GC型コントローラーを比較してみた

2019/6/8 記事作成
2019/8/20 応答速度更新・PDPコンの誤作動追記


はじめに

ゲームキューブコントローラー(GCコン)は、今も多くのスマブラプレイヤーに愛されるコントローラーである。
その人気を受け、サードパーティーメーカーからもGCコンと同形状のコントローラーが発売されている。
この記事では、メジャーなGC型コントローラーについて簡単なレビューを行う。
私の主観によるレビュー であることに留意してください。

紹介するコントローラーは以下の通り。
コントローラー image
ゲームキューブコントローラー
ウェーブバード
GCコン 類似品
ホリ クラシックコントローラー for Nintendo Switch
PDP Wired Fight Pad Pro
PowerA Nintendo Switch Wired Controller GameCube Style
PowerA Wireless Controller for Nintendo Switch – GameCube Style


全般

「重さ」は、 ケーブルを除いた 重さ。(ケーブルを手で支えて計測した)

「スティック遊び」は、 中心付近の微小なスティックの動きを感知しない仕様のこと
スティックデバイス、もしくはコントローラーの基板の特性が原因。
補正が「あり」のコントローラーは、 斜め入力が入りにくい という特徴がある。

''どのコントローラーも、純正のSwitch Pro コントローラーを本体に登録しているときに限り、HOMEボタンでSwitchの電源を付けることができる。''

コントローラー紹介

ゲームキューブコントローラー

  • 価格:1,980円+税
  • 接続:GC端子
  • 振動機能:あり
  • 重さ:200g
  • 応答速度:5.786 F
  • スティック遊び:なし
  • 備考:ZL,HOME,キャプチャー,+,−,LRスティック押し込みボタンが無い
※レビューの対象にしたのは、スマブラXに合わせて発売されたもの(通称「白コン」)。
生産時期とコントローラーの特徴の関係性は 別サイトを参照のこと

仕様・特徴
2001年のハード発売からずっと現役 という恐るべきコントローラー。
スマブラSP発売に合わせて再販されたが、恒常的に品薄状態。
Switchで使うには接続タップが必須で、こちらも純正品は品薄である。
他社からも接続タップが出ているが、 応答速度は純正タップのほうが優秀

追記:2019年冬にGCコン・接続タップが再版されることが決定した。
2019年10月現在、マイニンテンドーストアにて予約受付中。

ボタン・スティック
ABXYボタンはストロークが浅め。 連続的な感触で程よい硬さである。
ボタンの押し心地はやはり純正GCコンこそが至高だと感じる。

Zボタンは金属板バネ+スイッチ という珍しい仕様となっている。
ボタンは小さめ。ボタンを押し込むほど反発が強くなり、スイッチのクリック感は弱い。
これらの特徴のせいで、 Zボタンは使いづらい
一応、分解してバネの位置を調整したりバネを取り外したりすれば、ボタンの硬さを調整することができる。

L, Rボタンは、
  • 押し込む過程がアナログトリガー
  • 一番深くまで押し込むとデジタルボタン
という仕組み。ゲーム上のLRボタンの認識の仕様は作品によって異なる。

●DX
アナログトリガーの押し込み具合で、シールドの濃さと大きさを調整できる。
空中回避、受け身、ジャストシールドなどのアクションはデジタルボタンで行う。
参考:http://dx.smashbr0s.com/guide/advanced/shield/
※DXはキーコンフィグ機能が無い。

●X
デジタルボタンで入力を判定する。
アナログトリガーは使われていない。

●for, SP
アナログトリガーを半分くらいまで押し込むと、ボタン入力として認識される。
デジタルボタンは使われていない。
for, SPの挙動は、 接続タップの仕様によるもの である。
スマブラ以外のソフトやPCに認識させた場合も同じ動作になる。

スティックはやや硬め。
押し込みスイッチが無いため、スティック補正機能は使えない。
デバイスのメーカーは不明。
スティック軸は、RKJXV1224005系のパーツをそのまま移植することが可能。
逆にRKJXV1224005にGCコンのL/Cスティックを移植するには、スティック軸に加工が必要(参考)。
↑ スティックパーツ比較。右がGC,左がRKJ系。穴の大きさは同じ。GCは右上・左上の角が飛び出している。

スティック周りは八角形の縁取りでお馴染みだが、実はこの八角形、 コントローラーの向きに対して少しだけ右に傾いている。
ほとんどのサードパーティー製品でもこの形状が踏襲されている。

