改造のきっかけ
私は、スマブラに最適なコントローラーはWiiUプロコンだと信じている。
何といってもRスティックの位置が完璧だ。
親指一本でSJ空上が簡単に出せるし、人差し指を沿えれば上下左右の全方向を素早く入力できる。
である。
性能面もサードパーティ製にしてはなかなか良い。
有線版の入力応答はGCコン比で+0.3~0.4F(スマブラforにて、WiiUプロコンはGCコン比+0.6F程度の遅延)。
無線版の応答は有線版に劣るが、それと引き換えにWiiUプロコンにはついに搭載されなかったジャイロ機能を完備している。
そんなわけで個人的にはかなり気に入っているコントローラーなのだが、実は
スティック斜め入力が入りづらい
という特性がある。
純正コントローラーでは斜め上入力できる傾け方でも、このコントローラーでは真上入力になってしまうことがある。
他にも振動やボタンの硬さなど、不満点がないわけではない。
ところでこのコントローラー、ケースおよびボタンの形状がWiiUプロコンにそっくりである。
そこでWiiUプロコンのパーツを流用すれば自分好みにコントローラーを改造できるのではないかと考え、色々試してみることにした。
ここではTNS-901の改造&調整を紹介するが、改造手法は応用が利くものばかりなので是非他のコントローラーでも試してみてほしい。
作業は自己責任でお願いします。
改造の成果
完成品
無改造品(参考)
改造A
Lスティックはデバイス交換に加え、スティック軸を削って可動域を拡張。
ハーフ入力の幅が広いのはメリットだが、最大まで倒し切るための距離が長いので一長一短。
Rスティックはデバイス交換のみ。最大値の7割程度までしか入力できないが、スマブラには支障が無い。
DUALSHOCK4のスティックは高さが足りないため、中にビニールテープを詰めて底上げした。
Lスティックは可動域拡張&底上げに伴い、ケース内側を削って擦れないように調整。
改造B
スティック軸の代わりにコントローラーケースの方を削って調整したもの。
Rスティックはデフォルトのまま。
履歴
その1
- スティック:
Switchプロコン互換品
- デバイス:
RKJXV1224005
- 物理的調整:コントローラーケース スティック周りを少し削る(削り幅 約0.75 mm)
- 注意:Switch本体「スティックの補正」の「初期設定に戻す」で正常に使えるようになる。
毎回スティック補正が必要なため、使い勝手が良くなかった。
その2
物理的可動域が広すぎて操作しづらかった。
その3
- スティック:
DUALSHOCK4互換品
- デバイス:LスティックはOEM品、Rスティックは可変抵抗器のみOEM品
- 工作:スティック軸を削る、ケース内側を削る(Lのみ)、スティック高さ調整
Rスティックは、デバイス側面の可変抵抗器のみをOEM品のものに交換した(デバイス丸ごと交換よりも作業が簡単)。
スマブラではRスティックは最大入力値まで達する必要が無いため、スティック軸は少し削る程度で良かった。
改造内容
スティックデバイス交換
工具
手順
TNS-901の基板はスティック入力値が小さめに出力されるため、交換用デバイスとしてRKJXV1224005は不適である。
OEM品デバイスを移植するのがほぼ必須だが、TNS-901はそれでも入力値が不足する。
そのため、次節のパーツの物理的調整が合わせて必要となる。
デバイス裏の突起は、スティックの高さ(≒可動域)を確保するために切り落とさなかった。
L3/R3スイッチ用の足はペンチで折り曲げて、導線で接続した。
↑ 足の比較。
↑ 導線はんだ付け。
パーツの物理的調整(削りなど)
工具
スティック調整
スティックの入力値が最大に届かない
場合、スティック軸もしくはケースを削って、
スティックの物理的な可動域を広げる必要がある。
ただしデバイスがRKJXV1224005の場合、可動域を大きく広げたときにロック機能が作動してしまう恐れがあるので注意。
ロック機能が無いOEMデバイスだとその心配はない。
削る時には補正画面を見て、可動域を広げるべき場所をこまめにチェックする。
ケースを閉じると中でスティック基板が傾くので、チェック時は
必ずケースを閉じること。
スティック軸の加工だけで傾きのバランスを取りきれない場合は、基板やケースにテープを調整するとよい。
スティック軸を削る
やすりでスティック軸を削り、軸を細くする。
