ゼファー(ONE PIECE)

登録日:2014/09/06 Sat 15:15:11
更新日:2020/06/14 Sun 22:14:20
所要時間:約 13 分で読めます





お前達の正義は…使えねぇんだよ。


正義とか…

自由とか…


お前らすべてやり直しだぁぁぁ!!!


漫画『ONE PIECE』を原作とするアニメ映画『ONE PIECE FILM Z』の登場人物。

○目次

【プロフィール】

所属:海軍→NEO海軍
役職:海軍本部大将→教官→遊撃隊隊長→NEO海軍総帥
異名:黒腕のゼファー、ゼット、すべての海兵を育てた男
年齢:74歳
悪魔の実:なし
懸賞金:不明
掲げている正義:不明
出身:とある軍港の町
好物:シェリー酒
CV:大塚芳忠 鈴木真仁(幼少時代)

【概要】

映画『ONE PIECE FILM Z』のラスボス
海賊の殲滅のためならどのような犠牲も問わない過激派組織「NEO海軍」の総帥。本人はゼットと名乗っている。

外見は紫髪にサングラスをかけた巨漢の老人。
高齢ながら筋骨隆々の身体の持ち主で、NEO海軍のマークが入った黒いコートを地肌に直接羽織っている。

右手には対能力者用の兵器である海楼石製のスマッシャーを装着しており、74歳と高齢ながら高い戦闘能力を誇る。
しかしさすがに体力の衰えには逆らえず、特に心肺機能が弱っているため長時間戦闘を行うことが出来ず、戦闘中でも吸入器を使った薬物投与が必要である。

とある事情から海賊の存在を激しく憎んでおり、また海軍の正義も見限っているため、自らの手で新世界ごと海賊たちを葬る新世界殲滅作戦「グランリブート」を決行する。


以下ネタバレ注意












その正体は、元海軍大将で伝説の海兵と言われた「黒腕のゼファー」その人。
かつて“海賊王”ゴールド・ロジャーや、“白ひげ”エドワード・ニューゲートら伝説の海賊たちの世代と渡り合った“伝説の海兵”の一人。
ルフィの祖父のモンキー・D・ガープや前海軍本部元帥のセンゴク、大参謀つるとは同期。
武装色の覇気の達人で、両腕に覇気を纏ったその容貌からその名がついた。

【人物】

海軍にいたころは模範的な海兵で、その姿は同期のガープに「誰よりも海軍の正義を信じた男」と評される程であった。
設定画や小説によれば、どのような悪党が相手であっても、命までは奪わず、殺すことなく投獄するような人物だったとのこと。

だが、42歳の時、ゼファーを逆恨みした海賊によって妻子を殺され、そのショックから自分の信じてきた正義に悩み大将を辞任。
以後は周囲の説得もあり教官として現在の海軍の中核をなす海兵たちを育ててきた。

教官としては厳しい人物であったようだが、これは教え子たちの誰にも死んでほしくないという思いからくるもの。
ゼファーの教え子には後の三大将や名だたる中将・海兵たちがおり、「すべての海兵を育てた男」とも呼ばれる名教官であった。

しかし本編から七年前、とある海賊によって自身の教習艦が襲われ、目の前で教え子のほとんどが殺され、自身も右腕を切断される重傷を負う。
以降は失った右腕にスマッシャーを装着し、遊撃隊を組織して海賊狩りに命を費やすようになる。
それでも海軍の正義を信じていたゼファーであったが、教え子を殺した海賊が王下七武海入りした事で、自身の最後の拠り所であった世界政府やそれに属する海軍の"正義"に完全に失望し、性格も一変。
現在は周囲の一般人や海兵の犠牲を厭わず己の正義を実行する超攻撃的な性格となっている。

上述の理由から海賊を激しく憎悪しており、自分の命を助けてくれたルフィたちが海賊であると知った途端に彼らを襲うほど。
ついにはすべての海賊の目標である“ひとつなぎの大秘宝”(ワンピース)もろとも新世界の海を消滅させるべく、大破局噴火「グランリブート」を引き起こすことを画策する。
当然このような市井の被害を顧みないやり方を海軍が認めるわけがなく、NEO海軍はテロ組織"Z軍"として殲滅対象と定められることとなった。

その一方で、海軍と敵対する立場になっても教え子への情は持ち続けており、ボルサリーノに対しては剣戟の最中にも「ピカピカの実の能力に頼り過ぎるなと教えたはずだが」と指摘したり、すでに海軍を抜けたクザンと再会した際には道を違えたことを理解しつつも穏やかに接していた。
また最期の言葉も、かつての教え子である海兵たちに向けた「最後の稽古をつけてやる!」であった。
当然部下からも強く慕われており、NEO海軍の構成員は殆どがゼファーを慕って一緒に海軍を抜けた教え子たち。
敵対することになった海軍将校の中にも恩師を想って涙を流す者がいたほど。

