コントローラー遅延検証

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コントローラー遅延検証 - (2019/08/16 (金) 00:55:18) のソース

-&color(black,yellow){この記事はコントローラーの絶対的な良し悪しを決めるものではありません。}
-&color(black,yellow){スティック、ジャイロセンサーの反応については未検証です。}


#divclass(box1){
(2019/8/15)
画像解析をプログラムによる自動検出に変更し、それに合わせて測定方法・データ処理も一部変更しました。
その影響で、''すべてのケースにおいて応答時間の数値が以前よりも&tt(){約0.2F早く}出るようになりました。''
&u(){Switchやコントローラーの性能が変化したわけではありません。}
ご不便おかけしますが、より正確な検証結果が得られているはずですのでどうかご理解ください。

詳細は&b(){[[遅延検証の方法]]}にまとめる予定です。
}


#contents(,fromhere=true,level=3)
----
**はじめに
****概要
ニンテンドーSwitch用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』において、
コントローラーのボタンを押してから画面に反映されるまでの時間&footnote(応答速度、入力遅延、レイテンシ、input lagなどと呼ばれる)を計測した。
比較の項目は以下。
-''コントローラー''
-アダプター
-SwitchのUSBポート:内部・側面
-USBハブ
-GCコン接続タップの灰色端子の有無・GCコン接続数
-TV・携帯・テーブルモード
-スマブラforとSP


****計測方法概略
コントローラー基板に電子回路を接続し、Aボタン入力と同時にLEDが点灯するように設計する。
カメラでLEDとゲーミングモニターを撮影し、LEDが光ってから画面に入力が反映されるまでのコマ数を数える。
この計測で測定されるのは、
+''コントローラーの処理時間''
+ゲーム内部の処理時間
+モニター内部の処理時間
+モニター液晶パネルの応答時間
の合計である。
モニターは[[I-O DATA EX-LDGC251TB>>https://www.iodata.jp/product/lcd/wide/ex-ldgc251tb/]]を使用した。
計測は100回以上を目安に行い、その平均・標準誤差を求めた。
必要に応じて、追加測定や検定を行なった。
詳細は&b(){[[遅延検証の方法]]}を参照。


****注意事項
時間の単位:
-1F(フレーム) = 60分の1秒
-1ms = 1000分の1秒
--1F ≒ 16.667 ms
計測方法の欠点を補完して真の値に近い数値を見積もるため、''計測データには一律の補正をかけている。''
詳しくは[[映像解析>>https://www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/pages/90.html#id_c33b5952]]を参照。

&color(black,yellow){経験的に、手動測定結果には±0.1F前後の誤差が含まれる。}
&color(black,yellow){くれぐれも&b(){値に誤差が含まれること、自動化への切り替えなどで掲載値が変わる場合があること}に注意。}


**測定内容
2019/8/15現在、以下の検証が自動検出です。それ以外の項目は手動検出となります。
-コントローラー比較(一部除く)
-アダプター比較・WiiクラコンProのみ


***コントローラー比較
コントローラーの応答速度の差を比較する。
有線コントローラーはSwitchドック側面のUSBポートに直接接続した。
無線コントローラーは検証するもののみを接続し、混線が起こりにくい環境で計測した。

&u(){(画像クリックで製品ページにジャンプ)}

****純正コントローラー
|&b(){GCコン}&br()&image(GC.jpg,width=100,https://store.nintendo.co.jp/item/HAC_A_GCCKE.html,inline)&br()&u(){&b(){5.786 F}}|&b(){Switchプロコン&br()(&color(red){無線}/&color(blue){有線})}&br()&image(swpro.jpg,width=100,https://store.nintendo.co.jp/item/HAC_A_FSSKA.html,inline)&br()&u(){&b(){&color(red){5.903 F}}} / &u(){&b(){&color(blue){6.733 F}}}|&b(){Joy-Con}&br()&image(joycon.jpg,width=100,https://store.nintendo.co.jp/item/HAC_A_JAAAA.html,inline)&br()&u(){&b(){5.910 F}}|&b(){ウェーブバード}&br()&image(wavebird.jpg,width=100,https://www.nintendo.co.jp/ngc/acce/wavebird/index.html,inline)&br()&u(){&b(){6.059 F}}|


