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ローグギャラクシー - (2023/05/29 (月) 16:52:16) の編集履歴(バックアップ)


注意:本稿では、『ローグギャラクシー』(クソゲー)と『ローグギャラクシー ディレクターズカット』(判定なし)の2本を紹介する。



ローグギャラクシー

【ろーぐぎゃらくしー】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 レベルファイブ
発売日 2005年12月8日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:全年齢対象
判定 クソゲー
ポイント 2005年クソゲーオブザイヤー大賞
野心的で評価点もあるが、他が追随していない
日野晃博、およびレベルファイブの黒歴史
2つの塔で苦労も2倍だな
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧

概要

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』で名声を手にした「レベルファイブ」(以下「LV5」)の社運を賭けた渾身の1作。
内容は広大な宇宙を舞台としたスペース・オペラもののRPGで、バトルはアクションゲームのようになっている。
最大の特徴としては、ロード時間を感じさせないシームレスな内容という点がある。

メーカーにとっても相当の自信作だったらしく、2005年の年の瀬に販売された本ゲームは、発売前から大々的にプロモーションしていたことに加えて『ドラクエVIII』の評価の高さも手伝って、前評判もかなりよく、大きな期待がかけられていた。

しかし、過剰なまでの強気の宣伝姿勢とは裏腹なゲーム内容の質の悪さにより、悪い意味で話題となってしまった。


問題点

システム面

  • 異常なまでに広大なダンジョン内部。
    • しかし実態は、同じ構造のフロアをいくつか繋げただけのいわゆる「コピペダンジョン」である。
    • その傾向は、3つ目のダンジョン「ローゼンカスター刑務所」 (通称:監獄) で顕著になり、中盤のダンジョン「グラディウスタワー」で最大となる。
      このグラディウスタワーは、変化に乏しい広大な10階建てダンジョン(1Fごとに段差があるので実質20階)を合計2本、計40階も回らされることで有名になった。その推定所要時間、 約8時間 。しかも、フロアごとに次の階層へ進むためのゲートキーを宝箱から探し出さなければならない。
    • ちなみに、ネット上ではグラディウスタワーばかり取り上げられがちだが、実は他のダンジョンも負けず劣らず長い。むしろ、タワーは敵がそれほど強くならないので、攻略自体は比較的容易な方に入る。ローゼンカスター刑務所は雑魚敵がそれまでのダンジョンと比べて格段に強力になる上、攻略中は脱出不可能。ラストダンジョンはタワー並の長さで敵が強い。
    • マップ表示が雑で、今居るフロアの全体像しか映されず、階層表示やマップ切り替えなどといった有情なものも無い。にもかかわらず「開閉可能な扉のマークが壁の向こうからでも透視できる」という仕様もあり、更なる混乱を生む。
      • これらシステムは同社作品『ダーククロニクル』を下敷きにしているが、特にゲームテンポを下げる理由になっていたゲートキーについては改悪ともいえるほど劣化している。
      • そして、これらのダンジョンのせいで多くのプレイヤーがギブアップしてゲームを辞めてしまう事になってしまった。
  • 敵とのエンカウント率が高い。
    • そのため、いつまで経っても目的地に到着しない。
    • 進行方向とは反対側に敵が現れた場合は、来た道を引き返すことになり、結果、元居た場所からほとんど動けないうちに再エンカウントすることもしばしば。
    • エンカウント率を下げるアイテムも存在するが、後述の「ファクトリー」で作成しなければならない上に購入数制限あり。しかも効果時間が短い。
  • このゲームでは、別の街へ行くのに惑星間を宇宙船に乗って移動する必要があるが、その待ち時間が長い( 約1分 )。ちなみにこれはゲーム側が 意図的にやっている と攻略本インタビューで語られている*1。逆に言うと、街1つ移動するのに1分のロードが入るようなもの。
    • 移動中に変化するのは画面左下のゲージのみ。窓の外の景色が動く、会話を楽しむなどの暇潰しは一切なく、完全に待つだけの無意味な時間。
    • 待たされたあげく、出発と到着で2回もムービーを流される。これ以外にも、スキル発動など何度も利用する物にも「スキップ自体に時間のかかるムービー」が付いてくる。
  • UI・操作性に難あり。
    • 「メニュー」→「仲間」と開かなければ、移動中にHPを確認できない。
    • 上限いっぱいのアイテムを入手すると、メインメニューが勝手に開いて余分の廃棄・整頓を要求し、それが終わらないとメニューを閉じられない。快適なシームレス移動を望むなら、あらかじめこまめにアイテムを処分しておくしかない。
    • すべての攻撃を無効化する「バリアを張っている敵」が頻繁に現れ、倒すためには主人公が特殊な武器で攻撃する必要がある。だが、そういったゲームによく実装されている「ワンボタンで装備変更」がなく、いちいち「戦闘メニュー」→「通常メニュー」→「装備変更画面」と開かなければならない。
    • 等々、全般的にインターフェイスが甘く(特に装備・合成関連)、プレイヤーに一手間とらせる仕様はストレスが溜まる。

