本項目では『レイトン教授と不思議な町』『レイトン教授と悪魔の箱』『レイトン教授と最後の時間旅行』について記述する。判定はいずれも良作である。



レイトン教授と不思議な町

【れいとんきょうじゅとふしぎなまち】

ジャンル ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売・開発元 レベルファイブ
発売日 通常版:2007年2月15日
フレンドリー版:2008年10月23日
定価 4,800円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 独特な世界観とパズル
レイトン教授シリーズ
不思議な町 / 悪魔の箱 / 最後の時間旅行 / 魔神の笛 / 奇跡の仮面 / 超文明Aの遺産
ミステリージャーニー / VS逆転裁判

概要

ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』の開発元として一躍名を轟かせたレベルファイブが、初めてパブリッシャーとして発売したアドベンチャーゲーム。

ジャンルは公式で「ナゾトキ・ファンタジー・アドベンチャー」と題されており、ストーリーにちなんだナゾナゾ・パズルなどの「ナゾ」を解く事でストーリーを読み進めていく。
それらのナゾはベストセラー『頭の体操』をベースにしており*1、同書の著者である多湖輝を監修に迎えている。

あらすじ

考古学者エルシャール・レイトンはいくつもの不思議な事件、すなわちナゾを解決してきた。
そんなレイトン教授に届いた、亡くなった大富豪の遺産分配にまつわる依頼。
この依頼に潜む大きなナゾを感じ取り、レイトン教授は助手のルークとともに依頼人の待つ町へ向かうのであった…。


システム

  • 調査
    • 町の中を移動し、町の人や怪しい場所・物を調べ、情報を集めることでストーリーを進める。
      • 住民に話しかけたり移動、メニューを開いてセーブといった調査のための操作は、基本的にすべてDSの下画面をタッチすることで行う。
    • 基本的にテキストを読むだけでストーリーは進行し、選択肢による分岐はない。その中で後述のナゾを適宜解くことになる。
  • ナゾ
    • 不思議な町の住人はナゾが大好き。調査の中で話しかけるとナゾを出題してくることがある。
      • 出題の理由は様々で、こちらが必要な情報を聞き出すための条件であったり、単に暇つぶしであることも。
      • またレイトンも助手のルークに、町にあるオブジェクトから連想できるナゾを出題することもある。
    • ナゾ」は、いわゆる雑学・知識の必要なクイズではなく、頭を使えばひらめきで解けるもの。
      • 基本的には最低限の算数の知識や発想力・根気があれば理論上は小学生でもクリアは可能な難易度。
    • ナゾを解く画面ではDSの上画面に問題文が表示され、下画面には図形やイラストの表示に加え、解答やメモといった操作を行うボタンが配置されている。制限時間は無いのでじっくり考えることができ、「あとで解く」ボタンで一旦保留して調査に戻ることもできる。
    • ナゾの内容は、とんちの効いたなぞなぞ・暗号解読のようなものや、いわゆる「箱入り娘」のようなスライドパズル、マッチ棒問題を始めとして非常にバリエーションが豊富。
      • 回答方法についても、選択肢のボタンを押す、数字をタッチペンで書く、画面上で回答を線で囲んだり動かせるオブジェクトを操作し回答を示した状態で「判定」ボタンを押し正誤判定を行うものなど様々。
      • スライドパズル形式のナゾなどは、操作により正解の状態となった時点で自動的に解明となる。
  • ヒント
    • ナゾ1問につき原則3回までヒントを開くことが出来る。
    • ヒントを1つ見るためにはヒントメダルを1枚消費する必要がある。ヒントメダルは街のいたるところに隠されており、タッチペンでつついてまわることで自然と回収されていく。
  • ピカラット
    • 問題の難易度指標のようなもの。簡単な問題では10ピカラット、難しい問題だと50ピカラットにまで上昇。
    • ミスするたびに解明時にもらえる量が減少。最低で半分にまで減少する。
      • 前述のスライドパズルのような解答判定が自動で行われる形式のナゾに関しては、誤答することがないためピカラットの減少も生じない。手数がかかりすぎることによるピカラットの減少もない。
    • ヒントメダルを使ってもピカラットは低下しない。
  • レイトンのかばん
    • メニューに相当する機能。セーブ、シナリオの進捗状況などを確認できる。
    • ナゾを解くことでアイテムが入手できる場合があり、これらのアイテムはレイトンのかばんに仕舞われる。
  • レイトンのかばんで行えるパズル
    • レイトンのかばんに仕舞ったアイテムが関係するパズル。名画・ふしぎなパーツ・ホテルの部屋の3種ある。
    • クリアするとレイトンから追加のナゾが出題される。
      • 名画では、バラバラになったピースをジグソーパズル形式で組み合わせて1枚の絵を完成させることが目的。
      • ふしぎなパーツは、手に入れた機械のパーツを集めてとあるロボットを組み上げることが目的。