パーツ・分解
分解にはY字ドライバーが必要。
ネジ止めされているのは外側のケースだけ。基板を固定するネジが一つも無いのは珍しい。
スティックパーツ、ボタン、スティックデバイス、ボタン用ゴムなどの部品は、 AliExpressなどで交換用パーツが販売されている
交換用パーツが手に入りやすいのは純正品だからこその強みと言える。
新品コントローラーが入手しづらい今、故障したら自前での修理も視野に入ってくる。
パーツを交換した人がいたらぜひ感想を聞かせていただきたい。
↑ 分解したGCコン。


ウェーブバード

  • 価格:4,500円+税
  • 接続:GC端子
  • 振動機能:なし
  • 重さ:245 g(電池含む)
  • 応答速度:6.059 F
  • スティック遊び:なし

仕様・特徴
ゲームキューブが現役ハードだった時代に販売されていた、ワイヤレスタイプのGCコン。
現在は中古品でしか手に入らない。
単三電池2本で駆動。通信規格は2.4GHz帯。
セットのワイヤレスレシーバーをGCコン差込口に差して使う。
WiiU・Switch用GCコン接続タップでも問題なく使用できる。
振動機能が無いこと、若干重いことを除けば、GCコンと使用感は変わらない。


GCコン類似品

  • 価格:1000円前後
  • 接続:GC端子
  • 振動機能:あり
  • 重さ:157 g
  • 応答速度:6.324 F
  • スティック遊び:あり

仕様・特徴
GCコンの類似品。サイズ感はGCコンと全く同じ。
安っぽいと評されても仕方ないと思うが、ボタンやスティックの感触に関しては好みの範囲だと思う。

ボタン・スティック
ボタンはクリック感が強め。
Zボタンには金属板バネが無い。押すと「カチッ」という明瞭なクリック音が鳴る。
スティックはGCコンとあまり変わらないように感じる。
振動機能は搭載されているものの、とても弱い。

パーツ・分解
ボタンやスティックなど、ほとんどのパーツがGCコンとの互換性を持つ。
↑ 類似品の基板。中央にTURBO, SLOWというボタンがあるが、コントローラー上にはこのボタンは存在しない。


ホリ クラシックコントローラー for Nintendo Switch

  • 価格:2,980円+税
  • 接続:USB
  • 振動機能:なし
  • 重さ:139 g
  • 応答速度:5.826 F
  • スティック遊び:あり
  • 備考:連射、連射ホールドが設定可能。速さは秒間約5/10/20回の3段階。


仕様・特徴
左右の持ち手の角度が閉じ気味。
さらに、 Lスティックの位置が下にずれている。
このため、握った感覚はGCコンとはかなり違う。
持ち手には細かい網目パターンの表面処理が施されていて心地良い。

ボタン・スティック
スティックの跳ね戻りがとても起きやすい。
スティック中央の遊びにより、 斜め入力がやや入りづらい。
スティックの遊びはコントローラー基板の仕様である。

ABXYボタンはふかふかした押し心地
''LR, ZLZRは非常に素直な配置・形状''で、とても押しやすい。
十字キーはのっぺり・大きめで、入力しやすい。
ゴムの耐久性にやや不安があるそうなのが玉に瑕。交換品も見つからない。

↑ ABXYボタンのゴム。左がGCコン、右がHORIコン。HORIコンの方が高さがある。

ZL・ZRがL・Rボタンの上に位置しているのも特徴(Switchプロコンなどとは逆)。
ボタンの位置は、 接続時に切り替えが可能
+ 詳しく
ZLZRの位置は、WiiU版のHORIコンと同様である。
スマブラforWiiUのデフォルトのキーコンフィグは、LRボタンがシールド、ZLZRボタンがつかみだった。
そのためWiiUゲームパッドやWiiUプロコンは、側面のコマンド配置がGCコンと上下逆になっていた。
その中で、HORIコンは独自の逆転したボタン配置により、本家GCコンと同じボタン配置で操作できるようにしていた。
しかし、スマブラSPではLRボタンがシールド、ZLZRボタンがつかみに変更された。
この変更に対し、HORIコントローラーは「配置はそのまま、コントローラーのソフトウェアで上下のボタン認識を切り替えられる」という方策で対応した。

