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ゼノギアス - (2020/09/18 (金) 13:42:36) のソース

*ゼノギアス
【ぜのぎあす】
|ジャンル|新世代サイバネティックRPG|[[&ref(xanogears_1.jpg)>http://www.amazon.co.jp/dp/B000069SXB]]|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売・開発元|スクウェア((スクウェア・エニックス合併前))|~|
|発売日|1998年2月11日|~|
|定価|7,140円(税込)|~|
|廉価版|スクウェアミレニアムコレクション&br()2000年11月30日/3,800円&br()PS one Books&br()2001年12月20日/2,500円(共に税抜)|~|
|配信|ゲームアーカイブス&br()2008年6月25日/600円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|ゼノシリーズの起源&br;重厚かつ良質なシナリオ&br;ギアによるロボット戦闘&br;Disc2がノベル形式&br;FFシリーズの姉妹的作品|~|
|>|>|CENTER:''[[ゼノシリーズリンク>ゼノシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
>宇宙を行く超巨大移民船を、異変が襲った。~
積荷の1つである「それ」は突如として覚醒し、艦の中央コンピュータへ侵入を開始したのだ。~
驚異的な侵攻速度の前にブリッジクルーはなすすべなく、ワープ機能を掌握した「それ」は「本星」への侵攻を行おうとする。~
艦長は全乗組員の避難命令を発するが、離脱するシャトルは火器管制系をも支配した「それ」によって次々と撃ち落とされていく。~
とうとう、艦長は自爆――艦体の整備用分解コードを強制入力する。いくつものブロックに分かれながら崩壊する艦体は、~
近くの惑星へと引き寄せられていった。
>
>墜落し炎上する艦の残骸。その傍で、一人の女性が目覚める――。~
時は流れ、北東のイグニス大陸では、砂漠の国アヴェと北部の大国キスレブが300年にも渡る戦争を続けていた。~
戦いの中で、両国は過去の遺跡から「ギア・アーサー(ギア)」と名付けられた500年前の大戦で使用された戦闘用ロボットを発掘し、~
これを主力兵器とするようになる。~
遺跡資源が豊富なキスレブ優位に進む戦争を憂いたアヴェ国王は和平を考えるも、宰相シャーカーンのクーデターによって殺害されてしまう。~
シャーカーンの背後には「ゲブラー」と呼ばれる正体不明の軍事組織が付き、彼らから兵力の提供を受けたアヴェは戦況を五分まで回復させ、戦いは混迷を深めていった。
>
>キスレブ国境にほど近い、戦争とは無縁の農村・ラハン。3年前に重傷を負ってここに担ぎ込まれた記憶喪失の青年・フェイは、~
今では村の一員としてのどかに暮らしていた。~
ある日、フェイは友人の結婚式の準備のため、山頂に住む博識の医者・シタンを訪ねるが、その帰り道にキスレブのギア部隊を目撃する。~
シタンと共に村へ戻ったフェイが見たのは、何故か同じキスレブ製のギアを攻撃するギア部隊と、火の海と化した村だった。~
シタンと手分けして避難誘導を行うフェイは、凄惨な光景に思わず立ちすくんでしまう。~
その時、操縦士を失った一機のギアが彼の前にうずくまった。途端、フェイは何かに魅入られたようにそのギアに乗り込む。~
一度も乗ったことが無いはずの軍用ギアでキスレブ部隊を退けようとするフェイだったが、異様な雰囲気を漂わせる漆黒のギアが降り立ったことで、フェイのギアに異変が――
>
>それは神と人の未来と1万年の歴史を巡る物語の、「終わりの始まり」を告げる先鞭だった。

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**概要
ファイナルファンタジーシリーズや聖剣シリーズと並んで大作RPGとして人気を博したSF RPG。~
キャッチコピーは「聖剣伝説が出ない理由、ファイナルファンタジーとは異なる可能性、そして ゼノギアス」。

没になった『[[FF7>ファイナルファンタジーVII]]』の企画案の1つ「プロジェクト・ノア」を元としている。(考案者はFFシリーズや『[[クロノ・トリガー]]』などでグラフィッカーを務めていた高橋哲哉)~
開発部門のトップである坂口博信が別作品として没案を採用、企画は『クロノ・トリガー2』の為に発足していたチームに宛がわれ『クロノ・トリガー』の元々の発案者であり聖剣伝説シリーズを担当していた田中氏をプロデューサーに据え、スクウェアを代表するRPG作品群に肩を並べるシリーズにしようという意気込みの元で開発された。
//長文過ぎて読みづらいので修正。