****国内メーカー品
|&b(){HORIクラシック}&br()&image(HORIgc.jpg,width=100,https://hori.jp/products/nsw/classic_controller_pikachu/,inline)&br()&u(){&b(){5.826 F}}|&b(){HORIパッド}&br()&image(HORIpad.jpg,width=100,https://hori.jp/products/nsw/HORIPAD/,inline)&br()&u(){&b(){5.933 F}}|&b(){HORIワイヤレス}&br()&image(HORIwless.jpg,width=100,https://hori.jp/products/nsw/wireless_horipad/,inline)&br()&u(){&b(){5.949 F}}|
|&b(){CYBER有線}&br()&image(cyberw.jpg,width=100,https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028359/,inline)&br()&u(){&b(){6.445 F}}|&b(){CYBER無線&br()(&color(red){無線}/&color(blue){有線})}&br()&image(cyberl.jpg,width=100,https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028304/,inline)&br()&u(){&b(){&color(red){6.455 F}}} / &u(){&b(){&color(blue){6.486 F}}}|&b(){CYBERライト}&br()&image(cyberlite.jpg,width=100,https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028939/,inline)&br()&u(){&b(){6.249 F}}|


****海外ライセンス製品
|&b(){PDP}&br()&image(PDP.jpg,width=100,https://www.pdp.com/en/shop/controller/wired-fight-pad-pro-ns-mario,inline)&br()&u(){&b(){5.731 F}}|&b(){PowerA有線}&br()&image(PowerAWired.jpg,width=100,https://www.powera.com/products/wired-controller-for-nintendo-switch-gamecube-style-black/,inline)&br()&u(){&b(){6.255 F}}|&b(){PowerA無線}&br()&image(PowerAWless.jpg,width=100,https://www.powera.com/products/wireless-controller-for-nintendo-switch-gamecube-style-purple/,inline)&br()&u(){&b(){5.958 F}}|

****上記以外の製品
|&b(){GC類似品}&br()&image(notGC.jpg,width=100,https://ja.aliexpress.com/item/Wii/32910120117.html?spm=a2g0s.9042311.0.0.27424c4d4jq0fq,inline)&br()&u(){&b(){6.324 F}}|&b(){TNS-901}&br()&image(Ulike.jpg,width=100,http://www.dobe-game.com/en/productshow.php?cid=61&id=375,inline)&br()&u(){&b(){6.087 F}}|&b(){TNS-1724&br()(&color(red){無線}/&color(blue){有線})}&br()&image(Ulikewl.jpg,width=100,http://www.dobe-game.com/en/productshow.php?cid=61&id=378,inline)&br()&u(){&b(){&color(red){6.479 F}}} / &u(){&b(){&color(blue){6.510 F}}}|&b(){Tectinter}&br()&image(tectinter.jpg,width=100,https://ja.aliexpress.com/item/32933638800.html?spm=a2g0s.9042311.0.0.3bfd4c4dzTZ78F,inline)&br()&u(){&b(){6.015 F}}|


****計測詳細
検証に使ったGCコンはスマブラX時代に販売されていた通称「白コン」。
GCコン接続タップは純正品(WiiUのロゴ入り)。
[[公式サイト>>https://www.smashbros.com/ja_JP/products/relation.html]]によれば、Switch用として販売されているタップはWiiU用の物と同一仕様である。
Joy-ConはLRセットでの接続で、Joy-Con(R)のAボタンを押した。
Switchプロコン、CYBER無線タイプを有線接続する際は、Switchプロコン付属のUSB Type-Cケーブルで接続した。


