ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~

【らいざのあとりえすりー おわりのれんきんじゅつしとひみつのかぎ】

ジャンル RPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(ガストブランド)
発売日 【Switch/PS5/PS4】2023年3月23日
【Win】2023年3月24日
定価 8,580円(税込み・全機種・全メディアで一律)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント ライザの冒険の集大成
オープンワールドで表現される複数の地方が舞台
アトリエシリーズ


概要

ライザのアトリエ1』『2』から続くライザを主人公とする秘密シリーズの続編であり完結編。『アトリエシリーズ』の通し番号としてはA24。
シリーズで2作品連続で主人公を務めたライザが三度主人公続投となり、結果的に秘密シリーズ=ライザシリーズとなった。

キャッチコピーは「最後の夏、最後の秘密──」


ストーリー

『ライザのアトリエ2』の物語から約1年後。
クーケン島で日々を過ごすライザたちのもとに、突如、近海に
謎の群島が出現したとの知らせが飛び込む。
“カーク群島”と名付けられたその島は、ライザたちの住む
クーケン島に悪影響をおよぼしていることが判明。
クーケン島を救うため、ライザたちはさっそく調査へと向かう――

カーク群島の調査を進めると謎の遺跡へたどり着く。
遺跡の奥でライザたちが見つけたのは見上げるほど巨大な謎の扉。
さらに調べようと扉へ近づくと、突如ライザの頭に「万象の大典」へと
導こうとする謎の声が聞こえる。

この扉の先に何があるのか、「万象の大典」とは何を意味するのか――
島を救う術を求めて、ライザたちは「鍵」と「錬金術の根源」をめぐる
壮大な冒険へと旅立つのだった。

(公式ウェブサイトより抜粋)


システム

秘密の鍵

  • 本作のタイトルにもなっているシステム。
    • 戦闘中や、フィールドで秘密の鍵を生成することが出来る。秘密の鍵は「無垢の鍵」又は「虚ろの鍵」をベースとして作成することができる。入手方法やベースとして用いる鍵の種類によってレア度や効果が異なってくるが、効果はある程度ランダムで決定される。
      • 虚ろの鍵はアイテムとして所有しているわけではなく、冒険の度に5回まで使える機能となっており、拠点に戻る度に使用回数が回復する。つまり、拠点に戻りさえすれば何度でも使えるが、生成できる鍵の品質は無垢の鍵より低い。
      • 一方の無垢の鍵は調合によって入手することができる消耗品であり、虚ろの鍵と比べると強力な鍵を生成できる。
      • どちらの鍵を使った場合であっても、秘密の鍵の生成に失敗した際には使用回数(無垢の鍵の場合はアイテムそのもの)は消費しない。
    • フィールドでは、ランドマークとなるポイントでランドマークパワーが100%となっている時のみ鍵が生成出来る。ランドマークで鍵を生成するとランドマークパワーが0%になり、時間経過で回復するまで再度の鍵生成は出来ない。
      • フィールドでの鍵生成は失敗することはないが、戦闘で入手できる鍵と比べると性能は低め。
    • 戦闘では、タクティクスレベルが2以上である時に鍵の生成を試みることができる。
      • 戦闘で鍵生成を行う際には敵1体を選択し、鍵の生成を試みる。なお、条件として「対象となる敵のHPが80%以下である」ことと「その敵からの鍵の生成に成功していない」ことの両方を満たす必要がある。
      • 成功率は敵の状態や生成に用いる鍵の性能によって変化する。鍵の生成に挑戦した時点で成否にかかわらずタクティクスレベルを1消費し、自身の行動は終了となるが、上述の通り、無垢の鍵や虚ろの鍵の使用回数については生成に失敗した場合は消費(減少)せず、生成に成功するまでは自身の行動順が来たタイミングで何度でも鍵の生成に挑戦できる。
      • 強敵であればより質の高い鍵が生成されやすい。レア度はコモン、アンコモン、レア、スーパーレアの4段階。
  • 秘密の鍵は以下の4つの効果のうち少なくとも1種類以上を持つ(レア度が高ければ効果の種類も増える)。また、鍵によって使用回数が決められており、鍵を利用するたびに使用回数を1回ずつ消費していき、使用回数が0になった時点で鍵は消滅する。
    • シンボル効果
      • 装備品としてキャラに装備させる。ステータスが上がるほか、ロールに影響を与えることもある。
      • 装備品として利用するため、使用回数の消費はない。
    • バースト効果
      • 戦闘中にキーチェンジを行うことで特定の効果を与える。キーチェンジの詳細は後述。
    • アドベンチャー効果
      • フィールドにある結界や、アイテムがもらえるポイントであるサプライポートを開くことができる。もっとも「鍵」らしい使い方といえる。
      • サプライポートについては鍵のレア度やアドベンチャー効果によって入手できるアイテムが異なってくる。
        最高レア度のスーパーレアであれば装備や種などのレシピも多数出てくるが、低レアの鍵だとレシピ入手はまず望めない。
      • 一方で、フィールドの結界は開いた際のアイテム入手がなく、アドベンチャー効果を持っており、かつ属性が一致さえしていればどの鍵を使ったとしても効果に違いがないので、低レアの鍵で開ける方がお得。
      • フィールドにある結界や、サプライポート(フィールド上に登場するアイテムがもらえるポイント)を開くことが出来る。もっとも鍵らしい使い方である。
      • サプライポートについてはレアリティやアドベンチャー効果によって入手出来るアイテムに影響がある。最高位スーパーレアの鍵ならば装備・種などのレシピも多数出てくるが、コモン・アンコモンの鍵でレシピ入手はまず望めない。一方、結界については属性さえ一致していればアドベンチャー効果を持つどの鍵でも開くことができ、その効果に違いはない。
    • シンセサイズ効果
      • 調合中に利用することで、投入回数を増やしたり、属性値を加算したりと様々な効果を発揮出来る。詳細は後述。
  • 鍵は冒険中は鍵束にセットする形で最大10本まで持ち歩くことができ、新たな鍵を入手した際に鍵束に空きがあれば自動的にセットされ、既に10本セットされている場合は、自動的にコンテナに送られる。
    • 直接装備する「シンボル効果」や調合中に利用する「シンセサイズ効果」を利用する際は鍵束へのセットは不要だが、冒険中に使用する必要がある「バースト効果」「アドベンチャー効果」は鍵束にセットした鍵でなければ選べない点に注意が必要。