【戦闘能力】

悪魔の実の能力者ではないが、強力な覇気の使い手。
年老いた今でも、二年の修行を経たルフィを打ち負かし、現役の海軍本部大将の黄猿とも真っ向勝負できるほどの戦闘能力を持つ。
また、薬物投与を行っている最中に光速で移動してきた黄猿の不意打ちや光速の蹴りによる攻撃にも対応ができているため、シャーロット・カタクリと同様に高精度に鍛え上げられた見聞色の覇気による未来予知も可能と思われる。

ただし、年齢から来る心肺機能の低下により戦闘中でも吸入器を使った薬物投与を行わないと戦いが継続できないなどの理由から、これでも全盛期の実力には遠く及ばない。

右腕を失うまでは武装色の覇気をまとった腕っ節のみを武器として用いており、その強さは武装色硬化をした時に発生する手が黒く変色する現象からそのまま付けられた"黒腕のゼファー"という通り名が物語っている。


◆装備

  • バトルスマッシャー
海軍在籍時代に海軍の科学者の手によって失った右腕の代わりに装着された海楼石製の巨大な義手。
現在のゼファーのメイン武器であり殴打、マシンガンやビームによる遠距離攻撃、爆発、防御など、様々な用途に使用出来る高性能武器。
これに残った左腕による武装色の覇気による攻撃と併用する事で強力な戦闘力を生み出している。

  • 小型の銃
サブウェポン。
海楼石製の弾丸を装填した対能力者用の小さい銃。
もっとも、本人も「能力にかまけていない新世界の海賊相手にはこんな弾丸は当たらない」と述べている。


◆技

  • スマッシュバスター
殴った際に右手のスマッシャーを相手に接触させ、その衝撃を利用し内蔵させた爆発物を炸裂させる。
巨人族をも大きく吹っ飛ばした。

  • スマッシュブラスター
バスターとは違い、距離を保ったまま砲撃をする。
こちらも巨人族を大きく吹っ飛ばした。

  • スマッシュトルネード
スマッシャーを地面に接触させ爆発させることで足場を崩す。
これによりルフィはZのペースに乗せられてしまい2度目の敗北を喫した。

【来歴】

◆過去

とある軍港の町の出身で幼い頃から正義のヒーローに憧れており、成長後は海軍に入隊。
14歳で海軍学校に入学し、18歳で卒業してからは叩き上げで階級を上げていく。

下士官の時点で六式を修得し、34歳で覇気を修得。
38歳の若さで海軍の最高戦力である大将にまで上り詰めた。

極めて順調な人生を歩んでいたゼファーであったが、42歳の時に最愛の妻子を報復として海賊に殺害されてしまう。
そのショックで大将の地位を辞し、以降は周囲からの説得もあり教官として後進の育成に努めるようになる。

しかしさらなる悲劇がゼファーを襲う。
65歳の時に自分が指揮していた海軍の演習艦がとある海賊に襲われ、部下がアインとビンズを残し皆殺しにされ、自身も右腕を切断されるという重傷を負う。
その後は教官を辞め、生き残った部下たちとともに遊撃隊を結成し海賊を討伐し続けた。

ここで終わればゼファーは海賊を憎みながらも、海軍を去ることはなかったであろうが、かつて自分を襲撃し部下の多くを殺害したあの海賊が本編より1年前に王下七武海に迎えられてしまう。
これによりゼファーは海軍の正義を見限り、部下たちとともに海軍を去りNEO海軍を結成。
3つの「エンドポイント」を破壊すると新世界を焼きつくす大破局噴火が起きるという機密事項を元大将であった彼は知っていたため、それを利用して海賊を根絶やしにするため動き出すのである。

◆劇中の活躍

映画冒頭にて、「エンドポイント」破壊のために必要な「ダイナ岩」を強奪するために、「ダイナ岩」の保管施設があり同時に「エンドポイント」でもあるファウス島を襲撃。
海軍の防衛部隊を一切寄せ付けず瞬殺し、強奪に成功するが、撤退前にかつての教え子である海軍本部大将“黄猿”ボルサリーノが来訪、交戦する。

ボルサリーノ…ピカピカの実の能力に頼り過ぎるなと、俺は忠告したはずだがぁ!?

相変わらず手厳しいこってぇ、ゼファー先生。

その名は捨てた、おれはゼットだぁ!

