ホーギーヒューwithフレンズ
【ほーぎーひゅーうぃずふれんず】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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Nintendo Switch
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開発・発売元
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ピクセル |
発売日
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2021年6月3日
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定価
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ダウンロード版 2,200円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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備考
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2018年10月21日にiOS版、 2018年12月7日にPCパッケージ版、 2019年6月11日にSteam版(英語)が発売
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ポイント
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音楽・キャラクターデザインに実績のあるクリエイターを起用 ゲーム性はあらゆる面で良くも悪くもレトロ
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概要
随所にレトロゲーの雰囲気を感じさせる、ドット絵による2D横スクロールシューティング。
上記の基礎情報の備考にある通り、様々なプラットフォームと紆余曲折を経てSwitchに移植されたほか、各キャラクターが実在するペットをモチーフにしているのが特徴(いずれも余談にて後述)。
「シャンティ」シリーズで有名なイラストレーターKOU氏がキャラクターデザインを、「グラディウス」シリーズやBEMANIシリーズで有名な古川もとあき氏がBGMを担当している。
ストーリー
こことは別の、地球の物語。
様々な種族が、それぞれの価値観や信仰心を胸に日々を生きている・・・
そんな、どこかで聞いたような世界の物語。
過干渉をさけていた国家間は、小さな問題はありながらも平和な時間を過ごしていました。
しかし、とある日起きた小さな町の悲しい殺人事件がやがて世界を巻き込んだ大戦に発展してしまいます。
戦争のさ中、世界の争いを憂いていたハワード博士は旅の途中、地球外から来たと思われる光る石を偶然発見します。
ハワード博士は石の力を解析し、武器や通信を無効化し平和的に戦争を解決出来る装置の研究に取り組みました。
しかし開戦から2年後、ハワード博士の発明の完成を待たずして戦争は終わりを告げました。
6年後
ゴーザリアンと命名された侵略者が、突如地球に攻撃を開始。
ハワード博士の研究後、廃棄された光る石が宇宙に送り続けていた信号が、彼らを呼び寄せたのです。
ゴーザリアンに対し、戦後の国家間の平和協定を破り、
兵器を捨てずに開発を続けていた一部の国の最新兵器による攻撃が行われました。
しかしすべて無力化され、ゴーザリアンの反撃により都市にも被害が出てしまいます。
政府もコミュニケーションを試みますが、応答は得られません。
異星からの侵略と認識した世界は団結し、迎撃作戦を決定します。
しかし平和協定による武器の一斉破棄と先の一部国家の暴走もあり、強力な兵器はほとんど残っていませんでした。
大陸から少し離れた南の島
「価値観が違うって理由だけで、なぜ命を奪わなければならない?」
「理解し合えなくても命の重さは変わらない」
「命を奪うために飛行機乗りになった訳ではない」
そんな理由で戦争から逃れた二人のパイロットがいました。
ヒューとフィガロ。
皮肉にも戦争を拒否して戦中から南国に隠居していたパイロット、
ヒューとフィガロの旧式の愛機だけが、ゴーザリアンによる兵器無力化の影響が及ばない最後の希望でした。
政府からの要請を断り続けていた二人ですが、たくさんの友人や家族たちが騒動に巻き込まれている事を知り、
「大切なものを守るため」と言う理由で出撃を決意します。
こうして、この物語は始まります。
(以上、オープニングムービーより引用)
システム
主人公「ヒュー」が乗った飛行機を操作してステージ最後に現れるボスを倒すとステージクリアとなる。
移動以外の基本操作は「ショット」と「宙返り」のみとシンプル。
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ショットはボタン長押しによるオート連射。
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時折現れるハワード博士が投下するエンブレムを取得していくことで、ショット強化やボム、
ミサイルといった装備が追加されていくほか、第二の主人公「フィガロ」が自機を追従するオプションとして参入する。
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フィガロはRボタンまたはLボタンで自機の前・下・後ろ・上に90度ずつ配置を変えることができる。
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フィガロは無敵だが、ヒューが撃墜されると装備がパワーダウンしてしまうため途中で撤退することもある。
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宙返りをするとヒューがくるりと一回転し、短時間の間無敵になる。同時に、周辺のアイテムを引き寄せる。
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本作における重要なシステム。無敵時間はかなり長く、宙返りが終わった後も少しだけ無敵が持続する。
敵の猛攻を切り抜けることはもちろん、壁をすり抜けることも可能。
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宙返りするには画面左上の
青いゲージ
が満タンである必要がある。宙返りをするとゲージは空になるが、比較的短時間で回復する。
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画面左上の
黄色いゲージ
が満タンの時に限り、敵や弾や壁に触れてしまっても墜落=地面に落下する前にレバガチャをすることで残機を失うことなく復帰できる。
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墜落までの猶予は短く、画面上部で被弾した場合に限りなんとか間に合うかどうかといったところ。
しかし、予め被弾することが予期できていれば復帰できる可能性は高まる。
このシステムを前提とした初見殺しのようなギミックも存在する。
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黄色いゲージは復帰の際に空になる。こちらも一定時間で回復するが、青いゲージよりも回復が遅い。
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残機を失った場合はその場で復活する。
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残機を全て失った場合のコンティニューは不可能だが、到達済みのステージまではタイトル画面からステージセレクトが可能となる。
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ステージ道中の特定のポイントで、ハワード博士の飛行船が画面上部に出現する。
この飛行船に触れることでショップ画面に移行し、雑魚などから得られる「キューブのかけら」を代価に装備品を購入できる。
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自身が撃墜されるまで有効な追加装備「サブウェポン」のほか、ボムやミサイルのバリエーション変更やスピードアップ・ダウン、バリア、1UPがある。
エターデイ
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ゲームオーバー時に所持していた「キューブのかけら」で街を復興させることができるモード。