調合システム

  • 基本的なシステムは『2』を踏襲しており、「ベースマテリアル環は全て素材を投入しなければ調合ができない」、「品質は平均値ではなく、投入した素材の品質によって加算される方式」となっている。
  • 基本的に『2』のシステムと同様、ベースマテリアル環には必ず素材を投入する必要があり、品質は投入した素材の平均値ではなく、投入した素材の品質を元に加算される。
    • 『2』のエッセンス、エボルブリンク(EV)については廃止された。
  • 超特性枠
    • アイテムによっては、通常の特性とは別に超特性を持っていることがある。調合の際に、超特性枠を解放すると、素材の超特性を引き継ぐことができる。
      • 超特性枠と特性枠は全くの別物であり、かつ解放できたとしても1つのみであり、複数の超特性を引き継ぐことはできない。
        また、超特性は元々超特性を持っていた素材からしか引き継ぐことができず、超特性を引き継いだ調合品を素材としても超特性を付与することはできない。
    • アイテムによって通常の特性の他に超特性と呼ばれるものを持っていることがあり、調合時に超特性枠を解放すると、素材の超特性を引き継ぐことが可能となる。
      • 超特性枠は通常の特性枠とは別である、かつ1つしか解放できないため、複数の超特性を引き継がせることはできない。また、超特性は元々超特性を持っていた素材からしか引き継ぐことができず、調合によって超特性を引き継いだアイテムを素材としたとしても超特性は引き継げない。
    • 超特性は、ランドマーク周辺やランダムイベントで出現する輝くシンボルや高レベルの種の栽培によって入手できるアイテムに付いている。
  • リンクコール
    • 全てのベースマテリアル環に材料を投入した状態で実行することができ、ベースマテリアル環に投入する素材の種類や属性を変更し、その内容によってマテリアル環も変更される。
    • マテリアル環が変更されることで、本来の調合で付与できない効果や属性を与えることができる。
      • 1回の調合でリンクコールは1回のみ可能。
    • リンクコールをした素材を投入できるようになるため、付与したい超特性がある素材を使用することで超特性の引継ぎがしやすくなる。
      • もちろん、マテリアル環が変更されることによって、本来付与できた効果が付与できなくなるデメリットもある。ただ、「品質増加」などあまり必要ない効果もあるため、こういったものを潰すとよいだろう。
  • 秘密の鍵の利用
    • シンセサイズ効果のある秘密の鍵を利用することで調合時にメリットを受けることが出来る。
      • 調合レシピ毎にレシピの発動条件が決められており、レシピの発動条件を満たすことで一定の効果が得られる。
      • レシピは3段階のレベルが設定されており、下位の条件を満たした上で、上位のレシピの発動条件も満たすことで最大3つの効果を発動させることも可能*1
      • レシピ毎の効果とは別に、鍵の持つシンセサイズ効果については鍵を利用することで無条件で発動可能。
    • 秘密の鍵は1回の調合で1回のみ利用可能。ただし、レシピ進化した場合は再使用可能。