そのため、後に改めて『クロノ』を作るために制作された『[[クロノ・クロス]]』とは、制作スタッフの重複が多く、雰囲気や一部設定も酷似している。~
また、上記の経緯や同時期に開発がスタートしたことから、「''裏FF7''」とも呼ばれる。

//キャッチコピー通りに、この作品はあらゆる面に措いてそれまでのスクウェアのゲームとは異なった可能性を開いた。
///具体的記述を求む

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**特徴・評価点
-SF、オカルト、神話、聖書といった元ネタから、心理学や哲学といった学問、果ては特撮やアニメなどのサブカルチャーといった概念を組み合わせ、隙なく練り上げられた独自色の強い世界観。
--こんなことまで理由付けされているのか、と思わず感嘆するほど設定は綿密に組まれており、公式設定資料集でその内容が事細かく記されている。((他のRPGではただシステム上の都合であるだけのセーブポイントですらこの世界での存在理由がちゃんと設定されていることなど(しかも地味にシナリオに関わっており、その理由はけっこう薄ら寒い)。))

-プレイステーションの容量を利用したアニメーションやキャラクターボイスといった演出。
--スクウェアがゲームに声優を起用した最初の作品であり、人選も非常に豪華。((以前に発売された『FF7』『サガフロンティア』『フロントミッション セカンド』にはゲームに声優を起用していなかった。))
---ただし、ボイスは多少のイベント、戦闘、アニメーションムービー、カードゲームの勝敗の4つのみ。((こういった使用回数の少なさからか参加した声優のうえだゆうじ氏から「収録は5分程度だった」という証言が出ている。))
--アニメーションは合計で30分を超え、クオリティも高い。
---アニメパートの演出・絵コンテは後に『NOIR』などを手掛ける真下耕一が担当している。
-世界観のベースはSFで、人型兵器『ギア』が非常に重要な位置に置かれている。パーティーキャラクター一人一人に専用のギアがあり、戦闘にはキャラクター本人の生身の戦闘と、ギアに乗っての戦闘が存在する。

-配信時にCERO審査で付けられた対象年齢はD:17歳以上(暴力マーク)。
--劇中にベッドシーンがあったり、OP・EDのアニメムービーでキャラが全裸で登場したりなどあるが、「セクシャル」には引っ掛かっていない。((当たり前だがベッド云々といっても『真っ最中』なシーンはない。))

-『ファイナルファンタジーVII』とは対照的かつ緻密なグラフィック。
--『FF7』は背景が2D(プリレンダCG)でキャラクターが3Dだが、逆にゼノギアスはキャラクターが2D(ドット)で背景が3D(ギア戦など一部は完全3D)で画面が構成されている。これは技術的蓄積を目的として意識的に行われた。
---これによって荒削りではあるものの、デモムービー等に頼らない、俯瞰やあおり・ズーム・パンなど、カメラワークを使った映像演出が様々な場面で用いられている。
--生々しく動くグロテスクなモンスターたちやダイナミックにアクションを行うギアやマシンといったドットのきめ細やかな表現を最大限に生かしている。
--キャラクターやギアのデザイン自体も世界観に溶け込んでおり、また純粋にかっこよかったりして秀逸。
--FFシリーズのムービーような派手さとはまた違ったグラフィックの丁寧さが地味ながらも演出を引き立てている。

-魅力的な登場キャラクター
--操作可能キャラクターだけでなく、町や村の人々や、戦艦ユグドラシルのクルーなど、ギャグテイストなキャラから伏線を思わせるキャラまで隙が無く魅力に溢れている。