****結果詳細
''(USB)'' は、有線接続に対応している無線コントローラーをUSB(有線)接続したときの値。
''標準偏差''は、応答速度の不安定さの目安(測定回数を増やしても減らない)。
''標準誤差''は、平均値の誤差幅の目安(測定回数を増やすほど減る)。

|No.|コントローラー|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|h
|1|GC|&b(){5.786 F}|±0.335 F|0.007 F||
|2|SwPro無線|&b(){5.903 F}|±0.316 F|0.005 F||
|2.5|SwPro有線|&b(){6.733 F}|±0.461 F|0.014 F||
|3|Joy-Con|&b(){5.910 F}|±0.321 F|0.032 F|手動検出|
|4|GC Wavebird|&b(){6.059 F}|±0.340 F|0.007 F||
|5|HORI GC型|&b(){5.826 F}|±0.333 F|0.007 F||
|6|HORIパッド|&b(){5.933 F}|±0.348 F|0.011 F||
|7|HORIワイヤレス|&b(){5.949 F}|±0.314 F|0.005 F||
|8|CYBER有線|&b(){6.445 F}|±0.333 F|0.033 F|手動検出|
|9|CYBER無線|&b(){6.455 F}|±0.365 F|0.008 F||
|9.5|CYBER無線(USB)|&b(){6.486 F}|±0.350 F|0.008 F||
|10|CYBERライト|&b(){6.249 F}|±0.375 F|0.008 F||
|11|SN30|&b(){6.477 F}|±0.411 F|0.009 F||
|12|PDP|&b(){5.731 F}|±0.307 F|0.008 F||
|13|PowerA有線|&b(){6.255 F}|±0.335 F|0.010 F||
|14|PowerA無線|&b(){5.958 F}|±0.316 F|0.007 F||
|15|GC類似品|&b(){6.324 F}|±0.462 F|0.010 F||
|16|TNS-901|&b(){6.087 F}|±0.381 F|0.008 F||
|17|TNS-1724|&b(){6.479 F}|±0.376 F|0.007 F||
|17.5|TNS-1724(USB)|&b(){6.510 F}|±0.346 F|0.008 F||
|18|Tectinter|&b(){6.015 F}|±0.348 F|0.010 F||
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}

GCコンはSwitchプロコン(無線)よりも少し応答が速い。
Switchプロコンは、有線接続時の方が明らかに遅延が大きい。応答速度も不安定になる。
他の有線・無線両用タイプも、有線接続によって遅延が少なくなることはない。
サードパーティー製で応答が速いのは、PDP, HORIコン, PowerA無線。


****無線コンの応答速度の周期性
本検証において、無線コントローラーの応答速度が周期的に変化していることが確認された。
周期は''どの無線コンでも&tt(){約500秒}''で、''平均値の振れ幅は最大&tt(){約0.3F}''。
(ただし通信方式の異なるウェーブバードに限り、周期は&tt(){約300秒}。)
応答速度はひとつの周期の中で徐々に遅くなっていき、周期が終わると最初の速い状態に戻る。
#image(swL_signal_N.png,https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/attach/40/694/swL_signal_N.png, width=360,inline)#image(swL_Amplitude_tlog.png, https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/attach/40/693/swL_Amplitude_tlog.png, width=360,inline)
↑ 無線接続したSwitchプロコンのデータ。
左:応答速度の時系列データ(平均との差を描画)。明らかに周期的な変化が発生している。
右:フーリエ変換による周期成分抽出。500秒付近にピークがある。

#image(swW_signal_N.png,https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/attach/40/692/swW_signal_N.png, width=300,inline)#image(swW_Amplitude_tlog.png,https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/attach/40/695/swW_Amplitude_tlog.png, width=300,inline)
↑ こちらは有線接続したSwitchプロコンのデータ。
周期的な変化は見られない。

また、2019年6月の検証において「Switchプロコン無線の応答速度が2019年1月よりも0.3F早くなった」という結果が出ていた。
これは1月と6月がそれぞれ周期変化の上限・下限に対応するタイミングで測定していたとすると説明がつく。