評価点

  • 独特の世界観
    • セピアな色調の風景、物悲しげなBGMなど、全体にアンニュイな雰囲気が漂い概ね高評価。
    • 町の造形、そこで生活する登場人物も他のゲームでは見ないような個性がある。
    • BGMも場面に合ったものが多数用意されており、この作品の人気を支える要因の一つである。
    • ナゾ解きの画面のBGMも完成度が高く、どこか不気味さや怪しさを漂わせている。調査パートのものとはテイストが異なっており、メリハリを感じさせる。
      • ホラーテイストが強めなのもあって人によってはいろいろな意味でトラウマになっているかもしれないが。
  • 「ナゾ解明」の面白さ
    • 元となった頭の体操がベストセラーとなっている事からもわかる通り、どれも程よく頭を使って非常に面白い。
    • それらのナゾは物語を進めていくうちに町の人々やオブジェクトから少しずつ出題されるため、ストーリーを進めるモチベーションが上がる。中には一見分かり難い所にある「隠されたナゾ」も多く存在し、それを探すのも楽しい。
  • 豊富なナゾの数
    • 本編のナゾだけでも充分な数があり、さらにWi-Fi通信やインターネットでナゾが配信されるため、膨大な問題数となる。
  • 親切かつ楽しいヒントシステム
    • マップ上には「ヒントメダル」と言うアイテムが隠されており、これを消費することでナゾのヒントを得ることができるため、どうしてもわからないナゾもヒントを見ることで解きやすくなる。
      • もちろん、自信のある人はノーヒントで解いていくプレイもできる。
      • また、画面をタッチしてヒントメダルを探すのがなかなか楽しい。前述の隠されたナゾも、多くはこの過程で見つけることになる。
  • 収集要素を含むミニゲーム
    • ナゾとは独立したミニゲームが、各作品3つ程度用意されている。このミニゲームを解くためのアイテム(パズルのピースなど)は、多くのナゾを解いていくことで獲得できるため、収集要素を楽しめる。
      • もちろんそのミニゲーム自体も頭を使い、なかなか面白い。
  • 物語上の誘導が親切
    • 本編再開時必ず「前回のあらすじ」の形式で、少し前のシナリオをおさらいしてくれる。
    • DSの上画面でも「どこで、どんなことをしろ」といった情報が表示されている。
    • 前回のプレイから時間が空いた場合に何をすればいいかわからず困るといった事態は少ない。

賛否両論点

  • 人気俳優・タレントを配した声優陣
    • 本作ではライト層への宣伝効果を考えてか、本業声優ではなく俳優やタレントが多くのキャラクターを演じる。そのため、棒読みだったり声の演技が出来ていないキャラが少なくない。
      • ヒロインのアロマ役に能登麻美子氏、レイトンのライバルであるドン・ポール役に稲葉実氏など、本業声優が演じているキャラも少なからず存在する。またタレントでもそれなりに巧い人も少なくないのだが、下手なタレントの演技が目立ってしまっているとも言える。
      • メイン2人については、レイトン役の大泉洋氏はかなり雰囲気にあっている一方、助手・ルーク役の堀北真希氏はかなり棒読み。しばらくすれば慣れる程度ではあるが…。

