スティックデバイス【解説】




はじめに


ここでは主に、コントローラーに搭載されているスティックデバイス(スティック用の電子部品)の仕様を解説する。
この記事では便宜上、スティック関連の用語を次のように呼ぶ(表と図を参照)。

用語 説明
スティックデバイス または デバイス スティック用電子パーツ
レバー スティックデバイスの棒状可動部分
スティック軸 または スティック スティック用プラスチックパーツ
スティック軸の指を乗せる部分
スティック軸下部の半球

本記事にはコントローラーの改造を推奨する意図はありません。
故障のリスクや保証が利かなくなる可能性も踏まえ、自己責任で作業してください。


デバイスの種類

コントローラーの電子基板には、アナログスティック用の電子部品(ここでは スティックデバイス と呼ぶ)がはんだ付けされている。
このスティックデバイスは、コントローラーによって異なる種類のものが使われている。
Switchで使えるコントローラーのスティックデバイスは、大きく分けて次の3種類がある。

Switchプロコン用
(RKJXV1224005系)

金属軸タイプ

GCコン用

Switchコントローラー用のスティックデバイスは、現行で販売されている他社のコントローラーのものと共通である。
ただし、PS2, Xbox360コントローラー用のデバイスとは互換性が無い。
↑ 左がSwitch用デバイス、右がPS2,Xbox360用デバイス。
PS2,Xbox360用の方が一回り大きく、この2つには互換性が無い。
ちなみにレバー部分の規格は同じなので、スティック軸の移植は可能。


RKJXV1224005系

ALPS社のRKJXV1224005 と形状が同じデバイスを、ここでは RKJXV1224005系 と呼称する。
↑ RKJXV1224005。

このデバイスには、アナログスティックを動かすレバーと、下に押し込むことで反応するスティック押し込みスイッチが搭載されている。
スティックデバイスの中では最もメジャーな種類である。
以下のコントローラーには、RKJXV1224005系が搭載されている。
  • Switch Proコントローラー
  • PS4 DUALSHOCK4
  • XboxOne コントローラー
  • WiiU Proコントローラー・ゲームパッド
  • PS3 DUALSHOCK3
  • ワイヤレスホリパッド for Nintendo Switch
  • ホリパッド for Nintendo Switch
  • PDP製コントローラー

RKJXV1224005系に限った話ではないが、同じ系統のデバイスでも、パーツの色・裏面の模様・電気的特性などにはバリエーションがある。
特にALPS社のRKJXV1224005は、電気的特性がSwitch Proコントローラーに対応していないため注意。
電気特性について詳しくは、スティックデバイス【検証】を参照。

スティックデバイスは、パーツ単品をオンライン通販で入手することができる。
ALPS社のRKJXV1224005は、 Amazon などで購入可能。
海外通販(AliExpress, eBayなど)では、RKJXV1224005の互換品も販売されている(例: 「OEM」 )。
修理業者が販売しているものも、基本的にこれらと同製品である。

ALPSの刻印が入ったデバイスは、レバーを目一杯倒すとその状態でレバーがロックされる。
一方、そうでないデバイス(先に述べたOEMなど)は、レバーのロック機構が無い。
ただどちらにせよ、ケースを組み立てた状態ではそこまでレバーが倒れることはない。
ロック機構の有無が重要なのは、コントローラーの物理的改造をしたときくらいである( 参考 )。


金属軸タイプ

レバー部分が細い金属軸になっているデバイス。
↑ RKJXV1224005(左)、金属軸タイプ(右)の比較。

RKJXV1224005系よりも押し込みスイッチのピンが外に突き出ているが、残りのピンは同じ配置である。
そのため、 デバイスの押し込みスイッチ部分のピンをねじ曲げれば、RKJXV1224005系・金属軸タイプは交換可能である。
さらに導線を使ってスイッチ部分を配線してやれば、押し込みスイッチも正常に動作する。

以下のコントローラーには金属軸タイプのデバイスが搭載されている。
  • TNS-901, TNS-1724
  • ホリ クラシックコントローラー for Nintendo Switch(GC型HORIコン)
  • CYBER・ジャイロコントローラー(有線/無線/ライト)
  • PowerA製コントローラー

金属軸タイプはレバー復帰精度が低い。そのため、搭載されたコントローラーは跳ね戻りが起きやすい傾向にある。
参考:スティックの跳ね戻り


GCコン用デバイス

GCコン基板用のデバイス。
押し込みスイッチが無い。
それ以外の足の配置はほぼ同じなので、RKJXV1224005系用の基板に装着することは可能(押し込みスイッチは使えなくなる)。