***接続数比較
&b(){同時接続されているコントローラーの数}による、無線コンの応答速度の違いを調べる。
Switchに接続されているコントローラーの状態として、次の2種類をそれぞれ試した。
-&b(){&color(red){操作を常時受け付けている状態}}:ボタンを押して「&color(red){認識}」されている
-&b(){&color(blue){実質的に接続が切れている状態}}:ボタンを一度も押していない。無線コンは「&color(blue){登録}」のみ・有線は「&color(blue){配線}」のみの状態
''測定対象はSwitchプロコン(無線)''。
他に接続するコントローラーは、
-無線:Joy-Con(L), Joy-Con(R), CYBER無線タイプ, SN30, TNS-1724, PowerA無線, 8BitDo GBros. Wireless Adapter
-有線:GCコンx2, HORIコン, CYBER無線タイプ(USB), TNS-901, PDP, PowerA有線
とした(それぞれ計7台)。

****結果
|&color(red){認識数}|&color(blue){登録・配線数}|遅延平均|標準偏差|標準誤差|h
|1台|無線登録3台|&b(){5.815 F}|±0.298 F|0.030 F|
|1台|無線登録8台|&b(){5.803 F}|±0.354 F|0.035 F|
|1台|無線登録8台&br()有線配線7台|&b(){5.803 F}|±0.696 F|0.069 F|
|1+有線7台|無線登録8台&br()有線配線7台|&b(){5.974 F}|±0.708 F|0.070 F|
|1+無線7台|無線登録8台|&b(){6.110 F}|±0.363 F|0.036 F|
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}
-無線コン登録数は応答速度に影響しない。
-有線コン配線数が増加すると、応答時間の平均には影響しないが、応答時間のバラつきが大きくなる(速度が不安定になる)。
-有線コン認識数が増加すると、応答時間が遅くなる。
-無線コン認識数が増加すると、応答時間がより遅くなる。

オフ大会会場などでは、無線プロコンに体感できるレベルの入力遅延が発生するという報告も多数ある。
台数をさらに増やした場合についても要検証。
測定したのは無線プロコンのみだけだが、同様の環境で有線コントローラーの応答速度がどうなるのかも検証課題である。



***アダプター比較
''コントローラー用アダプターの応答速度の差''を比較する。
アダプターはSwitchドック側面のUSBポートに直接接続した。
|アダプター|image|対応コントローラー|h
|[[GC 公式接続タップ>>https://store.nintendo.co.jp/category/ACCESSORY/HAC_A_GGGKA.html]]|&image(nintendotap.jpg,width=100,https://store.nintendo.co.jp/category/ACCESSORY/HAC_A_GGGKA.html)|GCコン|
|[[CYBER・GCコントローラー変換アダプター(SWITCH用)>>https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028540.html]]|&image(cybertap.jpg,width=100,https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028540.html)|GCコン|
|[[8BitDo GBros. Wireless Adapter for Switch>>https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028618.html]]|&image(8bitGC.jpg,width=100,https://www.cybergadget.co.jp/products/4544859028618.html)|GCコン,Wiiクラシックコントローラー|
|[[MAGIC-NS>>http://www.mayflash.com/Products/NINTENDOWiiU/MAGIC-NS.html]]|&image(magicns.jpg,width=100,http://www.mayflash.com/Products/NINTENDOWiiU/MAGIC-NS.html)|Bluetooth/USB有線接続コントローラー|
|[[8BitDo Wireless USB Adapter>>http://www.8bitdo.com/wireless-usb-adapter/]]|&image(8bitWless.jpg,width=100,http://www.8bitdo.com/wireless-usb-adapter/)|Bluetooth/USB有線接続コントローラー|
#table_zebra(01, #f0f0f0, #fff, #bbb)
&u(){(製品名もしくは画像クリックで製品ページにジャンプ)}

MAGIC-NSは搭載されている以下の2つのモードについて測定を行った。
-無線接続・振動なしのSwitchモード(&color(red){ランプ色:赤})
-無線接続・振動ありのSwitchProモード(&color(#7f00ff){ランプ色:紫})
-有線接続モード
MAGIC-NSに接続するコントローラーは、
-無線接続:Switchプロコンの無線モード、WiiUプロコン
-有線接続:Switchプロコンの有線モード
を試した。

