蒲原郡上條組小出村

越後国 蒲原郡 上條組 小出(こいて)
大日本地誌大系第34巻 57コマ目

府城の西に当り行程14里4町。
4区に住す。
西を東岐(ひかしまた)という。家数23軒、東西2町34間・南北24間、山間に住す。
ここより寅(東北東)の方5町を長坂(なかさか)という。家数6軒、東西1町・南北50間。
ここより東4町を牧野(まきの)という。家数15軒、東西2町8間・南北28間。
ここより戌亥(北西)の方3町を武須沢入(ふすさうり)という。家数14軒、東西2町・南北42間。
共に山間にて小出川の東西に住す。

丑寅(北東)の方10町海道組田沢村の山界に至る。その村まで1里28町余。
西5町44間野中高清水両村の界に至る。両村は共に戌(西北西)に当り野中村まで14町余、高清水村まで18町余。
南17町東山村の界に至る。その村は巳(南南東)に当り1里余。
北20町九島村の山に界ふ。

山川

水上峠(みなかみとうげ)

東岐より巳(南南東)の方17町にあり。
登ること5町。
ここを越て東山村にゆく。

小出川

牧野の西にあり。
東山村の境内より来り、西に流るること1里5町滝沢川(たきさわかわ)を受け九島村の界に入る。
広8間。
上流を土井川という。

牧野の北1町、滝沢川にあり。
高7間。
両岸岩石峙ち懸水(かけみず)噴流し、極めて幽間(ゆうかん)なり。
側に不動を安ず。
旱歳に雨を祈る所とす。

土産

近村よりも多く漉出す。
凡て小出紙(こいてかみ)と称す。
その質堅硬(けんこう)にして虫食わず。
小番なる紙にて価賤し。上下通用し甚だ民用に便あり。

神社

鷲神社

祭神 鷲神?
鎮座 不明
東岐の南1町にあり。
鳥居あり。粟瀬村渡部宮内が司なり。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
東岐の南3町余にあり。
鳥居あり。村民の持なり。

山神社

祭神 山神?
勧請 不明
牧野の東50間、山麓にあり。
鳥居幣殿拝殿あり。村民の持なり。

寺院

西光寺

東岐の村中にあり。
野澤山と號す。津川町玉泉寺の末山真言宗なり。
開基の年代詳ならず。
昔は村より丑寅(北東)の方3町計にあり。永正11年(1514年)淳清という沙門今の地に移す。
慶長2年(1597年)火災に罹り、本尊の佛像を灰燼(かいじん)の中より取出し堂舎を再興し、相継いで今に至るという。
本尊弥陀客殿に安ず。

古蹟

館跡

武須沢入の北、小出川のほとりにあり。
東西25間・南北28間、隍の趾あり。
相伝て、永正の頃(1504年~1521年)伊藤権頭為長というもの住せしという。


最終更新:2020年11月01日 19:59