銀河旋風ブライガー

登録日:2011/10/18(火) 04:27:01
更新日:2025/04/25 Fri 17:23:56
所要時間:約 7 分で読めます






夜空の星が輝く陰に、(ワル)の笑いが(こだま)する。

星から星に泣く人の、涙背負って宇宙の始末!

銀河旋風ブライガー!

お呼びとあらば、即参上!



『銀河旋風ブライガー』は国際映画社のアニメ。J9シリーズ3作の1作目でロボットアニメ必殺仕事人と評される。以下ネタバレ注意。


【あらすじ】

2111年、犯罪組織コネクションが幅を利かす太陽系で人々は泣いていた。彼らがすがる最後の正義は闇の始末屋コズモレンジャーJ9に依頼する事だった…。

【語句】

●コズモレンジャーJ9
アステロイドベルトウェストJ区9番地を根城にする闇の始末屋たち。コネクションの横暴に泣く人を変型巨大化ロボブライガーで助けて行く。メンバーは左胸にJ9、背中には♪ウ!ウ!ウルフのマークが入っている。

●イェイ!
J9内で了解や肯定の際に用いる掛け声。サムズアップも忘れずに。

●コネクション
初期の敵。各地に点在する巨大犯罪組織。
有名なのはボルガ、赤竜(レッドドラゴン)、オメガに後述のヌビアを加えた地球の四大コネクション。
他にも木星のガリレオ・コネクション、金星のビーナス・コネクション、火星のバイキング・コネクションなどが太陽系を脅かしている。

●ヌビア・コネクション
中後期の敵。元はアフリカの一コネクション。群雄割拠していたコネクションをまとめ上げたカーメン・カーメンが首領。コブラマークが印象的。
カーメン・カーメンの台頭以降「大アトゥーム神」を崇めるカルト宗教の色が強くなり、コネクション崩壊後も「ヌビア教」として残った。

●大アトゥーム計画
木星を核融合爆発させて地球大の惑星を量産しヌビア信奉者の新天地を築く、というトンデモ計画。
実行された場合、地球放射線に曝されて現住する人は滅亡する。名前は一緒だけど裏遊戯は関係無い。
恐ろしいことに、J9は後述の保護スクリーン作戦で可能な限り犠牲を抑える手助けこそ出来たものの木星爆破そのものは阻止できなかった*1
その後、最終的に太陽系には50余りの惑星が生まれ、後のJ9シリーズはそれらの惑星が舞台となる。

●保護スクリーン作戦
J9が大アトゥーム計画を阻止出来ない時に行う応急策。
水星、土星のタイタン、海王星のトリトン、木星のイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストを木星付近で爆破してチューブ状の壁を作る作戦。
あくまで応急策のため相当な犠牲を払う作戦。

●フライバイ
FlyBye。J9協力者のラジオDJのラスプーチン曰く「片道燃料のみ積んで外宇宙に飛び出す事」。ABAYO!


【人物】

《J9》

ブラスター・キッド
CV:塩沢兼人/山崎たくみ(スパロボシリーズ)
本名は木戸丈太郎。キザな少年で主人公。
泣く子も黙る軍のエリートであるレッドローズ隊に所属していたが、救助可能な人質を助けない上層部の姿勢に幻滅して軍を抜ける。
100m先の蝿を撃ち落とすと言われる凄腕のスナイパーで、射的では弾が曲がるイカサマ銃にもかかわらず全ての的に当てる離れ業を見せた。
更に作中の人気バンド・レイダースのインディーズ時代のメンバーでもありダブルネックエレキギターのプレイはプロ顔負け。しかもまだ18歳…超人である。
アイキャッチではギターの腕前を披露しながら黄色いピックを投げてくる。
ブライガーの攻撃・防御担当。

エンジェル・お町
CV:麻上洋子(現・一龍斎春水)
本名はマチコ・ヴァレンシア。目が醒める様な美女だが、僅か16歳にして「ボンバーギャル」の異名を持つ破壊工作のエキスパート。
実は木星開発局幹部の父がガリレオ・コネクションに見ヶ〆料を払っていた事に失望、家出したお嬢様。
朝までやる程ポーカーが好きで皆を呆れさせている。
お色気要員で敵の前で拘束&M字開脚をさせられたり、シャワーシーンがあったり、終いには日本アニメ史上初のベッドシーンを夕方6時に敢行した女傑。時間帯的にはこの人の後輩と言えば想像しやすいかもしれない。
一方で恋人と死別したり、子持ちの暗殺者(前述したベッドシーンの相手)に失恋したりと、男運には恵まれない模様。
ブライガーでは索敵、遊撃担当。