もともと海軍大将であったその戦闘力と、相手が手の内が分かっている教え子だったということもあり現役大将相手にほぼ互角に立ちまわるが、高齢によるスタミナ切れと心肺機能の低下により劣勢に立たされる。
そして一か八かの作戦で持っていた「ダイナ岩」を爆破。
「エンドポイント」の破壊と同時に爆炎で黄猿の追撃を振り切ることに成功する。

爆発で吹っ飛び海を漂っていた所、麦わらの一味に拾われ介抱される。
最初は好意的な感情を向けていたが、彼らが海賊だと知ると態度を一変させ襲撃。
救助に来たNEO海軍の部下たちとともに手酷く打撃を加えるが、サニー号の仕掛けにより麦わらの一味はその場から脱出する。

そして第二の「エンドポイント」であるセカン島に来訪。
「ダイナ岩」をセットし爆破したところで、モンキー・D・ルフィがリベンジを仕掛けてくる。
今度はルフィも最初っから本気で、戦闘は少々長引いたが海楼石で作られた銃弾をルフィに撃ち込み二度目の勝利をおさめる。
そして「大海賊時代と一緒に葬ってやる」と言い、戦利品として麦わら帽子を持っていった。

その後かつての教え子である“青キジ”クザンに会い、「死ぬつもりか」と問いかけるクザンに「俺は止まらない」と返し、一時一触即発の空気になるが交戦せず別れる。
この時クザンから好物であるシェリー酒を貰う。

最後のエンドポイントであるピリオ島にて、ルフィと最終決戦を演じる。
拳を交えるうちに筋が通ったルフィの心意気を感じ、「俺を倒したとしても、所詮お前は海賊。誰も感謝することはないぞ」と問いかける。
この問いかけにルフィは「だからなんだ! オレはオレのやりたいようにやる! お前を倒せないオレじゃ海賊王にだってなれないんだ!」と返す。


やりたいようにやるか…ならば俺もそうしよう

わが人生すべてをかけてお前の信念を砕いてやろう!

かかってこい! これが最後だ!

ルフィとの闘いでゼファーの心の中で変化があったのか、かつて自分の異名であった二本の黒腕を携え、ルフィと最後の激突を繰り広げる。
激しい打ち合いの末、辛くも勝利をおさめたのはルフィであった。

帽子だけ取り返し、とどめを刺さずに「気が済んだ」というルフィに「俺も気が済んだ」と返すゼット。
麦わらの一味や自分の教え子たちが集い始めたところで、ボルサリーノが中将たちを引き連れ来襲。この場の全員を仕留めようとする。

俺は最後の最後に好きなようにやれた。落とし前はつけないとな、先に行ったヤツに顔向けできねぇ

麦わらのルフィ、お前の冒険があるんだろ、ここは任せろ

そう言うとたった一人で海軍に向かっていくゼット。
アインが駆け寄ろうとするが、青キジ・クザンが巨大な氷壁でゼットと一味たちを分断し、かつての先生に死に場所を提供する。

お前たちに最後の稽古をつけてやる!

黄猿・ボルサリーノの八尺瓊勾玉に撃ちぬかれつつも、黒腕を携え海軍相手に無双するゼット。
教え子であった中将たちは心痛の面持ちで、ドーベルマン中将は静かに涙を流していた。
NEO海軍総帥ゼット、「黒腕のゼファー」の生涯はここで幕を閉じたのである。


さよなら、ゼファー先生……


最後は教え子たちの手により、スマッシャーの残骸で作られた墓に葬られた。
泣きじゃくるアインとビンズたちにクザンが言う。
「泣くな! 男が自分の人生に一本筋を通して逝ったんだ。カッコイイじゃねぇか」と。

【余談】

  • アインの能力
彼女のモドモドの実の能力は触れた物の時間を12年間戻すことができる能力。
生物にも効果があり、若返っても記憶はそのままなど、使いすぎによる存在抹消を除けば特にデメリットがないため、彼女の能力で全盛期まで若返ればルフィや黄猿にも勝てたのではないかと議論されることがある。
もっとも、黄猿との会話でも分かる通り、ゼファーは能力に頼り過ぎることを好まず、またアインが倒されれば戦闘中でも能力は強制的に解除されてしまうため、あえて若返ろうとしなかったと思われる。