スティックパーツは単価が安くリスクが小さいので、基本的にこちらを推奨。
デメリットは、スティック軸交換に手間がかかる点。
スティック軸はSwitchプロコン・DS4ともに二重円の形状で、内側の軸を外側の軸が覆う格好になっている。
今回の工作では、Switchプロコン・DS4の両方とも、外側の軸を削り切ると丁度良い可動域になった。
↑スティックの断面図。
ケースの軸まわりを削る
コントローラーケースのスティック周りをやすりで削る。
スティック軸を気軽に交換できるが、ケースは失敗すると替えが利かないのであまりお勧めできない。
ケース内部の干渉防止
スティックパーツを交換する、もしくはスティックの可動域を広げると、スティックの傘部分がケース内部と擦れてしまうことがある。
これを避けるため、ケース内部で干渉している部分をやすりで削る。
削るべき場所の見当がつかないときは、
- スティック傘部分にグリス等を塗る
- 取り付けてスティックを動かす
- 再び分解して、グリスが付着している部分を削る
とするとよい。
スティック傘部分を削っても良いが、ゴミが内部に入りやすくなる、見た目が不格好になるといったデメリットがある。
スティックパーツ取り付け調整
- 背の低いスティックパーツ(DS4など)は、中にビニールテープを少量詰めると高さを確保できる。
- 背の高いスティックパーツは、中をやすりで削って穴を深くすると高さを調整できる。
- GCコンスティックパーツは穴の形が異なるが、穴をやすりで削るとRKJXV1224005系のデバイスに使える。
切れたケーブルの修繕
作業中にフレキシブルケーブルを切ってしまったときは、
導線のはんだ付けで対処できる。
基板さえ焼き切らなければ大丈夫。
その他
TNS-901の場合、スティック基板をWiiU Proコントローラーのものに置き換えることも可能。
WiiUゲームパッドのスティック基板・コネクタケーブルは、基板形状やピンの幅が異なるために使えない。
↑ WiiUゲームパッド。
発展的な技法
コネクタ自作
工具
-
精密圧着ペンチ
- PHコネクタ
- ピンの間隔(ピッチ)が2mm。ちなみにWiiUゲームパッドのケーブルは、ピッチ1.5mmのZHコネクタ。
- ピン数が5個の部品を使う。
- コネクタ用の部品は以下の3つ。
- コンタクト(SPH-002T-P0.5S):導線の先に圧着する金属部品
- ハウジング(PHR-5):導線をまとめるオス端子
- ポスト:基板にはんだ付けするメス端子。トップ型(B5B-PH-KL)、サイド型(S5B-PH-KL)の2種類がある
工程
導線を直接はんだ付けするかわりに、コネクタを基板に取り付けてそこに自作ケーブルを挿すという方法もある。
作り方そのものに関しては「コネクタ 自作」などで検索。
↑ コネクタ完成例。
TNS-901基板に関しては、スティック基板にはんだ付けするのはサイド型のポストで確定である。
メイン基板側に付けるポストは悩み所である。トップ型だと回転する振動端子と、サイド型だと基板を固定するためのネジ穴と干渉する。
個人的にはトップ型のポストを削るのが良いと思うが、実用化できていないのでなんとも言えない。
パターンカット
WiiUプロコンとTNS-901は、スティック基板の配線パターンが異なる。
そのため普通にスティック基板を交換すると、
Y入力の上下が反転してしまう。
このような問題に対する対処法の一つが、パターンカット&再配線である。
まず、Y軸のピンからVCC・GNDに伸びている配線パターンをそれぞれ見つける。
それらを棒やすりやマイナスドライバーなどの先端で削り(パターンカット)、導線でVCCとGNDを逆に繋ぐ。
↑ パターンカット例。左がパターンカットしたWiiUプロコン基板、右が参考用のTNS-901基板。
スティック基板から伸びる5本のケーブルは、裏面で見た時に左から
Y / VCC / X / GND / 3
の順である(Lスティック・Rスティック共通)。
TNS-901のスティック基板にはこれらが印字されている。
参考
コメント
- 私もWiiUプロコンがスマブラに最適なコントローラーだと思っています。 -- 熱湯5分 (2019-09-14 15:11:44)
- でもなぜかスマブラSPのコントローラー談義には一切上がってきませんね。不思議 -- 熱湯5分 (2019-09-14 15:12:37)
最終更新:2019年09月24日 23:12