-アクション要素の多さ
--RPGではあるが、町やダンジョンが3Dで作られているため「ジャンプ」操作があったり、水路を泳ぐ場面もある。

-戦闘システム
--基本的なシステム
---3人パーティー。通常サイズのキャラクターと、ギアなどの巨大サイズが存在する。
---基本的にどちらもコマンド戦闘であり、○△□の三つのボタンの組み合わせだけで様々な攻撃ができ、それぞれ□の弱攻撃、△の中攻撃、○の強攻撃に対応する。
---すばやさに応じてゲージが溜まりキャラのターンが回ってくるタイプのターン制。
--通常サイズキャラクターの戦闘
---キャラは最大毎ターン7P使えて、□の弱攻撃は1P、△の中攻撃は2P、○の強攻撃は3Pを消費する。
---キャラクターの生身でのバトルでは上記の三つの通常攻撃を特定の組み合わせで押すことで、キャラクター固有の必殺技を使用することができる。(なお必殺技は全て、最後が強攻撃になる組み合わせ)
---キャラクター戦の通常技や必殺技のモーションは凝られておりきびきびと細かく動き、特に必殺技はとても豪快に表現されている。
---ギアに乗れる場所なら戦闘中でも自機に搭乗可能。
--ギア戦闘
---HPのほかに燃料の概念があり、なくなると行動できなくなる。一時的に燃費が悪くなるが能力を上げる、大量消費して大技を使う、などの燃料運用が重要になる。
---ブーストをONにすると毎ターン燃料をがんがん消費する代わり、回避率が上がり、すばやさが倍になって手数が倍に増える。
---特にギア戦で顕著だが、ボス戦などでは多様な装備(各ギアはパーツを3つ装備できる)をどう組み合わせるかで難易度が大きく変化する。また生身キャラの装備品にはギア戦でも効果を発揮するものもある。
---パーツには重さがあり、装備するとギアのすばやさが下がる。逆に特定の地形でスピードアップするようなパーツもある。
---またギア戦はHPの回復手段が限られていて、自己回復用ギアパーツを装備して回復には大量の燃料を消費する。自己回復なので全員回復したければ3体ともそれぞれ装備しておく必要あり。一応、味方ギアを回復できるキャラもいる。

-武器の概念
--主人公であるフェイ、リコ、マリア、チュチュ、エメラダの5名は素手で戦うが、エリィはロッド、シタンは途中から刀、バルトは鞭、ビリーは銃という武器を使用して戦うという構成となっている。

-隙がなく完成されたシナリオ
--現在をもってスクウェア作品史上最高ともいわれるほど完成度が高い。海外SFの影響を受けており、序盤から伏線が多く、複雑な人間・組織関係や様々な専門用語はあるが、最終的には作中の全ての謎がラストまでに解き明かされる。
//--オープニングの宇宙船墜落・ペンダント・2人の仮面の男・眼帯の王子・地底の隠者……と、最初はよくわからないが中~終盤になって振り返ってみると物凄く重要な事実(の断片)に類する伏線が大量に、それこそ下手すれば置いてきぼりになりそうなほど数多く存在する。しかし膨大な伏線を張っているにも関わらず、投げっぱなしにされているものはほぼない。ストーリーが一個の作品として完成されている。それこそがこの作品の評価を押し上げている最大の要因である。
//--様々なイベントは陽においても陰においても印象深い。中盤以降、敵の目的や、3年前にフェイの身に降りかかった事件の真実、世界の成り立ちといった、作中のテーマの一つが次々に明るみになっていく過程などは間違いなく何度も驚かされる。
///ちょっと書きすぎだし上と重複。まとめたい。

--序盤のラハン村での惨劇や「RPG史上屈指のトラウマ」ソイレントシステム、突如怪物へと変貌していき殺し合う人間などの生々しく陰惨な描写、人間弾頭バントラインやゼプツェン起動などの熱い展開など、ストーリーのボリュームが破格なだけあって多様なイベントがむせ返るほどに詰められている。
//これも…悩む
//--前述したグラフィックと相まっている部分があるが、街やそこに住む人々の点描も行き届いており、シナリオの進捗にあわせてその後が描かれている者もいる。
///雑多

-おまけ要素
--非常に長いRPGだけあってサブイベントも豊富。1周目で全て発見するのは難しい。
--ミニゲームも多く、場に置かれた2枚のカードと隣り合った数のカードを出していき先に手札を0にした方の勝ちのカードゲーム「スピード」や、おまけとは思えない程に作りこまれているギア同士の格闘ゲーム「バトリング」など。
--3Dで立体的に造形された町で、小さな子供を探すかくれんぼ。
--物語進行に関係ないアイテム収集が多い。