バトルシステム

  • バトルシステムも基本的にはほぼ2を踏襲している。
    • 戦闘参加人数は相変わらず3人だが、後衛が2人となった5人編成となり、後衛のキャラとは戦闘中に入れ替えが可能。
  • 自身の行動時に行える行動として「キーチェンジ」と「キーメイク」の二種類が追加された。どちらも利用する際にタクティクスレベルを1消費するため、最低限タクティクスレベルが2必要。
    • キーチェンジは持っている鍵を利用することで、一定時間キャラを強化することができる。
      • キーチェンジによって強化される効果は秘密の鍵のバースト効果によって決まるが、バースト効果とは別に「AP上限が99になる」「通常攻撃の攻撃回数が無制限になる」「ブレイクゲージが減らない」といった恩恵を受けられる。
      • 効果時間は短いがそれでもパワーアップの効果はかなり高い。なお、最大99まで溜まったAPはバースト終了後時間経過で減っていくので、さっさと使ってしまうのが吉。
    • キーメイクは先述のとおり、無垢の鍵や虚ろの鍵を用いて秘密の鍵の生成を試みる。
  • 戦闘中に仲間キャラが特定の行動をするよう依頼してくることがある(アクションオーダー)が、アクションオーダーを達成することでオーダーカウントが溜まっていき、一定のオーダーカウントを貯めることでオーダードライブを発動することが出来る。

オープンワールド

  • 本作ではフィールドがオープンワールドとなり、地方を跨がない限りはシームレスで移動することが可能となった。DLCで追加された「アスラ・アム・バード辺境地域」のみ例外的にオープンワールドではない。
    • 『1』の舞台でもあったクーケン島についてもオープンワールドとなっており、それぞれのフィールドの繋がりがよく分かるようになっている。
    • フィールド内にはランドマークとなるポイントがあり、訪れることでファストトラベルできる地点も増えていく。
      • その他、移動を快適にするジップラインの解放や、地域毎に置かれている宝箱などの探索要素もある。
    • なお、移動アクションとして、狭い穴を通り抜けるスライディングや、多少の段差を上る崖登りが追加されている。

その他システム

  • スキルツリー
    • 基本的には『2』と同様でSPを消費することでレシピ等を修得することが出来る。調合時のほか、ときおり発生するランダムクエストの報酬としても入手可能。
  • ロミィの店
    • ロミィの要求するアイテムを一定数売却することで特定のアイテムが販売されるシステム。
      • 『2』の他のショップの流通にすら影響を与えるようなシステムではなく、あくまでロミィの店で特定のアイテムが買えるようになる程度の解放要素に留まっている。売却したアイテムと同じアイテムが買えるようになることが多いが、稀に関連アイテムが買えるようになることもある。
      • ゴールドコインの両替も前作同様ロミィの店で行う。
    • なお、ロミィは終盤に訪れるとある地方を除けば各地方に登場し、それぞれで要求するアイテムや買えるアイテムが異なっている。
    • 本作では図鑑に登録されたアイテムや魔物にチェックを入れられる(チェック中の対象はフィールド上で確認できる)仕様が追加。その付け外しにより『2』に比べるとロミィへの納入備忘チェックも簡便になっている。
  • ランダムクエスト
    • フィールドを歩いているとたまにランダムでクエストが発生する。SPやアイテムが入手出来る他、たまにキャラのステータスが増えることもある。
      • 強敵を倒すクエストの場合、倒してから報告するまでが一連のクエストである点に注意が必要。遠方のモンスターを指定された場合、往復に掛かる時間も考慮する必要がある。
  • アトリエの建設
    • 探索の拠点として簡易的なアトリエを各地に建設する事になり、最終的に1エリアに1つずつアトリエが出来る。
    • 建設するアトリエはそのエリアの宝箱が地図に表示されるようになる等探索効果中心の「調査基地」、畑が併設され採取物が良くなる「農園」、SP獲得増加や超特性素材を手に入れやすくなる「研究所」の3種類から選択可能。
      • 建てた後は増築で効果を増やす事が可能。再度素材が必要ではあるが、別の建物に建て直しも可能。
    • なお、最初のエリアはカーク群島に建設するアトリエと隠れ家のアトリエで2つのアトリエができることになるが、隠れ家のアトリエは増築等は不可能である。