問題点

  • 一部のナゾの傾向
    • 「回答が複数存在し得る」「問題文が説明不足」と感じてしまうような、問題のある「悪問」ともいえるナゾが多少存在する。
      • ナゾによっては解説を見ても「理解はできても納得はできない」という人がいてもおかしくないものもある。
    • いわゆる「いじわるなひっかけ問題」も少なくない。頭を使う問題である以上捻りを効かせているのは仕方ないのだが、プレイヤーからすればなるべく獲得ピカラットを減らしたくないのでややストレスに感じる点でもある。
  • ナゾトキとアドベンチャーゲームの相性
    • 基本的に人物や、ポスターや食べ物などのオブジェをタッチするとそれらに纏わるナゾが出題されるが、ストーリーに関わるナゾはそのナゾを解明しないかぎり先に進めない。
      • こればかりはプレイヤーの得手不得手にもよるが、スキップ機能や公式による解答の公開などはないので、解けないナゾが1つあるだけでストーリーが事実上の詰みとなってしまう。低年齢層でも触れやすいDSのソフトであることも合わせ、途中でこのゲームを投げてしまったプレイヤーもいたと思われる。
      • 選択肢を選ぶタイプのナゾであればピカラットは犠牲になるものの総当たりで解明できるが、パズルや桁数の多い数字で回答するものなど、プレイヤーにできる操作が多いタイプの回答方法のナゾの場合はどうしようもない。
    • 一定以上の数のナゾを解かないと進めない場所がある。
      • それ自体は問題ではないのだが、足りなかった場合にすでに訪れた場所を一か所ずつ探していくのはやや作業感が強い。
    • 解けなかったナゾは、ある程度ストーリーを進める*2と、自動的にまとめてナゾーバの館に送られ、あとで挑戦できる。ただしこれはストーリーの進行による会話の変化や行けなくなる場所の存在に対する措置であり、シンプルに見つけにくいだけでいつでも挑戦できるナゾはここに送られないため、挑戦したければ自力で探すしかない。
  • 一部の不親切なヒント
    • ヒントメダルを消費してヒントを見ても、「ヒント無しで自分で解いて見ろ」と言った旨のテキストである場合が有る。特に初期の作品に多い。
      • 後の作品では、ヒントメダルを多く消費することで核心に近い「Sヒント」を貰えるようになり、こうした不親切なヒントも減った。
    • ヒントの代わりにナゾにまつわる雑学を教えて貰える事もあるが、ヒントを欲しい人は損するし、ヒントを見ない人も損すると言える。後者の場合はそもそも存在に気付かないだろうが。
  • シナリオ
    • クイズとしてのナゾトキがメインとなっているきらいがあり、シナリオにおける謎解きはオマケのような存在。急ぎ足で説明不足な感が否めず、レイトンがナゾトキして核心に迫るというより、事件の真犯人からの都合の良いアプローチが多め。プレイヤーが情報をまとめたり推理したりといった必要はほとんどない。
    • また、終盤の展開やストーリーの真相はそれまでの過程と比較して大きくリアリティの落ちるものである点からも、プレイヤーが理詰めでの推理をすることを想定していないゲームであるように感じられる。
      • シリーズ全体を通して言える事だが、かなり現実離れしたファンタジーな要素や予想の斜め上を行く超展開が出てくるので、純粋に推理を楽しみたい方にはあまりオススメ出来ない。
      • これからプレイする方はゲームのジャンルが「ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー」であることは留意されたし。
  • 一部、取り返しのつかない要素
    • ヒントメダルの枚数には限りがあるため、序盤の問題で使い過ぎると後半の高難易度のナゾでヒントを見ることができずに困ることになる。
    • 一部作品では「ストーリーが進むと行けなくなるマップ」が存在し、そこにあるヒントメダルはそのセーブデータでは永遠に取れなくなる。
      • 「ヒラメキコイン200枚以上でレイトンのアイコンが変わる」という隠し要素があるのだが、これらの仕様のため、ヒントを利用していると見れなくなることがある。
      • 後の作品では、「現在の所有枚数/累計獲得枚数」と言う形で表示されるようになり、それなりに気楽に使えるようになった。
    • ナゾを解いた時に獲得できる「ピカラット」は、解き間違える度に獲得できる量が減少する。
      • 隠し要素にも関わるため、ピカラット不足だと全てのナゾを解いたのに隠し要素が解放されなくなる。こうなると最初からやり直すしかないが、かと言って間違えを恐れてヒントを見過ぎるとコインが足りなくなる。
  • 収集要素について
    • 「ナゾのパーツ」は、全て集めて組み合わせるとあるものが完成するのだが、その組み立ては、入手したパーツをタッチすると自動的に正しい位置に置かれる。
      • つまり、「めいがのピース」と違ってパーツをタッチするだけで自動的に組み上がってしまうため、やりがいが無い。
  • システムの不具合など
    • 第1作なのもあってかいろいろと不便な点が見られる。わかりやすいところだと町の探索時のタッチの感度が悪く、ひらめきコインを探すために手当たり次第にタッチしまくることに。
    • メモ機能は記述回答形式のみの時にしか使えない、書くことが出来ても消せない、ヒントを見たりすると消えてしまう、と全然使い物にならなかった。
      • 回答に関しては、後に出たベスト版で第2作以降に改善されている。
    • エンディングのスタッフロール後、セーブをするかどうか聞かれて「いいえ」を選ぶと、セーブデータが破損してしまうことがある。セーブを必ず行うことでこの問題を回避でき、ストーリーもエンディング直前の状態で再開できると公式サイトで注意喚起を行っている(不具合のお知らせとお詫び)。