  • 海賊への評価
36年前の海軍大将昇格時(当時38歳)、それはロジャーや白ひげの全盛期であった。
「信念あるなー海賊のくせにー」と敵ながら内心でその存在を認めている意外な姿が尾田先生の設定画で描かれている。
もっとも、これは海賊に家族を殺される前の話なので単純な比較は出来ないが。
ルフィとの闘いではルフィの麦わら帽子に思い入れがあるかのようなことを言っている。
さらに、ルフィが赤髪のシャンクスとの約束のことを告げると「お前を海賊の道に引き込んだのは赤髪のシャンクスかァ!」「あいつも罪が深い…」と言っているので、シャンクスの前の麦わら帽子の持ち主を知っていたのかもしれない。

  • “白ひげJr.”エドワード・ウィーブル
七武海への加入時期や他の候補の経歴との兼ね合いを見るに、ゼファーの右腕を斬り落とした海賊である可能性が現状で最も高い。
ただ、その容姿や性格から読者の間からは「がっかり」という声も上がっている。
もっとも、そんな読者の感想に対して作者の尾田氏は83巻質問コーナーSBSにて「キミの意見、僕の思うツボです」と語っており、初めから想定済みである様子。
東京ワンピースタワーで2017年8月23日に開催された「偉大なる座談会(グランド・トークショー)」では、
担当編集の杉田卓氏*1が、尾田氏からウィーブルについて「彼は「イケメン出しますよ!」って予告されていたキャラ」だと明かしており、
そのうち「エドワード・ウィーブルがイケメンで格好良いと分かるエピソードが出てくる」とのこと。

◆シェリー酒

本編の中盤でそのシェリー酒を投げ渡すクザンとそれを受け取るZの墓石前での会話は本編と企画案ではかなり差がある。
企画案の方はクザンとの関係や自分の正義(海賊を殺すことなく投獄したかつてのゼファー)を見失ってしまっているZを描くことで、Zにとどめをささないルフィや出航するルフィたちのための自己犠牲、映画全体のテーマやクザンのラストシーンといった部分を締める狙いがある。
もし本編に入れられていれば、FILM Zで印象的なシーンの一つになっていただろうが、残念ながら時間がないので入れられなかったとのこと。
他にも時間の都合からZの印象的なシーンはいくつか削られている。詳しくは劇場特典の1000巻を確認。
  • 本編
クザンがZに酒を投げ渡した後、「一番かっこいい酒はこれだ」とZが自身の感想を述べ、「おれもあんたの真似してよく飲みましたよ かっこいい男になりたくてねェ」とクザンが自身の思い出話を始める。

  • 企画案
クザンがZに酒を投げ渡したあと、「クザン こいつらを殺した奴らが今どういう顔をしてるかわかるか?」「笑ってうまい酒を飲んでるだろうよ。敵を殺し・・・生き残った者が正義だ」とZが歪んでしまった思想を述べ、そのまま酒を叩き割る。
クザンはその会話中ほとんど喋らない印象的な無音の描写が入れられている。

◆Z

  • 正義はどこだ?
愛する者たちの死、海賊への怒り、海軍への失望、正義の味方という理想、海軍では理想を叶えられない現実。
Zとはそんな苦悩と無縁な「子供が最も簡単に思い描く悪いやつを倒す正義の味方」
しかし、そんな綺麗な正義は現実には存在しない。海軍はそんな正義の味方ではない。
じゃあ正義はどこにあるのか?

  • おれが正義だ!!
「この世に正義が無いのならおれが正義になる!おれがZになる!」
そして、ゼファーはZに無縁であったはずの多くの苦悩を背負ったまま子供時代の理想であるZになろうとする。
そのギャップから「一般人を巻き込んでも海賊を滅亡させるゼファーなりのZ」が生れた。
はたして、それは本当に正義の味方と言えるのか?
半ば、暴走のようにゼファーは自分の信念に燃える。

  • 最後まで
だが、ルフィに敗北したことで自分が海賊のようにやりたいようにやっていることを自覚。
そんなZは間違い(正義の味方とはいえない)と知ってるが、それは自分の信念を貫いた結果。
子供のころの理想そのものではなくなったかもしれないが、その理想を追いかけた今の自分が自分の中のヒーローで自分にとってのZ。
ボルサリーノたち海軍の教え子と最後の闘いをした時も、あくまでZとして戦って生涯を終えた。




























昔、とある軍港の町に一人の正義感が強い少年が居た。
正義のヒーローに憧れ後に海軍に入隊するその少年は、その日もワルガキ達をやっつけて、いじめられっ子達を守っていた。

右手に丸太をまるでスマッシャーのようにくくり付け、Zの形のポーズをとりながら高々にこう叫ぶ。


いつでもかかってこい! オレの名は、正義のヒーロー…



ゼーーーット!!



追記・修正は正義のヒーローに憧れ、自分の人生に一本筋を通した方がお願いします。

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