パーツ・分解
ABXYボタンはGCコンのものとほぼ同じ(GCの方が微妙に高い)。
他のボタンやボタンのゴムには互換性が無い。
スティックデバイスは 金属軸タイプ

↑ 分解したHORIコン。

ケース上面・下面の基板がケーブルで繋がれているので、分解時に勢いよく開けて切ってしまわないよう注意。
↑ ZLZR基板とメイン基板を繋ぐケーブル。


PDP Wired Fight Pad Pro

  • 価格:$24.99
  • 接続:USB
  • 振動機能:なし
  • 重さ:217 g
  • 応答速度:5.731 F
  • スティック遊び:あり

仕様・特徴
海外製ライセンスコントローラーその1。
コントローラー正面のゴム製のエンブレムがお洒落。
持ち手が大きく外に広がっていて長いため、全体がGCコンよりも一回り大きく感じられる。
今回紹介するコントローラーの中では、 握り心地が本家GCコンから最も離れている
振動モーターは無いが、代わりに金属製のおもりが中に入っていて、適度な重量感がある。

独自の仕様として、 スティックの皿部分が取り外しでき、専用のパーツと交換可能。
製品にはLスティック・Cスティックに加え、Lスティック用のパーツが余分に1つ付属している。
敏感な人はパーツのぐらつきが気になるかもしれない。
その場合、テープを巻くなどしてパーツの径を増すと良い。

ボタン・スティック
ABXYボタンは鋭く反発する感触 。ボタンを離したときに小気味よい音が鳴る。
LRは細長い。ゴムタイプのボタンなのだがゴムが非常に硬く、押すとカチッという感触がする。
ZLZRがとても大きい(下写真)。指の腹~第二関節近くまである。押した感じは普通のボタン。
HOME,キャプチャー,+,-ボタンはクリックタイプで、浅くてやや押しにくい。
十字ボタンは小さく、ボタンパーツ自体にかなりの厚みがある。少し誤入力しやすいかも。
Lスティックの可動域がかなり広く 、おかげで ハーフ入力しやすい
Lスティックを最大まで倒すための距離は、GCコン比で体感1.5倍くらい。
基板の仕様によるスティックの遊びがあるが、斜め入力のしづらさはそれほど感じない。

仕様・特徴
ボタン・ゴムともに、使われているパーツは他との互換性が一切無い。
一応、スティックデバイスは RKJXV1224005系 なので、スティックパーツおよびデバイスは対応品と交換できる。

上下ケースが細いケーブル2本で繋がれているため、分解時に切ってしまわないよう注意。
ZLZR部分のパーツセットは上手く取り外せなかった。
ネジの数も多く、総じて分解難度が高い。
↑ 分解したPDPコントローラー。

不具合について
SwitchにGCコン接続タップとPDPコントローラーが接続されているとき、
PDPコントローラーでLスティックやCスティックを上に入力すると、稀に十字ボタン上が暴発する という不具合がある。
特に、GC接続タップとPDPコンを同じUSBハブに繋いでいると発生頻度が高くなる。
Switch本体に両者を直接接続する場合、3つのUSBポートにどのような組み合わせで繋いでも暴発しうる。
ちなみにGCコン側は正常に動作する。

一番の対策は 「接続タップとPDPコンを共存させない」 こと。
共存する場合、 USBハブを経由してSwitch本体の別のUSBポートに差す 方法も有効に思われる(未検証)。

当方では、2019/5/20に北米版Amazonにて購入したピーチモデルのコントローラーにて確認。
AmazonやPDP公式サイトなどにも同様のレビューが複数投稿されている。


PowerA Nintendo Switch Wired Controller GameCube Style

  • 価格:$24.99
  • 接続:USB
  • 振動機能:なし
  • 重さ:143 g
  • 応答速度:6.255 F
  • スティック遊び:あり

仕様・特徴
海外ライセンスコントローラーその2-1。
側面ボタンの仕様は全く異なるが、それ以外は ほとんどGCコンと言って差し支えないほどそっくり
ただし左右の持ち手同士の角度が閉じ気味で、握るとわずかに小さい印象を受ける。
角度は、広い順に PDP > GC > PowerA > HORI。

有線ケーブルはUSB Type-Bケーブルで、抜き差しが可能である。
収納に便利と言うだけで、ケーブルを抜いても無線モードになるわけではない。

ボタン・スティック
ABXYボタンとL・Cスティックの感触は GCコンにとても近い
LRボタン*1はゴムボタン式。本家よりも大きく、ストロークも大きくて押しやすい。
コントローラー内側にある軸を中心に水平回転する構造のため、ボタン外側が大きく動くのが特徴。
↑ Rを押し込む前と後。外側(Rボタンだと右側)が深く押し込まれる。

ZLZR*2は形こそGCコンに似ているが、デジタルボタンとしてのみ機能する。
トリガーの遊びは全くない。
GCコンのLRボタンのバネを抜き、ボタンをある程度押し込んだ状態で組み立てた時の感触によく似ている。*3
HOME,キャプチャー,+,-ボタンはふかふか。
十字ボタンはHORIコンに近い、のっぺり&大きめのデザインである。