戦闘面

  • 戦闘は、ランダムエンカウント方式のリアルタイムアクションだが……。
    • 基本的に ボタン連打 。ボス戦も ボタン連打
    • 8名のキャラクターから3名を選んでパーティを組む形式だが、誰を選んでもやる事は「通常攻撃によるゴリ押し」のみ。戦略性も爽快感もなく、すぐ飽きる。
    • 仲間に出せる作戦は、「それぞれ戦え」「同じ敵をねらえ」「全力で戦え」「手を出すな」の 4種類 しかなく、「いのちだいじに」や「後方支援」といった高度な戦術は使えないため、結局、皆で寄ってたかってタコ殴り。
    • 魔法や必殺技に相当する「アビリティ」も存在するが、その殆どは「全体攻撃」「通常攻撃を強化」のどちらか。しかも攻撃アビリティは、敵のタイプによっては無効化されてしまうため、結局はタコ殴りに終始してしまう。
  • イベント戦闘でも死ぬとゲームオーバー。
    • 特に冒頭~宇宙に出る間でのイベント戦闘でも容赦ない戦闘な上に死ぬとゲームオーバーとなり、タイトルからやり直しとなる。
      • 上記冒頭以外でも負け戦闘でない限り、唐突なイベント戦闘でもあっさり死んでタイトルに戻るなんて事もしょっちゅう発生する。
  • 不安定なゲームバランス。
    • 前述の通りローゼンカスター刑務所から難易度が上昇するため、レベルをしっかり上げ、武器合成システムを把握していないと非常に辛いゲームバランスになっている。
      • 攻略サイトなどでは、監獄へ行く前にレベル上げを十分に行うよう勧告していることが多い。ただし、序盤はダンジョンごとにパーティ固定のため、ダンジョンごとに主人公以外はレベルを上げ直す必要が出る。
    • 全体的に敵の能力が高く、道中のテンポは悪い。10発・20発と叩き込まなければ敵を倒せないこともざら。
    • 加えて、敵が回避不能の強力な攻撃を平気で仕掛けてくる。しかも、こちらの防御力はかなり低く設定されており、可能な限りの手段(レベル上げ、特殊な装備品、ひらめきフロー)すべてを以てしても満足な数値は得られない。そのため、ダンジョンの長さと相まって、回復アイテムなどが足りなくなり詰むような場面も存在する。
      • 第一章からしていきなりHPの何割かを削る攻撃を多段ヒットで喰らわせてくる敵が当たり前のように出てくる。初めて主人公一人で戦う中ボスからしてこれであり、雑魚にすらそのような敵がいるので、早々にゲームオーバー画面を眺め、セーブの大切さを教え込まれる可能性が高い。
        尚、第一章は雑魚を倒しながら街を進む⇒ボス撃破⇒準備を整えて旅立つ。という流れなのだが、ボスを倒しても街中のエンカウントは無くならないので、旅立ちの準備をしている最中に殺される事も。
    • これらの不満点は、早め早めに武器合成して、 中盤までに最強武器を作ってしまう ことで解消される。つまり、「攻撃は最大の防御」。ただし、終盤は敵のインフレが進み、レベルが物を言うようになる。
    • ちなみに、ラスボス戦は驚異の10連戦である。もっとも、前述した監獄やグラディウスタワーで数多くの脱落者を出したため、たどり着いた人はかなり少ないためか話題になりにくい。