-声優が豪華かつ、非常に時代を感じることが出来るメンバー。
--主人公のフェイを緑川光((ガンダムWのヒイロ・ユイやスラムダンクの流川楓など、90年代の美男子キャラを代表する男性声優だが、本人は主人公のフェイの声を担当した事を覚えていない))、ヒロインのエリィを冬馬由美((ガンダムF91のセシリー・フェアチャイルドやああっ女神様のウルド、ヴァルキリープロファイルのレナス等、様々なタイプの女性キャラを演じる女性声優))、仲間キャラクターの一人であるシタンを田中秀幸((聖闘士星矢のアイオリアやポリスノーツのジョナサン・イングラム等、80年代以降の男性キャラを代表する男性声優))、バルトを関智一((Gガンダムのドモン・カッシュや機動戦艦ナデシコのダイゴウジ・ガイ等、90年代の熱血キャラを代表する男性声優))などといった80年代、90年代アニメで活躍した豪華なメンバーで構成されている。
---しかし、緑川光だけはそのゲームの主人公のフェイを担当したことを覚えていない。
//カタログなのだから箇条書きしてもいいのでは

-光田康典による繊細な音楽
--戦闘曲も好評だが特にイベント曲が高く評価されており、「風が呼ぶ、蒼穹のシェバト」「飛翔」「夜空一杯の星を集めて」など心に染みる印象的な名曲が多い。何よりも曲が流れるイベントそれぞれの雰囲気を十分に引き立てていたり、山場を盛り上げたりと演出効果としての面が非常に優れている。
---ゲーム発売から13年も経過した2011年2月にフルオーケストラで演奏されたアレンジアルバムが発売されていることからも、その人気の根強さがうかがえる。
--「small two of pieces~軋んだ破片」はスクウェア作品として初めてゲーム内でのボーカル付き楽曲となった

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**賛否両論点
-Disc2の作風
--Disc2のストーリー進行はほとんどがテキストを読み進めるオートイベント状態になってしまっている。
---実は開発チームが若く新しいスタッフで構成されており、当時は2年間で開発を終わらせる予定だったが、3Dなどの新しい技術を学び、社員を育成しながら進めなければいけなかったので、スケジュールに遅れが出てしまった…というものだった。~
また、Disc1で終わる可能性もあったことが明かされた。Disc1だけで終わらせるのは粗っぽいということで開発費やスケジュール等を維持しながらDisc2を作って終わらせる選択をした。
//ソース https://automaton-media.com/articles/newsjp/20170616-48986/
//--上記の濃密な内容や、開発前半時期のぐだぐだや方向転換による切迫した開発期間、人事異動の悪条件も重なって作り込むことが出来なかったため、シナリオの補完・完結を優先した結果、Disc2のストーリー進行はほとんどがテキストを読み進めるオートイベント状態になってしまっている。&br()(本作は1996年に『FF7』と同時に製作がスタートした。しかし『FF7』の製作期間1年に対して『ゼノギアス』は発売延期もあって2倍かかってしまい、CGチームが『FF8』のために抜けてしまったりしている)
--それまでしっかりした好演出、名シーンの山だったのにいきなり背景真っ暗なサウンドノベルのような世界に放り出されてしまったうえに、サウンドノベルとして見ても作り込まれているとは言えず、一部の重要なシーン以外はダイジェスト版のような内容になっている。
--ただDisc2を作り込んでしまった場合、プレイ時間がエライことになってしまうのは想像に難くない。作風の変化に面食らい、このような手法を受け容れられないか、これはこれで有りと思うかは''個人の嗜好によるところが大きい''ため、まさに賛否両論。
---普通に作ってあればダンジョン攻略の過程があったと思われる複数の箇所が、最深部でのイベントだけだったり、ボス戦直前からの操作だったりと、ダンジョン自体が省略されている点のみについては、ありとする意見も多い。Disc2でラストダンジョンとメインストーリー外の場所を除けばダンジョンは2つだが、省略されなければ他にも4つくらいはあったと思われる。
//Disc2ストーリー上のダンジョン=アニマの器ダンジョン1、アニマの器ダンジョン2
//モノローグで省略された戦闘やダンジョン=ゼボイム時代のマスドライバー遺跡、ソラリスのギア部隊戦、各地の地上ソイレントシステム施設、人機融合兵器群戦、マハノン内部、ナノマシン製兵器群がいるメルカバー内部
//---なおDisc2の容量は割と余裕があり、あくまで不足したのは工数(人手と時間)である。
---後のインタビューで「当時のスクウェアは納期絶対主義でずるずる延期しても完成の目処が立たないならFF本編でも開発中止にする」と言われており、中止になるよりはDisc2を現在のものにして出す選択をしたという趣旨の発言をしている。