総評

メインの要素である「ナゾ」解きの面白さは間違いのないものであり、頭を使ったパズルやナゾナゾが好きな人なら存分に楽しめるアドベンチャーゲーム。加えて独特なキャラクターデザインや背景、高品質なBGMで表現される世界観で織りなされるストーリーも根強い人気の理由となっている。 中には高難度のナゾもあり、ゲームとしての完全クリアを目指し全て解くのは一筋縄ではいかず、やりごたえのあるゲームでもある。 欧州では、その頭を使う部分が「脳トレの後継作」と捉えられ*3、ロングヒットを記録した。
これにより、「世界一売れたアドベンチャー」として世界中で人気を博している。
それまではドラクエの開発担当というイメージの強かったレベルファイブだが、この作品をきっかけにオリジナルの作品も数多く手掛けるようになった*4


レイトン教授と悪魔の箱

【れいとんきょうじゅとあくまのはこ】

ジャンル ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売・開発元 レベルファイブ
発売日 通常版:2007年11月29日
フレンドリー版:2009年2月12日
定価 4,800円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 大方のシステムは前作と共通
豪華な機関車と金鉱町が舞台
レイトン教授シリーズ
不思議な町 / 悪魔の箱 / 最後の時間旅行 / 魔神の笛 / 奇跡の仮面 / 超文明Aの遺産
ミステリージャーニー / VS逆転裁判

概要(悪魔の箱)

前作『不思議な町』のヒットを受け、8ヵ月後に発売された続編(第2作)。

あらすじ(悪魔の箱)

開けた者は必ず死ぬという「悪魔の箱」。
恩師から届いた一通の手紙に書かれたその存在と、「行先の書かれてない切符」が示すナゾを解明すべく、レイトンとルークは新たな旅に出る…。


システム(悪魔の箱)

  • システムは概ね前作と共通。

前作からの変更点

  • レイトンのかばんのパズル
    • 本作では「ふしぎなカメラ」「ハムスターのダイエット」「ハーブティー調合」の3つが遊べる。
      • それぞれとあるナゾを解いたときに3モードを遊ぶためのアイテム(カメラの部品・ハムスターの餌や遊び場・ハーブ)が手に入る。
      • ふしぎなカメラでは、部品をジグソーパズルのように組み上げ、パズルを完成させる。
      • ハムスターのダイエットは、ハムスターが気づくように遊び場や餌を配置し、できるだけハムスターが歩けるようにするパズルゲーム。
      • ハーブティー調合は、ハーブティーの材料を3つ調合し、適切な組み合わせであれば、おいしいハーブティーが出来上がるというルール。
  • ナゾのにっき
    • ストーリーの補足をする内容の書かれた日記。
    • 特定のナゾを解明するとカギを入手でき、物語の重要人物の過去について知ることができる。
  • 細かい変更点
    • ヒントを見るために必要となるアイテムの名前がヒントメダルからひらめきコインに変更。
    • 人物・オブジェを調べた際に、ナゾが出題される場合のみ「!」マークが表示されるようになった。
    • ナゾの画面でのインターフェースが洗練された。この点については次回作以降にも本作の仕様が引き継がれている。

評価点(悪魔の箱)