  • 武器の数・種類がとんでもなく多い(主人公の剣だけでも 109個 )。が、どれもこれも「攻撃力の上下」でしか表現されない。
    • ゲームバランスが合成前提で調整されている上、思わせぶりに出る「伝説の剣」のほとんどが合成品より弱く、現状の最強武器以外は例外なくコレクターズアイテムにしかならない。
  • 何の前触れもなく、仲間キャラクターが一人で戦わなければならない場面に出くわす。事前に武器やアビリティを鍛えておかないと、最悪の場合、詰むこともあるので要注意。
  • シームレス移動を活かし、操作キャラが戦闘エリア外に出ることで「逃げる」という画期的なシステム。
    • だが、戦闘中はモブ人物が表示されないので、重要情報を素通りしてしまう危険性がある(このゲームは街にも敵が出て、ダンジョンにも人がいる)。
    • エリア境界線での戦闘になると、攻撃しようとする度に逃げるかどうかの確認が出てきて大変うっとうしい。
    • たまに、敵が戦闘エリア外に出てしまうバグがある。その場合、逃げるか全体攻撃アビリティを使わない限り戦闘が終わらない。
  • ライバルキャラとの再三再四に渡る戦いがいろいろと酷い。
    + とにかく酷い。
  • ライバルキャラとの戦いはイベント戦闘なので、絶対に倒すことはできない。 逃げ回っていれば 、制限時間(約1分)が来て自動的に戦闘終了する。
    • もっとも、ほとんどのプレイヤーは、ダンジョン攻略用にキャラクターを強化しているため、まともに戦えば容易くフルボッコにできる。ただし、敵は不死身であり、どんなに切り刻んでも息の根を止めることができない。
    • ……とまぁ、ここまではよくある話なのだが、問題は、このライバルキャラにも他のボスと同様に HPゲージが存在し 、殴れば普通にダメージを与えられること(そのため、「時間経過」がクリア条件だと気付き難い)。正直、それなりに武器を鍛えてあれば、30秒で敵を瀕死寸前まで追い込むことができる。が、なぜか、 ゲージが残り5ミリぐらいになると急に減らなくなり 、時間が来るまでダメージ表示だけが虚しく積み上げられ、シニカルな笑いを生む。
      • こんな状態でも、基本は負けイベントなので「何て強いんだ。勝てない!」という流れで終わる。
    • 以上のような馬鹿げた戦闘が、物語の節々で 7回 も繰り返される。
      • 4回目の戦闘は、直前のイベントで 敵として戦ったばかりの裏切者 を操作して行わなければならない。
      • 5回目の戦闘は、戦闘中に特定の箇所へ移動しなければイベントが発生しない( ノーヒント )。それゆえ、一歩間違えば 永久にライバルキャラをポカスカ殴り続ける ことになる。参考 動画(英語版。武器未強化)
      • そして、6・7回目の戦闘でようやく決着が付くのだが……6回目の戦闘中に突然、少年漫画も真っ青の超展開で、主人公が「ぐぅおおおおおおお!!」と叫んで 覚醒 し、こっ恥ずかしいタイマン勝負が始まるので、いやはや何とも。