デバイスの仕様

可変抵抗器

スティックデバイスは、レバーの傾きを電気抵抗値に変換するパーツである。
デバイス本体の側面には、レバーX軸・Y軸に対応する2つの 可変抵抗器 *1がついている。
デバイスのレバーを傾けるとパーツが回転して、抵抗値が増減する。

抵抗器は下の写真のような設計になっている。写真左は可変抵抗器内側、右がそれにはめ込まれている回転パーツである。
抵抗器の左右のピンは電圧源とアース、中央のピンは抵抗値出力用である。
可変抵抗器内側のうち、赤・青部分は電導性シート(抵抗0)で、橙色部分(位置概略)は抵抗シートが埋め込まれている。
回転パーツを可変抵抗器にはめ込むと、赤・青端子がそれぞれ同色の電導シートに触れ、それらが電気的に接続される。
回転パーツが傾くと、赤端子が橙色部分を動き、抵抗シート上の電流流路長が変わることで抵抗値が変化する。
電子基板は、この抵抗値変化による電位の変動をレバーの入力値として読み取っている。

先に述べたデバイスによる電気的特性の違いとは、可変抵抗器の仕様の違いのことである。
重要な違いは主に2点ある。
1つ目は、 抵抗シートの領域の広さ である。
領域が広いほど抵抗値が変化する範囲も広くなるため、レバーの傾きに対する抵抗値の感度が鈍くなる。
コントローラーの基板の設計は、出荷時に装着されている可変抵抗器の抵抗値感度に合わせたものになっているため、
感度の異なる抵抗器に交換するとスティックの動作が正常でなくなる。
2つ目は、 抵抗シートが連続か否かである。
可変抵抗器の中には、スティックのニュートラル位置付近に抵抗値が変化しない領域を持つものがある。
このタイプの可変抵抗器は、コントローラーに装着するとスティック中央に遊びが生まれ、スティックの斜め入力がしにくくなる。
以上の違いは、抵抗シートが埋め込まれている部分を肉眼で観察することである程度見分けることができる。

可変抵抗器は、横にあるツメを押すことでスティックデバイスから取り外せる。
規格さえ合えば、 可変抵抗器だけを交換することもできる。


電気ピン

押し込みスイッチ搭載スティックデバイス(RKJXV1224005系を含む)の裏面には、 14個のはんだ付け用ピン がある。
↑ スティックデバイス裏面。

ピンの内訳・用途と、動作確認のために最低限はんだ付けが必要なピン数は以下の通り。
ピン 用途 はんだ付け必要数
赤:3個×2セット 可変抵抗器 すべて
黄・橙:2個×2セット 押し込みスイッチ 2個(黄1,橙1)
青:4個 接着安定 なし



スティック軸

スティックデバイスが同じコントローラーであれば、スティック軸にも互換性がある
例えば、SwitchプロコンとDUALSHOCK4はともにRKJXV1224005系なので、スティック軸を相互に移植可能である。
ただし別のコントローラー用のスティック軸を移植した場合、
  • 軸が短く、スティックを倒すと皿がコントローラー天面とぶつかる
  • 傘部分の形状が異なり、コントローラーケース内側と干渉する
といった不都合が生じることがある。

PS2,Xbox360用デバイスのレバー部分はRKJXV1224005系と同じ形状である。
そのため、スティックの相互移植が可能である。

GCコン用デバイスのレバー部分は、RKJXV1224005系とは少し異なる形状をしている。
2つの角に切り欠きが入っており、GCコンスティック軸もそれにピッタリはまる形状をしている(画像参照)。
そのため、GCコンスティックをRKJXV1224005系で使う場合、デザインナイフやヤスリで GCコンスティック軸の穴を広げる 必要がある。
一方、RKJXV1224005系用パーツをGCコンで使う場合は、そのまま装着できる。

金属軸タイプのレバー部分はRKJXV1224005系と形状が全く異なるため、スティック軸の互換性が無い。

各種スティック軸は、AliExpressやeBayで単品購入できる。
販売されているのはほとんどがRKJXV1224005系用であり、金属軸タイプ用のものは非常に珍しい。

↑ スティック軸の裏面。
左から、Switchプロコン、GCコン*2、TNS-901(金属軸タイプ用)。

↑ RKJXV1224005系で使用できるスティック軸の例(GCコンスティックは削る必要がある)。
上段:Switchプロコン、WiiUプロコン、GCコンLスティック、GCコンCスティック。
下段:DUALSHOCK4、DUALSHOCK2、XboxOneコントローラー、アルミ製スティック。

↑ 横から撮影したもの。



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最終更新:2019年12月30日 02:50