  • 物語の舞台・スケールの拡大
    • 前作はセピア調の町から出ることが出来なかったが、本作はシナリオの進行とともにナゾトキの舞台が機関車、田舎町、金鉱で栄えた町と移っていく。
  • 題意を理解しにくい問題の減少
    • 複数の画像を見比べての間違い探し、チェスやトランプ、バニッシュといった古典パズルを応用したものなど、直感的に取り掛かれるタイプの問題が増えた。
    • 依然として問題文の揚げ足を取る姿勢で挑まないと解けない問題もあるが、全体的に洗練され割合としては前作よりも減った。適度にこういった類の問題も登場するものの、これにより単純作業のように感じづらくなっている節もあるため、ちょうどいい塩梅と言える。

問題点(悪魔の箱)

  • 2度と立ち寄れなくなる場所の存在
    • 本作はシナリオ進捗とともに舞台が移り変わる。これに伴い、中盤で立ち寄る田舎町や、目的地までの移動手段である機関車など、終盤に立ち寄れなくなる場所が少なくない。
    • ナゾの解き洩らしはナゾーバの館により対策されてるのだが、ひらめきコインの取り洩らしは対策されていない。
  • ナゾ60の数学的な正確さの要求
    • ナゾ60は回答としてフリーハンドで線を引く必要があるのだが、考え方自体は合っていてもその線が数学的に正確でないと正解とみなされない。
    • しかし、不正解の画面やヒントなどからは上記の不正解にされている理由が一切分からないこともあり、具体的な数学の知識がなければ、運任せに近い解き方になってしまう。
  • 明確なミスのあるナゾ
    • ある選択式のナゾにおいて正答を選んでも正解とならない。ナゾの収録数を考えれば1問くらいなら仕方ないとも捉えられるが、このゲームに限らずクイズにおいて絶対に避けなければならないことでもある。
    • 公式サイトでお知らせとお詫びが出ているが、ゲーム内で気づく方法はない(ナゾのネタバレ注意、ナゾ131についてお知らせ)。
  • 前作ヒロインの扱い
    • 前作『不思議な町』のキーパーソンかつ実質上のヒロインであるアロマが、本作ではとある理由でレイトンたちの調査に同行する。
      • …のだが、実際は特に活躍が無く終盤にとある理由で退場してしまう。
  • キャスティング
    • アニメーションの吹き替えに関しては、相変わらずタレント起用がメイン。
    • ひどい棒読みのキャラこそいないのだが、佳境で声を張るシーンで迫力が足りなく感じる場合がある。

総評(悪魔の箱)

出題傾向や画面のインターフェースに変化こそあるが、ゲームの根幹的なシステムは前作と共通。
少し広くなった世界と一新・洗練された問題を引っさげ世に放たれた本作は、前作が楽しめた人であれば間違いなくプレイする価値のある、順当な続編と言える作品である。


レイトン教授と最後の時間旅行

【れいとんきょうじゅとさいごのじかんりょこう】

ジャンル ナゾトキ×ファンタジーアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売・開発元 レベルファイブ
発売日 2008年11月27日
定価 5,040円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 3個
判定 良作
ポイント シナリオは本作で一旦完結
ボリュームアップした世界観とナゾの数
レイトン教授シリーズ
不思議な町 / 悪魔の箱 / 最後の時間旅行 / 魔神の笛 / 奇跡の仮面 / 超文明Aの遺産
ミステリージャーニー / VS逆転裁判

概要

シリーズ第3作。

あらすじ(最後の時間旅行)

レイトンと助手ルークのもとに、10年後のルークを名乗る人物から助けを求める手紙が届く。
記憶に新しい「タイムマシンの実験での事故に巻き込まれてイングランド首相が姿を消した不可解な事件」との関連性を考えたレイトン達は手紙が指し示す時計店に向かう。
時計店の装置を動かした先で見た景色は10年後のロンドンだった…。

システム(最後の時間旅行)

  • おおむね従来どおり、街の建造物や人物を調べ調査を進める中で出題されるナゾを解き進める。

変更点・新要素(最後の時間旅行)