評価点

シナリオ面

  • 秘密シリーズ(ライザシリーズ)を締め括るストーリー
    • 『1』以降のクーケン島の状況であったり、『2』以降の各キャラクターがどうなったかなどが描かれると共に、錬金術士の過去も掘り下げた内容となっており、秘密シリーズを締め括るのに相応しいストーリーと言える。
    • 前作ではライザ達が大人になりきれていない描写が目立ったのに対し、本作では将来を見据えた描写が増え、いわゆる大人の階段を上っていることがよく分かる描写されている。
      • 主人公であるライザについても、将来自分が錬金術士としてどうあるべきかを考え答えを出していく。変わらぬ日常に飽き飽きしていて始まったライザの決断こそが長かった冒険の終わりといえよう。
      • 逆に新登場のキャラ(及び『2』で登場したパトリツィア)はカラを除き、ライザ達より年少であり、ライザ達からすれば自分達の過去、プレイヤーからすれば旧作のライザ達を重ねながら見守るストーリー展開となっている。
    • 秘密シリーズの締め括りということで、この世界における錬金術の成り立ちやフィルフサの問題等、『1』や『2』で伏線が張られていた物はほぼ回収されている。
      • 細かい点では回収しきれていない点もあるが、シリーズ最終作として概ね綺麗に話が終わっている。
  • アンペルとリラがパーティメンバーに復帰し、ボオスも新たに加入
    • 『2』で不参加が不満点として上げられていたメンバーがパーティメンバーとなった。
      • 特にボオスは『1』から登場しており、『2』の時点で仲間にならないことを残念がる声もあったが「次の冒険ではライザ達と一緒に行きたい」と言っていたとおり堂々の初期メンバー選出となった。島のまとめ役の後継者としての立場や冒険者としては出遅れた立場としての会話が多く、またライザ達をしっかり戒める役目も負っている。

システム面

  • 大幅に広がった探索範囲
    • オープンワールドになったこともそうだが、本作ではクーケン島及びカーク群島の他に、クレリア地方、ネメド地方、オーリムと4つの地方が舞台となっており、実際に探索出来る範囲はかなり広い。
    • クーケン島については『1』で行けたエリアの大半は移動可能であり、1から追加されたエリアも存在するため、単純に『1』と比較してもかなり広大になっている。
    • 各地方もエリア毎に様々な特色があることから探索する楽しみがある。
      • ストーリーで訪れる必要がないエリアにもランドマークが用意されている。
  • 膨大なサブイベント
    • フィールド上に発生がマーキングされる形のイベントだけでもアトリエシリーズ史上最多と言って過言でない量を誇るのだが、それだけに留まらずアトリエ・隠れ家に入った際などに発生する会話イベントも多数存在する。
    • 全地域を頻繁に往来し、くまなく歩くことになるイベント配置が特徴。新たな仲間が入った、メインシナリオが進展した、といったトリガーでゲーム前半の地域にもイベントが頻繁に発生していく。
  • 調合や戦闘は『2』をベースとした順当進化
    • 不思議の鍵が色々なところで利用出来るようになっているものの、おおよそは『2』ベース。
      • あまり変わり映えないともいえるが、元々システムとしての評価は高かったこともあり大きな問題はないといえる。
    • 戦闘ではキャラ同士の掛け合い(撃破時やブレイク時など)が追加されていることからパーティで戦闘している雰囲気が強くなっている。パターンが多くないため同じ会話を聞くことも多いのが残念ではあるが雰囲気作りとしては好評。
      • なお、フィールドでもキャラ同士で掛け合いの会話がたまに発生することもある。
  • 畑の位置の改善
    • 前作で畑の場所が遠く種撒きと収穫が面倒だったが、各地のアトリエの敷地内になった為、行くのがかなり楽になった。