****結果
|アダプター|コントローラー|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|h
|GC 公式接続タップ|GCコン|&b(){5.784 F}|±0.339 F|0.017 F||
|CYBER GC接続タップ|GCコン|&b(){6.068 F}|±0.393 F|0.039 F||
|8bitGC|GCコン|&b(){6.293 F}|±0.430 F|0.025 F|測定200回|
|8bitGC|WiiクラコンPro|&b(){6.266 F}|±0.411 F|0.009 F|自動検証|
|MAGIC-NS(赤)|SwPro無線|&b(){6.835 F}|±0.498 F|0.070 F|測定50回|
|MAGIC-NS(赤)|WiiUPro|&b(){6.765 F}|±0.455 F|0.064 F|測定50回|
|MAGIC-NS(紫)|SwPro無線|&b(){6.948 F}|±0.530 F|0.068 F|測定50回|
|MAGIC-NS(紫)|WiiUPro|&b(){6.975 F}|±0.573 F|0.081 F|測定50回|
|MAGIC-NS 有線|SwPro有線|&b(){7.390 F}|±0.595 F|0.084 F|測定50回|
|8Bitワイヤレス|WiiUPro|&b(){6.748 F}|±0.398 F|0.040 F||
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}
GCコン接続タップ内では、純正品が最速。
無線SwitchプロコンをMAGIC-NS(赤)経由で認識させると、直接Switchに認識させるよりも&tt(){0.9F}遅い(紫だと&tt(){1.0F})。
有線SwitchプロコンをMAGIC-NS経由で認識させると、直接Switchに認識させるよりも&tt(){0.65F}遅い。
WiiUでは、GCコンとWiiUプロコンの差は&tt(){約0.5F}だった。
SwitchにてMAGIC-NS(赤)を経由したWiiUプロコンで比較すると、差は&tt(){約1F}。
MAGIC-NSと8Bitワイヤレスはほぼ同様の機能を持つワイヤレスアダプターであり、応答速度にも有意な違いは見られない。


***USBポート・ハブ
Switchドックの''内部・側面のUSBポート''の差、および''USBハブ''を使ったときの差を検証した。
測定対象は、GCコン接続タップとSwitchプロコン有線接続。

内部のUSBポートは機器的にはUSB3.0規格だが、本体ファームウェアが未対応のため、実質的にUSB2.0と同機能である。&footnote(将来的にファームウェアアップデートでUSB3.0に対応予定、とのこと。)
側面の2つのUSBポートはどちらもUSB2.0規格となっている。

USBハブは、ELECOM社製のバスパワータイプのものを2種類、セルフパワータイプの物を1種類比較した。
-[[U3H-A407B>>https://www2.elecom.co.jp/products/U3H-A407BBK.html]](USB3.0対応、4ポート。''U3Bと表記'')
-[[U2H-SN4B>>https://www2.elecom.co.jp/products/U2H-SN4BBK.html]](USB2.0対応、4ポート。''U2Bと表記'')
-[[U3H-A408S>>https://www2.elecom.co.jp/products/U3H-A408SBK.html]](USB3.0対応、4ポート。AC電源のセルフパワー。''U3Sと表記'')

GCコン接続タップは原則として黒・灰色の端子を両方接続した。
ただしGCコンを内部ポートに直接繋ぐときのみ、黒の端子&footnote(データ転送用端子)のみを接続し、灰色の端子&footnote(振動電源用端子)は接続しなかった。


