、手づかみの2種類。選んだ手段に応じてマウスのカーソルが網もしくは手のアイコンに変化する。
--採取画面にいる虫に対して、「網」は振る(カーソルを動かす)早さ、「手づかみ」は力加減が適切なら捕獲が成功する。
--危険な虫を生半可な力加減で手づかみしようとすると攻撃されてしまい、3日ほど使用ができなくなる。またごくまれにしか起こらないがクワガタやカミキリムシなどに網を何度も切られてしまうと、半月程網が使えなくなってしまう。
--補助アクションとして、特定の採取ポイントでハチミツを塗る、木を蹴って虫を落下させる、煙を焚いて動きを鈍くするなどのアクションが存在する。
---暗い夜は虫を目視するために、明かりをつけることもできるが、驚いて逃げられてしまう場合もある。
---キックと煙もマウスホールドによってゲージを溜める操作が求められる、強すぎる力で蹴ると足をくじき、煙だとこちらの目が開かなくなるといったデメリットがある。

-虫の襲撃
--カミキリ、クワガタなどこちらに対して反撃をする虫がいる。上述のように網や手を攻撃され続けると一定期間仕様が出来なくなってしまう。
--ガ、ハチは下手に刺激すると、''虫めがねから飛び出し''こちらに向かって襲ってくる。昆虫に耐性のない人にとってはかなりの恐怖。
---虫めがねから飛び出すことはさすがにないが、ゴキブリもこちらに対して襲撃してくる。
---虫のドアップ襲撃を受けてもペナルティは特にないが、ごくまれに虫かごにいる虫が腰を抜かした拍子に逃げ出してしまうことがある。
--ガの鱗粉、セミのおしっこを受けると次の捕獲ができなくなる。(採取画面に移行するとすぐに目が開かないという理由で出されてしまう。)

-虫の希少度
--現実世界の目線で昆虫がどれだけ希少なのかを、ランクA~Eまでの5段階で表現してくれる。
---Aよりも上のランクに属する、さらに希少な昆虫も存在する。
--ゲームでの出会いにくさや捕まえにくさにはあまり対応していない。

**評価点
-手軽さ
--操作は全てマウスのワンクリックとホールドで行える。
--ゲームを終了する時に現在の状況がオートセーブされる。

-臨場感
--虫のいるポイント(飛んでいる虫は例外)を補足すると、捕獲画面に切り替わるが、そこは実写の写真も使われることがあり臨場感がある。
---ポリゴンで表現されているロケーションもあるが、非常にきれい。
--採取画面の虫も、こちらの網や手のアイコン、照明などに反応して何かしらの反応をしてくれるので現実味がある。
--昆虫採集時の周囲のせせらぎ・風・生き物の鳴き声といった自然音、図鑑や昆虫を閲覧している時、ロケーション選択画面時にのみ流れるBGMの雰囲気は良い。

-図鑑として
--虫のポリゴンモデルも当時の技術としては良くできている。
--♂♀の差異を数多くの虫でつけていたり、同種でもクワガタの成長度合いによる区分けや、ミドリシジミのカラーバリエーションといった工夫がある昆虫もいる。
--鳴き声のある虫であればその鳴き声が収録されており、どの昆虫も360°から眺められるだけでなく飛翔や歩行といったアクションも再生してくれる。
--図鑑に登録されている虫から5匹までお気に入りの虫を選んで登録することができる。登録された虫はスクリーンで放し飼いされる。

-博士
--意味もなくアイコンを開いた際にも、非常に多彩な会話をしてくれる。
--収録昆虫は200近くに達するが、それらに対して全て丁寧な説明をしてくれる。

**賛否両論点
-収録虫について
--幅広く集められているが、一般的に人に嫌われる傾向のある虫はあまり収録されていない。
--ゴキブリも捕獲できるが、本作では「ゴキブリ」の1種しか捕まえられない。
--登場するハチの種類も少なめ。
--トンボ、バッタ、カメムシなどの不完全変態の虫のバリエーションが妙に少ない。

-博士とのやりとり
--博士の説明は昆虫を逃がしてしまうと聞けない。
--会話はとても深いものもあり読みごたえがあるのだが、字幕がなく話す内容も少し難しいので子供向けではない。


**難点
-採取画面から出される仕様
--採取画面には一度に複数の虫がいるが、捕まえられる虫は一回の採取画面につき一度だけ。
--捕虫網の振りを失敗しただけで則採取画面から出されてしまう。同時に居合わせた他の虫に対しての挑戦もさせてくれない。