賛否両論点

シナリオ・演出面

  • 露骨なエロ描写は抑えめになった
    • 前作では露骨なまでのエロ描写が賛否両論となっていた。本作でもライザの肉感のある見た目を活かしたと思われる描写はあるが露骨な描写は控えめとなっている。
      • 戦闘勝利時のアクションを始めとして『1』同様にエネルギッシュな印象のモーションが増えている。
      • なお、泳ぎの際の平泳ぎについては廃止されたため、前作と異なり泳いでいる最中に股を大きく拡げる場面はなくなった。
    • ただし、皆が気になっていた(?)太もものムチムチ感については前作よりも更に増したといえる。「流石に太すぎる」という意見もあるが、「太ももは太いからいい」という意見まで両極端である。
  • 初期から行ける範囲がかなり広範囲
    • 『1』の舞台であるクーケン島及びその周辺地域のほぼ全域が最初期から行けるようになっている。基本的にイベントも起きないため、行くかどうかは任意であるものの、行こうとするとストーリーそっちのけでかなりの調査時間を取られることになる。
      • 初期イベントで訪れるカーク群島も広大であるため、自由に動けるようになった時点で移動できるエリアがあまりにも多すぎるため困惑した声も聞かれる。
    • もっとも、クーケン島及びその周辺地域については探索したとしてもレアな素材が採れるわけではなく入手できる宝箱もほとんどが普通に採取できる素材ばかりである。やり込み要素・探索の一環というよりアトリエの調査基地の意義作りなのだと思われるが、労力とリターンが釣り合っておらずがっかりしたプレイヤーも多いだろう。
      • カーク群島内にも100個以上の宝箱があるが、本作の宝箱のほとんどが通常採取できるアイテムなので、あまり宝箱に旨みを感じられなくなっている。

システム面

  • スキルツリーがかなり肥大化した
    • これにより前作のように早々にSPの使い道がなくなるといった事は起こらなくなり、SPを稼ぐ行為もしっかりと意味を持つようになった。
    • 一方で何が解禁されるのかは前段階を解禁しないとほぼ分からないのは前作そのままであり、ツリーが肥大化した事で中盤には覚えた方が良いスキルを終盤まで覚えられないままといった事態も起きるようになってしまった。
      • 序盤の段階では解禁優先度が低い(高品質素材を集めづらく上限に行きづらい)品質上限を解禁した先に早めに解禁したいレシピがあったりする為、すぐに使いたいスキルを優先していたらいつまで経っても中盤辺りで解禁したい調合が出来ず、サブクエスト進行が止まる等の事態にも陥りやすい。
  • 相変わらず低い難易度
    • 『2』でも言われていたが、戦闘の難易度は低い。
      • レベルアップ自体が早いので、シリーズ経験者で調合をしっかりと行って装備品やアイテムを用意すると高難易度であっても楽に突破出来る。
        先述の通りキーチェンジによるパワーアップ要素があるものの、装備品やアイテムさえ用意すればはっきり言って不要である。
      • 近年の作品と比べてもかなり早い内から、「++のレベル99」などの強力な特性を調合して各種アイテムに移植し回せるのも一因。また、SPさえ貯めればスキルツリーを基本無制限に解放できるので、「シナリオを進めなければ強力なアイテムが作れない」というシリーズお約束の縛りもゆるい部類。
    • シリーズ未経験者が調合をあまり行わずに進めてしまい戦闘で詰んでしまうということを避けるためなのかもしれないが、既にライザシリーズも3作目であるのにシリーズ未経験者を意識しすぎた調整をしてしまったと受け止められても仕方ない。
      • なお、高難易度についてもシリーズ経験者であればそれ程難しくない。VERY HARDでプレイしてもそれ程歯ごたえがなかったという声も聞かれるほど。
    • 一面的には、膨大なイベントに要するプレイ時間との按配という斟酌もできる。イベント・クエストを網羅しようとすると本作は細かい作業と歩き回ることに相当の時間を費やすので、更に戦闘の厳しさが足枷になっての停滞を嫌ったのかもしれない。