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復興が進むと住民が増えるほか、ゲーム本編を有利に進められるアイテムを購入できるショップ、
作中BGMやキャラクター設定画像などを閲覧できる喫茶店や美術館が建造される。
評価点
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「宙返り」システム
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一般的なシューティングゲームにおけるボムのような位置づけのシステムだが、
強力な兵器で敵を一掃するのではなく くるりと機体を翻してピンチを切り抜けるというのは見た目にも面白く、ポップで平和的な世界観ともマッチしている。
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回数制ではなくゲージ制になっているため、ある程度気兼ねなく使って行けるのと同時に
連打によるゴリ押し抑止にも繋がっている。
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KOU氏によるキャラクターデザイン
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シャンティシリーズなどで有名なイラストレーターであり、デフォルメのきいたケモノたちはとてもかわいらしい。
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いずれも実在するペットがモチーフになっており、デザインに取り入れられている(余談にて後述)。
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古川もとあき氏によるBGM
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グラディウスシリーズなどで有名なコンポーザーであり、空を駆ける爽快感とマッチしている。
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エターデイによる追加装備が増えていくと純粋に機体が強化され、並み居る敵をなぎ倒す無双感が得られる。
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本作のシナリオに込められたメッセージ性。
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「それぞれ価値観が異なり分かり合えない者どうしが同じ世界で生きていくために必要なことは何か」という
深いメッセージが込められたエンディングは強く印象に残る。
賛否両論点
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余談にて後述するが、本作はあえてFC~SFC時代のレトロゲームを意識した作品になっている。
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ゲーム本編は基本的にドット絵で描かれているが、キャラクターやオーロラなど一部グラフィックは高解像度になっている。
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レトロゲーを意識したビジュアルに回帰したゲームも小規模なインディーゲーム開発の普及により珍しくなくなっているが、
本作はビジュアルだけでなくゲームシステムやボリュームまでもFC~SFCレベルになっている。
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エターデイの各アイテムや設備も、ゲームに慣れてしまえば数時間でコンプリート可能。
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あまり時間をかけずに遊べるライトなゲームと考えることもできる。
問題点
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ハイスコアの仕様とゲームバランスの問題
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ゲームオーバー時のハイスコアが記録されるが、エターデイのアイテムやゲームオプションに関わらず1つしか記録されない。
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そのため、エターデイの復興が進むと各アイテムを装備せずに遊ぶ必要性がなくなっていく。
本編は追加アイテムを使用しない前提のゲームバランスになっているため、程なくしてヌルゲー化してしまう。
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加えて、ゲームオーバー(クリア)時の残機数がハイスコアに計上される仕様もこれに拍車をかけている。
ゲームオプションでゲームスタート時の残機数を設定できるが、最大にしないとスコア稼ぎでそのぶん不利になってしまう。
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追加アイテムや各オプションがデフォルト固定の状態で挑戦するモードか、
追加アイテムをフル装備して攻略する前提の高難度モードが欲しいところ。
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エターデイの各アイテムの装備状況が保存されない。ゲームを起動するたびに全てオフになってしまう。
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ゲームを終了するまでは装備状況は維持されるので、ゲームオーバーになるたびに装備し直す必要はない。
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フィガロに比べヒューの影が薄い。
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各ステージの始めに住民たちからSOS通信が入るなど短い会話シーンが挿入されるが、
たとえパワーアップアイテム不足でフィガロ不在であってもほとんどフィガロが応答してしまうため、主人公のヒューの方が添え物のようになってしまっている。
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ネタバレになるため詳細は割愛するが、ラストステージにおいて挿入される重要な役割と熱い展開のどちらもフィガロがこなしてしまい、
エンディングにおけるラスボスとの会話もフィガロの方が目立っている。
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いくつかのバグやミスがある。
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ハワード博士の飛行船ショップにおいて、真上に打ち出すミサイルと斜め上に打ち出すミサイルのイラストと説明文が逆になっている。イラストが正しく、説明文が誤り。
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ステージセレクトの画面で「+」ボタンを入力するとなぜか文字が消えた(Ver.1.01で修正)。
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処理落ちすることがある。
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特に追加アイテムを多く装備していた場合やボス戦で起こりやすい。
総評
KOU氏デザインのかわいらしいケモノたちが活躍するポップな世界観に見合った、ライトで遊びやすいゲームに仕上がっている。
一方、レトロゲームらしさを追求するコンセプトであった本作は令和に発売されたゲームとしてはレトロゲームに回帰「し過ぎている」印象も否定できない。
とはいえロープライス寄りの価格帯であり、STGとしてはかなり難易度が低い部類なので、ポップでライトな世界観やキャラクターもあって肩の力を抜いて気楽に遊べるゲームと言えるだろう。
余談
本作は、開発元の代表者である佐々木氏が東日本大震災の原発事故をきっかけに保護することとなった犬「ヒューガ」と、
ヒューガの元飼い主であったレトロゲーム好きの少年Kくんが開発の発端となっている。
そうして出来上がったPC版ホーギーヒューはKくんがプレーできるプラットフォームではなかったため、
Kくんの要望を叶えるためSwitch版ホーギーヒュー開発資金を募るクラウドファンディング(外部リンク)が行われ、発売されたのが本作である。
支援者への謝礼として、支援者のペットを擬人化したキャラクターが主にエターデイ等で登場している。
最終更新:2021年09月14日 15:26