  • ナゾ解き画面でメモに使えるペンの色が複数追加された(前作は黒一色であった)。
  • 隠されたナゾ
    • マップ内にタッチすると砂埃のようなエフェクトが出る場所がある。そこをタッチし続けると隠されたナゾを発見し挑むことができる。
  • スペシャルヒント
    • 前作までのヒントは3つまでであったが、本作はさらに4つめのヒントとしてスペシャルヒントが搭載された。
    • スペシャルヒントを見るためにはひらめきコインを2枚消費するが、核心を突くようなヒントを得られる。
  • 出題傾向
    • 前作と比べて選択肢形式の出題が減り記述式・作図式の問題が増加傾向。
    • 新たに「なぞなぞ」の出題もあり。手数制限があるパズルゲームも新規登場。
  • おもちゃのくるま
    • チョロQのようなミニカーを導いて、正方形の盤面マップを走り回らせゴールまでたどり着かせるルール。
    • 直接ゴールに行けばよいのではなく、途中に散らばるアイテムを全回収する必要がある。
    • また岩や木といった障害物にぶつかったり川に落ちたりすると失敗。
    • アイテム・障害物がないマスには、車の移動を変化させるパネルを置くことができる。
      • パネルの内容は「車の方向転換」および「次のマスを1つだけジャンプ」の2つ。置けるパネルの数はコースごとに決められている。
      • パネルは1回までしか効力を発揮せず、2回目に踏んでも動作しない。
    • マップは特定の時期に特定のNPCと会話すると逐次開放されていく。
  • おしゃべりオウム
    • シナリオを進めたりNPCと会話していると、オウムが言葉を覚えていく。
    • 街中に散らばったNPCをランダムに選出し会話することができる。覚えた単語を2つ使って文章をつくり、NPCの問いかけに対してきちんと意味が通る回答を2回分する必要がある。
    • NPCとオウムとが仲良くなっていくに従い、オウムがマップにかくされたひらめきコインとナゾの場所を指示してくれるようになる。
  • ふしぎな絵本
    • シールを貼れる不思議な絵本。シールが無い状態では、絵本の物語の登場人物や物体が曖昧で物語が成立していない。
    • シールを貼ると対応した登場人物や物体に名前がつけられてお話が具体化していく。
    • すべてのシールを正しい場所に配置すると絵本が完成。3話分用意されているが、2話に挑戦するには1話を、3話に挑戦するには2話をクリアしなくてはならない。
  • シナリオクリア、おもちゃのくるまといったミニゲームを制覇することで、「ひみつのモード」でレイトン教授から追加の高難易度のナゾを出してもらえる。

評価点(最後の時間旅行)

  • さらに物語がスケールアップ
    • 1作目は小さな町が舞台、2作目は機関車と炭鉱に栄えた街が舞台だったが、本作ではタイムスリップに関する壮大な物語となる。
      • 煌びやかなカジノやどこか暗い雰囲気の漂うチャイナタウンなど、前作までにない雰囲気のマップも登場。
    • マップの数は大きく増加しているが、前作までの問題点であったストーリーの進行に伴い行けなくなるマップはほとんど存在しない。
    • 「ナゾバトル」といった演出面の強化も。このシーン専用のBGMの人気も高い。
  • 問題の調整
    • 1問自体に頭を悩ませるケースは減り、サクサクと本編を楽しむことができる傾向。出題数は前作よりも増加した。
    • ちゃんと問題文および付随する図を読みとければ正答にたどり着ける、といった問題の割合が少なくない。
    • 川の橋渡し、チェス、バニシュといった古典のパズルからの出題は減少。全体的に時間がかかりにくくサクサクゲームが進む。
  • 前々作、前作キャラの活躍
    • レイトンのライバルのドン・ポールに活躍の場面がある。彼がレイトンを目の敵にする理由がわかる回想ムービーも挟まる。
    • 第1作目のキーパーソンであり、レイトンの自称花嫁のアロマにも前作以上に活躍の機会がある。
    • その他の過去作に出演したキャラもちょくちょくと出てくるためファンにはうれしいところ。
    • 過去2作にて移動手段としてしか登場しなかったレイトンの愛車だが、今作の終盤では華奢な外観からは想像もつかないような活躍を見せる。
  • レイトンの過去に迫るシナリオ
    • ネタバレになるので詳細は伏せるが、本作はレイトンが最愛の人物を失ったある事件が大きく関連する。
    • 当時はレイトンでも解けなかった事件なのだが、あらためて決着をつけることになる。レイトンの口癖の原因もわかる。
    • 次回作からは過去の話となることもあり、レイトンシリーズとしてひとつの区切りを打つことには成功している。