問題点

シナリオ面

  • 過去作パーティメンバーのセリとクリフォードは登場しない。
    • 二人ともその後どうしているのかという話が少し語られるため完全に忘れ去られているというわけではないのが、ライザの冒険の集大成ということを考えると出てこないのは残念である。
      • 本作ではオーレン族についても深掘りされているだけにオーレン族であるセリが登場しないのはかなり目立ってしまっている。
      • トレジャーハンターであり風来坊のクリフォードが登場しないのは不自然ではないとはいえ、様々な地方を冒険するからこそ登場してほしかったというのも本音。
+ ストーリーネタバレ注意
  • 本作では異界の集落を訪れ、『1』のキロとも再会する流れになるため、道中のリラが語るとおり「セリは異界に帰った」のであれば登場しても全くおかしくない話である。
    • 集大成として『2』の後にセリがどのような旅路を辿ったのか、というのはストーリーとしても気になる話だが。
  • 『2』で別れたフィーについては物語の終盤でまさかの再会を果たすことになる。こうなってくると、フィーを相棒にしようと執着していたクリフォードが登場しないのはやはり惜しまれる。
  • フィールドでの掛け合い台詞のパターンの問題
    • フィールド探索時には探索地域やパーティメンバー次第で探索会話を聞く事が出来る。そう足繫く通う必要のないエリアにも台詞が仕込まれており、台詞の総量はかなりのものがある。
      • なのだが、一地域でのパターンが多くない為、同じ場所で探索時間が長くなると同じ会話を聞くことが増える。初期から行けるエリアには何度も行く事になる為、行くたびに同じセリフを聞かされやすい。
      • イルカを初めて見て驚くような台詞など、何度も聞くのは不自然なセリフもある。
  • 敵が逃げづらくなった事とシナリオ演出の相性の悪さ
    • 前作ではライザ達のレベルが高いと雑魚エネミーが逃げるように移動していたが、本作ではかなりレベルを上げない限りエネミーはライザ達に向かってくる。
      • どうやら本作ではこちらのレベルによって敵のレベルもある程度まで高くなるようであり、カーク群島など初期のマップであっても最終的に敵のレベルは70くらいまで上がり、結果としてレベル差が無いためライザ達に向かってくることになる。
    • 前作同様霊獣騎乗時には敵が逃げるものの、普通にプレイしている上では通常移動中は敵に追いかけられることを避けるのは難しい。
      • 結果としてイベントムービーが終了した際に周囲のエネミーがワラワラ集まってくるという事態が起きやすい。
      • イベント終了後にはイベントの続きとなるようなフィールド会話が発生する場合もあるが、即座に騎乗コマンドを使わないとおちおち会話を聞いてられない。一度きりのイベント直後くらいは余裕のある按配が欲しかったところ。