-シナリオ
--前述の通りシナリオは非常に奥深く完成度の高い評価点だが、その難解さゆえに万人に受け入れられた訳ではない。
---数多くのSFや古典、宗教・文化・価値観まで練り込まれた内容のせいでプレイヤーに求められる予備知識があまりにも多く、こういったジャンルに多少なりとも触れていないと理解は困難。
---多彩な専門用語も手伝って、結果的に周回プレイや考察、設定資料の助けを借りないと「なんとなく壮大な物語」としか伝わらない事もしばしば。
---時系列や設定資料などできちんと順を追っていけば決して理解の困難なシナリオではないのだが、一度経過したイベントはほとんど説明を端折ったまま省みられず、そのため明らかになる要素と時系列の摺り合わせが非常に難しい。
---伏線に至ってはイベントを跨いで大量に分散配置されており、イベント自体に濃密な展開が続く事も手伝って1周しただけで全てを把握するのはまず不可能。また、それらの伏線も物語の全容が明らかになってから初めて意味を理解できるケースが大半であり、難解さを後押しする一因になってしまっている。
--また、上述の理解できる構成になっているのはメインのストーリーラインであり、サイドやバックボーンなどはゲームで提示される情報が断片的過ぎてゲームのみで理解しきることが不可能な部分も多い。
---緻密で深い設定は魅力である一方、膨大すぎてゲームに収まりきらず外部資料に頼らなければならなくなっているのは、手放しに褒められるものでもない。
---この時期のスクウェアの作品はこういった傾向の作品がよく見られたが、今作はその最たるものである。
--結果として「人を選ぶ」のは避けられない。総評でも述べているが、ゲームを遊ぶ層にもセールス面で若干の不利を背負った遠因と言えるかも知れない。
//同じことを何度も書いているようにも捉えられる。

-BGM
--どれも名曲ぞろいなのは確かだが、総数は40曲程度とゲームの規模に対して明らかに少ない。
--もちろん数が多ければ無条件に良いわけではないが、本作ではイベント曲の使い回しが非常に多く、人によっては気になるポイントとなっている。
---人気高い『飛翔』も初登場時のインパクトは凄まじく、悲壮と勇壮の入り混じったイベントと相まって本作でも指折りの名曲ではあるのだが、ゲームが進行し二度目三度目まではまだしも、四度目以降となるとさすがに食傷気味になってくる。

-「連殺」システム
--必殺技を使わずにポイントを溜めて、複数の必殺技を一度に繰り出すシステム。普通に必殺技を出すほうが強いため意味の薄いシステムだが、敵に回避されないため一部のボス攻略に役立つ。
//一部攻略に役立つのならこっちに置いた方が良いのでは。

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**問題点
-アクション性の高いマップデザインとランダムエンカウントの相性が悪い。
--エンカウントの直前にはロードが入るのだが、その間は''歩けるのにジャンプはできない''。わずかな時間とはいえ、ジャンプしようとした直前にこんなことになれば、もちろん落下事故が起きる。((PS1やPS2でのプレイ環境ならディスクの読み取り音でエンカウント済みだと事前察知するというテクニックを使えるが、アーカイブスでは無理。))

-中盤のダンジョン「バベルタワー」
--数多くのジャンプアクションを要求されるダンジョンであり、アクションが苦手なプレイヤーにはきつい。
---後半は縦スクロールのマップになっており、落下する度にかなりの距離をやり直す羽目になる。
--このダンジョンは一部のマップを除き、特定の地点を通過すると強制エンカウントする形式であり、戦闘からも逃げられない。
---ジャンプ移動の妨げにならないようにランダム式ではなく固定式のエンカウントにしたのだと思われる。
---読み込み音に注意したプレイでもしてない限り、ジャンプしようとして戦闘になり落下する事態をもたらす。

-キャラクター戦は「必殺技を使う過程で必要な通常攻撃がほぼ意味なし」等と、攻撃面での戦略性の薄さ・単調さが批判されることもある。
//「こともある」を修正依頼
--この批判点は後にゼノサーガのキャラクター戦で改善されていくこととなる。

