結果概要(ver8.1.0)
スマブラSPの専用部屋1on1・観戦者なしのオンライン対戦は、オフラインと比べ平均 +3.985 Fの入力遅延がある。
(オフラインの入力遅延の値は
コントローラー遅延検証
を参照)
さらに専用部屋の場合、その部屋に入室している人数に応じて入力遅延が追加される。
入室人数 |
追加遅延 |
2人 |
なし |
3~4人 |
+1F |
5~ 人 |
+2F |
ver8.1.0のアップデートにより、観戦者がいない1on1対戦の入力遅延は1F減少した。
計測方法
概要
基本的な計測方法は遅延検証の方法に準ずる。
オフラインとオンラインの画面を同条件で撮影し、両者の応答時間の差をオンラインの入力遅延とみなした。
乱闘ルールは、タイム制10分(計測時間は実質約9分半)。
使用コントローラーはゲームキューブコントローラー。
ステージは75m終点化、撮影するのはピカチュウの弱攻撃とした。
カメラ位置
コントローラー遅延検証では、撮影の際に
トレーニングモードのカメラ設定「もっとアップ」を利用していた。
しかし、オンライン対戦ではこの設定が使えない。
そこで、カメラをモニターに近づけて、ピカチュウがアップになるように撮影した。
当然ながら、このときに画面上でピカチュウが表示されている位置はトレーニングモード「もっとアップ」と異なる。
したがって、ボタンを押してからピカチュウが動き出すまでの絶対的な時間も
コントローラー遅延検証とは異なる。
そこで、オフラインでも「もっとアップ」を使わない撮影方法で応答時間を測定し、それとオンラインとの差を取った。
相対的な差を出すぶんには、撮影方式が
コントローラー遅延検証と異なっていても問題ない。
注意
遅延の大きさは、曜日・時間帯によって結果が異なる可能性がある。
また、自分と相手のインターネット環境にも大きく依存する。
全ての環境でこれと同様の遅延が発生するわけではないことに注意。
結果
計測者
のインターネット回線はぷららドコモ光。
有線接続で、ping値は約10 ms。
計測結果は以下の通り。
計測相手は、有線接続かつ通信が比較的安定している人のみを対象とした。
1on1計測結果
専用部屋1on1, 観戦者なし。
2020/3/28(土)午後(ver7.0.0), 2020/8/8(土)午後(ver8.1.0)に計測。
8/8には、協力者にA~Dの名前を振った。下の「観戦者の有無」「対戦人数」の備考欄に対応。
日時 |
地域 |
回線情報 |
オフラインとの差 |
備考 |
2020/3/28(土) 13-14時 |
関西 |
ソフトバンク光 |
+5.080 F |
|
関東 |
ソフトバンク光 |
+5.066 F |
|
中部 |
au |
+5.061 F |
|
関東 |
So-net |
+5.065 F |
|
2020/8/8(土) 15-17時 |
関東 |
- |
+3.976 F |
A |
関西 |
- |
+3.967 F |
B |
関東 |
- |
+4.008 F |
C |
関東 |
- |
+3.987 F |
D |
観戦者の有無
専用部屋1on1, 観戦者の有無を比較。
全てプレイヤーAとの対戦での計測結果。
2020/8/8(土)の午後に計測。
観戦人数 |
オフラインとの差 |
観戦者 |
0人 |
+3.976 F |
|
1人 |
+4.955 F |
B |
3人 |
+5.998 F |
B,C,D |
対戦ルール
専用部屋の1on1ルール、および4人乱闘ルールの比較。
2020/8/8(土)の午後に計測。
対戦ルール |
オフラインとの差 |
備考 |
1on1 |
+3.985 F |
A,B,C,Dの平均 |
4人乱闘 |
+4.929 F |
A,B,Cと乱闘 |
ver8.1.0のアップデート
ver8.1.0のアップデートは、
観戦者がいない1on1対戦に限り、チックレートを30Hzから60Hzに引き上げる
という内容であったことが解析により判明している。
これにより、理論的にはアップデート前に比べて遅延が1F減少することになる。
これは、今回の計測結果はこの理論と整合的である。
チックレートが遅延に与える影響
チックレート(Tick Rate)は、オンラインサーバーがデータを処理する頻度のことである。
チックレートが60 Hzなら1秒間に60回、すなわち1Fに1回データを処理する。
スマブラSPのオンライン専用部屋におけるチックレート設定(ver8.1.0以降)は下表の通り。
入室人数 |
チックレート |
送受信頻度 |
2人 |
60 Hz |
1Fに1回 |
3~4人 |
+1F |
2Fに1回 |
5~ 人 |
+2F |
3Fに1回 |
処理間隔が1F伸びると、受信したデータの処理を開始するタイミングが1F遅くなる(下図)。
すると、入力遅延が1F増加することになる。
具体的には、チックレート60 Hzを基準にすると、30 Hzは +1F, 20 Hzは +2Fだけ入力遅延が大きい。
これこそが、入室人数の違いが入力遅延を生む仕組みである。
↑ チックレートの違いによる処理開始の遅れ。
参考
- 簡易的な検証結果
- オンライン対戦のチックレート&仕様解説
コメント
最終更新:2020年08月09日 14:18