仕様・特徴
パーツの互換性は無い(PDPとも違うパーツ)。
スティックデバイスは、 金属軸タイプ
L・Cスティックのはまり具合が非常に緩かったので、スティックデバイスのレバー部分にテープを巻いて調整した。
↑ 分解したPowerAコン。


PowerA Wireless Controller for Nintendo Switch – GameCube Style

  • 価格:$49.99
  • 接続:USB
  • 振動機能:なし
  • 重さ:204 g(電池含む)
  • 応答速度:5.958 F
  • スティック遊び:なし

仕様・特徴
海外ライセンスコントローラーその2-2。
単三電池2本で駆動。 外見は有線タイプと全く同じである。
相違点は以下の通り。
  • ZL,ZRボタンを押し込むまでに5mmほどの遊びがある(トリガー機能は無い)。
  • スティックの特徴が異なる(デバイスはどちらも金属軸タイプ)。
    • 中心周辺の遊びが無い。
    • Cスティックの皿がプラスチック(有線はゴムっぽい)。
  • ABXYボタンがわずかに軽く、深い。
  • 応答速度が少し速い。
  • ケースの十字ボタン・Cスティック付近の2箇所にツメがあり、ケース上下で噛みあうようになっている。
    • 分解時に注意。
応答速度以外の違いについては有線タイプの方が個人的に好みである。

↑ PowerA無線の基板。

↑ ZRボタンのゴムを比較。左が無線、右が有線のもの。
有線の方はゴムが高く、ボタンとゴムが常に接触状態にある。
無線の方はゴムが低く、ボタンとゴムが離れているためにその分が遊びとなる。


スマブラにおけるGCコンのメリット・デメリット

GCコンの利点・欠点を分析する。比較対象はSwitchプロコンを想定。
対戦に関係する、好みに左右されにくい要素だけに注目した。
勿論、個人の好みや慣れがこれらの要素を跳ねのける余地は十分にある。

メリット

応答速度が速い
絶対的に良い と言えるメリット。

八角形のスティックガイド
上Bの方向調整や横強シフトなど、スマブラでは 瞬時に正確な斜め入力 を求められるシーンが存在する。
ガイドのおかげで指の感触がその補助になるのはメリットだろう。
ただし、ガイドはスティックの物理的な可動域を狭めるため、 微妙な角度のベクトル変更をするときには不利になる

はじくのに適したCスティック形状
スマブラでは、右スティックは「ある方向にはじく」ようにして使うことが殆どである。
円柱形状かつ小ぶりなCスティックは、親指を素早く運んで任意の方向にはじくという動作に適していると思う。

デメリット

L, R, Zボタンの安定性
側面ボタンの押しやすさはプロコンに軍配が上がるだろう。

ボタン数の少なさ
必要な動作を割り当てるのに不十分ということはないだろうが、ボタン設定の自由度やレバガチャの点で不利になる。

ABXYの配置(ずらし押しの観点から)
プロコン配置では、X→A, およびY→Bという2組のずらし押しが可能である。
しかし、GCコン配置だとスムーズなずらし押しを2種類作ることは難しい。

入手しづらい
故障のリスクが大きいのはいただけない。
もし供給量が十分な水準に達した場合には価格が入手性の評価点になるため、立場が入れ替わってプロコンが不利になる。


おわりに

海外製コントローラーの検証をするあたり、複数の方から支援をいただきました。ありがとうございます。
GC型・それ以外のコントローラーの検証・レビューの要望も受け付けています。

ウメブラのアンケート結果 によれば、2019年5月時点において、オフ大会に出る半数以上のプレイヤーがGCコンを使用している。
しかしながら、使用者の割合が減少傾向にあるのも事実である。
これは、GCコン以外を使っている新規参加者が増えたことが一番の要因だと考えられる。
さらに古参プレイヤーですら、GCコンからSwitchプロコンなどに乗り換えを検討する人が少なからずいる。
「スマブラに最適なコントローラーはGCコンである」という命題は必ずしも真ではないだろう(特に初心者の場合)。
それぞれのコントローラーにメリット・デメリットが存在するので、自分に合ったコントローラーを使うのが一番だと思う。

文:DRAFIX


参考




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最終更新:2023年04月22日 17:43

*1 GCコンのZボタンに相当

*2 GCコンのLRに相当

*3 (スマブラX時代にこういう改造をした方、他にいませんか…?)