シナリオ・キャラクター面

  • シナリオが破綻している 。稚拙な物語展開と大量の矛盾点とタイムパラドックス。選ばれたヒーロー&ヒロインだから何をやってもいいというわけじゃないのだが……。
    • 特に、そのあっけないEDには唖然としたプレイヤーが続出した。
      • もっとも、ほとんどのプレイヤーは広大なダンジョンに歩き疲れて途中でこのゲームを辞めてしまい、見た人はそれほど多くないのでネタになりにくい。
    • ヘビーゲーマーとして知られる小説家の宮部みゆきは一部のキャラの思想をかなり辛らつな言葉で批判しており、話題になった。
      • 主に主人公とヒロインの母親がそれぞれ独善的な行動をしていること*2、それらの行動を批判をするキャラがいないこと、そしてヒロインの母親がきちんと事情を伝えておけば本編の大部分の手間が省けること*3などが主としてあげられている。(生まれたばかりの子供を唯一の希望として無差別に送ることが限界だったというのはわかるしお約束の展開だが、おつきのロボットがいたのだからしっかり育て相手くらい選ぶことはできたろう)
  • とにかくムービーが長い。プレイヤーの意向など関係なく、本来ならゲームとして語られるべきイベントまで全てムービーで流される。なのに、大事な事(ヒロインの役割など)は明らかに説明不足。
    • それだけだとよくある「ムービーゲー」なのだが、このゲームの場合は、極一部を除いて会話に 選択肢すらない 。プレイヤーは、ひたすらお馬鹿なキャラのお馬鹿な行動を生温かい視線で傍観することになる。
      • 一例。冒頭、主人公は「伝説のハンター」から手渡された剣によりそのハンターと間違われ、 銀河に名だたる宇宙海賊 (説明書より)にスカウトされるのだが、その際、海賊の仲間になる事への心の葛藤などといったものは一切ない。
      • 案の定、後に偽者であるとバレて殺されかけるのだが、その時の主人公のヘタレっぷりは必見。
    • セーブポイントでセーブしようとした時にさえ、勝手にムービーが挿入されることも。 セーブさせろ。
  • 8名の操作キャラクターは、皆どこかで見たような設定・容姿で魅力に欠ける。特に主人公とヒロイン以外は出番も少なく、脇役の考古学者の方が目立っている始末。(スターウ〇ーズリスペクトは序盤からわかるので、別段似たキャラクターであることは何も悪くないが、ディーゴとジュピスの二人は顕著に出番がないのは不遇としか言いようがない。)
    • 昔のスペオペ作品を模倣したようだが、加入シナリオ以外では大した見せ場がなく、戦闘時ではただの人数合わせになり下がる。
    • 主人公に至っては、「バナナの皮を被ったようなヘアスタイル」などと言われ……。
    • 鉱山の惑星で仲間になるキャラは、どう好意的に解釈しても 銀河に名だたる宇宙海賊 に加わる理由がなく、説明不足の感が強い。
  • ヒロインの一部言動にも問題あり。
    • 入手した重要アイテムの奪取を目論む天敵が、戦艦で主人公の育った町を襲撃。そのとき主人公の育ての親である神父が、主人公のアイテムを守るために強力な磁気嵐を発する器械を用いて敵戦艦の計器を狂わせ、戦艦の捨て身の反撃で神父が死亡してしまうシーンがあるのだが……。
    • その夜、「放っておけ」という仲間の助言を後目に主人公に寄り添うヒロイン。しかし「一人にしてくれ」と帰船を拒む主人公に なんとヒロインがキレて平手打ち。 いつまで経っても立ち直っていないならともかく 1日くらい追悼させてやれよ。
      • ヒロイン側に好意的に解釈するなら、当の本人は実の父親の死をあっさり乗り越えるので彼女の価値観的にはいつまでもウダウダしてるように見えたり、海賊的にはその程度でクヨクヨしてたらやってけないという叱咤の表れなのかもしれない。あの海賊たちはそういう連中には見えないが
  • 5つしか移動できる惑星がない「広大な銀河」を冒険する物語は、 お使いによるお使いのためのお使いのお使い
    • 最初の街を出た後、 1つの惑星と2つのダンジョンに寄り道するハプニング を挟んで達成するミッションが 免許証の更新 。思わず、最初の目的を忘れてしまいそうになる程に壮大なストーリーである。
    • と言うか、主人公の最終目的は「宇宙に出ること」なので、プロローグで目標達成した後は、ただ抜け殻のように上司の命令に従うがままである。一応、ラストへの伏線なのだが、プレイヤーの知ったことではない。
  • 「強力なビーストが闊歩する封印された古代遺跡」を、無防備な一般人が平気で歩き回り、行商人が店を開き、はたまた子供の遊び場になっていたりする。リアリティはさておき、緊迫感が削がれるのは否めない。
    • 上記でも触れたが、最初の街はゲーム開始時はモンスターの襲撃を受けているためにエンカウントするのだが、ボスを倒して騒動が収束してもエンカウントが無くならない。にも拘わらずNPC達はすっかり安堵しているので違和感どころではない。
  • 移動中にキャラクターが台詞を喋る「ライブトーク」というシステムがあるのだが、その台詞選びのセンスが最悪。目的地に到着しないことを皮肉る「いい運動になりそう!」など、プレイヤーの神経を逆撫でするような台詞ばかりをキャラクターに言わせている。
    • 主人公の「 2つの塔で苦労も2倍だな 」はつとに有名。グラディウスタワー内におけるライブトークなのだが、前述の通り計40階建てダンジョンをゲートキーを求めて歩かされている最中なので、まさに逆撫で。
    • 上述した通り、主人公は伝説のハンターと間違われてスカウトされるのだが、その際のライブトークでは「あいつら、いつ気付くかな」などと平然と宣う。
    • 一方ストーリーと絡めたしっかりしたセリフも混ざって飛んでくる。もう少し内容のバランスはとるべきだったろう