システム面

  • 鍵に関するシステムが分かりづらい
    • 本作の新要素であり目玉要素でもある鍵システムであるが、なかなかに複雑でありしっかりと活用するのは難しい。
    • そもそも、鍵一つに「装備して使うシンボル効果」「マップで使用するアドベンチャー効果」「戦闘中に使用するキーチェンジ効果」「錬金時に使うシンセサイズ効果」と様々な効果が設定されており、どの効果目当てに使っていいのかが分かりづらい。
      • 様々な用途に分かれてしまうこともあり、システムを理解していないと、「レア度が高いのに何故か鍵が使えない」、「レア度だけ見てフィールドでの使い道が乏しい鍵ばかり鍵束にセットしてしまう」といった事態を誘因してしまうこともある。
      • このような複雑なシステムであるのに対し、鍵は消耗品であるため、最初の内は「使っても良いのか?」と使用を躊躇いがち。
    • 鍵の入手はアトリエ外になるが、アトリエ外では鍵の所持上限数が少ないのも最初ややこしく感じる要素。
      • 全てのカギの中から装備する物を選べるのはアトリエ内のみで、外では装備していった物と外で入手した物しか使えない。その為、アトリエでアドベンチャー効果のある鍵を装備しておかないと封印された場所を開けられず、探索範囲を広げるのにも難が出てしまう。
    • 戦闘で鍵を使う「キーチェンジ」については、戦闘で出来ることや情報量が多すぎる(スキルチェーン、キャラ変更、指揮切り替え、シフトスキルなど)こともありそこまで手が回らないことになりがち。
      • しかし、ゲームに慣れてくると今度はキーチェンジをしなくても戦闘を楽に進めることが出来るため、キーメイクは行ったが、キーチェンジはほぼ利用しなかった、という話も聞かれた。
    • もちろん、鍵の生成が可能になった際にチュートリアルで説明はしてくれるのだが、一気に説明されたとしても全て理解するのは厳しい話だろう。
      • 加えてシリーズ作品とは言え、初期は覚えなければならないことも多く、ゲーム進行上鍵を使わずともあまり困らないため、よく分からないままゲームを進め、結局ほとんど鍵を使わないという人もいた。
    • 実際のところ、本システムをしっかり理解した上で使いこなせれば、高難易度の戦闘を楽に進めたり、高品質のアイテムを入手したりするのが容易になるため、最大の難点は鍵のシステムが複雑過ぎたということだろう。
      • 「鍵」という解錠する用途を連想しやすい形態であることも、アドベンチャー効果以外の効果を思い起こしづらい一因かもしれない。
  • 鍵の入手にはどうしても運が絡む
    • 鍵の効果はランダム要素が強いため、良い効果の鍵を入手しようとするとひたすらキーメイクを繰り返す必要がある。いわゆる鍵ガチャ。
      • 高性能の鍵を入手できないと進行に支障が出たり、戦闘で苦戦したりするといったことは一切なく、理想の鍵を求めるというのはあくまでやり込みの一種であるが、素材さえ揃えれば確実に狙ったものが手に入る調合と異なり運要素である鍵生成については否定意見も多い。
      • なお、鍵はアイテム複製が出来ないので強力な鍵が複数欲しければその数だけ入手しなければならない。
  • フィールド移動の不便な点
    • シリーズ随一の高低差から成る複雑なフィールドながら、視界の上下可動範囲がかなり狭い。首を動かさず、眼だけ動かして上下を見ようとしている感覚。
      • 特に、宝箱が高所低所にも広く分布しているカーク群島、クレリア地方、「町」が樹下樹上に構成された異世界で不便さが際立つ。
    • 無数に存在する地形の高低差に対して「この段差なら登れる(登れない)」という視認性もあまり良くない。怪しい場所でひたすらジャンプしてみる事になる。逆に、せいぜい大股で越えられる幅と足首の高さだろうにジャンプできず、大きく迂回せざるを得ない謎の障害物もある。
  • ファストトラベル(FT)の不便な点
    • イベント発生個所はあえてずらしたのか、オーリムではイベント発生地点とFT可能な点が離れている事が多く、一番近いFT地点からでも結構行くのが面倒な場所でイベントが発生する事が多い。
    • 他にも、レアな素材が取れる場所にはFT地点がなく、かなり大回りしないといけないようになっている。レア素材採取場所としてわざとそうしたものと思われるが、それでもやはり何度も行くのはかなり面倒。
    • アトリエに直接帰るショートカットボタンがあり、クーケン島周辺では初期は隠れ家のアトリエが対象だが、カーク群島にアトリエを作った後はそちらが帰還対象となる。調合等の目的で帰還する分にはこれで問題ないのだが、隠れ家のアトリエがイベント発生ポイントの時もあり、クーケン島周辺が特に広いエリアという事もあって、隠れ家のアトリエに行きたい時だけは少々不便に感じてしまう。終盤可能になるアトリエ間の移動においても対象外。
  • 戦闘の状況確認が困難
    • 戦闘はリアルタイムで進行するが、画面内の情報が多すぎるせいで逆に現況把握が難しくなっている。
      • この問題そのものは旧作でも同様だが、本作では1、2に存在したタイムラインがなくなり、モンスターアイコンのWaitゲージを見ないとモンスターがいつ行動するか分からなくなっている。そのため、いつ攻撃が飛んでくるタイミングを把握するのが難しくなった。
  • コンテナの相対的な容量が少ない
    • コンテナの容量は10,000と、前作の倍に増えているのだが、前作のロミィの店やクエスト等一気にアイテムを使う要素が減っていることもあり、気付くといっぱいになってしまいがち。
  • 一部のサブクエストの説明不足
    • 代表的なものとして主に2つ、あげられやすい。1つは3名のモブ住人(にしか見えない)からの依頼で、超特性「ソードマスター」にまつわる「剣聖のシンボルの付いた特定の武器を渡す」というもの。そのシステムについて説明が一切なく、依頼者達も一言も触れないため、普通にプレイしても依頼内容自体が分からないだろう。
    • もう1つはレントのキャラクエスト「レントとリラを編成しワイバーン種族を2体倒す」。序盤からミニワイバーン、メガワイバーンなどといかにもな種族の敵が出現し、図鑑を見てもそれらの一党しか該当種族がないように思えるが、それらは対象外。実際は後半に出現のボス級エネミー3種のみ対象で、確たる情報の明示は無い。
      • 対象エネミーは分かっても、そのボス戦の際に条件を満たさなければ達成不可、もしくは特殊な「鍵」の使用が必須と解釈したプレイヤーも少なくなかった模様。討伐後なら、各アトリエ前に常駐するラムローストでコピーすれば進捗するのだが、そうしたフォローの解説もない。
    • 他にも、サプライポートを高位の鍵で開ける以外にレシピが入手できないアイテムを要求されるようなクエストもある。(しかもレシピを入手していない場合でも、ライザ自身が「あのアイテムなら」と唐突に言い出す。)これもノーヒントに等しく、アイテムを変えるなり、クエストのヒントとしてサプライポートを記述するなど、簡単な手立てがあったと思われる。
  • DLC追加素材入手場所が分かりづらい
    • 前作では追加エリアで追加素材が手に入る形を取っていたのでわかりやすかったが、今回は素材とレシピのみのDLCが存在し、既存エリアの各所で追加素材が入手できる形になっている。
      • しかもかなり限定された場所でしか入手できない素材もある為、ただでさえ広大な探索範囲を隅々まで調べ直さないと行けず、素材入手はかなり面倒。
  • 快適性の低下
    • 2ではSSDインストール前提であるが読み込みが超高速で、プレイ中に「Loading..」画面を見ることはほぼ無かったが、本作では1並みの頻度で「Processing..」画面を見ることになる。
    • SSDであれば1秒程度の表示ではあるが、FTの度に挟まれるのはそれなりに気になる。オープンワールド化したためしょうがない部分でもあるが、そこは処理を頑張って欲しかった処。
    • また、グラフィックのデフォルトが既存シリーズに比べて「被写界深度浅すぎ」「モーションブラー効き過ぎ」「草生えすぎ」となっている。静止画では綺麗に見えるが、移動させるとデフォルト状態では見難さを感じるプレイヤーが多いと思われる。