-後半のストーリー進行上の戦闘はギア戦ばかりなので、生身のキャラを強化する意義が薄い。((キャラクター育成がギア戦に反映されるキャラを除く))

-取得期間限定のレアアイテムが多い。
--序盤に手に入る「ジャンケンバッジ」はミニゲームのジャンケンで5回連続で勝たないともらえず、更にイベントで貰えるキャラクターがすぐいなくなってしまうため、後から回収ができない。
---32分の1と、何時間もかかるほどの確率ではないが、単調作業であるうえにテンポが悪い。しかも一回負けるごとに50Gの賭け金が必要なので負けが重なると金欠にも悩まされる。((完全ランダムだが、同じ手では5回戦で絶対負ける仕様のため、連打してると5連勝できない落とし穴もある。))

-RPGの常だがキャラクターのバランスが良好とは言いがたい。
--生身では文句なしにシタンが最強キャラ。高いHPとスピードに加え、後半で刀を持ち出したら攻撃力においても一級品。さらには補助エーテルにも恵まれているなど穴がない。
---その強キャラぶりは「RPGのバランスブレイカーと言えば?」といった話題には決まって挙がるほど。
---ギアでの戦闘でも上位に入る。最強こそ主人公機に譲るがそれに次ぐ強さ。むしろ主人公機独自のシステムを除いた基礎性能では最強と言われることも((現に主人公機に独自のシステムがないDisk1の時点では、シタン機は主人公機の完全上位互換である。ただしゼプツェンやE・アンドヴァリなど強機体もあるため、一強というわけではない))。
--逆に弱キャラ筆頭はリコ。スピードが最重要なこのゲームでスピードが特に低い、リコが1回行動する間にスピード値の高いキャラは2回も行動順が回って来る。攻撃力は高いが特筆すべきほどではなく時間火力に劣る。防御、体力は高いがそれが生きる場面はほぼ無い。エーテル防御も弱い。必殺技の大半が投げ技(大型の敵には不発)であり、大型の敵には弱い技を使うしかなく、さらに攻撃力不足に悩まされる。
---他に生身では弱いとされるエリィやマリアはエーテル要員となれるが、リコはエーテル能力も低いので救済の余地が無い。バトリングチャンピオン、イベント戦闘で主人公を1回は負かす、などの設定により「設定上弱くても仕方ない」という擁護すらできない。
---搭乗ギアのシューティアもHPがわずかに高い事以外はほぼゼプツェン(マリア機)の下位互換、とかなり微妙。Disk2でパワーアップイベントがあるのだが、''機体性能は一切変化しない''。%%そのアニマの器は飾りか%%
---強さだけでなくストーリー上も不遇で、加入以降はイベントにもほとんど関わらなくなる。
//高橋哲哉ディレクター曰く''「メインのサブキャラ」''との事だが、それなら尚更プレイアブルキャラクターにする意味が無い。NPCで良かったろうに…。
--なおここで挙げた2人、シタンは服が緑色でリコは体色が緑色との共通点がある。そのためファンからは「強い方の緑」「弱い方の緑」と呼ばれていたりする。「強い方の緑」には髪が緑色のエメラダ(素早い・エーテルが強い・終盤に攻撃力1.2倍化する)が挙げられることもある。

-当時のゲームにはよくあることだが、イベントによる拘束時間が長い割にイベントスキップ機能などは無いので、イベント戦闘で負けた後のやり直しや周回プレイが面倒。
--特にアンフィスバエナとオピオモルプスのボス2連戦では、それぞれが初見殺しの戦法を使うため初プレイではほぼやり直しを余儀なくされるうえ、それぞれの戦闘前にそこそこ長めのイベントが挟まれるため、極めてストレスが溜まる。

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**総評
スクウェアの新シリーズとして世に送り出されたこのゲームは独創的で異色なものだった。巨大ロボットによる戦闘、SFな世界観、伏線溢れたストーリー…異色でありながらもプレーヤーを引き込むには十分なものだった。スクウェア史上最高とされるシナリオがやはり本作の最大の肝だろう。~
戦闘の方がやや浅いということと、ディスク2がノベル形式という欠点もあるものの、それらを踏まえた上でも本作は単なる良作ではなく、「名作」の域に入っていると考えていいだろう。~
100万本販売という当初の目的はともかくとして、その後も会社を変えながらも『[[ゼノサーガ>ゼノサーガ エピソードI 力への意志]]』『[[ゼノブレイド]]』とシリーズ化することはできた。その意味で成功したゲームであり、ゼノシリーズの原点という意味でもゲーム史において欠かせないもの、といえよう。
 