****結果
|コントローラー|USBポート|ハブ|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|h
|GC|内部|直接|&b(){5.748 F}|±0.339 F|0.034 F||
|GC|側面|直接|&b(){5.743 F}|±0.343 F|0.034 F||
|GC|内部|U3B|&b(){5.820 F}|±0.345 F|0.034 F||
|GC|側面|U2B|&b(){5.858 F}|±0.325 F|0.033 F||
|GC|内部|U3S|&b(){5.785 F}|±0.347 F|0.035 F||
|GC|側面|U3S|&b(){5.775 F}|±0.351 F|0.035 F||
|SwPro有線|内部|直接|&b(){6.760 F}|±0.441 F|0.062 F|測定50回|
|SwPro有線|側面|直接|&b(){6.770 F}|±0.485 F|0.049 F||
|SwPro有線|内部|U3B|&b(){6.753 F}|±0.577 F|0.058 F||
|SwPro有線|側面|U3B|&b(){6.740 F}|±0.484 F|0.069 F|測定50回|
|SwPro有線|側面|U2B|&b(){6.825 F}|±0.473 F|0.067 F|測定50回|
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}
接続箇所(内部・側面)では有意な差は見られない。
USB3.0対応のハブは、応答速度にほぼ影響しないと言える。バスパワー・セルフパワーのタイプ差もない。
USB2.0対応のハブを経由すると応答が少し遅くなるように思われるが、統計的に有意と言うには測定回数が不足している。


***電力不足状態のUSB・プロコン
&b(){1つのUSBポートに対し、USBハブで大量の機器を接続した場合}などには、給電量が不足して分岐先の一部の機器が反応しなくなる。&footnote(USB2.0の給電能力は500mA)
この状態にあるとき、同じハブ内の給電されているコントローラーの応答速度が影響を受けるのかどうかを調べた。
また、''Switchプロコンの充電池を抜き、ポートに直で有線接続した状態''での応答速度も計測した。

測定では、側面のUSBポート1つに対してタコ足配線でスピーカー・大量のコントローラーを接続し、電直不足状態を設計した。
計測対象は''有線接続のSwitchプロコン''とし、充電池フル充電・1個目のコントローラーとして認識させた状態で計測した。
他に接続するコントローラーは手持ちのものを適当に利用し、可能な限りSwitch本体に本体に認識させた。
ちなみに、給電不足だからといって有線プロコンが勝手に無線接続に切り替わることはない。
#region(close,電力不足状態の設計詳細)
-ハブ1:ELECOM USB2.0 4ポート
-+USBスピーカー
-+CYBER無線USB接続
-+PDPコントローラー
-+USBハブ2
-ハブ2:ELECOM USB3.0 4ポート
-+''Switchプロコン''
-+GCコン接続タップ(黒・灰2端子、GCコン3つ接続)
-+USBハブ3
-ハブ3:ELECOM USB2.0 4ポート
-+HORI GC型コントローラー
-+TNS-901
-+PowerA有線
電力不足状態をより顕著に実現するという観点では、ハブ3にSwitchプロコンを接続するのが理想的だと思われる。
しかし、ハブ3に接続したところプロコンが全く認識されなかったため、ハブ2への接続で妥協した。
ハブ3に接続されているコントローラーは動作が非常に不安定で、全く認識されないこともあった。
また、新たにSwitchのコントローラー認識数を増やそうとすると、別のコントローラーの認識が切れることがあった。
#endregion

****結果
|ハブ給電状態|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|h
|通常・電池抜|&b(){6.730 F}|±0.454 F|0.045 F||
|通常|&b(){6.698 F}|±0.486 F|0.049 F||
|電力不足|&b(){6.898 F}|±0.475 F|0.047 F||
|通常|&b(){6.660 F}|±0.482 F|0.048 F|非純正ケーブル|
|電力不足|&b(){6.688 F}|±0.439 F|0.044 F|非純正ケーブル|
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}
電池抜きプロコンは、通常の有線接続プロコンとほぼ変わらない値を示した。

''電力不足状態においては、応答が有意に遅延する場合があった。''
ただし、&u(){電力不足でも接続状況によっては遅延しなかった。}
今回の計測では、接続に使うUSB Type-Cケーブルを非純正品に変えた場合に遅延が発生しなくなった。
非純正ケーブルはCYBER無線タイプに付属していたもので、Switchプロコン付属の純正ケーブルよりも短い。
他の要素は特に変更していないことから、&u(){「短いケーブルは接続が安定している」という仮説が有力}なように思われる。
同時接続できる数が 非純正:7台>純正:4台 で、非純正の方が安定していたことも記しておく。
(上記以上の台数を繋ごうとすると、プロコンの接続が切れた。接続位置やコントローラーの種類にも依存すると思われる)