賛否両論点

  • 主人公とヒロイン役に声の仕事を本業としない俳優を起用。声質そのものは悪くないが、演技が微妙で「学芸会」と揶揄されることも。
  • 街の人々の会話パターンが非常に豊富。ストーリーが進む度に内容が変わる。
    • ただし、開発プランなどの重要フラグも後出し。
  • 武器を合成して強化するシステムが手抜き。
    • 何より、専用のメニューを用意していない時点で……。
    • 合成には法則に基づいたパターンがあるが、店で買える合成専用アイテムと組み合わせれば、すぐに最強武器が作成できてしまう。むしろ、レシピ通りに合成することの方が困難。楽と言えば楽だが。
    • 合成レシピ集「ガマノート」が糞。ソートもなければ、検索もない。また、武器の数が異様に多いわりには、アイテム図鑑もない。
  • 「ひらめきフロー」という、いわゆるスキルを習得するためのシステムがあるが、これを発動させる方法が面倒臭い。
    • スキル習得に使うアイテムはファクトリーと共用で、入手困難なアイテムを要求される場合も少なくない。そのため、仲間内で奪い合うことに。
    • 一般的なRPGでは特殊なアイテム・装備品で行うような、ステータス強化や状態異常防止なども各キャラ専用のフローで行うため、パーティが入れ替わると強化が丸ごと無駄になる。
  • ミニゲームの出来が微妙。
    • その筆頭が、アイテムを作成するためのシステム「ファクトリー」。1つの工場内で複数の素材アイテムを加工し結合するために、工作機械とそれに電力を送るための電線を、各々の材料の加工時間を考えて配置する必要がある。思考力が必要で、慣れれば面白いものの、操作性の悪さも合わさって、理解するまでの過程は苦痛でしかなく、批判される原因となった。
  • 昆虫を育てて大会で勝ち抜くというミニゲーム「インセクトロン」は、『ダーククロニクル』のギョレースの使い回し。育成ゲームとしては一定の見所があるが、それ以上でも以下でもない。
    • そして、優勝賞品がとんでもなくしょぼい。
  • 一応、クリア特典としての高難易度ダンジョンが存在する。
    • ただしその実態は 馬鹿みたいに広大なコピペダンジョン で、別の意味で難易度が高い。散々コピペダンジョンを本編でもやらされて、またやりたいというプレイヤーはほとんどいないだろう。

評価点

  • 広告で喧伝していた「シームレスな移動」などについては一定の評価を得ており、LV5の技術力を窺わせる。
  • ゲーム内の前回までのあらすじはかなり細かく変化しており丁寧な作りがうかがえる。
  • 一部はMAPの広さでごまかしているが同期のPS2ゲームと比べてもムービーやメニュー、セーブなどのロードは短いほうである。
  • 主人公とヒロインは確かに演技力が低めだが同期で同じKOTYで次点になった「グランディア3」と比べればかなり良い演技である。しかも他のキャラには結構有名声優が起用されている。
  • 仲間が主人公に援護をするかどうかの判断を求める「サジェストシステム」も、アイデア自体は悪くない。
  • セーブポイントの多さやそれをワープポイントとして使える点もアイテム回収やショップ巡り、レベル上げ、やりこみ回収など様々な点で非常に利便性が高い。
  • キャラクターの物語もお約束を詰め込んだ造形なのでオリジナリティは確かにないが割と王道な設定が多い
    • まあスター〇ォーズのパクリと言われればそれまでだが
  • いわゆる大作RPGと比しても引けを取らないクオリティのグラフィック。
    • ここだけ見れば、日野社長の大言壮語もあながち間違いではない。
  • 『ダーククラウド』『ダーククロニクル』で評価されていた西浦智仁が手がける音楽も好評。