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**余談
-PS2のテクスチャマッピング補間で3D部分がかなり綺麗になる。
--しかしボス敵「デウス」が全体攻撃をすると高確率でフリーズを引き起こす、ハードに起因する不具合がある。運が良ければフリーズしないままやり過ごせるので、致命的なバグ扱いはされなかった。

-売り上げは約90万本と、ゲーム業界全盛期の当時としては落ち着いたものであったが、ファミ通の続編を待望するゲームTOP50で5位、電撃オンラインのリメイクして欲しいゲームランキングで2位、ゲームアーカイブスのダウンロードランキングではRPG部門でTOP5の常連と現在でも熱心なファンが多く、また口コミなどによりその数を増やしている。現在ならゲームアーカイブスでPS3/PSP/PS Vita(VitaTV含む)で600円で購入、プレイ可能である。興味がある方はぜひプレイしてほしい。

-テレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)がRPGの新品と中古の売り上げの相関を示す例として資料に本作の売り上げを用いていた。[[(PDF)>http://web.archive.org/web/20040917123339/http://www.arts.or.jp/docs/akada0630.pdf]]

-コンビニから新品未開封のまま中古に流れて、中古の値崩れから新品の売り上げが落ちる、というようなことも起こったが、これは本作に限ったことではなくミリオン越えのゲームも同じである。

-上述の通り元々は『クロノ・トリガー2』のために発足したチームが制作したためか、序盤のラハン村には『クロノ・トリガー』のメインキャラクターの一人であるルッカがチュートリアル役のキャラとしてゲスト出演している。
-宣伝用デモムービーで登場した「さあ、愛に血を流させてやろう…… 地獄の海のように紅く、深く……!」というセリフは本編中に使用されておらず、『[[クロノ・クロス]]』に流用されている。

-上述の通り、『FFVII』との関係性は深いが、キャラクター設定や一部のストーリー展開などには『[[FFVI>ファイナルファンタジーVI]]』との共通点も多い。

-開発スタッフは続編を製作する予定であったが叶わずその話は立ち消えた。売上本数100万本が条件だったのではないかと言われている((少々時期が異なるが、少なくともSFC時代のスクウェアでは売上100万が続編の条件になっていたことが判明している。))。そのことでスクウェア上層部と対立し一部のスタッフが独立、モノリスソフトを立ち上げる。本作で培われたシステムや設定は、後にモノリスソフトの代表作『ゼノサーガシリーズ』や『ゼノブレイドシリーズ』で発揮されることになる。
--当時スクウェアは色々な意味で悪名高い''映画『ファイナルファンタジー』''の製作に資金や人材を注力していたため、その影響で続編の案は却下されたのではないかといわれている。その後映画がスクウェアに何をもたらしたかは周知の通りだが…。
--しかしながら、モノリスソフトの立ち上げに出資して協力したナムコ(当時)が『ゼノサーガI』以降の制作に対して過剰な横槍を入れた結果、評価は散々なものとなってしまった。礎となった本作共々、会社との軋轢に振り回され続けてしまった不遇のシリーズであった。
---なお、『ゼノブレイド』はモノリスソフトがナムコの元から離れた後に制作された作品のため、幸いにもそのような事態には陥っていない。ゼノサーガシリーズの版権がナムコ側にある関係上、本家との関連性がないのが残念ではあるが、評価はWiiトップレベルのRPGと言われるほどに非常に高く、続編も制作されている。
---『ゼノブレイド』と『ゼノギアス』は関連性はないと思われていたが、続編の『[[ゼノブレイド2]]』において重大な関連性を匂わせるとある設定が明かされた。
---ちなみにタイトルの『ゼノ』とは生みの親である高橋氏の作品であることを示す記号のようなものらしい。
-その後、スクウェアに残った開発スタッフは『クロノ・クロス』を制作している。
--『クロノ・クロス』開発には参加せず、『[[デュープリズム]]』を開発したスタッフもいる