***GCコン接続タップの灰色端子/GCコン接続数
GCコン接続タップには2つのUSB端子がある。
黒い端子がデータ転送用、灰色の端子が振動モーターの電源用となっており、黒端子のみを挿してもコントローラーは動作する。
ここでは、''灰色端子を繋いだ時と繋がない時で応答速度に差が出るかどうか''を比較した。
合わせて、接続タップに繋ぐコントローラーの個数も変えて検証した。
なおコントローラー所持数の事情で、4個接続の内訳は純正GCコン×2, ウェーブバードx1, GCコン類似品x1 とした。

****結果
|接続数|端子|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|h
|GCコン1個|黒+灰|&b(){5.740 F}|±0.357 F|0.051 F|計測50回。改めて計測|
|GCコン1個|黒|&b(){5.805 F}|±0.310 F|0.044 F|計測50回|
|GCコン4個|黒+灰|&b(){5.810 F}|±0.329 F|0.047 F|計測50回x2|
|GCコン4個|黒|&b(){5.715 F}|±0.340 F|0.048 F|計測50回x2|
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}
結果にはわずかに差があるが、統計的に''ずれは誤差の範囲内''である。
&u(){灰色端子の有無、コントローラー接続数は応答速度に影響があるとは言えない。}


***Switchモード比較
''携帯モード・テーブルモード・TVモード''の3つで応答速度を比較した。
TVモードの結果はコントローラー検証に準ずる。
携帯モード・テーブルモードは、映像解析の補正が一部異なる(詳しくは[[映像解析>>https://www65.atwiki.jp/smashsp_kensyou/pages/90.html#id_c33b5952]]を参照)。

****結果
|モード|コントローラー|遅延平均|標準偏差|標準誤差|備考|
|携帯モード|Joy-Con(接続)|&b(){6.525 F}|±0.431 F|0.035 F|測定50回x3|
|テーブルモード|Joy-Con|&b(){5.990 F}|±0.357 F|0.036 F||
|テーブルモード|SwPro無線|&b(){5.905 F}|±0.427 F|0.043 F||
|TVモード|Joy-Con|&b(){5.910 F}|±0.321 F|0.032 F||
|TVモード|SwPro無線|&b(){6.080 F}|±0.326 F|0.033 F||
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}


***for/SP比較
スマブラforWiiUとスマブラSPの入力遅延を比較した。
コントローラーはGCコン+純正タップ。
''この検証のみ、異なるゲーミングモニター(VX2363SMHL)を使用した。''
また、
そのため、SPの計測値もコントローラー比較のものとは異なる。

****結果
|ソフト|遅延平均|標準偏差|h
|forWiiU|&b(){4.668 F}|±0.359 F|
|SP|&b(){5.780 F}|±0.340 F|
#table_sorter(){head=#bbb,odd=#f0f0f0,even=#ffffff}


**まとめ
#divclass(bggray){
純正コントローラーの応答速度は、速い順に
 GCコン ≧ Swプロコン無線 = Joy-Con ≧ Swプロコン有線
Switchプロコン有線は無線よりも&tt(){0.8F}、GCコンよりも&tt(){1.0F}遅く、シビアな対戦には向かない。

無線コンの応答速度は&tt(){約500秒}の周期で変化する。

有線コン認識数が増加すると、無線プロコンの応答速度は遅くなる。
無線コン認識数が増加すると、より顕著に遅くなる。

GCコン接続タップは、純正品が最速。

SwitchドックのUSBポートについては、内部・側面の差はない。

USBハブによっては、非常にわずかな遅延が発生する場合がある。
GCコン+公式接続タップの場合、速い順に
 直接 > USB3.0セルフ ≧ USB3.0バス > USB2.0バス