飛ばし屋ボウィー
CV:森功至
18歳の青年で本名はスティーブン・ボウィー。太陽系最大のカーレースで最多優勝を誇るドライバー。
孤児院出身で、成長後はラーク社の専属ドライバーとなるが、好意を寄せていた令嬢に恋人の当て馬として利用された事を知り脱退。
以降はフリーの一匹狼として活動し、アイザックの依頼でJ9基地まで輸送したブライサンダーに惚れ込み裏稼業へ入る。
一人称は「俺ちゃん」で、愛車を「子猫ちゃん」と呼ぶ。
陽気な三枚目ポジションからか貧乏クジを引かされる事が多い。

例)
  • 新型の太陽ヨット購入の資金の為、一人で依頼を遂行しに行く→敵の罠です。
  • 出場したレースで子猫ちゃんに爆弾を付けられる。
  • 負けこんでいるポーカーに敵が出現して中断→その勝負だけは勝ってた。
  • 女性を守る為、チンピラをボコる。「レーサーの眼は出来が違う」→ドーピングで反射を上げたチンピラにボコられ、逆スパイク状態に陥る…etc。
…涙拭けよ。

金に困っている描写が多く、メイやシンにまで借金する始末。
一方で育ての親であるシスター・メリーの教えは今も大事に守っており、孤児院再興のためとはいえ盗みを働いた後輩の代わりに汚れ役を買って出るなど、人情家としての面も併せ持つ。
戦闘時はブライサンダーを始めとする全ての操縦士。

かみそり・アイザック
CV:曽我部和恭/置鮎龍太郎(スパロボシリーズ)
20歳の青年で本名はアイザック・ゴドノフ。冷静沈着、頭脳明晰なJ9の司令塔。
エリートコースに乗っていたが、政府高官の父を失脚させ自殺に追いやった腐敗政府に怒りアウトローに身を落とす。
荒事でも銃と頭蓋骨を貫通可能な電子ムチを使って活躍する。
鉄面皮だが、嫌いな物はピーマンと金の貸し借り、飲んだらすぐに倒れる程の下戸という人間らしい面もある。
ブライガーのシステム管理、作戦立案担当。

《協力者》

○パンチョ・ポンチョ
CV:八奈見乗児
単眼鏡を掛けた初老の男。闇商人であり、J9の依頼の仲介などをこなす。
金にがめつく、依頼料からピンハネしてアイザックにバレて怒られるのが恒例。語尾が特徴的でゲスよ。
コネクションに捕まり拷問を受けても口を割らなかったり、最終回では後を追いかけながらフライバイしたりと、本人なりにJ9の事は大切にしている模様。
莫大な隠し財産を遺したとされ発見を夢見る後世の同業者も多いという。
ブライキャリアの操縦担当。

○メイ・リン・ホー/シン・リン・ホー
CV:雨宮一美/頓宮恭子
10歳の双子の姉弟。キッドの誕生日に下手な料理を振る舞った姉がメイ、ボウィーをよくからかっているのが弟のシンである。
両親を失ってからはアイザックに引き取られ、J9の基地で家事や通信業務などを手伝っている。

○ポヨン
CV:鈴木富子
木星でブライスターに紛れ込んでそのまま居ついてしまった宇宙ベム(平たく言えば宇宙生物)。
第14話では大型の木星ベムを味方につけ、タンカー強盗の人質になったマカローネ署長を救出した。
普段は影も形もない事も多い(特に中盤以降)がたまに思い出したように出てくる。

《アステロイドの住人》

○マカローネ・スパゲチーノ
CV:柴田秀勝
アステロイドベルトウェストJ区の警察署長。定年が近いが、警察では珍しくコネクションに屈しない正義漢。
J9の正体がキッドたちと薄々気付いていたが胸にしまっていた。ヌビアがアウトローを集め警察署にけしかけた際、凶弾に命を落とす。
中の人がナレーター兼任の為に上記のOPの口上、締め、次回予告で登場せずとも声を聞く事になる。