-設定の詳細ぶりやシナリオ自体が難解なことから公式設定資料集「パーフェクトワークス」はファン必須の品として需要が高い。
--ちなみに表紙イラストは''[[オールヌード>http://ec3.images-amazon.com/images/I/51FB3F2NE1L._SS500_.jpg]]のヒロイン(乳頭付)''と、アダルトゲームの設定資料集でもそうないほどに強烈なもの。ゲームをプレイすればこのイラストの妥当性も納得がいくものだが、発売当時は「流石にレジに持っていくのは恥ずかしい」と買いそびれてしまったファンもいるとか。
--復刊ドットコムでの復刊希望票数はゲーム関連本の中ではぶっちぎりの得票数であり、書籍全体から見てもトップ5内に入ることからも需要の高さが伺えた。
---長らくプレミアがついていたが、2014年1月14日に復刊が決定し、4月より再販された。尤もその復刻版も既にオリジナル同様プレミアとなってしまっているが。

-人を選ぶ難解なシナリオや巨大ロボットを操るといった類似点や当時の流行などから、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を引き合いに出すユーザーも少なくない。
--一部似ている部分もあるものの、全体的に作風は異なる。他にも「幼年期の終り」「惑星ソラリス」「ソイレント・グリーン」等の古典SF、「装甲騎兵ボトムズ」「強殖装甲ガイバー」のようなアニメ、コミックス等影響を受けたと思われる作品は多数挙げられる。
-登場人物エリィとマルーは、一年半後に発売された同社製のゲーム『[[フロントミッション3]]』にゲスト出演している。正確には、彼女らのコスプレをしている女性の写真を閲覧できるものだが。

-Disc1の終盤で登場する施設「ソイレントシステム」は、内容の残酷さとギリギリな表現から''ゲーム史上屈指のトラウマシーン''として今も語り草となっている。

-本作の主人公フェイの、「両脚を揃え、両腕を中途半端に上げて跳ぶ」と言うジャンプモーションは、のちのゼノシリーズでも全て採用されており、ある意味本シリーズのお約束の一つになっている。
--その他、立ち止まれないほどの急斜面に立った時にフェイがジャンプモーションのまま滑り落ちるようになるという独特な挙動も、のちのゼノシリーズで使われている。
--『[[ゼノブレイド2]]』ではとあるキャラの格闘の構えがヴェルトールのモーションになっているという小ネタもある。

-後に『[[ワールド オブ ファイナルファンタジー]]』に本作の最後の主人公機「ゼノギアス」をモチーフとしたミラージュ「XG」が登場し、ファンを驚かせた。なお、デザイナーは元ネタと同じ人物である。

-後年になってのコラボ
--2016年になって『[[フィギュアヘッズ>フィギュアヘッズエース]](リンク先はAC版の『エース』)』とのコラボレーションが実現し、フェイ、バルト、シタン、エリィ、ヴェルトール、ブリガンティア、ゼプツェンが出演している。
---更には2018年には本作とのコラボ第二弾が開始され、ゼノギアスとE・アンドヴァリまでもが登場した。
--他にも2018年にソシャゲの『ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス(FFBE)』と複数回コラボも行われた。これらのように、少しずつ表に出る事も増えてきている。

//#region(14年越しの新事実)
//&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=8YC0ZBAlxWk)
//#endregion
//↑制作人のインタビューとかで新事実が明らかになった、とかならともかく、これはただのデータ・攻略情報じゃないか。ここに載せることではない。
//LALの結婚おめでとりがOKだったもんで
//OKというか、単に存在を気付かれていないだけの気がする。あの記述もさすがにいらない気が。
//他の気づかれないシステムも含めて簡潔に
-闇属性攻撃は属性付与すると吸収能力が付く、特定キャラが倒れると特定キャラの攻撃力がアップする、などといったシステムがあるのだが、ゲーム中にも攻略本にも説明がないためほとんど気づかれることはなかった。

-主要スタッフの多くがスクエニにいないため、オリジナルスタッフによるリメイクは困難となっている。
--権利はスクエニにあるので、彼ら抜きでもリメイクはできるが、内容の膨大さからかなりの予算と期間がかかる事は間違いない。
--近年のコラボやゲスト出演の多さはこうした事情を考慮しつつもファンを大切にする姿勢の表れとも取れる。

-ムービックから本作のコミックアンソロジーが出版されていたが、作家陣に本作のスタッフである田中香こと嵯峨栗生(現・嵯峨空哉)が参加している。

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