ハブ内で給電量が不足している場合、コントローラーの応答速度が遅くなることがある。

GCコン接続タップは、灰色端子を繋がなくても応答速度は変わらない。
GCコンを繋ぐ個数も応答には影響しない。

Switchのモードによる差は、テレビ・モニターの反応速度が良ければ
 TVモード≧テーブルモード>携帯モード

スマブラSPはスマブラforWiiUよりも1フレーム強、応答が遅い。
}

***生データ
[[https://docs.google.com/spreadsheets/d/19Ku4sFNVtsaVavgAL5D_n6aNvO7PC-T6m8kdfY7WIGk/edit?usp=sharing]]


**計測詳細
&b(){[[遅延検証の方法]]}へ移動しました。


**おわりに
繰り返しになるが、この検証は''コントローラーの絶対的な良し悪しを決めるものではない''。

特に、この検証では「ボタンを押す」という物理的な動作にかかる時間を想定していない。
ボタンのゴムが高い・硬いならば、指でボタンを押してから実際に信号が送られるまでは時間がかかる。
GCコンのLR,Zボタンに関しては物理的な構造が普通のボタンとは異なるため、押下→入力までの時間も通常のボタン以上に長い。

現実にはボタンまで指を運ぶ動作もあるし、コントローラーのボタン位置に慣れていなければその分だけボタンを押すのは遅くなる。
数ミリ秒の応答速度のために手に馴染まないコントローラーを使うよりは、
使い慣れたコントローラーで操作したほうが総合的に反応が速くなるのは間違いない。
0.3Fくらいまでの入力遅延なら、ボタン配置や握り心地などの好みを優先してもいいように思う。


**参考
****[[GigaBoots Button2Pixel>>https://www.youtube.com/watch?v=FWqSODoookc&list=PLQ8UAZp_byp-QiqNTGL49vx5kaL1ZAR2n]]
海外で行われた同様の検証。結果は本ページのものとおおよそ整合的。
他にも歴代のスマブラシリーズの遅延比較などを行っている。
この動画シリーズでは、ロックマン11はセルフパワーのUSBハブでGCコン接続タップの応答速度が向上したという結果が出ている。
動画投稿者によると、スマブラではそのような現象は見られなかったと言う。

****[[Switch Pro vs. GameCube Latency Test for Super Smash Bros Ultimate>>https://youtu.be/fbgQdM6TcEM]]
複数のコントローラーに配線を繋ぎ、ボタンが同時に入力されるように設定し応答に差が出るかどうかを調べた検証。
結果は以下の通り。
-Switchプロコン有線が無線よりも1F遅い
-GCコンと無線プロコンを比べた場合、
--83%:同時に入力される
--14%:GCコンの方が速い
--3%:プロコンの方が速い

****[[Controller input lag test and comparison - Rocket Science #17>>https://youtu.be/Cv-OOn7iYio]]
結果(画像):[[https://i.imgur.com/6rVNjSU.png]]
ロケットリーグでの検証。検証方法の詳細を参考にした。

****Noodalls氏,WydD氏による独自の検証方法
入力したタイミングを、コンバーターでゲーム画面に直接表示する手法。PS4などの格闘ゲームが調査対象。
リンク:
-[[Input Lag Mega Thread>>https://twitter.com/WydD/status/1011050940860915713]]
--[[Updated data(2018/10/18)>>https://twitter.com/WydD/status/1052891013549883393]]
-[[Input lag methodology>>https://youtu.be/lXOZW0yxans]]
-[[Noodalls input lag testing>>https://forums.shoryuken.com/t/noodalls-input-lag-testing-unique-method-games-controllers-etc-dbzf-x1-beta-mvci-ps4-added/182254]]
--このスレッド内にはスマブラforの検証結果が合わせて掲載されている。他のゲームとの相対的な差を知るのに有用。

****[[ストⅤの入力遅延>>https://kakuge-checker.com/topic/view/06148/]]
ストリートファイターⅤでは「50秒の周期で入力遅延が4~7Fの間を推移する」という仕様が指摘されたことがある。
現在はアップデートで改善した。


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**コメント
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