全てをクリアした後に話を読み返すと、彼女はかつてこの街で起こったこと、つまりは祐一が封じていた思い出、
そしてプレイヤーが本編中で知ることができる情報のほぼ全てを初めから把握していたらしいことが分かる。
つまり「主人公が思い出すべき『思い出』を、初めから知っていた唯一の存在」に他ならず
特に 名雪、 真琴、 あゆのシナリオで目覚ましい活躍をしている。
一番目立たない 美坂栞シナリオでも主人公がナニをしようとしたか見抜き、栞に覚悟のほどをそこはかとなく聞いている。
最も顕著なのは 沢渡真琴シナリオで、身元不明の居候を引き取るという決定を下し、
シナリオ前半においては数々の悪戯を許しながらも少しづつ諭し、主人公が情報を得るよりも早く(確信は無かったようだが)真琴の正体に感づき、
シナリオ後半では衰弱によって殆ど知的障碍者となっていた後も家族として変わらず接し続けた。
川澄舞シナリオでは毎晩学校へ行くという主人公の奇行を許し、後半木刀を提供している。何故木刀が納屋にあったのかはよく分からない。
月宮あゆシナリオでの秋子さんのウェイトはkanonという物語の解釈( 月宮あゆの記事参照)によってやや異なるが、
あゆが7年前のあの時以降、ずっと意識不明になっている筈である事を初めからもう知っていたのであり、
実際再会時に軽く(彼女にしては物凄く)驚いていたが、そのことを一切尋ねることなくあえてそのまま見守るという行動をとっていた。
そして、自分が「ここにいていい人間」なのか迷っていたあゆに還ってくる場所があると気付かせたのも彼女である。
主人公が知らない衝撃の事実の数々を初めから知っており、知っていながらあえて主人公に一任していた彼女の心中は良く分からない。
シナリオの都合上超然とせざるを得ない点と、職業などの多くの設定の欠けを『謎が多い人物』として昇華させているのは
本編におけるこれらの裏方としての活躍による裏打ちがあってこそであり、「最強の母親」と言われるのもこれ故である。
二次創作でも あゆとは違う意味での デウス・エクス・マキナとして、日常にあるまじきモノや道具をいとも容易く調達してきたり、
シリアスでは全てを知っているかのように、或いは実際に「唯一全てを知っていた人」として本編同様主人公たちを温かく見守る役であったり、
ギャグではジャム製造のために謎の儀式や実験を取り行ったり、彼女の秘密を探ろうとした人が恐ろしい目にあったり
話が収拾不能になった時にどこからともなく 謎ジャムを持ってきてオチをつけたりと幅広く活躍している。
後は公式でも不明な年齢ネタがちょくちょく出てきたりどんなことにも一秒で「了承」と言ったりと物凄く事に大らかだったりと意外とネタに困らない。
でも基本あらあらうふふな優しいお母さん。彼女を基としてあらあらうふふな理想の優しい母親ネタの発祥地とも呼ばれている。
(今後も鍵などで彼女を元祖とした母親キャラが大勢出てくる。ある意味偉大な人。)
色々と謎が多い上にこのような活躍ぶりから『Kanoso』を始めとする様々な二次創作によって『最強の母』的な無茶な後付設定が付けられる事が多いが、
肝が据わっているを通り越してあまりにも超然とした性格であるせいで割と違和感が無かったりするから困る。
その場合、 本編で自動車に轢かれて生死の境をさまよった件はほぼ確実にスルーされるのだが、
これすら『Kanon』作中で唯一のフラグなしのパッと出なイベントであること、パッと出故に他ルートでは自動的に回避されていること、
唯一 ヒロイン本人以外発生する危機であるなど例外的な部分が多すぎるため、
終いには本当に交通事故なのかと疑われる始末である。
実際にアニメのこのシーンで、車を華麗に回避したり 逆に車を叩き潰すコラ画像がよく作られていた。
+
|
紳士的余談 |
元々、事実上の前作である『ONE』時点から登場人物にアホの子が多かったのであるが
この『Kanon』と言うゲームの副題が「思い出に還る物語」であるためか、殆どのキャラが「7年前のあの時のままの部分」を持っている
( メインヒロインに至っては 完全停止である)ため 一般的なロリキャラとは違う意味で、
単なる画風だけの問題にとどまらず全員が内面からもどことなく「子供のような雰囲気」を醸し出している。
そのため、 仮にもエロゲーなのにどのヒロインも殆ど「色気」がなく食指が動かないという珍事態が発生している。
(唯一 想い出を持たないヒロインは見た目が…)
その結果、ヒロインの子供な部分を監督し補填する役である秋子さんは必然的に『Kanon』唯一の大人の色気がある存在となり
サブキャラでありながら18禁同人誌の数も突出しており、10年経った今でも未だに同人誌が出続けている。
公式での人気では他のヒロインに譲ってはいたがファンの根強さでは間違いなく彼女が一番。凄いです秋子さん。でも他のヒロイン勢も時々同人誌が出る。
その面でもこの作品が与えた影響は量り知れなかった。又次作品となる「AIR」も未だに同人誌がちょくちょく出ている。恐るべしKey。
|
|