総評

3作続くライザシリーズの完結編であり、ライザ達の冒険の最後をきっちりと書き上げた一作といえる。
戦闘や調合については『2』をベースとしており、『1』から『2』程の大きな変更点はないが、不満点もそれ程ないといったところだろう。
メインシナリオについては『2』については不満も多かったものの、ここまで広がったライザ達の冒険譚は後腐れなく完結に導かれており、秘密シリーズにおける錬金術士の歴史もしっかりと触れられている。
気になる点がないというわけではないものの、人気シリーズである『ライザのアトリエ』シリーズの完結編としての面目を保った良作といえよう。


余談

  • 本作の情報は2022年9月13日のNintendo Directで初めて発表された。
    • 当初は2023年2月22日(Steam版は翌23日)発売の予定であったが、ブラッシュアップのため発売がほぼ1ヶ月延期され翌月23日(Steam版は翌24日)となった。
  • 2023年4月では本作が30万本売れ、秘密シリーズ(ライザシリーズ)最速ペースであることがアナウンスされた。
    • 2023年6月27日には秘密シリーズの売上が200万本を突破したことがアナウンスされた。
      本作発売時点では秘密シリーズの売上が160万本を突破していたことがアナウンスされていたため、3~40万本程度売れたということだろう。
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  • アトリエ
  • コーエーテクモゲームス

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最終更新:2024年03月30日 12:19

*1 例として、Lv.1が「レアリティ・コモン」、Lv.2が「シンボル・羽根」、Lv.3が「レアリティ・レア」の場合に「レアリティ・コモン」で「シンボル・羽根」の鍵を利用した場合はLv.2の効果まで発動するが、「レアリティ・レア」で「シンボル・星」の鍵を利用した場合は、Lv.3の条件である「レアリティ・レア」の効果を持っているが、Lv.2の条件である「シンボル・羽根」の効果を持たないため、Lv.1の効果しか発動しない。