総評

「LV5の技術力についてのプレゼン資料」として見れば本ソフトの評価は上々だが、純粋にゲームとした見た場合の出来はあまりにも酷い。
端々に散見されるユーザビリティの甘さとシームレス移動を強調するための長ったらしいダンジョン、そして、ディレクター・メインシナリオを手がけた日野晃博社長のシナリオセンス*4の無さが全てを台無しにしてしまった。
それだけならばまだ「なんだ、ただの出来の悪いRPGか……」で済んだだろうが、誇大過ぎる宣伝による前評判の高さと実際の製品のクオリティとの落差により、ユーザーの心証を余計に悪化させる羽目になってしまった。

メーカーの高い技術力と自信が悪い方向へ発揮されてしまった結果の自滅だったと言えよう。


宣伝戦略のまずさ

何よりもまず、このゲームの印象を決定付けてしまったのは、LV5代表取締役でもあった日野晃博社長による宣伝戦略である。

  • 発売の4ヶ月も前からTVCMによる大々的な宣伝広告。
  • 社長直筆のサイン入りで印刷された販促ポスター。
  • 都心近くの大手ゲームショップ限定でペナントも配布。

…等、終始、強気かつ自信満々な態度で宣伝を打っていた*5のだが、良くも悪くもこの誇大に過ぎる宣伝が明暗を分けた。
これらの宣伝媒体において「某国産大作RPG2作に匹敵する」などと強気な口調で宣言したために、前述の問題点の数々がこの上なく際立ってしまうことになったのである。
特に、ポスター末尾にある「 さ ぁ ふ る え る が い い 」という文言は、05年KOTYの最後を飾ることになり、良くも悪くも本作を象徴するフレーズと化してしまう始末であった。

このような強気な姿勢の宣伝を打った場合、成功するか失敗するかの大博打になるのが相場だが、案の定、前述の数々の問題点から大失敗に終わってしまい、
レイトン教授と不思議な町』を出すまでLV5は再び雌伏の時を迎えることになった。


余談

  • なお、これら新要素とされる部分は、『ドラクエVIII』の構想中にLV5が旧エニックスに提案したが却下された経歴を持つアイデア群である。
    実際問題ではクリエイターとしての思想の違いから却下されたらしく、必ずしも「没をくらった=ダメアイデア」ではないのだが、今回はその通りだったようだ
  • KOTYでの立ち位置
    • 真の意味でのクソゲーは同年にも幾つかあるが(『機動戦士ガンダム 一年戦争』『グランディアIII』等)、本作は日野社長のビッグマウスと誇大宣伝による購入者の多さに鑑み、05年度KOTY大賞を得た。ただし現在の基準とは異なるので注意。詳しくは『四八(仮)』のページにて。
    • 最終的に、このゲームに対してプレイヤーが奉った通称は「グギャー」。断末魔を想起させるその略名は、本作の状況を一言でよく表している*6
    • ストーリーとしての破綻具合や音響の絶望具合、声優のひどさ、だけで言えばグランディアIIIがはるかに上である。戦闘の難易度もトントンか何ならあっちが上なまである。戦闘がボタン連打中心になりがちなのはキングダムハーツなどにも言えたことではある。それでも本作が大賞になったのは上記のビッグマウスがあまりにも大きな落差を作ってしまったからなのだろう。
  • 現実世界での与太話
    • 2018年、今作の主人公・ジェスターの声を演じた玉木宏が「グランディアIII」のヒロイン・アルフィナの声を演じた木南晴夏と結婚した事で、PS2を代表する2大大作型クソゲーの主人公とヒロインが結ばれるというまさかの事態になり、これに気づいたネット住人から驚きの声が上がった。
      • この2作の共通点として「トップが腐っている」という評価があるのも不思議な縁である。
    • 玉木宏は本作以外のゲームにはほぼ出演していないのだが、16年後にLOST JUDGMENT:裁かれざる記憶に出演した際は見事な演技を披露した。
  • 本作後のレベルファイブ
    • 本作で手痛い失敗をしたLV5および日野氏だが、その後は主にDS/3DSの市場において次々にヒット作を生み出し、00年代後半〜10年代にかけて児童層向けIPの大手として台頭する事となる。
    • 前述の『レイトン』を皮切りに、『イナズマイレブン』、『ダンボール戦機』、そして『妖怪ウォッチ』と、いずれもメディアミックスも含めて成功を収めた。特に『妖怪』は大ブームとなり、全盛期にはあのポケモンシリーズをも上回る勢いを見せた。
    • だが2018年頃を境にソフト開発の遅延が常態化する等、近年は再び雲行きが怪しくなってきている。上記のヒット作もそのほとんどが続編が絶望的になっている。