問題点(最後の時間旅行)

  • 広くて迷いやすいマップ
    • 目的地がDS上画面の地図に表示されない場合もあるため迷いやすい。
    • ○○通りという地名が多く、本作のNPCもレイトンたちに道案内する際そういった地名を用いてくる。その地名がどうやったらたどり着けるのかは、基本的にプレイヤー自身が覚えなくてはならない。
    • 地下鉄といったワープ機能も搭載はされているが、徒歩で歩き回らなくてはならない範囲ももちろん存在する。
    • オウムのミニゲームで特定のNPCに話しかけたい場合はやや不便。
    • ナゾが隠されているケースもあり、こういう不便で広いマップから探すというやりこみ要素にはなる。
  • 融通が利かないサブコーナー
    • おもちゃのくるまはそうでもないが、おしゃべりオウム、ふしぎな絵本はNPCと話していかないとまともに攻略できないケースが多い。
    • おしゃべりオウムは1人のNPCに対して2問回答しなくてはならないが、2問目を誤答すると再挑戦時に1問目からやり直さなくてはならない。
    • ふしぎな絵本でシールをはがすときの操作が若干手間取る。ページをまたがって「人物」に関するシールを貼り直しする必要があるため不便。
  • 物語の終盤
    • 前々作と前作でもその傾向はあったが、本作の終盤は特に超展開と言わざるを得ないシナリオとなる。本格的かつ現実的な推理でのナゾの解決を期待しすぎると肩透かしを食らうだろう。
      + ネタバレ注意
    • 終盤に登場する破壊兵器の規模は良くも悪くもファンタジー感満載。また中盤に存在を匂わせるフラグこそあるものの、それまでの流れからはかなり毛色の異なる展開となるため、一部のプレイヤーは置いてけぼりになったのではないだろうか。
    • 本作には黒幕が2人いる。しかし彼らに対しては、タイムマシン実験で大切な人を失った共通点があり擁護のしようもある。
    • タイムマシン実験を決行した人物も本作に登場するのだが、その人物には明確なお咎めが無いので後味の悪さもある。
    • タイムマシン実験で命を落としつつも、未来に行くことには成功したという強引な設定で、レイトンと再会する人物もいる。

総評(最後の時間旅行)

出題は簡単になる傾向で、問題数が増えたことによりゲーム攻略時のテンポ感は良好。
終盤の展開は好みが分かれるところであろうが、前作よりもさらにスケールアップした問題数と世界観で、前作からも堅実に進歩しつつレイトンシリーズの物語に一区切りを打った作品。


移植

  • 「フレンドリー版」は漢字に振り仮名が付いたり問題文の改定が行われるなどの改善が行われているため、今から遊びたい場合はこちらをお勧めする。
    • ただし、『最後の時間旅行』だけはフレンドリー版が存在しない。オリジナル版の段階にて出題に振り仮名が振られている。

余談

  • 『不思議な町』『悪魔の箱』『時間旅行』がそれぞれiOS/Androidに移植されている。
    • ゲームの仕様はDSと同じだが、スマートフォンの解像度に合わせ、グラフィックがHD化されている。
    • また、『不思議な町』には新規アニメーションが追加されている。

その後の展開

  • 当初は『不思議な町』『悪魔の箱』『時間旅行』の3部作で完結する予定だったが、ファンの熱烈な要望により2ndシーズンにあたる『魔神の笛』『奇跡の仮面』『超文明Aの遺産』が発売された。
  • 2023年2月9日にシリーズ最新作『レイトン教授と蒸気の新世界』が発表された。対応機種はSwitchで、発売時期は2025年を目処としている。
最終更新:2025年03月15日 20:12

*1 第1作『不思議な町』は特に頭の体操からの出典が多かったが、現在はほとんどオリジナルの問題である。

*2 自動的にセーブを促される区切りの部分。

*3 海外では任天堂がパブリッシャーを担当した。

*4 これ以前にオリジナル作品が無かった訳ではない。