-力量調節が難しい
--網アイコンを虫に適正な速度でぶつけることで捕獲が成功するのだが、この判定がややシビア。またこの適正な速度は虫の種類ごとにそれぞれ異なっている。
---この仕様に関しては、プレイヤーの慣れというよりは運ゲーに近いところもある。
---常識では捕まえやすいはずのカブトムシ一匹を捕まえるのにも、このような調節のために相当苦労することに。
--手づかみ、キック、煙はマウスのホールドでエネルギーをためて力量調節する必要があるが、ゲージのたまりが案外早く調節が難しい。
--生半可な力で虫を手づかみしようとすると攻撃されてしまうほか、強すぎる力で手づかみすると潰してしまう。またキックを直接当てても死んでしまう。
--煙の効果は虫の動きを鈍くするというものだが、調節を失敗すると昆虫に襲われたり、燻り殺してしまったり、プレイヤーの分身が煙を吸って次回の採集で行動不能になったりとメリットに対するリスクが大きい。
--キックも適正な強度というのが存在せず、ためた長さに応じて成功率、足をくじく率、何も起こらない率が多少変動する程度である模様。

-図鑑の調整ミス
--ヒメウラナミジャノメ、キマダラルリツバメの表裏の模様が逆。
--「エゾヨツメ」として収録されている種の外見が、未収録の別種「ヒメヤママユ」のものとなっている。
--本来黒地に白い縞模様があるクロスズメバチが、オオスズメバチなどと同様の黒と橙色の体色となっている。
--本作では「センチコガネ」に赤、青、緑の3つのカラーバリエーションがあり、「オオセンチコガネ」が紫の個体のみとなっているが、実際にはこのようにカラーバリエーションが豊富なのは「オオセンチコガネ」の方であり、「センチコガネ」の方は大抵の個体が紫である。つまり両種の特徴が逆になっている。

-図鑑の説明が簡単すぎる
--博士が昆虫の解説を丁寧にしてくれるのに対し、図鑑における解説文は1~2文程度で、ごく短い。
--図鑑に登録すると昆虫は虫かごから消滅するため、改めて詳しい解説を読むためには再び捕まえ直して博士に見せなければならない。レアな昆虫の場合、これがかなり大変。

-セーブデータの引き継ぎ不可
--ニューゲームは(日付を最終日の最後の時間に持っていき現在の周回を終わらせることで)いつでも可能だが、それまでのゲームデータは「お気に入りの虫」以外引き継がれない。


-ノーヒント
--それほど癖が強い操作でもないのだが、ヒントは与えられず手探りで操作方法を覚えていく必要がある。
--収録されている全種類の昆虫を採集するのは至難の業(というか不可能)。ごく限られたタイミングでしか登場しないレア虫がいるほか、どこで会えるか分からない虫が一部いる。
--固定された採集ポイントが季節ごとで変動する事があり、初見どころか何周していても気付かない場合もある。
-採集ポイントのバランス
--高山の西以外はかなり殺伐としており、昆虫に遭うのが難しい。
--一部の固定採取ポイントにしか登場しない昆虫もいるので、彼らの捕獲に成功するまでむやみに時計を進めがちになってしまう。
--もっともスローライフを楽しんでもらうことに重きを置いている本作なので、ガチな攻略を目指さなければ特に問題はないのだが。


-架空の昆虫「フレームシ」の存在
--本ゲームに登場する昆虫は基本的に全て実在するが、例外として「フレームシ」と総称される架空の昆虫が4種類登場する。
#region(しかし…)
---「フレームシ」とは名の通り、体が単色のワイヤーフレームで構成されたムシのこと。すなわち昆虫の3Dモデルを作る過程での途中図である。
---博士曰く「カッコイイ虫」らしいが、どう見ても手抜きであり、世界観からも激しく浮いている。このような虫を登場させるくらいなら、他に出せそうな実在する虫はいくらでもいるはずである。
---「フレーム」+「ムシ」で「フレームシ」と駄洒落になった名前も、真面目に考えたのかを疑わせる。
---各種の名前も「フレームシ1」「フレームシ2」などと何の捻りもない。形はカブトムシやアゲハなど他の昆虫と同じ(というか流用)であり、1~4でそれぞれ異なる。
---レア度はいずれもA以上と高く、出現率も低い。一度見るまではどんな姿か分からないので、いそうな季節、場所、時間帯を予測して探すということができず、発見および捕獲は困難を極める。
#endregion

**総評
昆虫採集シミュレーションとしてはありがちなコレクションに特化しているわけではなく、攻略難易度の高さからも効率性はあまり良くない。描かれる世界観やメッセージ性を考えると、効率をどうしても重視しがちな現代の日本人に一石を投じているのかもしれない。しかし丁寧に練られたテキストや世界観は当時の技術としては秀逸で、今ではなかなか出会えない自然の雰囲気を楽しむにはもってこいな作品である。

**その他
-クリック連打による裏ワザ
--焚火の煙でガ・ハチが襲ってきた直後にクリックを連打すると、虫はこちらに向いてはいるもののその場で上下するだけになる。このときExitボタンをクリックすれば襲われずに回避可能。この状態で再び煙を焚くことができるが、そうすると普通に襲われてしまう。
--キックも同じような方法で連打が可能。足をくじいた効果音がしても連打をやめなければ、撃ち続けることが出来る。
---これをすることで確実に昆虫を下に落とすことは可能だが、高確率で足をくじくことになる。
---キックで落下させることによってのみ低確率で出現する虫もいるため、全種捕獲を目指す上では事実上必須のテクニックである。

復元してよろしいですか?