ローグギャラクシー ディレクターズカット

【ろーぐぎゃらくしー でぃれくたーずかっと】

ジャンル ロールプレイングゲーム

対応機種 プレイステーション2
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 レベルファイブ
発売日 2007年3月21日
定価 3,790円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 PlayStation2 the Best
2009年3月26日/2,800円(税5%込)
配信 PS2ゲームアーカイブス
2014年8月20日/1,234円(税8%込)
判定 なし
ポイント オリジナル版の不満要素をほぼ払拭
ストーリー関連の破綻ぶりは改善されず

概要(DC)

北米版を基にクソゲーとしての問題点を大幅に改善し、イベント・アイテム・惑星等を追加した「ディレクターズカット版」が発売。


主な改善・変更点(DC)

  • 無印版で問題だったゲームバランスを再調整、プレイの快適性が大幅に向上している
    • 無印版と比べ、エンカウント率が低く抑えられている。
    • 悪名高かったグラディウスタワーをはじめ、いくつかのダンジョンの構成が修正された。宝箱の中身も変わっているものがある。
    • SHOPの商品ラインナップが調整され、それによってゲームの難易度も下がっている。
    • バトル時の装備は、メニューを開かなくても変更できるようになった。
  • 戦闘システムに変更がある。
    • チェインアタックを廃止し、タイミングよくボタンを押すことで連続攻撃するバーニングストライクが導入された。
  • 新たに水の惑星アリスティアが追加。
    • それに伴い、メインストーリーに関連するエピソードや敵キャラも増加している。
  • ライブトークの追加。
    • 仲間がフィールド上・戦闘中にランダムに話しかけるライブトークが大幅増加(約1000会話程)している。
  • ムービーシーンが高画質に再現されている。

問題点(DC)

  • メインストーリーの内容に一切改善が見られない
    • そのため、無印版でシナリオを非難していたユーザー層からは、相変わらず批判的な目で見られがちである。
    • 上記の通り幾つか舞台やシナリオが追加されてはいるが、この点についてのフォローをしきれているとは言いがたい。

総評(DC)

発売前は 「クソゲーのDC版だろ」 などと皮肉られたが、いざ発売されてみればシステムの再調整と追加要素によって、無印版よりも格段と遊びやすくなった。
しかしながらシナリオやキャラ設定面についてのフォローが一切されていない事や、無印版の悪評があまりに広まりすぎた為に払拭しきるには至らず、日本における売上は無印版の10分の1にも届かないという結果に終わってしまった。
クソゲーとしての汚名を返上しようとした努力や工夫は確かにあったのだが、修正すべき点が足りていなかった。それだけが惜しまれる。

北米ではこのDCVerのみ発売されたが、そちらのプレイヤーはストーリー性を重視しない傾向が強いこともあってそれなりの評価を得ている模様である。
同様に「システム面さえ良ければストーリーは気にしない」という人なら、そこそこ楽しめるだろう。