○グラターノ警部
CV:龍田直樹
マカローネ署長の部下。真面目な性格だが少し抜けた所があり、謎の宇宙船(ブライスター)を巡って署長と漫才めいたやり取りをよく繰り広げる。
勤続年数は本人曰く「13年と6ヶ月」と長く、署長から養子入りを提案されるなど、意外と有能な人物らしい。
アウトローの襲撃で致命傷を負いながらもJ9に助けを求め、それが聞き入れられた直後に息を引き取った。

《ヌビア》

○カーメン・カーメン
CV:田中和実
ラスボス。ヌビア・コネクションの親玉。古代エジプシャンなビジュアルをしている。
コネクションのトップに君臨したのち「神の声」に従い大アトゥーム計画を実行する。
…電波な感じだが実行力は確か。実際にJ9が計画に気付いた時には阻止出来ず勝ち逃げ状態だった。
最期は「」となるため木星の爆破に自ら身を投じた。
専用のテーマ曲がある。


【ブライガー】

銀河の天才エドモン博士が作り出したロボット
3つの型態を取るだけでなく、シンクロン理論を利用して、その型態に相応しいサイズに巨大化縮小化もある程度コントロール可能という奇抜さがウリ。

○ブライサンダー

♪宇宙空間、突っ走るのさ、でお馴染みの♪スーパーポリス、自慢のマシン。
自動車型で武装はレーザー

○ブライスター

♪十万光年、星の煌めき飛び交う〜、戦闘機型宇宙船。
「ブライシンクロン、アルファ!」の掛け声を皮切りにしてブライサンダーが変型開始→
青白い光の中、空冷エンジンとタイヤが格納→フロントとリア部が真ん中から分割、車体横に移動→車体下から白い機首が出た後に巨大化して変型完了。
武装はレーザーとミサイル

○ブライガー


ブライシンクロン、マキシム!

の掛け声でブライスターから変型する人型ロボット
やはり青白い光に包まれ白い機首が車体下の元の位置に戻り背中になる→車体横にあったフロント部は腕になり、リア部は再び元の位置に戻り脚になる→車体天井部はブライガーの胸になり、白い部分が上に展開、V字の飾りになって車体部から頭が出てくる→締めにキッドの座席が頭部に移動する…という変型シーンがテンプレ。
製作方針の事情*2から、やたら強力なロボとして描写されており、大抵は変形した途端相手ロボを秒殺してしまうため本編中の出番はバンク含め1~2分足らずで終わることが多い。通称ノルマ。

《武装》(以下「B」は「ブライ」の略)

□コズモワインダー
スノーモービルのようなメカが変型、拳銃になる。

□パワーハンドカッター
単なるチョップ。

□Bスピア
文字通り

□Bブーメラン
脇腹から出る文z(ry

□Bソード
胸の黄色い部分から出る火柱を掴むと実体化する。刀身から帯状のビームも放てる。持ち手のガードにはウルフのマーク。

□Bカノン
第15話でエドモン博士が開発した最終兵器で、ブライキャリアから渡される二門のエネルギー砲。
マカローネ署長&助手グラターノの敵討ちのシーンはアツい。
アウトロー「や、やめろぉ!」「ま、待ってくれぇ!」
J9「言い無用!!

【小ネタ】

○金田伊功さんが原画を手掛けたOP・EDが素晴らしい半面、本編では作画が残念でOP詐欺に挙げられる。
曰く「ブライガーのOPを観てない人は人生の半分を損している。本編を観た人は人生の半分を損している。
島本和彦さんの漫画『アオイホノオ』の炎尾燃いわく「本編はアレだな、見なくてもOKだな!」
「でも(EDを含め)これを見たいがために俺らは30分TVの前に拘束されるんだな!」
そこまで言わなくても…。

○アニメ放送終了後に、今は亡きソノラマ文庫から山本優の筆による小説版も刊行された。
内容は映像作品の後日談で、一年間通しての激闘で遂にブライガーがお釈迦になってしまい、
新たに拠点として入手した宇宙船にエンブレムを引き継いで「二代目ブライガー」として迎え入れる導入から始まる。

○なんと2016年にはプリキュアシリーズの再放送も行っているTOKYO MXで再放送された。
しかも、TOKYOMXの公式twitterの中の人もノリノリらしく、ラブライバーならぬ「ラブライガー」と言う謎の単語まで生み出してしまう始末。一体全体何を言ってるのか……。
ちなみに、放送時間はまさかの夕方の時間帯であり、その時の他局の裏番組は子供達が親しみやすいカードゲームアニメで、
しかも4月からは放送時間が金曜午後6時30分に変更となったが、その裏番組が当時、大ブームを巻き起こし子供達に大人気のあの妖怪アニメだった。
それらに昭和の時代に制作されたマニアックなロボットアニメをぶつけてくるTOKYO MXの編成の人は本当に勇気があり過ぎるとしか言いようが無い。
なおこれにより、3月最終週と4月最初の放送がわずか2日またぎというとんでもない短スパンになっていた。
さらに5月には機甲創世記モスピーダも夕方の時間帯での放送が始まり、まさかの80年代に放送されたロボットアニメ2作品が、夕方の地上波の時間帯に放送されるという状況になった。
この平成末期と思えない強気な編成に関しては、TOKYO MXの 公式Twitter によればブライガーとモスピーダ(の放送権利)を購入するチャンスがやってくるから、「古すぎて見る人いないんじゃないか」などと迷わず買って放送しとけ。ネットの人たちがちゃんと見てくれるぞ。とコメントしている。
17年2月に終了したものの、その二週間後に再び五時台に放送開始され、更に金曜日には同じ日に続編の「バクシンガー」が見られると云うまさかの「スーパーJ9タイム」のような展開となった。
(※さらに4月には『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』の放送が始まっており、こちらは1時間早く夕方の四時台に放送され、昭和に制作されたロボットアニメ2作品がまたしても夕方の時間帯、しかも近い放送時間に見られるという展開になった。)
その後、J9シリーズ最終作の「サスライガー」まできっちり放送しきったから、MXの編成の人はよほど、J9シリーズへの思いが強かったと言えよう。

一方で2014年頃、J9シリーズの新作アニメ『銀河神風ジンライガー』の制作告知が為され、2017年頃まではTV・劇場・ネットなど、何らかの形で世に出したい意思が伝わる情報も流れていた。それに期待しての三部作放映だった可能性も小さくはない。
しかし、2018年に山本氏が逝去。2019年にはプロジェクト解散が公表され、結果的に新作にはつながらなかった。

【外部出演】

ゲームスーパーロボット大戦シリーズ』にもα外伝GC/XONEOに参戦。
キッドとアイザックのキャストは中の人が亡くなられている都合上代役だが、どの作品でも要所要所で渋い活躍を見せる。
特にGC/XOでは外宇宙の人間という設定で登場した銀河烈風隊JJ9と共演を果たした。
カーメン・カーメンに関わった他作品のキャラがキングコブラに始末されるのはお約束。
初参戦ではカーメンの分身を再現するため、乗ってる船を分裂させた
なお、『α外伝』ではカーメンとの決着が未来世界で付く関係上、現代世界のカーメンは最後まで健在という若干不安の残る結末を迎えてブライガーはαシリーズでの出番を終えたのをネタにされる事もあるのだが、
実は肝心の木星が完結作の『第3次α』でブラックボール爆弾にされているので、人知れず大アトゥーム計画は破綻した
っつーか、トップは『α』の時点で参戦していたんだからメタ的には最初から負けが確定していた事になる。カーメンは泣いていい
さらに『GC/XO』ではとっくに計画が阻止されてしまっている事に最後まで気付かず、原作通りの勝ち逃げをかまそうとして自滅するという下手な敗北よりも酷い結末を迎えた。
ちなみにNEOでは原作終了設定だが、同時期に放送されていた『戦国魔神ゴーショーグン』のグッドサンダーチームとJ9が共にヌビア・コネクションやドクーガと戦った戦友同士であるという設定となっている。


追記・修正はシンクロン原理を完全に解明した人がお願いします。

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最終更新:2025年04月25日 17:23

*1 カーメンも自ら木星爆破に殉じた為、直接討ち取ることは叶わなかった。

*2 元々ロボアニメの予定ではなかった、ロボを長時間派手に動かすのは作画の予算的に厳しい、など